Odooで置き換えられるSaaS対応表|アプリ別の機能差・課金構造・メリットとデメリット【2026年版】

会計はfreee、営業はSalesforce、チャットはSlack、勤怠はKING OF TIME。

どれも、選んだ時点では正しい判断でした。ただ5年たつと、月初にSaaSの請求書がいくつも届きます。同じ取引先の情報を、3つの画面に入力している。そんな会社は少なくありません。

契約更新の案内が来るたびに「これは本当に必要か」と迷う。けれど、やめたら何で代わりをするのかが分からない。

その迷いは、業務領域ごとの対応表でほどけます。Odooは、会計・販売・在庫・CRM・人事などのアプリが1つのデータベースを共有するERPです。請求書発行・経費精算・プロジェクト・ヘルプデスクのように、Odooのアプリとほぼ重なる領域は置き換えの候補になります(業務領域別の対応表)。

寄せる先を決めて置き換えると、たとえば次のことが変わります。

  • 取引先を1回登録すれば、見積・請求・仕訳で同じレコードが使われる
  • SaaSごとの契約更新や退職時のアカウント削除が、1か所にまとまる
  • 新しいアプリを、新しい契約なしで使い始められる
  • 部門別や商品別の損益を、売上・在庫・人件費を組み合わせて見られる

ただし、SaaSを全部やめる必要はありません。会計は一部が重なるだけで、日本の税務申告は会計SaaSの側に残ります。給与は、置き換えの対象から外れます(置き換えが向かないケース)。

では、寄せれば費用は下がるのか。その答えは、課金の「型」を見ると分かります(課金構造の違い)。

Community版とEnterprise版について

この記事でOdooの機能と価格に触れる箇所は、有償のEnterprise版を前提としています。無償のCommunity版は一部アプリが含まれず、自社でホスティングと保守を行う形になります。違いは Odoo Community版とEnterprise版の違い を参照してください。

目次

なぜ「対応表」が必要になるのか

SaaSは1つずつ選ぶと最適でも、全体で見ると二重入力と分断を生みます。対応表は、その分断がどこで起きているかを見つける地図です。

ツールごとに正しく、全体では重複する

会計SaaSにも、販売SaaSにも、CRMにも、それぞれ「取引先マスタ」があります。取引先の基本情報を登録する台帳のことです。3つのツールを使えば、同じ取引先を3回登録し、住所が変われば3回直します。

各ツールの欠陥ではありません。単独で完結するように作られているからこそ起こる、構造上の重複です。

Odooが「統合」で解こうとしていること

Odooは、会計・販売・在庫・CRM・人事といった業務アプリが、1つのデータベースを共有する設計です。取引先を1回登録すれば、見積・請求・仕訳のすべてで同じレコードが使われます。

アプリの全体像は Odooのアプリ一覧と全体像 にまとめています。

専用SaaSの分立とOdooの統合 上は会計・CRM・販売・在庫・人事・ECの専用SaaSがそれぞれ別のマスタを持ち、同じ情報を何度も入力する状態。下はOdooの各アプリが1つのデータベースを共有し、1回の登録がすべてのアプリで使われる状態。 専用SaaSの分立とOdooの統合 専用SaaSを個別に契約 会計SaaS 取引先マスタ CRM 取引先マスタ 販売SaaS 取引先マスタ 在庫SaaS 商品マスタ 人事SaaS 従業員マスタ EC 商品マスタ 同じ情報を複数回入力・更新する Odooで統合 会計 CRM 販売 在庫 人事 EC 共通のデータベース 取引先・商品・従業員のマスタは1つ 1回の登録が、すべてのアプリで使われる ※統合が常に正解とは限らない
専用SaaSの分立とOdooの統合

対応表の読み方:3つの関係

SaaSとOdooアプリの関係は、「同等」「一部重なる」「連携先」の3つに分かれます。業務領域別の対応表は、この区別で読んでください。

関係意味判断の目安
同等主な業務範囲がほぼ重なる置き換えの候補になる
一部重なる基本機能は重なるが、専用SaaSに深い機能がある使っている機能次第で判断する
連携先役割が違い、置き換えではなくつなぐ相手残して連携する

