月末に案件の粗利を出そうとして、手が止まる。誰が何時間使ったのか、記録はあるのに信用できない。
工数管理システムを入れた会社の多くが、同じ道をたどります。最初の1か月は、みんな入力する。3か月目には、月末にまとめて記憶で埋める人が現れる。半年後には、データはあるのに誰も信用していない状態になります。
理由は、入力する本人に直接のメリットがないことです。だから、続く設計にします。
Odoo(オドゥー)は、オープンソース由来の統合業務アプリ群です。工数管理アプリ(Timesheets)で記録した時間は、案件の採算や請求にそのままつながります。入力を続けてもらう原則は3つ。粒度を粗くする。その場で数十秒で終わる形にする。個人の評価に使わない(入力が続く設計の3原則)。
Odooで工数を記録すると、たとえば次のことが変わります。
- タイマーやモバイルアプリで、その場で記録できる
- 入力が残っている人に、リマインダーメールが届く
- 記録した時間が、転記なしで案件別の採算になる
- 費やした時間に応じて、顧客に請求できる
Odooには無料のCommunity版と有償のEnterprise版があります。この記事で扱うタイマーや承認には、Enterprise版が対象と案内されている機能が含まれます。
ただし、案件別の採算を見る予定がないなら、工数管理は入れないことをおすすめします(工数管理のメリットとデメリット)。
では、承認とロックはどう決めれば「監視」にならないのか。多くの会社がつまずくのは、ここです。答えは承認とロックの設計にあります。
案件ごとの採算をどう見るかは、Odooのプロジェクト管理(Project) にまとめました。
Odooの工数管理(Timesheets)でできること
Odoo公式サイトでは、次の機能が案内されています(出典:Odoo公式サイト、2026年8月確認。グリッド・タイマー・承認・休暇の反映はOdoo公式ドキュメントでも2026年10月に確認)。
記録する
- ドロップダウンメニューで、タイムシートを作るプロジェクトとタスクを選ぶ
- キーボードショートカットで、タイマーを開始・停止
- その場でタイマーを起動し、プロジェクト・タスク・販売オーダへの紐づけを正しく保つ
- モバイルアプリから、外出先でもタイムシートを入力
- プロジェクト、クライアント、タスクごとに費やした時間を記録
見る
- タスクに割り当てた時間を、色分けしたグリッドで表示
- 残業時間や欠勤時間も、同じグリッド上で確認
- 誰がいつ休暇を取っているかが分かる
- 請求可能時間を、メンバー・案件・タスク別に把握
承認する
- チームメンバーのタイムシートの概要を見て、承認する
- 入力や検証が残っているユーザーに、定期的にリマインダーメールを送る
- 最後に有効化されたタイムシートの日付より前の入力・編集を制限(ロック機能)
- タイムシートの閲覧を、他のチームメンバーに対して制限
請求する
- 顧客に提供したサービスを、費やした時間に応じて請求
- 記録したすべての時間を請求するか、有効なものだけを請求するかを選べる
- タイムシートにリンクした販売オーダ項目を変え、曜日や担当技術者などに応じてレートを更新
機能はそろっています。それでも入力が続かない会社が多いのは、理由が機能の外にあるからです。
なぜ工数入力は続かないのか
入力が続かない会社では、次の順で崩れていきます。
入力項目が多く、粒度が細かい。忙しいので後回しになる。月末に記憶でまとめて埋める。評価に使われると、さらに歪む。行き着く先は、誰もデータを信用しない状態です。
続く設計では、同じ段階を1つずつ手当てします。粒度は「案件×時間」まで。タイマーとスマホでその場で記録し、リマインダーで入力漏れを防ぐ。個人の評価には使わないと宣言する。そうすれば、数字が信用できるものになります。
形骸化する流れで最も深刻なのは、最後の段です。
データはあるのに、誰も信じていない。こうなると、そのデータを使った採算計算も信用されません。工数管理を入れた意味がなくなります。
入力が続く設計の3原則
Odooの機能は、次の3原則に沿って使うことをおすすめします。
原則1:粒度を粗くする
「どの作業に何分」まで取ろうとしないでください。まずは「どの案件に何時間」で十分です。
それだけでも、案件別の労務費(人にかかる費用)は見えます。細かくするのは、定着してからです。
原則2:その場で、数十秒で終わる形にする
Odooには、タイマーとキーボードショートカットがあり、モバイルアプリからも入力できます。
移動の多い職種では、この「その場で」が続くかどうかの分かれ目です。事務所に戻ってから入力する運用にすると、まず後回しになります。
原則3:個人の評価に使わない
