誕生日メール・購入後フォローを条件で送る|Odooで始める顧客フォローの自動化

「今年こそ、お客様に誕生日メールを出そう」。そう決めた年の最初の2か月は、ちゃんと送れていた。3か月目、見積対応が立て込んだ週に止まり、そのまま再開していない。

営業会議では「あのお客様、最後に連絡したのいつだっけ」という一言が出て、誰も即答できない。多くの会社で見かける場面です。

原因は、担当者の意欲不足ではありません。誰に・いつ・何を送るかを、人の記憶に預けたままにしているからです。

フォローが続くかどうかは、送る条件を先に決めてあるかどうかで決まります。Odoo(オドゥー:販売・顧客管理・会計などをつなぐ業務アプリ群)では、誕生日・購入後・無音期間という3つの型で、送る条件と文面を先に登録しておけます。購入後なら、受注や納品の日付を起点に「何日後に連絡するか」を決めます(Odooで顧客フォローを自動化すると、こう変わる)。

フォローを条件で動かすと、たとえば次のことが変わります。

  • 「最後に連絡したのはいつか」に、記録を見て答えられる
  • 見積対応に追われた月でも、購入後の連絡が止まりにくい
  • しばらく取引のない顧客を、期間で区切って抽出できる
  • 担当者が変わっても、フォローが続く

ただし、月に数件の配信で足りる会社なら、手動の一斉配信のままで十分です。良い点と注意点は、顧客フォローの自動化のメリットとデメリットに版ごとに並べました。

では、最初から自動配信にすべきなのか。それとも手動から始めるべきなのか。答えは誕生日メールと自動配信の対応範囲にあります。

CommunityとEnterpriseの区別について

メール配信の基本機能とCRM(顧客と商談の管理)は、Community版(無料)とEnterprise版(有償)のどちらでも使えます。一方、シナリオに沿って自動配信するマーケティングオートメーションは、Enterprise版が前提です。

目次

顧客フォローが止まる、こんな場面はありませんか

誕生日メールが3か月目で止まる話は、ほかのフォローにも当てはまります。

購入後のフォローも似ています。「納品の1か月後に使い心地を聞く」と決めても、その1か月後が今日である顧客を、誰も見ていません。

いちばん見えにくいのが、しばらく取引のない顧客です。連絡が途切れたことに気づけないため、失注としても数えられません。

記憶に頼るフォローと、条件で動くフォローの違い いまの状態は、送る相手も時期も人の記憶しだいで、忙しい月から順に止まり、抜けたことにも気づけない。つながった状態は、送る条件と文面を先に決めておくため、該当した顧客にその日に届き、繁忙期でも連絡が落ちない。続くかどうかを決めるのは、意欲ではなく条件を決めてあるかどうか。 フォローが続く会社と、止まる会社の分かれ目 いまの状態 送る相手も時期も、人の記憶しだい 忙しい月から順に止まっていく 抜けたことにも気づけない つながった状態 送る条件と文面を先に決めておく 該当した顧客に、その日に届く 繁忙期でも連絡が落ちない 続くかどうかを決めるのは、意欲ではなく 条件を決めてあるかどうか
記憶に頼るフォローと、条件で動くフォローの違い

自社に当てはまるか、3分で確かめる

次の項目のうち2つ以上に当てはまれば、フォローは「人の記憶頼み」になっています。

  • □ 顧客ごとの最終接触日を、すぐに答えられる人がいない
  • □ 誕生日や記念日のメールを、始めては止めた経験がある
  • □ 納品後の連絡は、担当者の判断で出したり出さなかったりする
  • □ 1年以上注文のない顧客の数を、誰も把握していない
  • □ 担当者が辞めると、その顧客との連絡も途切れる

なぜ顧客フォローが続かないのか

理由1:顧客情報と接触履歴が別の場所にある

名簿は表計算ソフト、やり取りは各自のメール受信箱。こうした分かれ方は、よく起きます。「最後にいつ話したか」を調べる手間から始まるため、後回しになるのです。

理由2:「いつ送るか」の条件が決まっていない

送る時期が「気づいたとき」のままだと、毎回その場の判断になります。判断を挟むたび、送らない理由が見つかります。

理由3:文面を毎回ゼロから作っている

一件ごとに書き起こしていると、100件は現実的な時間に収まりません。その結果、連絡は送りやすい相手にだけ偏っていく。

Odooで顧客フォローを自動化すると、こう変わる

Odooは顧客情報と接触履歴を同じ場所に置き、送る条件と文面を先に登録しておく形をとります。

誕生日は「日付」を条件にする

顧客ごとに記念日を登録し、その日を条件として配信対象を決めます。個人向けなら誕生日、法人向けなら創業月や契約更新月が同じ使い方です。

購入後は「取引からの経過日数」を条件にする

受注や納品の日付を起点に、何日後に連絡するかを決めておきます。「30日後に使い心地を聞く」「90日後に消耗品を案内する」といった形です。起点が記録に残るので、対象は自然に決まります。