「同等」でも、日本固有の機能(電子申告や年末調整など)の有無で結論が変わります。表の右端には、各アプリの詳細記事へのリンクを置きました。気になる行は、そちらで細部を見てください。

OdooとSaaSの対応表:業務領域別

日本でよく使われているSaaSを中心に、グローバルで有名なものを1つ添えています。

会計・請求・経費

業務Odooアプリ日本で使われているSaaSグローバル関係詳細
会計Accountingfreee会計/マネーフォワード クラウド会計QuickBooks Online一部重なる会計機能
請求書発行InvoicingMisoca/楽楽明細Zoho Invoice同等請求書発行
経費精算Expenses楽楽精算/マネーフォワード クラウド経費SAP Concur同等経費精算
サブスク請求Subscriptions—Stripe Billing一部重なるサブスクリプション管理
電子署名Signクラウドサイン/GMOサインDocuSign一部重なる電子署名

会計が「一部重なる」なのは、日本の税務申告や電子申告が会計SaaSの側にしかないからです。freeeとの違いは Odooとfreeeの違い に、マネーフォワードとの違いは Odooとマネーフォワード クラウドの違い にまとめました。

営業・販売・店舗

業務Odooアプリ日本で使われているSaaSグローバル関係詳細
CRMCRMMazricaSalesforce Sales Cloud/HubSpot CRM同等CRM
見積・受注Salesboard/楽楽販売Zoho CRM同等販売管理
POSレジPoint of Saleスマレジ/AirレジSquare一部重なるPOSレジ
ECeCommerceBASE/STORESShopify一部重なるEC機能
WebサイトWebsiteSTUDIOWordPress/Wix一部重なるWebサイトビルダー

ECは「一部重なる」です。Shopifyのようなプラットフォームは、決済・配送・アプリ市場の広さで先行しています。大規模なECを業務の中心に置く会社なら、残すのが現実的です。

在庫・購買・製造

業務Odooアプリ日本で使われているSaaSグローバル関係詳細
在庫Inventoryzaico/ロジザード ZEROZoho Inventory同等在庫管理
購買Purchase楽楽販売/BtoBプラットフォーム 受発注—一部重なる購買管理
製造ManufacturingTECHSKatana MRP一部重なる製造管理
設備保全MaintenanceMENTENAUpKeep同等設備保全

人事・労務

業務Odooアプリ日本で使われているSaaSグローバル関係詳細
従業員管理EmployeesSmartHR/freee人事労務BambooHR一部重なる人事管理
採用RecruitmentHRMOS採用/ジョブカン採用管理Greenhouse同等採用管理
勤怠・休暇Attendances / Time OffKING OF TIME/ジョブカン勤怠管理—一部重なる勤怠・休暇管理
給与Payrollfreee人事労務/マネーフォワード クラウド給与—置き換え対象外給与計算と日本対応
人事評価Appraisalsカオナビ/HRBrainLattice同等人事評価

給与は置き換え対象外です。 Odooの給与計算は、日本の法制度に対応していません。給与SaaSは残して併用するのが現実的です。

勤怠を「一部重なる」としたのも、同じ理由です。36協定や有給管理の法対応は、専用SaaSのほうが深く作られています。

マーケティング・イベント

業務Odooアプリ日本で使われているSaaSグローバル関係詳細
メール配信Email Marketing楽楽メールマーケティング(旧:配配メール)Mailchimp同等Eメールマーケティング
MAMarketing AutomationSATORIHubSpot Marketing Hub一部重なるマーケティングオートメーション
イベントEventsPeatix/EventHubEventbrite一部重なるイベント管理
アンケートSurveysQuestantSurveyMonkey/Googleフォーム同等アンケート機能