ここは、強くお伝えしたい点です。
工数の記録を人事評価に使い始めると、データは歪みます。「早く終わったことにしておこう」「時間がかかったとは言いにくい」という力が働くからです。
工数は、案件の採算を見るための道具です。人を測る道具にしないでください。
この方針は、口に出して宣言してください。黙っていると、現場は「評価に使われるのでは」と疑います。疑ったまま入力されたデータは、すでに歪んでいます。
定着の進め方は Odooを社内に定着させる方法 にまとめました。
タイムシートの承認とロックをどう設計するか
Odooには承認機能と、過去分の編集を制限するロック機能があります。この2つの決め方で、運用が続くかどうかが分かれます。
流れは次のとおりです。日々の入力はタイマーやスマホで行い、未入力の人にはリマインダーが届く。上長が内容を確かめて承認し、締めた分はロックして過去分の編集を制限する。そのうえで、請求可能な分を請求します。
承認は「監視」にしない
承認機能を入れるときは、目的を先に決めてください。
目的は、時間の長短をチェックすることではありません。案件の紐づけ間違いや、入力漏れを見つけることです。
「A案件に付けるべき時間が、B案件に付いている」。これを直すのが承認の役割です。
この位置づけを共有しないまま承認フローを作ると、現場は監視だと受け取ります。すると、入力される数字が「怒られない数字」になります。
ロック機能は諸刃です
締めた数字が動かないのは、ロック機能の利点です。請求のもとになるデータなら、なおさらです。
一方で、入力漏れに気づいたときに直せなくなります。
現実的な運用は、次の2つを組み合わせる形です。
- ロックする期間は、締め処理が終わった分だけにする
- 修正が必要になったときの例外手続きを、先に決めておく
例外をゼロにはできません。だからこそ、例外が起きたときの手順を用意しておくことが重要です。
記録した時間(タイムシート)を請求につなげる
時間精算の契約(作業時間に応じて代金を受け取る契約)では、記録した時間がそのまま請求額を左右します。
Odoo公式によれば、費やした時間に応じて顧客に請求でき、すべての時間を請求するか、有効なものだけを請求するかも選べます。
この「すべて/有効分のみ」の選択は重要です。
社内の管理用に記録した時間と、顧客に請求する時間は、必ずしも一致しません。手戻りや社内調整の時間まで請求するわけにはいかないからです。
請求可能/請求不可の線引きを先に決める
導入時に決めておくことは3つです。
- どの作業が請求可能か(顧客都合の手戻りは請求可能か、など)
- レートをどう設定するか(担当者別か、作業種別か)
- 締めのタイミング(月末か、案件完了時か)
レートについて、Odoo公式は次の方法も案内しています。タイムシートがリンクされている販売オーダ項目を変え、曜日や担当技術者などに応じてレートを更新する方法です。
請求書を発行する機能そのものは、Odooの請求書発行(Invoicing) で扱っています。
工数管理のCommunity版とEnterprise版の違い
Odooには、無料のCommunity版と有償のEnterprise版があります。
Community版は、オープンソースとして無料で使える版です。ただし、サーバの用意・アップデート・障害対応は自社の責任になり、公式サポートの対象外です。
工数管理では、基本的な時間の記録はCommunity版でも利用できるとされています。一方で、グリッド表示・タイマー・承認といった機能には、Enterprise版が対象と案内されているものがあります。
この記事の「入力が続く設計」は、タイマーや承認が前提です。Community版で検討する場合は、これらが使えるかを対象バージョンで必ず確認してください。
詳しくは Odoo Community版とEnterprise版の違い をご覧ください。
Odooの工数管理のメリットとデメリット
工数を記録し、締めて請求する側から見ると、良い点と注意点は次のとおりです。使える版は、分かる範囲で添えています。
メリット
- 時間が採算と請求に直結する:記録した時間が案件の原価になり、受注・請求・会計と同じデータベースにあるため、案件別の採算が転記なしで出る
- その場で記録できる:タイマー、キーボードショートカット、モバイルアプリから入力できる。タイマーは、Community版では使えない可能性がある
- 入力漏れを防げる:入力や検証が残っているユーザーに、定期的にリマインダーメールを送れる
- 締めた数字が動かない:上長が承認し、締めた分はロック機能で過去分の入力・編集を制限できる
- 請求する時間を選べる:記録したすべての時間を請求するか、有効なものだけを請求するかを選べる
デメリット・注意点
