バーチャル経営における自動化対策~見込み客との「出会い」と「囲い込み」を自動化 ABM+BtoB EC

ABMはBtoBマーケティングの柱のひとつであり、効率よく相性の良い相手と出会うための手法です。バーチャル経営では以前、ABMで狙うべき「限定された濃い市場」について詳しく解説しました。限定された濃い市場での出会いは、中小企業にとって「良縁」になる可能性が高いです。今回は、この出会いを自動化し、さらに関係を強化するためのBtoB ECについて解説します。

目次

ABM(アカウントベースドマーケティング)はなぜ重要なのか

まず、ABMの概要と重要性について簡単におさらいしておきましょう。

ABMとは

ABMとは、「自社との相性を考慮して行う、企業単位でのマーケティング」です。ABMでは、一定の条件のもとにターゲット企業(アカウント)を抽出し、ターゲットに特化したアプローチを行います。

ターゲット企業の抽出は、「企業規模」「業種」「事業内容」などを使用し、なおかつ自社製品・サービスとの相性を考慮して行います。また、設定したターゲットが欲するであろう情報を先回りして提供し、「相手側に見つけてもらう」ことを狙った施策につなげることも大切です。

「出会い」の無駄を省き、より長く濃く付き合う

では、なぜABMが現代のBtoBマーケティングで重要とされるのでしょうか。これは、インターネットの成熟で情報流通のあり方が変わり、それに伴ってマーケティング手法が変化してきたからだと考えられます。

従来のマーケティングは、一定数のリードを獲得し、その中から商談化や案件化につなげる方法が主流でした。もちろんBtoBでもリードを集めることは大切です。しかし、せっかく集めたリードの中に自社にマッチするものがなければ、それまでの労力は無駄になってしまいます。BtoCよりも専門性が高いBtoBの世界では、リードの数よりも質にこだわらなければ、良い取引相手とは巡り合えないのです。

こうしたリードありきのマーケティングの弱点を補うのがABMです。ABMは、効率よく「相性の良い相手」と巡り合うことを目的とするため、うまく運用できれば相手探しの労力を減少させつつ、良質な取引を増やしていくことにつながります。

近年は、マーケティング・セールスにも効率化の波が訪れており、優良な見込み客をいかに効率よく獲得するかが課題になっています。LTV(顧客生涯価値)をたかめて業績向上につなげるためにも、「出会い方」は非常に重要なのです。こうした背景の中で、ABMは年々重要さを増していると考えられます。

中小企業が狙うべき「限定された濃い市場」で威力を発揮

冒頭でも少し触れたように、バーチャル経営では、中小企業の新規顧客獲得の場として「限定された濃い市場」を提唱しています。限定された濃い市場は、いわゆるニッチ市場やローカル市場に似ていて、「買い手が売り手を積極的に探している」状態が続きやすいのです。この原理を利用し、ABMでうまく買い手を引き寄せることができれば、効率よく相性の良い相手と出会う可能性が高まります。

ABMで発生する課題

ABMではまず、「ターゲットリスト」を作成し、アプローチ方法を決め、施策の分析と改善を繰り返しながら精度を上げていきます。ただし、ABMはまだまだ日本での認知度が低く、成功事例が共有されていない状態です。また、実際にどのような課題が発生するかについても、あまり知られていません。そこで、一般的なABMの課題を整理して紹介したいと思います。

ターゲットリストの作成に時間がかかる

ターゲットリストの作成では、企業データベースサービスなどから規模や業界、地域などの属性を収集することがあります。また、こうした外部データに、CRM・SFAなどに蓄積された情報、セミナーで獲得した名刺情報、自社Webサイトなどへのアクセス情報などを組み合わせ、見込み客の情報をリッチにしていきます。

こうしたリスト作成作業は、オンライン/オフライン双方の情報を結びつけるための地道な作業が続きます。当然のことながら、ターゲットリストの完成までには一定の時間と労力を要するでしょう。その結果、「効率よく出会う」というABMのメリットが打ち消されてしまう可能性があるのです。

アプローチ方法の切替が難しい

ABMで発生しがちな課題の2つ目は「条件設定」の難しさです。ABMでは、ターゲットが求めているであろう情報を配信しながら、適宜アピール方法を切り替えていきます。例えば、広告バナーの表示にしても、顧客属性に合わせて変更できることが理想です。しかし、バナー表示を変更する基準や、企業ごとのパーソナライズの項目設定といった具体的な作業は、結局のところ個別に進める必要があり、これが運用負荷を高めてしまうのです。

