世間では企業改革の最終到達点として語られるDXですが、バーチャル経営ではDXのもう一歩先に「コーポレートトランスフォーメーション」があると考えています。コーポレートトランスフォーメーションは、企業を根底から改革する考え方です。バーチャル経営でも、自動化・バーチャル化を駆使しながら、DXとコーポレートトランスフォーメーションを目指すための成長戦略を推奨しています。
DXの先にあるコーポレートトランスフォーメーション
まず、コーポレートトランスフォーメーションについて簡単に解説したいと思います。コーポレートトランスフォーメーションとは、経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEOの冨山和彦氏が2020年6月『コーポレート・トランスフォーメーション 日本の会社をつくり変える』(2020.6、文藝春秋)で紹介し、広く知られるようになった言葉です。
コーポレートトランスフォーメーションとは
冨山氏は、前述の書籍の中で、以下のようにコーポレートトランスフォーメーションを紹介しています。
破壊的イノベーションの世界が、多くの産業領域で、これまで以上にすぐ目の前にまでやって来ている今、やらなければいけないのは、大きな痛みを伴う本質的な構造的改革の先延ばしや小手先のDXごっこなどではなく、不連続かつ、かなりドラスティックな環境変化に対応できるような会社の形、アーキテクチャにリ・デザインすることなのだ。
出典:富山和彦 『コーポレート・トランスフォーメーション 日本の会社をつくり変える』166ページ
この内容からもわかるように、コーポレートトランスフォーメーションとは、単なる変化ではなく根本からの大改革なのです。また、予測が難しい破壊的イノベーションの波に立ち向かい、生き残るための生存戦略とも言えます。
異能のプレイヤーにどう立ち向かうか
DXは、簡単に言えば「レガシーシステムから脱却し、デジタル技術を駆使しながら、ビジネスモデルの変換を柔軟に行えるような人・組織体制を作ること」です。しかし、デジタルという要素を除けば「大変革に耐えうる組織を作ろう」という点に行き着くと思います。
これからは破壊的イノベーションの波が何度も押し寄せてくると考えています。しかし、いつ・どこからトレンドが生まれるのか、どのプレイヤーがどういった市場の覇者になるのかを予想することは困難です。なぜなら、すでに産業構造はピラミッド型ではなく、「ミルフィーユ型」と呼べる状況だからです。
ピラミッド型の産業構造であれば、自社と同じ市場を狙うプレイヤーは、概ね可視化されていました。また、ピラミッドの外からプレイヤーが参入してくることは稀でした。そのため、同業界の競合他社を意識して注意深く舵取りを行っていれば、会社を存続させることができたのです。一方、ミルフィーユ型の産業構造では、こうした舵取り自体が意味を為さなくなる可能性があります。
ミルフィーユ型の産業構造は「まだら模様」であり、各レイヤーには業界の垣根が事実上存在しません。例えばGAFAは、持ち前の資金力と技術力を活かし、これまで全く実績の無い業界にも平然と参入していきます。また、テスラは自動車業界に分類できますが、製造プロセスはPCに似ていますし、売り方はSaaSのようにサブスクの要素を持っています。自動車メーカーでありながら、自動車業界のピラミッドの外で活動しているようなものです。これら「異能のプレイヤー」ともいうべき存在は、ピラミッドの中にいる同業他社のように可視化されていません。そして、破壊的イノベーションは異能のプレイヤーによってもたらされる可能性が高いのです。
もし、大資本を持たない中小企業が、これら「異能のプレイヤー」に対抗しようとするならば、「常に変革しつづけられる能力」を身に着けるほかありません。そのためのDXであり、コーポレートトランスフォーメーションなのです。
コーポレートトランスフォーメーションを支える柱
しかしコーポレートトランスフォーメーションは「大改革」であり、達成するためには相応の準備が必要です。そこでバーチャル経営では、コーポレートトランスフォーメーションを支える柱として「DX」と「VX(バーチャルトランスフォーメーション)」を提唱しています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)
DXとは、レガシーシステムの刷新とともに、デジタル化・新たな付加価値とビジネスモデルの創出・事業環境の変化に適応する力を身につけることです。バーチャル経営では、DXのためにデジタルツール(SEO、MA、SFA、CRM、ERP、RPA)の活用と、これらを連動させた自動化対策を推奨しています。また、自動化によって業務廃棄を進め、コア業務へのリソース投下量を増やし、より多くの付加価値を生み出す体制を目指します。こうした体制が根付くことで、徐々に従業員の意識と組織風土が変化していくと考えています。
VX(バーチャルトランスフォーメーション)
バーチャル経営が推奨するもうひとつの柱として、VX(バーチャルトランスフォーメーション)があります。端的に言えば、VXとは「バーチャル力※1」を高めながら、仮想化・本質化を進めようという考え方です。VXを実現するための具体的な施策としては、「バーチャル社員」や「バーチャルチーム」が挙げられます。
