高利益の知的創造企業への道のり④~イノベーションを支える「未来型ERP」の活用

前回は付加価値の源泉となる「影のニーズ」を突くためのコンサルティングセールスについて解説しました。これまでは「人と組織」の観点から付加価値創造のための方法を紹介しましたが、今回は「システム面」を見ていきます。

高付加価値を生み出すためには、最小の人員で最大の成果を目指す業務プロセスの構築が必要です。また、現代はITありきの業務プロセスが普通であり、特にERPと業務を完全に切り離すことは難しい状況です。したがって、付加価値を生み出すためには、相応の機能を持ったERPでなくてはなりません。

ERPは現在、過渡期にあります。「モノシリック型(一枚岩)」から「コンポーネント型」へ、さらには「AIと業務処理を融合させたクラウドERP」への進化が続いています。

この「AIと融合したERP」こそが、付加価値を生み出す「未来型ERP」です。今回はバーチャル経営が推奨する「未来型ERP」を具体的に紹介していきます。

目次

付加価値を最小構成で高める組織づくり

まず、簡単に前回までのおさらいをしておきましょう。高利益の知的創造企業を目指すにあたり、まず必要なのは「経営の可視化」です。経営の可視化において最もシンプルかつ即効性がある施策は「ダッシュボード機能の活用」だと説明しました。

ダッシュボード機能を活用することで、月次決算の精度向上、データドリブン経営の基礎構築などさまざまなメリットが享受できます。

参考:ダッシュボードによる経営の可視化

経営の可視化の次は、「付加価値の中身」を会計的な意味以外の視点から分析します。バーチャル経営では、付加価値は「構造」が生み出し、さらに「影のニーズ」を突くことで得やすくなると考えています。

影のニーズを突くためには、既存の営業部門ではなく、コンサルティングセールスというスタイルが適しているとも述べました。ここまでが前回の内容です。

参考:
付加価値とは?価値創造の再現性を高める2つの要素
脱営業依存!付加価値を生み出すコンサルティングセールスのポイント

付加価値は「付加価値を生み出しやすい構造」をベースにして、構造に従って動く「人」が生み出します。では「構造とは何か?」という点で考えると、「組織体制」であり「システム」です。したがって、付加価値を生み出しやすい組織体制に移行しつつ、「システム」も進化させていく必要があります。

付加価値を生み出すシステムは、「業務廃棄と自動化」ができなくてはなりません。この2つはイノベーションの前提であり、リソースを生み出す源泉だからです。バーチャル経営では、「人間の片腕たりえる機能」、つまり「AIと融合したシステム」こそが付加価値を生み出すと考えています。

簡単に言えば「AIを搭載したERP」ですね。AIを搭載したERPでは、人間がこれまでERP上で行ってきた業務処理を大幅に簡略化、効率化しています。こうしたERPは「未来型ERP」と呼ばれることもあり、バーチャル経営でも活用をすすめています。

未来型ERPのトレンド

では、未来型ERPについて概要を紹介します。未来型ERPはAIと融合したERPですが、もう少し具体的に言うと以下のような特徴を持ちます。

  • 自動化対応を前提としている
  • オールインワン型、かつクラウド
  • AIがあらゆる機能に関与している

ERP業界ではこれまで、「全体最適型」と「部分最適型」という2つのトレンドが、交互に盛り上がってきました。現在はオールインワン・クラウド型(全体最適型)とSaaS型(部分最適型)の2極化が進んでいます。

コスト面ではSaaS型が有利ですが、「統合する力」が弱いという弱点があります。付加価値創出のためのコアシステムという意味では、オールインワン・クラウド型が適しているでしょう。

「入力」「検索」「チェック」などの雑務を対話型AIが自動化

このオールインワン・クラウド型のERPにAI機能を盛り込み、雑務(入力、チェック、操作)を自動化・簡略化しているのが未来型ERPです。

具体的には、次のような機能を提供します。

  • 対話型のチャットAIアシスタントが作業を補助
  • 欲しいデータをチャットで打ち込むと自動で検索、提示してくれる
  • 会計伝票作成時に仕訳登録のやりかたをAIアシスタントが教えてくれる
  • 在庫状況や人事の情報、会計情報などを対話型AIが自然言語で回答

従来のERPはルーティン業務を効率化しているだけでありイノベーションを起こす存在とではありませんでした。未来型ERPでは、チェック、入力、照会、承認処理など「人の手」が必ず介在した部分を徹底的に自動化しています。

ほとんどはAIが自然言語で人とやりとりし、システムを動かすわけですが、この程度であっても雑務は大幅に減るのです。

NetSuiteが提供するAI関連機能

バーチャル経営が推奨しているオールインワン・クラウド型ERP「NetSuite」でも、AI機能が続々と実装されています。

NetSuite Text Enhance

NetSuiteのテキスト生成用AI機能です。最初の数語を入力するだけで、企業固有のデータから独自のコンテンツを作成できます。Oracle Cloud Infrastructure(OCI)によってサポートされており、財務/会計、人事、サプライチェーン/業務、営業/マーケティング、カスタマーサポートなどあらゆる部門で、AIを活用した原稿作成を迅速に行えます。

NetSuite Planning and Budgeting

意思決定サポートのためのAI機能です。データ分析を自動化し、計画、予測、差異を継続的に監視・分析する予測アルゴリズムにより、トレンド、異常、相関関係などを迅速に発見します。

NetSuite Bill Capture

請求書作成をサポートするAI機能ですね。過去データに基づいて請求書を半自動的に作成できます。

バーチャル経営におけるNetSuite×AIに対するアプローチ

バーチャル経営ではNetSuiteに対する知見を活かし、NetSuiteでのAI活用を推奨しています。また、Open AIやMicroSoft製品と連携し、自動化・予測・テキスト生成機能などをNetSuiteに集約させることで、独自の未来型ERPを立ち上げることも可能です。

コア人材+AIによる知的創造企業へ

バーチャル経営は「人を増やさず売上増」というテーマのもと、イノベーションのための業務廃棄、自動化を推奨してきました。さらに、付加価値創造のために必要な施策についても、会計・経営・業務の3点から常に考察を続けています。

これらはすべて「”人”依存の付加価値創造からの脱却」につながります。ご存じのように、人材不足は今後一層加速する傾向にあり、育成コストや離職リスクを考慮すると、「人」に依存した経営は非常にハイリスクです。

バーチャル経営では、このリスクを回避するために「必要最小限の人材(コア人材)」とAIを融合させることで、高利益の知的創造企業を目指します。

まとめ

今回は、付加価値を生み出すためのシステム「未来型ERP」について解説しました。コア人材+AIによって付加価値を増大させるためには、AI活用が不可欠です。現在のAIは、「少し賢いテキスト生成ツール」「読み取り、抽出、まとめを自動化するツール」というイメージですが、進化のスピードを考えると1~2年で圧倒的な業務処理能力を備えることは想像に難くありません。AI搭載型のERPによって業務廃棄と自動化を徹底し、付加価値創出をすすめていきましょう。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

株式会社ベンチャーネット 代表取締役
2005年に株式会社ベンチャーネットを設立後、SEOをはじめとするデジタルマーケティング領域のコンサルティングサービスを展開
広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で支援を行っています
著書に『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業 「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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