「次の一手」が打ち出しにくい

3つ目の課題は、「次の一手」、つまり具体的な出口戦略につなげられないという点です。ABMの序盤(顧客情報をリッチにし、アプローチし、リードを獲得する)までは、それほど難しくないかもしれません。しかし、そこからどのように「長期的な関係」につなげるかは、企業によって解釈が異なります。メールキャンペーンやホワイトペーパーのダウンロードといった施策が考えられますが、これらは商談化までに一定の時間を要するため、「次の一手」としては不十分かもしれません。したがって、ABMと連動した「顧客を囲い込む仕組み」が必要です。

ABM自動化×BtoB ECでさらに深く顧客と付き合う

これらABMの課題を解決する方法として、バーチャル経営では「自動化」と「BtoB EC」を推奨しています。大枠としては、まず自動化でABMの純粋な労力を削減し、これと並行してBtoB ECによる囲い込み(=ABMの強化と商談化)を狙うというものです。

ABMの自動化

まず、顧客情報をリッチにする作業を自動化していきます。これには、アクセスログに残されたIPアドレスからの企業情報の可視化、名刺情報との紐づけや、バナー表示切替の自動化などが含まれます。

BtoB ECによるABMの加速

また、BtoB ECサイトとABMを組み合わせ、「囲い込み」を強化することも有効だと考えています。まず、ABMと並行してBtoB ECサイトを立ち上げ、顧客の登録情報や購買履歴に基づいてABMの材料を取得し、さらに顧客を増やしながらECの運営強化も図る。また、CRMやSFAの情報とABMで獲得した情報を組み合わせ、効率よくEC展開を進められるというメリットもあります。

ABM+BtoB ECの統合ツール「ABM AUTOMATION」

バーチャル経営では、ABMの自動化とBtoB EC機能を併せ持つソリューション「ABM AUTOMATION」を採用しています。

ABM AUTOMATIONとは

ABM AUTOMATIONはベンチャーネットが独自に開発したABM自動化+BtoB EC運用のためのツールです。顧客情報をリッチにしつつ、BtoB EC機能でさらに有益な顧客情報を取り込むことにより、ABMを強力に推進します。

解決できること

ABM AUTOMATIOでは、ABMの実施で発生する各作業の自動化と、成長が見込まれるBtoB ECへの参入をサポートします。具体的にはつぎのような課題を解決します。

ABMにおける各作業の自動化

メール送信、情報更新などを自動化して担当者の業務廃棄を促進します。

BtoB EC運営における各作業の自動化

一般的なEC運営で必ず発生する作業(在庫連携、出荷連携、請求など)を自動化します。また、請求関連の自動化においては「Payment Automation」との連携によって、複数の決済代行会社・決済方法に対応することができ、請求の手間を大幅に削減します。また、Payment Automationとの連携では、利用分のみの請求や役務サービスなどのサブスクリプション契約にも対応することから、モノ売り・コト売り双方に対応したBtoB ECサイトの構築が可能です。

越境ECにおける言語の壁の排除

ABM AUTOMATIONは、多言語化にも対応するソリューションです。限定された濃い市場は国内だけに存在するとは限りません。海外にその兆候が見られた場合、言語の壁がビジネスの成長を阻害することがないよう、多言語対応機能を持たせています。

BtoB ECサイト構築、運営の手間を削減

ABM AUTOMATIONは、MA・CRM・SFAの情報とABMを組み合わせ、「購買データに基づくBtoB EC展開」をサポートします。すでに実績のある有益なデータを参照しながらECを構築できるため、戦略やコンセプトが立案しやすいでしょう。

また、運用面では、顧客ごとに異なる販売価格を表示したり、商品そのものの表示を変更したりと、顧客グループによって運用を変えることも可能です。顧客企業との付き合い方によって価格や商品を簡単に切り替えられるのです。

アナログな顧客接点(FAX、電話など)をデジタル化

BtoB EC化を機に、FAXや電話などのアナログな顧客接点をデジタルに集約することができます。既存の小口顧客をECに移行することで顧客対応の一元化につながり、より小さなリソースでの顧客対応が可能になります。

