OdooのWebサイトビルダー|更新のたびに外注する状態から抜ける

「サイトの1行を直したいだけなのに」

こう思ったことはないでしょうか。

営業時間の変更。担当者の交代。取扱商品の追加。内容としては数分の修正です。

しかし手順は違います。制作会社に依頼し、見積を待ち、修正内容を文章で説明し、確認して、公開してもらう。2週間かかることもあります。

その結果どうなるか。細かい修正をあきらめるようになります。 そして古い情報が載ったまま放置されます。

この記事では、Odoo(オドゥー:オープンソース由来の統合業務アプリ群)のWebサイト作成機能を、機能の各論として整理します。

先にお伝えします。この機能の価値は、サイトを安く作れることではありません。

目次

問題は「更新の主導権」です

構造から見てください。

サイト更新を外部に依頼する場合と自社で行う場合の流れの違いを示した図 左側は修正内容を文章で説明し、見積、作業、確認を経て公開に至るため時間がかかり、細かい修正をあきらめる状態。右側は担当者が画面上で直接編集して即日公開でき、情報が最新に保たれる状態を示しています。 外部に依頼する 自社で更新する 修正内容を文章で説明する 見積を待つ 作業と確認のやり取り 公開(2週間後) 細かい修正をあきらめる 1行のために依頼したくない 古い情報が載ったままになる 画面上で該当箇所を直す 表示を確認する 公開(当日) 気づいたときに直せる 情報が最新に保たれる ただし、直す人を決める必要がある

誤解のないように書きます

制作会社に頼むこと自体が悪いわけではありません。

デザインの刷新や、サイト全体の構成を考える作業は、専門家に依頼する価値があります。

問題なのは、日々の細かい更新まで外に出ている状態です。ここだけを自社に戻せると、サイトの鮮度が変わります。

Webサイト作成でできること

Odooのサイト作成機能は、おおむね次のような構成になっています(2026年8月時点)。

ページの作成と編集

  • あらかじめ用意された部品(ブロック)を並べてページを作る
  • 表示されている画面上で、直接文言を編集できる
  • 用意されたデザインのひな型から選べる
  • スマートフォンでの表示に対応する

他のアプリとの連動

ここがこの機能の中心です。

連動先サイト上でできること
販売・在庫商品を掲載し、在庫の状況と連動させる
イベント申込フォームを置き、参加者として記録する
予約空き枠を公開し、その場で予約を受ける
問い合わせフォームからの送信を、案件として記録する
配信リスト登録フォームから、そのままリストに追加する

設定できる範囲や部品の種類はバージョンによって変わります。 検討時には対象バージョンの公式資料で確認してください。

価値は「サイトが入口として機能すること」

サイトを作れること自体は、いまや珍しくありません。Odooの違いは、その先です。

サイトと業務システムが分かれている場合とつながっている場合の違いを示した図 左側はサイトからの問い合わせや申込がメールで届き、担当者が業務システムへ手で転記する流れ。右側はサイトからの入力が直接、案件・参加者・予約として記録され、転記が発生しない流れを示しています。 サイトが別にある サイトが入口になる サイトのフォームから送信 代表メールに届く 担当者が手で転記する 転記漏れと遅れが起きる 誰が対応したかも残らない 在庫や空き状況も手で直す サイトのフォームから送信 案件になる 参加者になる 予約になる 転記そのものがない 対応の履歴も同じ場所に残る 在庫や空き状況は自動で反映

転記がなくなることの意味

サイトが別のシステムだと、問い合わせは必ず一度メールになります。 そして人が転記します。

この転記が、漏れと遅れの発生源です。担当者が休んだ日の問い合わせが、翌週まで放置される。よくある話です。

在庫と空き状況の鮮度

もう1つ大きいのが、表示の鮮度です。

  • 在庫がないのに「在庫あり」と表示されている
  • 満席なのに申込が入ってしまう
  • 予約枠が埋まっているのに公開されたまま

手で直す運用では、必ずずれます。 業務データと直結していれば、このずれが起きません。

イベント申込の各論は Odooのイベント管理(Events)、予約は Odooの予約管理(Appointments) にまとめています。

デザインの自由度は、専用のCMSに劣ります

正直に書きます。

見た目の自由度で比べるなら、Webサイト専用の仕組みのほうが優れています。

  • デザインの表現の幅
  • 制作会社が対応できる範囲の広さ
  • 使えるひな型や拡張の豊富さ
  • 表示速度の作り込み

この点で競うつもりはありません。

判断の分かれ目

サイトが「見せるもの」なのか、「動くもの」なのかで考えてください。

サイトの役割向いている選択
ブランドを伝える。デザインが差別化になる専用のCMSと制作会社
商品を売る。申込を受ける。予約を取る業務データとつながる価値が大きい
会社案内と採用情報が中心どちらでも成立する

2行目のような動きのあるサイトでは、業務システムと分離していることが手間の原因になります。

既存サイトを、無理に移さないでください

すでにサイトがある場合の判断です。

移す必要がない場合

  • いまのサイトに不満がない
  • 更新の頻度が低い(年に数回)
  • デザインを気に入っている

動いているものを止める必要はありません。

部分的に使うという選択

サイト全体を移さなくても、一部だけOdoo側に置く方法があります。

  • 申込ページだけをOdooで作り、既存サイトからリンクする
  • 予約ページだけを切り出す
  • 採用情報のページだけを連動させる

この形なら、既存サイトを触らずに始められます。

移す場合に確認すること

項目内容
いまのURLをどうするか変わる場合、検索経由の流入に影響します
検索エンジンへの対応ページごとの設定ができるか
表示速度実際のページで確認する
移行後の運用担当誰が更新するのかを先に決める