プロジェクト・サポート・社内コミュニケーション

業務Odooアプリ日本で使われているSaaSグローバル関係詳細
プロジェクトProjectBacklogAsana/Jira同等プロジェクト管理
工数TimesheetsTimeCrowd/freee工数管理Toggl Track同等工数管理
ヘルプデスクHelpdeskRe:lation/楽楽自動応対(旧:メールディーラー)Zendesk同等ヘルプデスク
日程調整AppointmentsTimeRex/SpirCalendly同等予約管理
シフトPlanningAirシフト/シフオプDeputy同等シフト・リソース計画
承認Approvalsジョブカンワークフロー/コラボフロー—同等承認ワークフロー
チャットDiscussChatworkSlack/Microsoft Teams一部重なる社内チャット
文書管理Documents—Box/Dropbox一部重なる文書管理

チャットは「一部重なる」です。Odooの社内チャットは、業務レコードに紐づく会話に強みがあります。社外とのやりとりや外部連携の広さでは、専用ツールが先行しています。

6つの表を見て、「同等」の行が思ったより多いと感じたかもしれません。ただ、同等だから寄せる、とはすぐに決まりません。次に効いてくるのが、お金の払い方です。

専用SaaSとOdooの課金構造の違い:何が変わるのか

置き換えで最初に変わるのは、金額そのものより「何に対して払うか」です。金額の優劣ではなく、この構造を先に押さえておくと、試算を誤りにくくなります。

専用SaaSの課金は5類型に分かれる

#類型何で金額が決まるか該当する例
①ユーザー単位システムを操作する人数Salesforce、Asana、Jira
②店舗単位店舗の数スマレジ
③売上連動売れた金額と件数BASE などEC SaaS
④従業員数在籍する従業員の数SmartHR など人事SaaS
⑤プラン単位選んだプラン(人数に上限)board、Backlog

Odooと比べたとき、有利・不利が入れ替わる条件は類型ごとに違います。だから、まず相手の類型を見分けます。

公式サイトで金額が公開されている料金体系の例は、次のとおりです。

  • freee会計(法人):プランごとの月額制。プランに付帯するメンバー数が決まっている
  • Salesforce:エディションごとの、ユーザー1人あたりの月額制
  • スマレジ:店舗単位の月額制。1店舗なら無料で使えるプランもある
  • BASE:初期費用・月額費用がかからないプランがあり、売れた額に応じて決済手数料とサービス利用料がかかる
  • Backlog:プラン単位の月額制。プランごとに人数とプロジェクト数の上限がある

(※課金の型は、2026年9月時点の各社公式サイトの情報にもとづきます。金額や条件は改定されることがあるため、検討時に各社の公式ページでご確認ください)

一方、SmartHRのように公式ページで金額を公開せず、見積もりを前提とするサービスもあります。見積もりを取らないと総額が見えない体系か、単価が先に分かる体系か。 これも構造の違いのひとつです。

Odooの課金は「全アプリ一律のユーザー課金」

Odoo Enterprise版は、使うアプリの数にかかわらず、ユーザー数で料金が決まります。会計だけ使っても、会計・販売・在庫・CRMを使っても、1ユーザーの単価は同じです。

課金の対象は、システムを操作するユーザーです。従業員全員でも、店舗数でも、売上でもありません。ここを取り違えると、試算が大きくずれます。

金額の詳細と考え方は、Odooの料金体系を解説 にまとめました。

類型ごとに、判断の分かれ目が変わる

相手の類型Odooが有利になりやすい相手が有利になりやすい
① ユーザー単位複数の製品を契約している1製品だけで足りる
② 店舗単位店舗が多く、操作する人が少ない店舗が少なく、スタッフが多い
③ 売上連動売上が大きく、手数料が積み上がる売上が小さく、固定費を抑えたい
④ 従業員数従業員は多いが、触るのは一部全員がシステムを使う
⑤ プラン単位人数が少ない人数が多い(上限内なら定額)

