バーチャル経営実践編~NetSuiteで実現する「バーチャル社員×Pods×時間当たり採算」

これまでバーチャル経営の実践編として、The PODsと時間当たり採算を用いた「バーチャルチーム」を紹介してきました。バーチャルチームの運用では、プロジェクトの収益を可視化しつつ、不採算時には迅速に撤退するという、迅速な経営判断が求められます。こうした経営判断をサポートするツールとして、NetSuiteの活用がおすすめです。

目次

バーチャルチーム(バーチャル社員×Pods×時間当たり採算)の全体図と運用方法

まず、バーチャル経営が提唱する新規事業に取り組むための組織「バーチャルチーム」の全体像を確認しておきましょう。

バーチャルチームの全体図

バーチャルチームは、「チーム型組織の特性を備えつつ、アジャイルの要素も加えた有機的な小組織」です。チームメンバーは、新事業(プロジェクト)に必要な機能(職能)を網羅するようにアサインしていきます。

また、タスクごとにリアル社員、バーチャル社員、外注メンバーを使い分け、選択と集中、分業化を意識することもチーム組成のポイントです。

バーチャルチームの運用 3つのルール

バーチャルチームの運用については、The PODsでも採用されているいくつかのルールを適用します。特に以下3つのルールは必ず守るようにしましょう。

少数意見を封殺しない

チームメンバーの主体性を高めて、小さな変化にも敏感に反応できるよう、少数意見を大切にします。多数決の原理にメンバーが押しつぶされないよう、新人や社歴の浅い中途採用者にも意見を聞くようにしましょう。また、少しでもビジネスに有用だと感じる意見があれば、すぐに試すことも忘れないようにしたいところです。「すぐに試し、改善する」ことは組織風土に「アジャイル」を溶け込ませるためにとても有効です。

心理的な安全を確保し、コミュニケーションの障害を取り払う

アジャイルの要素を色濃く反映させたバーチャルチームでは、コミュニケーションの質と量を高めていくことが、チームのパフォーマンス向上につながると考えられます。量については、次の「臨時の作戦会議」で紹介するため、ここでは質について触れておきましょう。
コミュニケーションの質を高めるには、「発言しやすい雰囲気」を醸成しておくことが大切です。ポジションや権限に関わらず、すべてのメンバーも物怖じせずに意見を発せるような雰囲気が、「本質」を突いた発言を引き出すのです。一般的な組織では、スキルや経験によって発言力が変わりますが、まずは「差別せず、見下さず、見上げすぎない」というフラットな意識を浸透させていきましょう。フラットな環境であれば、自然と自律性が引き出されて、チームメンバーの中に「自分事である」という意識が根付いていきます。自分事であるがゆえにいつも本質的な部分を見つめ、真剣に考える。これこそが、質の高いコミュニケーションを生み出す源泉だと考えています。

「臨時の作戦会議(ハドルミーティング)」で常に軌道修正

バーチャルチームでは「定例会議」よりも、「臨時の小会議(ハドルミーティング)」を重視します。ハドルミーティングとは、バスケットのタイムアウトやアメフトのハドルのように、「状況が動いている最中に開催する”臨時の小会議”」です。定例会議のように事前の準備に時間を割かず、「いつでも始められて、すぐに現場に落とし込める」ことを前提とします。ハドルミーティングが根付いていくと、コミュニケーションの量は自然と伸びていくはずです。

また、ハドルミーティングで、目的意識の共有と確認、現状分析、タスクの進捗確認を進めることで細かな軌道修正が可能になるでしょう。

時間当たり採算でバーチャルチームの実力と撤退条件を可視化

バーチャルチームでは、各メンバーが複数のチームに参画することを想定しているため、一人当たりの採算を時間ベースで計算し、その和をもってチームの収益力を算出します。もし、収益力が基準に満たなければ「撤退」を選択し、失敗のダメージを最小化することができるでしょう。

時間当たり採算の計算式は

(売上高-売上原価-販管費)÷年間労働時間

とすることができ、さらに撤退条件の算出では

損益分岐点売上高÷バーチャル社員の年間労働時間=損益分岐点における1時間あたりの付加価値

日本の中小企業における従業員1人あたりの付加価値平均額(約550万円)÷バーチャル社員の年間労働時間

のいずれかを用いると便利かもしれません。

バーチャルチーム運用の弱点

繰り返すようですが、バーチャルチームでは「専任」の状態にあるメンバーは少なく、複数のチームにまたがって所属していることが多いです。したがって、事業(プロジェクト)の採算を計算する手間が煩雑になることもあります。これ前述の時間当たり採算を使用しても同様です。計算自体は単純なのですが、アジャイルの要素を含むバーチャルチームの場合、数値には「リアルタイム性」が必要ですし、これが担保されてこそ迅速な経営判断ができるわけです。したがって、チームの収益や損失に関する予測は、常に可視化されている必要があります。この点を補うのが、クラウドERPである「NetSuiteです。

Netsuiteで収益ライン、撤退条件を指標化

クラウドERPであるNetSuiteには、企業内の経営資源(ヒト・モノ・カネ)の情報を集約し、第4の資源とも言われる「情報資産」に変える働きがあります。統合型データベースによって部門・業務領域を横断した資源の動きを把握できるほか、指標の算出機能やレポーティング機能も充実しているからです。

90年代から2000年代にかけてのERPは、巨額の予算を投じて大企業が導入する大掛かりなシステムでした。しかし、クラウド関連技術の進歩により、各ERPベンダーはこぞってコンパクトで使い勝手の良いERPパッケージを開発しています。NetSuiteはその代表格と言える存在です。

安価で豊富な機能を持つNetSuiteは、バーチャルチームによるプロジェクトの管理でも威力を発揮します。例えば、次のような機能です。

従業員管理と生産性

役割別ダッシュボード
チームメンバーの役割に応じてタスク情報を可視化し、ダッシュボード上に表示する機能です。

業務管理、時間管理
チームメンバーの業務とそれに費やした時間を保存し、いつでも追跡することができます。複数のプロジェクトの時間を同じタイムシートに統合しておくことも可能です。

プロジェクトトラッキング
チームメンバーが働いた時間を追跡し、プロジェクトやタスクに直接割り当てる機能です。時間当たり採算による撤退条件の算出やプロジェクトの収益管理などに使用できます。

プロジェクト管理

経費管理
カスタマイズしたルールにもとづき、複数のプロジェクトの経費を1つの報告にまとめることができます。モバイル端末からの報告も可能です。

プロジェクトの収益
予算・見積・コスト率など複数のKPIを用いて、プロジェクトの収益性を可視化します。

まとめ

ここでは、バーチャルチームの組成と運用に必要なポイントを紹介してきました。「バーチャル社員×PODs×時間当たり採算」によるスピーディーな新規事業の立ち上げでは、各種数値のリアルタイムな追跡が課題です。これをワンストップで解決できるツールとしてクラウドERP「NetSuite」を活用してみてはいかがでしょうか。ベンチャーネットにはNetSuiteの導入、運用ノウハウを有し、専門スキルをもった人員が在籍しています。また、自社運用を通して蓄積したナレッジも保有しているため、お気軽にお問合せください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

株式会社ベンチャーネット 代表取締役
2005年に株式会社ベンチャーネットを設立後、SEOをはじめとするデジタルマーケティング領域のコンサルティングサービスを展開
広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で支援を行っています
著書に『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業 「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

目次