- タイマーや承認はCommunity版で使えない可能性がある:グリッド表示などの機能には、Enterprise版が対象と案内されているものがある。基本的な時間の記録は、Community版でも利用できるとされる。この記事の「入力が続く設計」は、これらが前提になる
- 入力が定着しにくい:入力する本人に直接のメリットがないため、工数入力は最も定着しにくい業務になる
- ロックすると直せなくなる:入力漏れに気づいたときに直せないため、修正が必要になったときの例外手続きが要る
- 記録の軽さは専用SaaSが上:記録のしやすさだけを比べるなら、専用SaaSのほうが軽い
両方を並べると、次の図のとおりです。
注意点の多くは、入れる前の決め方で負担を小さくできます。入れるかどうかは工数管理が合わないケースで、進め方は採算の数字にするまでの4ステップで確かめてください。
他のアプリとのつながり
| アプリ | つながり方 |
|---|---|
| プロジェクト | 案件・タスクに時間を紐づけ、採算を計算 |
| 販売 | 販売オーダに紐づけ、時間精算の契約へ |
| 請求 | 記録した時間から請求書を発行 |
| 休暇管理 | 休暇の申請が承認されると、タイムシートに反映できる |
案件採算の考え方は、Odooのプロジェクト管理(Project) で詳しく扱っています。
業種ごとの使い方は、サービス業・プロジェクト型ビジネスのOdoo活用 と 建設業のOdoo活用 にあります。
工数管理が合わないケースもあります
ERP導入支援を手がけるベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。工数管理の向き不向きを整理すると、次の表のとおりです。
| 状況 | 検討したい選択肢 |
|---|---|
| 案件別の採算を見る予定がない | 工数管理は入れないほうがよい |
| 案件採算や時間精算の請求をしたい中小〜中堅企業 | Odooが現実的な選択肢 |
| 勤怠管理が目的(労働時間の法令管理) | 勤怠専用のサービスを検討 |
| 大規模な要員計画やスキル管理まで必要 | OdooとNetSuiteの違い を参照 |
1行目は、とくに強くお伝えしたい点です。採算を見る予定がないなら、工数管理は入れないでください。
入力の負担だけが現場に残り、誰も見ないデータが溜まります。これがいちばんよくないパターンです。
3行目の勤怠管理も、工数管理とは分けて考えます。工数は「何にどれだけ使ったか」、勤怠は「いつからいつまで働いたか」。目的が違うので、混ぜると両方が中途半端になります。
社内会議で使える確認リスト
次の項目に、いくつ当てはまるかを数えてみてください。
- □ 忙しいのに利益が残らない案件があり、原因が分からない
- □ 作業時間に応じて顧客に請求する契約がある
- □ 見積もりと実際の作業時間のずれを、次の見積もりに生かしたい
- □ 案件ごとの採算を話し合う場が、すでにある(または作る予定がある)
- □ 入力する人を、案件に関わる職種に絞れる
最初の2つのどちらにも当てはまらないなら、工数管理は急ぐ必要がありません。4つ目が空欄なら、システムより先に「データを見る場」を決めてください。
業務が固有すぎてどのパッケージにも乗らない場合は、AIスクラッチ開発という選択肢もあります。ライセンス費用はかかりませんが、開発費と保守費が別途かかります。
判断材料は パッケージERPかスクラッチ開発か にもまとめました。
工数を「採算の数字」にするまでの4ステップ
ベンチャーネットが工数管理の相談を受けたとき、画面より先に確かめることがあります。順番は次のとおりです。
- 工数を何に使うかを決める:案件の採算を見るのか、時間精算で請求するのか。どちらでもなければ、入れないことをおすすめします
- 入力する人と粒度を決める:案件に関わる職種だけに絞り、「どの案件に何時間」から始めます。評価に使わない方針も、ここで経営者から宣言していただきます
- 締めの約束を紙の上で決める:請求可能な作業の区切り、承認者、ロックする範囲、例外時の手順です。Odoo標準の承認とロックに運用を合わせ、独自の承認フローは作り込みません(Fit to Standard:標準機能に業務を合わせる考え方)
- 少人数で締めを回し、会議で使う:一部の部署で何度か締めを回します。月末にまとめて埋める人が出ていないか、採算の会議で数字が使われているかを確かめます
見える化(時間が記録される)、わかる化(どの案件で時間が膨らむか分かる)、儲かる化(見積もりと値付けに反映する)の順です。稼働の記録を経営の数字に変える考え方は、稼働を可視化し固定費を変動費化するが参考になります。