自社がどの行に当てはまるかを、先に決めてください。 そのうえで実際の人数・店舗数・月商を当てはめれば、比較の答えは出ます。

構造の違いが意味すること

専用SaaSを3つ契約している会社が、その3つをOdooに寄せたとします。すると、「製品×プラン」の掛け算が「ユーザー数」の一本に変わります。管理する契約の本数が減り、新しいアプリを使い始める判断も軽くなります。

ただし、金額が下がるとは限りません。どちらに転ぶかは、類型ごとに変わる分かれ目の表で、自社がどこに当てはまるかで決まります。

置き換えには、移行・設定・導入支援の費用も別途かかります。ライセンス費用だけで比べると、判断を誤ります。ライセンス費用の見直しから考えるなら、ERPのライセンス費用を見直したい企業の選択肢 も参考になります。

課金の型そのものがAIでどう変わりうるかは、AIの料金が「席」から「成果」へ(バーチャルブログ)にまとめました。

SaaSをOdooに置き換えるメリットとデメリット

どの領域にも共通する得失は、次の4つずつです。この記事の対応表と得失は、Enterprise版を前提にしています。領域ごとの細かな違いは、各アプリの記事に書いています。

メリット

転記がなくなる
見積が受注になり、納品が請求になり、請求が仕訳になる。この流れが1つのデータベースで動くため、ツール間のコピーが要らなくなります。

契約とアカウントの管理が一本化される
SaaSごとの契約更新、権限設定、退職時のアカウント削除が1か所にまとまります。

追加の業務を始めやすい
新しいアプリを使うときに、新しい契約もマスタの登録し直しも要りません。

経営の数字がつながる
売上・在庫・人件費が同じ基盤にあります。部門別や商品別の損益を、組み合わせて見られます。

デメリット

日本固有の機能は専用SaaSのほうが深い
税務申告、年末調整、36協定の管理など、日本の制度に密着した機能はOdooにありません。

専用SaaSの「深さ」を失う
CRMならSalesforceの拡張性、ECならShopifyのアプリ市場。専用ツールが業務の中心なら、統合で失うものが大きくなります。

移行の手間と期間がかかる
データ移行、設定、再教育が要ります。使っているSaaSが多いほど、どの順番で移すかの設計に手間がかかります。

慣れた画面が変わる
現場が使い慣れたツールを手放すことになります。移行後の定着が課題になる点は、どのERPでも同じです。

両方を並べると、次の図のとおりです。

SaaSをOdooに置き換えるメリットとデメリット 良い点は、転記がなくなる、契約とアカウントの管理が一本化される、追加の業務を始めやすい、経営の数字がつながること。注意点は、日本固有の機能は専用SaaSのほうが深い、専用SaaSの深さを失う、移行の手間と期間がかかる、慣れた画面が変わること。 SaaSをOdooに置き換えるメリットとデメリット 良い点 転記がなくなる 見積から仕訳まで1つのデータベース 契約とアカウントの管理が一本化 更新・権限・退職時の削除が1か所 追加の業務を始めやすい 新しい契約もマスタの登録し直しも不要 経営の数字がつながる 部門別・商品別の損益を組み合わせて見る 注意点 日本固有の機能は専用SaaSが深い 税務申告・年末調整・36協定の管理 専用SaaSの「深さ」を失う CRMの拡張性・ECのアプリ市場など 移行の手間と期間がかかる データ移行・設定・再教育 慣れた画面が変わる 移行後の定着が課題になる 判断は領域ごと。置き換える・併用する・残す
SaaSをOdooに置き換えるメリットとデメリット