機能面の紹介

ABM AUTOMATIONの具体的な機能を紹介します。

*現在機能開発中のため、詳細は変更になる可能性がございます。

ABM自動化機能

ABM自動化機能は、「アノニマスユーザー分析」と「バナー表示のパーソナライズ化」の2つで構成されています。

アノニマスユーザー分析は、IPアドレスからアノニマスユーザーの企業情報を可視化するため、アクセスログの情報をリッチにしていく機能です。匿名アクセスの分析を自動化し、名刺情報連携によって「まだ見ぬ見込み客」の輪郭をあらわにします。

パーソナライズバナー機能は、IPアドレスから取得した企業情報を業種や企業規模で条件付けし、自動でバナー表示を切り替える機能です。閲覧者の属性に合わせたバナーが自動で表示されるため、ホワイトペーパーDLやセミナー申込みなどの成果向上につながります。

マイページ、カート機能

顧客ごとにマイページ、カート機能を付与します。また、管理者専用の管理画面から、顧客とコミュニケーションをとったり、カート内の製品を確認したりといった作業も可能です。

価格管理、販路管理

ログインURLによって顧客ごとに異なる製品ラインナップや価格を表示することができます。ログインURLを発行した時点で価格管理や販路管理が実行されるため、顧客管理とEC運営の手間が削減されます。

請求、決済管理機能(Payment Automation連携)

ベンチャーネットの請求・集金自動化ツール「Payment Automation」との連携により、定期定額・定期従量・サグスク型請求の自動化が可能です。請求書発行から入金確認、消込までをワンストップで自動化できるため、請求決済の手間を大幅に削減できます。また、海外クレジットカード決済にも対応するため、越境ECにおける決済の問題も容易にクリアできます。

多言語化(DeepL連携)

世界最高水準の翻訳精度を誇る翻訳ツール「DeepL」との連携により、コンテンツやメールの内容を一元的に翻訳することができます。

プラットフォーム連携

CRMはNetSuite、MAはEloqua、SFAはSalesforceといった具合に、主要なプラットフォームとの連携機能を有しています。また、今後はkintone(グループウェア)やShopify(EC)などとの連携も想定しています。APIでつながるものであれば、理論上はどのようなプラットフォームとの連携も可能です。

メタバースへの展開も視野

ABM AUTOMATIONでは、将来的にメタバースへの対応も視野に入れています。

2021年のバズワードと言っても過言ではないメタバースは、いわゆる「仮想世界」を意味する言葉です。しかし、メタバースはこれまでの仮想世界とは異なり、「現実世界の課題を解決する」ための力を持っています。VRで構築された仮想世界は、他社とのコミュニケーションや共同作業を、「現実世界+α」のレベルで実現しています。そのため、今後はECにもオンライン・オフラインという区切りに加え「メタバース」という第三の領域が誕生するかもしれません。端的に言えば、メタバースは「実店舗」「ネットショップ」に追加される第三の販売形態になりうるのです。

あらゆる市場が縮小する日本においては、現実世界の基準(国、地域)で商圏を規定しても満足に見込み客を見つけられない可能性があります。そこで現実世界に固執するよりも、メタバース(仮想世界)にも目を向けつつ、海外の顧客と積極的に交流する道を探るべきではないでしょうか。

もし、メタバースでECが確立されれば、実店舗で販売されている商品にプラスαの価値を加えてメタバース限定商品なども販売することができます。こうした商品は、NFTによって売買されるのかもしれません。

ベンチャーネットでは、このような「メタバース時代」を想定し、メタバースにおける顧客情報の取得、更新、ABM、BtoB ECまでを想定して開発を進めていく予定です。

まとめ

ここでは、自動化対策のひとつとして「ABMの自動化」と「BtoB EC」を掛け合わせたABM AUTOMATIONを紹介してきました。ABMの自動化とBtoB ECは、中小企業の安定成長を支える鍵だと考えています。次回は、デジタルマーケティングの核ともいえる「SEO自動化」について解説します。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

株式会社ベンチャーネット 代表取締役
2005年に株式会社ベンチャーネットを設立後、SEOをはじめとするデジタルマーケティング領域のコンサルティングサービスを展開
広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で支援を行っています
著書に『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業 「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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