バーチャル経営における自動化対策~自動化のためのラストワンマイル 半自動から全自動へ

今、日本では働き方改革やDXの影響から「自動化」を促進する動きが広がっています。これは、業務レベルの自動化のみならず、「経営の自動化」にも繋がってきています。経営の自動化は「権限の分割・委譲で賄える」という意見もあるでしょう。しかし、人材不足が深刻化する今、「経営者が不在でも自動的に事業が回る」だけの人を確保できる中小企業は少なくなっていくと考えられます。そこでバーチャル経営では「機械による自動化」を前提としたツール活用を推奨しています。

目次

コロナ禍・DX・ハイパーオートメーション…「自動化」が必須の時代

まず、自動化が必要とされる背景について、簡単に整理しておきましょう。

DXの前提に見える自動化

今、日本企業の経営課題として最も大きなトピックは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」であることはご存知のとおりです。DXは単なるデジタル化ではなく、広義の意味では「デジタル技術がもたらす人間の生活全般に対する変化」と言うことができます。また、狭義の意味では「デジタル技術によるビジネスモデルの変革と、企業文化・組織風土の変革」と言うことができるでしょう。一般的には後者がDXの要諦として使われています。

DXは、言わばレガシーからデジタルへ移行できるか否かの「踏み絵」のようなものかもしれません。DXを果たさなければ、新しい付加価値も、新規事業も生み出すことができない。企業が成長するための大前提として、DXが横たわっていると感じます。

しかし、DXは一朝一夕に達成できるものではなさそうです。大手企業の事例を見ると、DXの前段として「デジタイゼーション(アナログ・物理データのデジタル化)」や「デジタライゼーション(業務単体および業務プロセスのデジタル化)」に取り組んでいます。したがって、まずはデジタイゼーション・デジタライゼーションを経なければ、DXにいたる道は拓けないと言えるでしょう。

では、デジタイゼーション・デジタライゼーションを成功させるカギはどこにあるのでしょうか。この問いに対する答えとしては「デジタル技術の導入と安定運用」が挙げられますが、すでに90年代から急速にIT化が進んでおり、デジタル技術の導入と安定運用は当たり前のことと言えます。そこで着目すべきが「自動化」です。

自動化は、突き詰めれば「業務廃棄」につながります。「人がやるべき仕事(本質的な仕事)」と「機械がやるべき仕事(それ以外の仕事)」を切り分け、後者を「廃棄(人の手から離す)」して自動化していくことが、DXの前提になるのではないかと考えています。

特にCRM、SFA、ERPなど、企業の屋台骨を支えるITシステムは、システムそのものの機能は強化されていても、自動化を前提とした運用は行われていませんでした。今後は、これら企業のコアな部分に近いシステムについても、積極的に自動化を推し進める必要があるでしょう。

ハイパーオートメーションの潮流

ハイパーオートメーションとは、「複数の先端技術を組み合わせて、企業内の複数業務を横断的に自動化する」という考え方です。こちらもDXの下地として、2019年頃から注目されています。ハイパーオートメーションには、「AIや機械学習」「パッケージソリューション」「RPA」「iBPMS(インテリジェントビジネスプロセスマネジメントシステム)」などが含まれ、単なるタスクの自動化ではなく「自動化が可能なポイントの発見」や「導入後の効果測定」「再評価」までを対象にしています。

ハイパーオートメーションによる自動化は「組織形態の変更」や「業務プロセスの再構築」にも及ぶことから、非常に高度です。現時点では、APIによってCRM、SFA、ERPを連結し、そこにRPAやMAも併せることで「企業内に存在する基幹業務を横断的に自動化する」といったかたちが現実的かもしれません。

オンラインシフト、バーチャル化で生産性を上げる

コロナ禍の影響から非対面・非接触が定着しつつある今、新たな課題が生じています。それは、手作業による連携作業が「エアポケット化」していることです。システムへの入力作業やドキュメント作成、入金の確認業務など、日常的に発生する定型業務がカバーされておれず、これらがボトルネックになって生産性を下げてしまうのです。こうした「手作業」を自動化することができれば、生産性は大きく上向くと考えられます。

バーチャル経営における自動化の全体図

このように自動化は時代の要請とも言えます。バーチャル経営でも自動化は重要なトピックのひとつで、自動化を支えるツールの活用を前提としています。

バーチャル経営の「自動化ツール」

ベンチャーネットの推進するバーチャル経営では、独自開発のツールを用いて、経営の自動化をサポートします。

The AUTO(RPA×AI-OCR)

国産RPAとAI OCRを用いて、企業のデジタイゼーション(アナログ・物理データのデジタル化)を後押しします。

Payment Automation

請求・集金業務をワンパッケージで効率化するツールです。請求書作成・請求書送付・入金データ確認と消込など、一連の請求・集金業務にかかる手間・コスト・ストレスを削減します。

ABMオートメーション

Oracle社が提供するマーケティングオートメーションツール「Eloqua」を用いたABMを効率化するツールです。BtoBアクセス分析ツールと名刺管理ツールを用いて、MAに必要なデータの整備や、匿名アクセス情報のリッチ化、リードの生成などを自動化します。

SEOオートメーション

SEOに必要な各種分析や戦略立案、そこから生み出されるタスクを自動化し、SEOの効率を高めます。

このようにバーチャル経営では、オンラインシフト・バーチャル化においてボトルネックになりがちな手作業の「廃棄」を促進します。SEOやABMなどマーケティング寄りのツールが主力ですが、RPA×AI-OCRによる「The Auto」はどのような業務にでも対応できる汎用性を持っています。また、企業ならば必ず発生すると言っても過言ではない「請求・消込処理」も、ほぼ完全に自動化することが可能です。

さらに、将来定期にはERPが保有する基幹業務データを、顧客体験(CX)につなげるための自動化・連携ソリューションも検討したいと考えています。

まとめ

ここでは、バーチャル経営の構成要素である「自動化」の青写真を紹介してきました。自動化・業務廃棄は、最小のコストで最大の効果を上げるための重要な柱のひとつです。資本力で劣る中小企業こそ積極的に自動化を推し進め、DXにいたる道を確保すべきです。次回は、自動化ソリューションのひとつ「Payment Automation」を紹介します。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

株式会社ベンチャーネット 代表取締役
2005年に株式会社ベンチャーネットを設立後、SEOをはじめとするデジタルマーケティング領域のコンサルティングサービスを展開
広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で支援を行っています
著書に『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業 「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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