3〜5年後に要員計画まで一体で回したい規模になるなら、その時点で OdooとNetSuiteの違い の論点も合わせて検討します。合わないときは、合わないとお伝えします。NetSuiteでの工数の扱いは、工数管理を「現場の作業」で終わらせない|採算が見えるNetSuite活用法で紹介しています。
このアプリに対応する有名SaaS(TimeCrowd・Toggl Track)
すでに工数管理のSaaSを使っている場合、Odooの工数管理がその置き換え候補です。主なツールとの対応は次のとおりです。
| 使っているSaaS | Odooでの対応 | 一言で言うと |
|---|---|---|
| TimeCrowd | 工数管理(Timesheets) | 同等。時間の記録とレポートは重なる。Chrome拡張やカレンダー連携での記録のしやすさはTimeCrowdが厚い |
| Toggl Track | 工数管理(Timesheets) | 同等。タイマーでの記録と集計は重なるが、記録画面の使い勝手と個人利用のしやすさはToggl Trackが上 |
機能の違い
- Odooにあって工数管理SaaSにないもの:記録した時間が案件の原価になり、そのまま請求書になること。受注・請求・会計と同じデータベースにあるため、案件別の採算が転記なしで出る
- 工数管理SaaSにあってOdooにないもの:記録することに特化した操作性。ブラウザ拡張や他ツールとの連携で、画面を切り替えずに記録を始められる仕組み
課金構造の違い
TimeCrowdは公式サイトに金額の掲載がなく、問い合わせと資料請求を経て案内される方式です。Toggl Trackはユーザー単位の課金で、少人数まで使える無料プランがあります。
(※課金の型は、2026年9月時点の各社公式サイトの情報にもとづきます。金額や条件は改定されることがあるため、検討時に各社の公式ページでご確認ください)
Odoo Enterprise版は全アプリ一律のユーザー課金です。工数管理だけ使っても、他のアプリまで使っても、1ユーザーの単価は変わりません。金額の詳細は Odooの料金体系を解説 にあります。
比較の際は、入力する人数を先に数えてください。工数を記録するのは、案件に関わる人だけで足りることが多く、間接部門まで広げる必要はありません。この人数が、どちらの体系でも費用を決めます。
置き換えのメリット
- 記録した時間が案件の原価と請求に直結し、Excelへの転記や二重管理がなくなる
- 休暇の承認や販売オーダと同じ場所にあるため、締めの作業が1か所で終わる
置き換えのデメリット・向かないケース
- 記録のしやすさだけを比べるなら、専用SaaSのほうが軽い。入力が続くかどうかは操作の手数で決まるため、ここは実機で確かめてください
- 採算も請求もしないなら、専用SaaSどころか工数管理そのものが不要です(工数管理が合わないケース)
- Community版では、タイマーや承認といった機能が使えない可能性があります。この記事の設計はEnterprise版を前提にしています
判断の分かれ目は、記録した時間を採算と請求までつなげたいかどうかです。
他のアプリの対応表は Odooで置き換えられるSaaS対応表 にまとめています。
バージョンと機能の更新について
Odoo 19.0は2025年9月にリリースされました。標準サポートの終了は2028年9月(予定)と公式に記載があります。
その後、19.1(2026年1月)・19.2(2026年3月)・19.3(2026年5月)・19.4(2026年7月)が順に提供されています。
19.1〜19.4は、Odooオンラインで先に提供されました。Odoo.shとオンプレミスは対象外でした(公式のサポート表にN/Aと明記)。
2026年9月には、次のメジャー版のOdoo 20が公開されました。Odoo.shやオンプレミスの会社も、Odoo 20に上げれば、19.1〜19.4の新機能をまとめて受け取れます。
違うのは、新機能を受け取る時期です。早く使いたいならOdooオンライン。自社で管理したいならOdoo.shかオンプレミスで、年1回のメジャー版に合わせます。Odoo 20の変更点はOdoo 20の新機能まとめで整理しています。
工数管理アプリのうち、この記事で扱う範囲に直接かかわる変更は、19.1〜19.4の公式リリースノートに記載が見つかりませんでした。記載がないことは、変更がないことの証明ではありません。
この更新サイクルは、Enterprise版の話です。Community版は、このマイナー版の更新サイクルには乗りません。
※出典:Odoo公式のリリースノートおよびドキュメント(2026年9月確認)
よくある質問
Q1. 社員全員に入力してもらう必要がありますか?