無音の顧客は「最終接触からの経過」を条件にする

最後の取引や連絡から一定期間が空いた顧客を、抽出できる状態にしておく。これが3つ目の型です。休眠は気づかないうちに進むため、期間で区切りを決めます。この考え方は「固客化」とはでも扱っています。既存客との関係を経営の数字で捉える見方は、新規より、既存客を太らせる——LTVと顧客維持の経営が参考になります。

フォローを仕組みに変える3ステップ 1つ目は顧客と接触履歴を同じ場所にそろえる。2つ目は記念日・経過日数・無音期間で送る条件を決める。3つ目は文面を毎回書かずに型を直して使う。3つがそろって初めて、人が変わってもフォローが続く。 フォローを仕組みに変える3ステップ ①情報を1か所に 顧客と接触履歴を 同じ場所にそろえる ②条件を決める 記念日・経過日数・ 無音期間で線を引く ③文面を型にする 毎回書かず、 型を直して使う 3つがそろって初めて、 人が変わってもフォローが続く
フォローを仕組みに変える3ステップ

3つがそろって初めて、担当者が変わってもフォローが続きます。

AIで代替できるのは、文面のたたき台を作る工程です。AIによる下書き生成で、人手を減らせる余地があります。

誕生日メールと自動配信の対応範囲(C/E別)

やりたいことCommunity版Enterprise版
顧客と商談の管理(CRM)使える使える
メール配信の基本機能使える使える
条件で対象を抽出して一斉配信使える使える
シナリオに沿った自動配信(マーケティングオートメーション)対象外使える
公式サポート・ホスティング自社で担う含まれる

版ごとの対応範囲は、改定されることがあります。導入を検討する段階で、Odoo公式のエディション比較ページで最新の内容をご確認ください。

最初から自動配信にする必要はありません。進め方は、段階を分けるのが現実的。最初は、Community版でもできる「条件を決めた手動の一斉配信」から始めます。詳しくはOdooのEメールマーケティングをご覧ください。

数か月続けて手応えがあれば、Enterprise版のマーケティングオートメーションで自動化に進みます。逆の順番だと、使わない仕掛けだけが残ります。

顧客数が多く、海外拠点や連結決算まで視野に入る規模なら、NetSuiteで集客を自動化する考え方(MA×個別メール)も比べる対象になります。

Odooで顧客フォローを自動化するメリットとデメリット

良い点も注意点も、Community版かEnterprise版かで当てはまり方が変わります。メリットは、次の5つです。

  • 記憶に頼らず続けられる:送る条件と文面を先に登録しておくので、繁忙期でも連絡が落ちにくい
  • 最後の接触が記録で分かる:顧客情報と接触履歴を同じ場所に置く。CRMはCommunity版でも使える
  • 担当者が変わっても続く:顧客情報を1か所に置き、条件と文面を型にしておく
  • Community版から始められる:条件で対象を抽出して一斉配信するところまでは、両方の版でできる
  • 文面づくりの手間を減らせる:毎回書かずに型を直して使う。AIでたたき台を作る余地もある

デメリットと注意点は、次の4つです。

  • 自動配信はEnterprise版が前提:シナリオに沿った自動配信(マーケティングオートメーション)は、Community版の対象外
  • 名簿の鮮度が要る:古い名簿のまま送ると、宛先不明が増えて配信の信頼性が下がる
  • 配信を望まない人への備えが要る:意思表示を受け取る手段を、送る前に用意する
  • 型を一度に立ち上げると重い:3つの型を同時に始めると、文面づくりだけで数週間かかる