1つ目がいちばん重要です。 URLが変わると、これまでの検索順位が引き継がれない可能性があります。移行の前に、必ず確認してください。

「自社で更新できる」には、担当が要ります

見落とされがちな点です。

自社で更新できる仕組みを入れても、更新する人がいなければ何も変わりません。

外注していたときは、依頼すれば誰かがやってくれました。自社で持つと、それは誰かの仕事になります。

決めておくこと

  1. 誰が更新するのか(担当者と、その人が不在のときの代理)
  2. どこまで自由に変えてよいのか(文言はよいが、構成は相談、など)
  3. 公開前の確認をするか

2つ目を決めないと、サイトの見た目が少しずつ崩れます。 各自が思い思いに部品を足していくためです。

変えてよい範囲を先に決めてください。

Community版とEnterprise版の違い

Odooには、無料の Community版 と有償の Enterprise版 があります。

Community版はオープンソースとして無料で使えます。ただし、サーバの用意・アップデート・障害対応は自社の責任になり、公式サポートの対象外です。

Webサイト作成の基本的な機能は、Community版でも利用できるとされています。

ただし、サイトから連動させたい先のアプリによって、必要な版が変わります。

連動させたい機能
サイト作成そのものCommunity版で利用可
商品の掲載・ECCommunity版で利用可
イベントの申込Community版で利用可
予約の受付Enterprise版
問い合わせからヘルプデスクへEnterprise版

サイトだけを見て版を判断しないでください。 何をつなげたいかで決まります。

どの機能がどちらの版で使えるかはバージョンによって変わります。 検討時には必ず対象バージョンで確認してください。

詳しくは Odoo Community版とEnterprise版の違い をご覧ください。

他のアプリとのつながり

アプリつながり方
ECサイト商品の掲載と販売
イベント管理申込ページと参加者の記録
予約管理空き枠の公開と予約の受付
CRM問い合わせを案件として記録する
Eメールマーケティング登録フォームから配信リストへ
採用管理求人の公開と応募の受付

詳細はそれぞれの記事にまとめています。

よくある質問

Q1. 独自のドメインを使えますか?

自社のドメインでの運用が前提の設計です。

ただし設定の手順は、利用形態(自社サーバか、Odooのクラウドか)によって変わります。 対象バージョンと契約内容で確認してください。

Q2. 検索エンジン対策はできますか?

ページごとの基本的な設定はできる設計です。

ただし、検索順位は仕組みだけでは決まりません。 掲載する内容そのものが最も影響します。

「Odooにすれば順位が上がる」という期待は持たないでください。

Q3. 制作会社にデザインを頼めますか?

依頼は可能ですが、対応できる会社は限られます。 Odooのサイト機能に慣れた会社を探す必要があります。

一般的なCMSより、対応できる制作会社の数は少ない領域です。この点は正直にお伝えします。

Q4. 多言語のサイトにできますか?

複数の言語に対応する仕組みがあります。

ただし翻訳の作業と、その後の更新は自社の負担です。 ページを増やすほど、更新の手間が倍になります。

Q5. どのくらいの期間で公開できますか?

内容の準備にかかる時間で決まります。 仕組みの設定ではありません。

掲載する文章、写真、商品情報。ここが用意できていれば、公開までは短くなります。

まとめ

OdooのWebサイト作成機能の価値は、サイトを安く作れることではありません。

2つあります。

1つ目は、更新の主導権が自社に戻ること。 1行の修正のために2週間待つ状態がなくなると、情報の鮮度が変わります。細かい修正をあきらめなくてよくなります。

2つ目は、サイトが業務の入口になること。 問い合わせが案件になり、申込が参加者になり、予約がそのまま予定になります。転記そのものがなくなります。

在庫や空き状況の表示も、業務データと直結していればずれません。手で直す運用では必ずずれます。

一方で、正直にお伝えすべき点があります。

デザインの自由度では、専用のCMSのほうが優れています。 対応できる制作会社の数も、一般的なCMSより限られます。

判断の分かれ目は、サイトが「見せるもの」か「動くもの」かです。ブランドを伝えることが中心なら専用のCMS、申込や予約を受けるなら業務データとつながる価値が大きくなります。

既存サイトを、無理に移す必要もありません。 申込ページや予約ページだけを切り出し、既存サイトからリンクする形なら、いまのサイトを触らずに始められます。

移す場合は、URLの扱いを最初に確認してください。 変わると、これまでの検索経由の流入に影響します。

最後に。自社で更新できる仕組みを入れても、更新する人がいなければ何も変わりません。 誰が更新するのか、どこまで変えてよいのかを、先に決めてください。

もう少し詳しく知りたい方へ

ベンチャーネットは、ERP導入支援を手がける会社です。SAP・NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発という4つの選択肢を扱っているため、特定の製品に偏らない立場でご提案できます。

「サイト全体は今のまま、申込ページだけ切り出す」といった進め方からご相談を承っています。

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この記事を書いた人

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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