バーチャル社員とは、仕事の遂行に必要な能力を持ち、オンラインの付き合いを前提とした人材です。「低コストで緩くつながるコア人材」とも言い換えられます。また、バーチャルチームは「チーム型組織の特性を備えつつ、アジャイルの要素も加えた有機的な小組織」です。具体的には、The PODsと時間当たり採算を採用し、新規ビジネスへの迅速な参入・撤退を可能とする組織です。
バーチャル経営では、この2つと「メタバース」を活用し、VXを実現できると考えています。
組織を根底からシステム化する
DXとVXは、いずれもITの活用が前提となっています。破壊的イノベーションへの対応はITが前提になければ達成できないからです。
現代のITツールは、各業務分野が抱えるであろう課題を先回りして集約し、「ベストプラクティス」としてさまざまな機能を提供しています。また、セールスであればSFA、マーケティングであればMAといった具合に、組織(部門、部署)の役割に応じて最適なツールが生まれています。したがって、ITツールと業務の結び付けやツールの選定が非常に重要です。
さらに、ツール同士を連動させて、新しい付加価値を生み出す仕組みに昇華させることも忘れてはいけません。ここには、API連携や自動化も含まれます。
こうして、ITを徹底的に活用し、結び付け、組織を根底からシステム化していくことで、コーポレートトランスフォーメーションを目指すための土台ができあがると考えています。
※1:バーチャル力…バーチャル社員を既存組織へ柔軟に組み込み、ITツールを素直に・的確に使いこなす組織風土を高めながら、改革の下地(有機的で柔軟性に富んだ新陳代謝の活発な組織)を構築する力
バーチャル経営流コーポレートトランスフォーメーション戦略「ベンチャーネットエンジン」
これらバーチャル経営が提唱する「コーポレートトランスフォーメーションを支える要素」を具現化する仕組みとして、ベンチャーネットでは「ベンチャーネットエンジン」を開発中です。
DX/VX/CXのためのオールインワン戦略「ベンチャーネットエンジン」
ベンチャーネットエンジンは、「ITツール×専門人材による役務サービス」を中心とした成長戦略であり、伴走型サービスでもあります。「組織を完全にシステム化する」ことを前提とし、複数のITツールを連動させながら、変革に耐えうる組織への成長をサポートします。
また、自動化を軸にしたシステム構築と運用支援、ツールの定着と拡大を目指す伴走支援も提供する予定です。
ベンチャーネットエンジンは、ベンチャーネットが独自に開発する自動化ツールと、専門人材によるDX支援サービスが本体です。これを、「基幹業務領域(ERP)」「顧客管理領域(CRM)」「マーケティング領域(SEO/ABM:新規顧客)」「マーケティング領域(MA:既存顧客)」「営業領域(SFA)」の5つに適用し、各システムの持つ力を最大限に活用していきます。
・クラウド型業務システム
ERP(会計、在庫、仕入、販売管理、コスト計算)…NetSuite
顧客管理(CRM)…NetSuite
営業支援(SFA)…Salesforce
マーケティングオートメーション(MA)…Eloqua、Pardot
・自動化サービス(ベンチャーネットによる独自開発ツール)
「The AUTO」…RPA×AI OCRによるタスク自動化
「Payment Automation」…請求・集金業務の自動化
「ABM AUTOMATION」…ABM自動化、およびBtoB ECによる囲い込み戦略
「SEO AUTOMATION」…セミナー資料×語り×AIライティングによるコンテンツ作成、分析監視作業の自動化
・DX支援(専門人材による役務サービス)
デジテン…リード獲得・ナーチャリングをウェビナー企画およびMA導入で支援
デジカツ…SEO・ABM・MAなどデジタルマーケティングの実行をサポート
デジトラ…Salesforce・NetSuite・Eloquaの運用を支援
No.1戦略ウェブサイトサービス…BtoBを想定したマルチエントランス型Webサイトへリニューアル
No.1SEOサービス…戦略的キーワード選定と技術的な内部施策でWebサイトの価値向上
WinActor丸投げサービス…RPA運用におけるシナリオ作成支援、人材育成サポート
「MA」Eloqua導入・活用支援
「MA」Pardot導入・活用支援
「SFA」Salesforce導入・活用支援
「ERP/CRM」NetSuite導入・活用支援
目指すのは「中小企業の変革を支えるオールインワンソリューション」
ベンチャーネットエンジンが目指すのは、「業務とシステムの完全なる連携」です。「これさえあれば何もいらない」というレベルでシステムと業務を結び付け、自動化・効率化を推進していきます。業務とシステムが完全に結びつくことにより、たとえ大きな変革があったとしても、すぐにビジネスを動かし、高い生産性と付加価値を生み出すため土台ができあがるでしょう。この状態こそが、バーチャル経営の提唱する「仮想化と本質化」の目指すところであり、DXとその先にあるコーポレートトランスフォーメーションを実現するための近道だと考えています。
まとめ
ここでは、バーチャル経営が提唱するDX/VX/CXのためのオールインワンソリューション「ベンチャーネットエンジン」を紹介してきました。人の意識を変え、組織を変えるための第一歩として、自動化と専門サービスの活用を検討してみてはいかがでしょうか。ご興味がおありでしたら、ぜひお気軽にお問合せください。