デメリットの多くは、領域ごとに「置き換える・併用する・残す」を分けると抑えられます。分け方は置き換えが向かないケースにあります。

Odooへの置き換えが向かないケース

統合は手段であって、目的ではありません。次の3つに当てはまる領域は、専用SaaSを残して連携するほうが現実的です。

置き換える・併用する・残すの判断 SaaSごとに、置き換える・併用する・残して連携するの3つから選ぶ。関係が同等で法対応が不要なら置き換え、一部重なるなら専用部分だけ残して併用、連携先ならAPIでデータだけつなぐ。 置き換える・併用する・残すの判断 置き換える ・関係が「同等」 ・基本機能しか使っていない ・ほかの業務との転記が多い ・日本固有の法対応が不要 例:請求書発行・経費精算・   プロジェクト・ヘルプデスク 併用する ・関係が「一部重なる」 ・日本固有の機能を使っている ・基本業務はOdooに寄せる ・専用部分だけ残す 例:会計(申告は会計SaaS)・勤怠(法対応) 残して連携する ・関係が「連携先」 ・専用SaaSが業務の中心 ・Odooに相当する機能がない ・APIでデータだけつなぐ 例:給与・大規模EC・社外チャット ※判断は領域ごと。会社全体で一律に決めない
置き換える・併用する・残すの判断

日本の法制度に密着した機能

給与計算、年末調整、電子申告、36協定の管理。これらは専用SaaSの側で日本向けに作り込まれており、Odooに同じものはありません。残して連携するが基本です。

専用SaaSが業務の中心になっている

ECの売上が事業の大半を占め、Shopifyのアプリ市場を使い込んでいる。CRMの自動化を、営業プロセスの中核に据えている。こうした会社では、統合で失う深さのほうが大きくなります。

既存の連携が深く、置き換えると壊れる

会計SaaSと銀行、CRMと名刺管理、チャットと外部ツール。連携が業務に組み込まれているほど、置き換えの影響は広がります。

API連携(システム同士をつなぐ窓口)で残す選択肢は、OdooのAPI連携 で扱っています。どのシステムが残りやすいかという大きな流れは、AI時代に「消えるシステム」と「残るシステム」(NetSuiteの教科書)で論じました。

会議で使える「寄せる・残す」の仕分けチェック

SaaSを1つずつ、次の5項目に当てはめてみてください。□に多く当てはまるほど、Odooに寄せる候補です。

  • □ 同じ取引先や商品を、ほかのSaaSにも入力している
  • □ 対応表で「同等」の行に当たる
  • □ 日本の法制度(給与・申告・36協定)に密着した機能を使っていない
  • □ そのSaaSにしかない機能を、日々の業務で使い込んでいない
  • □ 1年以内に契約更新が来る

逆に、3つ目と4つ目に当てはまらないSaaSは「残して連携する」側です。残す理由を1行で書いておけば、次の更新時に迷いません。

ベンチャーネットが「寄せるSaaS・残すSaaS」を仕分ける順番

対応表で「同等」の行が多くても、一度に移行するのはおすすめしません。ERP導入支援を手がけるベンチャーネットがご相談を受けたときは、次の5段階で進めます。

使っているSaaSと更新月を1枚に書き出す

契約中のSaaS、使っている部署、触っている人数、契約更新月を一覧にします。課金の類型(専用SaaSの課金の5類型の①〜⑤)も、この段階で書き添えます。何にいくら払っているかより先に、何が何本あるかを見える化します。

同じ情報を何回入力しているかを数える

取引先・商品・従業員の情報が、どのSaaSに何回入力されているかを数えます。多くの会社で転記が集中するのは、販売(見積・受注・請求)と会計のつなぎ目です。ここが1つにつながると、月次の締め作業が変わります。

標準機能に業務を合わせられるかを見る

「同等」の行は、Fit to Standard(標準機能に業務を合わせる考え方)で検討します。いまのSaaSの使い方をそのまま再現しようとすると、移行の手間が膨らむからです。請求書発行、経費精算、プロジェクト、ヘルプデスクなどは、契約更新に合わせて1つずつ寄せていきます。

残すSaaSは、つなぎ方まで決める

「一部重なる」と「連携先」の行は、基本業務がOdooで回り始めてから判断します。そのほうが、判断の精度が上がるからです。給与や申告のように残すと決めた領域は、どのデータをどちら向きに渡すかまで設計します。

3〜5年後の姿から、器が合っているかを見直す

最後に、3〜5年後の人数・拠点・事業の広がりを、課金の類型に当てはめます。ベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。Odooが合わないときは、そのままお伝えします。