必要ありません。採算を見たい案件に関わる人に絞るのが現実的です。
間接部門まで含めて全社導入すると、負担のわりに得られる情報が増えません。まずは案件に紐づく職種から始めてください。
Q2. 15分単位と1時間単位、どちらがよいですか?
始めるなら、粗いほうの1時間単位です。細かくすると入力されなくなります。
案件別の労務費を見るだけなら、1時間単位でも十分な精度が出ます。
Q3. 承認は誰がやるべきですか?
案件の内容を理解している人です。多くの場合は、プロジェクトの責任者や現場の管理者です。
経理や人事が承認する設計にすると、内容の妥当性を判断できないため、承認が形だけになります。
Q4. 締めたあとで入力漏れが見つかったら、直せますか?
ロック機能を使うと、指定した日付より前の入力・編集は制限されます。
そのため、修正が必要になったときの例外手続きを先に決めておいてください。直せない設計にすると、現場は諦めて放置するからです。
Q5. Community版でも使えますか?
基本的な時間の記録は、Community版でも利用できるとされています。ただし、グリッド表示・タイマー・承認といった機能には、Enterprise版が対象と案内されているものがあります。
この記事の内容の多くは、これらの機能が前提です。Community版で検討するときは、対象バージョンで必ず確認してください。
Q6. 工数の記録を、社員の評価に使ってはいけませんか?
おすすめしません。評価に使うと分かった時点で、記録は「怒られない数字」に寄っていきます。
工数は案件の採算を見る道具と位置づけ、その方針を経営者から宣言してください。
Q7. Odooの工数管理のメリットとデメリットは何ですか?
記録した時間が採算と請求に直結する利点と定着の難しさがあります。
記録した時間が案件の原価になり、費やした時間に応じて顧客に請求できます。タイマーやモバイルアプリで、その場で記録できます。
一方、入力する本人に直接のメリットがないため、定着の設計が要ります。タイマーや承認には、Enterprise版が対象と案内されている機能が含まれます(メリットとデメリット)。
まとめ
工数入力が続かないのは、現場の意識が低いからではありません。入力する本人に直接のメリットがないという、構造の問題です。
だから、続く設計にします。粒度を粗くする。その場で数十秒で終わる形にする。そして、個人の評価に使わないと宣言する。
Odooのタイマー、モバイル入力、リマインダー、承認、ロックは、入力を強制する道具ではありません。入力の負担を下げ、データの質を保つ道具です。承認は監視ではなく、案件の紐づけ間違いを直す場です。
案件別の採算を見る予定がないなら、工数管理は入れないほうがよい。目的から逆算して決めてください。
1年後、月末の夜に記憶で工数を埋める人はいなくなっています。案件の会議では、先月どの案件で見積もりより時間が膨らんだかを見ながら、次の見積もりの値付けを決めています。
もう少し詳しく知りたい方へ
「うちの規模で工数を取る意味があるのか」という段階からでも、状況をお聞かせください。
ベンチャーネットは、ERP導入支援を手がける会社です。NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しているため、特定の製品に偏らない立場でご提案できます。
ベンチャーネット自身がプロジェクト型のビジネスであるため、工数入力が続かない問題は自分たちの課題としても向き合ってきました。
関連記事
- Odooで置き換えられるSaaS対応表
- Odooとは?中小企業の経営者が知っておきたいオープンソースERP入門
- Odooのプロジェクト管理(Project)|タスク管理と案件採算をひとつにする
- サービス業・プロジェクト型ビジネスのOdoo活用
- Odooの請求書発行(Invoicing)
- Odooを社内に定着させる方法|教育とチェンジマネジメント
- Odooの勤怠・休暇管理|工数との違いと、日本の年休で確認すべきこと
- Odooのシフト・リソース計画(Planning)
- Odoo Community版とEnterprise版の違い
- 日報は会社の資産|行動プロセスを残し、売上実績だけで評価しない
- Odooのアプリ一覧と全体像
- NetSuiteとOdooのプロジェクト・現場業務|時間を売る会社の選び方(NetSuiteの教科書)
でできること.jpg)