両方を並べると、次の図のとおりです。

Odooで顧客フォローを自動化するメリットとデメリット 良い点は、記憶に頼らず続けられる、最後の接触が記録で分かる、担当者が変わっても続く、Community版から始められる、文面づくりの手間を減らせること。注意点は、シナリオに沿った自動配信はEnterprise版、名簿の鮮度が要る、配信を望まない意思表示の受け口が要る、型を一度に立ち上げると時間がかかること。 顧客フォロー自動化のメリットと注意点 良い点 記憶に頼らず続けられる 送る条件と文面を先に登録する 最後の接触が記録で分かる 顧客と接触履歴を同じ場所に置く 担当者が変わっても続く 情報・条件・文面の型がそろう Community版から始められる 条件で抽出して手動で一斉配信 文面づくりの手間を減らせる 型を直して使い、AIでたたき台 注意点 自動配信はEnterprise版 シナリオ配信はマーケティングオートメーション 名簿の鮮度が要る 古い名簿は宛先不明が増える 配信を望まない人への備え 意思表示を受け取る手段を先に用意 型を一度に立ち上げると重い まず1本に絞って始める 止まっているフォローを1本選ぶところから
Odooで顧客フォローを自動化するメリットとデメリット

注意点は、1本に絞って手動から始めれば小さく抑えられます。その順番は止まったフォローを動かすまでの4ステップに書きました。

止まったフォローを動かすまでの4ステップ

ベンチャーネットが顧客フォローの相談を受けたとき、最初に確かめる順番です。ツールの設定は、いちばん最後です。

ステップ1:止まっているフォローを1本だけ選ぶ

3つの型を一度に立ち上げると、文面づくりだけで数週間かかります。まずは反応が返りやすい購入後フォローから、1本に絞ります。

ステップ2:名簿の鮮度と配信の可否を確かめる

古い名簿のまま送ると、宛先不明が増えて配信の信頼性が下がります。配信を望まない意思表示を受け取る手段も、送る前に用意します。

ステップ3:条件と文面を決め、手動の一斉配信で回す

「納品から30日後」のように条件を1行で書き、文面の型を1つ作ります。数か月は手動で回し、返信を誰が読むかも決めておきます。

ステップ4:再取引まで見てから、自動化を判断する

見るのは開封数だけではありません。フォロー後に、次の注文や相談が生まれたかどうかです。続く手応えがあれば、Enterprise版での自動化を検討します。

月に数件の配信で足りる会社なら、手動の一斉配信のままで十分です。その場合、自動化は勧めません。

顧客フォローの自動化についてよくある質問

誕生日メールはCommunity版でも送れますか?

送れます。ただし対象を抽出して一斉配信する運用になり、シナリオに沿った自動配信(マーケティングオートメーション)はEnterprise版の範囲です。

自動で送ると、機械的な印象になりませんか?

型を使うことと、心がこもっていないことは別の話です。返信を人が読む体制なら、十分に伝わります。

型はいくつ用意すればよいですか?

最終的には3つで足ります。誕生日・購入後・無音期間という分け方が、基本の設計です。ただし、立ち上げは1本からにしてください。

効果はどう測ればよいですか?

開封や返信だけでなく、フォロー後に再取引が生まれた件数まで見てください。指標の考え方はMAツールとは?でも触れています。

Odooで顧客フォローを自動化するメリットとデメリットは何ですか?

記憶に頼らずフォローを続けられることです。

送る条件と文面を先に登録するので、担当者が変わってもフォローが止まりにくくなります。
一方で、シナリオに沿った自動配信はEnterprise版が前提で、名簿の鮮度や配信を望まない人への備えも要ります。詳しくは顧客フォローの自動化のメリットとデメリットにまとめました。

まとめ:顧客フォローは、意欲でなく条件で続ける

フォローを続けるための考え方は、次の4つにまとまります。

  • フォローが抜ける原因は意欲ではなく、判断を毎回人に任せている点にある
  • 誕生日・購入後・無音期間という3つの型で、送る条件を先に決めておく
  • メール配信とCRMの基本機能は両版、シナリオ配信はEnterprise版が前提
  • まず手動の一斉配信で型を固め、続きそうなら自動化に進む

いま止まっているフォローを1つだけ選び、条件と文面を決めてみてください。

1年後には、見積対応に追われた月にも、納品30日後の連絡が止まらずに出た記録が残ります。営業会議の話題は「最後に連絡したのはいつか」から、「返信をくれた顧客のうち、次はどこへ行くか」に変わっているはずです。

もう少し詳しく知りたい方へ

ベンチャーネットは、ERP導入支援を手がける会社です。NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しているため、特定の製品に偏らない立場でご提案できます。

「顧客フォローを仕組みにするなら、どこから手をつけるべきか」という整理から、ご相談を承っています。止まっているフォローが1つでもあれば、その話からお聞かせください。

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この記事を書いた人

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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