規模や拠点が大きくなる見込みなら、NetSuiteのほうが合うこともあります。パッケージに乗らない固有業務には、AIスクラッチ開発という道もあります。ライセンスがない代わりに、開発費と保守費が別途かかります。

NetSuiteに進む場合の日系SaaSとのつなぎ方は、NetSuiteの教科書のNetSuite×日系SaaS連携マップにまとめています。

自社がOdooに向いているかどうかの判断軸は、Odooが向いている企業・向いていない企業 にまとめています。

SaaSの置き換えについてよくある質問

会計はfreeeのまま、販売と在庫だけOdooにできますか?

できます。実際、この組み合わせは多くあります。

Odooで販売・在庫・請求を回し、仕訳データを会計SaaSに連携する形です。税務申告や電子申告は、会計SaaSの側で行います。連携の設計は要りますが、統合の効果の多くはこの形でも得られます。

SaaSを減らせば、費用は必ず下がりますか?

下がるとは限りません。

専用SaaSの合計と、Odooのユーザー課金の合計。どちらが大きいかは、使うアプリの数とユーザー数で変わります。移行と導入支援の費用も別にかかります。ライセンス費用だけでなく、総額と、転記がなくなることによる工数の変化をあわせて見てください。

Community版でも同じ対応表が使えますか?

一部のアプリは使えません。

StudioやSign、HelpdeskなどはEnterprise版のみのアプリで、Community版にはありません。この記事の対応表は、Enterprise版を前提にしています。Community版で使える範囲は、Odoo Community版とEnterprise版の違い を参照してください。

給与はなぜ置き換え対象外なのですか?

Odooの給与計算が、日本の法制度に対応していないためです。

社会保険料の計算、源泉徴収、年末調整といった日本固有の処理は、Odooの標準機能にありません。公式の給与ローカライズ対応国の一覧にも、日本は入っていません(出典:Odoo公式ドキュメント、2026年10月確認)。給与SaaSを残し、人事マスタや勤怠データをOdooと連携させるのが現実的です。詳しくは Odooの給与計算と日本対応の現実 にまとめています。

対応表に載っていないSaaSを使っていますが、どう読めばよいですか?

業務の種類で、対応表を読み替えてください。

たとえば「請求書を作るツール」ならInvoicing、「案件を管理するツール」ならCRMかProjectです。業務の機能から、対応するアプリを探せます。判断に迷う場合は、使っている機能を書き出したうえでご相談ください。

SaaSをOdooに置き換えるメリットとデメリットは何ですか?

利点は転記が消えることで注意点は日本固有の機能です。

見積から仕訳までが1つのデータベースで動き、契約とアカウントの管理も一本化されます。一方、税務申告や年末調整など日本の制度に密着した機能は、専用SaaSのほうが深く作られています。移行の手間と期間もかかります(置き換えのメリットとデメリット)。

まとめ:対応表は「やめる順番」を決めるための地図

  • SaaSは1つずつ選ぶと正しくても、全体では取引先や商品の二重入力を生む
  • 対応関係は「同等」「一部重なる」「連携先」の3つで読む
  • 専用SaaSの課金は5類型(ユーザー・店舗・売上・従業員数・プラン単位)。どの類型と比べるかで有利不利が入れ替わる
  • 給与など日本の法制度に密着した領域は、置き換えず併用する
  • 一度に移行せず、転記の多い販売と会計から1領域ずつ進める

SaaSをいくつ使っているかは、問題ではありません。問題は、同じ情報を何回入力しているかです。対応表は、その回数を減らすために、どこから手をつけるかを決める地図として使ってください。

1年後の契約更新の月、経理に届くSaaSの請求書は、残すと決めたものだけになっている。給与や会計のSaaSの横には、残す理由が1行ずつ書き添えてある。

もう少し詳しく知りたい方へ

「いま使っているSaaSを書き出したら、どれを残すか迷った」という段階からご相談いただけます。業務の棚卸しからご一緒します。

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この記事を書いた人

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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