Odooのここが便利|業務効率化につながる使い方Tipsを業務シーン別に総まとめ(随時更新)

月末になると、経理が各部門に「数字まだですか」と催促して回る。

承認者が出張中で、急ぎの発注が3日止まる。顧客から「あの件どうなりました?」と聞かれ、担当者を探して社内を歩く。一つひとつは小さな手間でも、毎月確実に社員の時間を削っています。

Odooを導入した会社から聞こえてくるのも、「あの確認作業がなくなった」という声です。Odoo(オドゥー)は、販売・在庫・会計などの業務をひとつにつなぐERP(会社全体の業務をひとつのシステムで管理する仕組み)です。便利さの多くは、個々の機能の性能ではなく、データがつながっていることから生まれます(なくなった手間で測る)。

業務シーンごとに見ると、たとえば次のことが変わります。

  • 承認の依頼と結果が、見積・発注・経費そのものに紐づく
  • 受注の内容が、出荷指示にも請求書にも引き継がれる
  • 締めが「集める作業」から「確認する作業」に変わる
  • 顧客別・商品別など、見たい切り口でその場で数字を切り替えられる

導入前の方は効果の見込みを、すでにお使いの方は次に手をつける場所を、ここから拾ってください。

ただし、導入すれば自動的にこうなるわけではありません。一部の担当者がExcelで作業を続ければ、つながりはそこで切れます(よくある質問)。

では、最近よく聞くAIはどこまで手間を消してくれるのか。こちらは効く場面と効かない場面がはっきり分かれます(AIが効くところ・効かないところ)。

なお、Odooには無料のCommunity版と有償のEnterprise版があり、この記事で扱う機能にはEnterprise版でのみ使えるものが含まれます。区別は各項目に示しました。

目次

「便利」は機能ではなく、なくなった手間で測る

新しいシステムを検討するとき、機能の一覧を眺めても違いは分かりにくいものです。どの製品にも、似た機能名が並ぶからです。

判断の軸を変えると見えてきます。「何ができるか」ではなく、「いま何に時間を取られていて、それが消えるか」で見るのです。

多くの中小企業で時間を奪っているのは、次のような作業です。

  • 同じ数字を、複数のツールに入力し直す
  • 前の工程の担当者に、状況を聞きに行く
  • 月末に、各所からデータを集めて突き合わせる
  • 「あの案件どうなった」を探して、画面を渡り歩く

どれも原因は同じです。情報が分かれて置かれている。

Odooの便利さの多くは、この一点を解消したところから生まれています。個別の機能が優れているというより、つながっていることの効果です。

分かれた情報とつながった情報の違い 上は販売・在庫・会計が別々に置かれ、間を人の転記と確認が埋めている状態。下は同じデータを共有し、転記と確認が不要になった状態。 手間はどこで生まれているか 分かれている状態 販売 在庫 会計 間を人が埋めている (転記/確認/突き合わせ) つながっている状態 販売の受注が、そのまま在庫を動かす 在庫の出荷が、そのまま請求につながる 請求の結果が、そのまま数字に反映される 転記・確認・突き合わせが不要になる 同じデータを見ているため 人は判断に時間を使える 便利さの多くは、機能の性能ではなく つながりから生まれる
分かれた情報とつながった情報の違い

毎日の業務が変わるところ|承認・入力・問い合わせ・現場の記録

日々の作業で効果が出やすいのは、承認・入力・問い合わせ・現場の記録の4つです。

承認のために席を立たなくなる

見積の値引き、購買の発注、経費の精算。どれも承認を挟む業務です。

紙やメールで回すと、承認者が不在なだけで止まります。差し戻しの経緯も残りません。

Odooでは、承認の依頼と結果が、見積・発注・経費といった承認の対象そのものに紐づきます。誰がいつ何を承認したかは、その画面を開けば分かります。

効果が出やすい会社:拠点が分かれている、承認者が外出しがち、承認の待ち時間が読めない。

同じ情報を二度入力しなくなる

受注した内容は、出荷指示にも請求書にも自動で引き継がれます。

転記が消えると、作業時間だけでなく入力ミスの発生源も減ります。ミスが減れば、それを見つけるための確認作業も要らなくなる。

この二次的な効果のほうが、実は大きいこともあります。

「あの件どうなった」を探さなくなる

顧客とのやり取り、見積、受注、出荷、請求、入金。これらが一本の線でつながっています。

顧客名からたどれば、いまどの段階にあるかが分かります。担当者に聞きに行く必要はありません。

現場からスマートフォンで記録できる

在庫の入出庫、作業時間の記録、経費の領収書の撮影。これらは現場で完結します。

事務所に戻ってから入力する運用は、記憶違いと入力漏れを生みがちです。その場で記録できれば、精度が上がります。

月次・締めが変わるところ|集計と漏れ探しの手間が減る

月末月初の負荷は、中小企業でとくに重い部分です。ここでは「集める」作業そのものが消えます。

数字を集めに行かなくなる

各部門からExcelを集めて統合する作業は、Odooでは発生しません。

日々の業務が、そのまま記録として残っているからです。締めは「集める作業」から「確認する作業」に変わります。

請求漏れ・計上漏れが見つけやすくなる

出荷したのに請求していない。発注したのに検収していない。データがつながっていれば、こうした状態を一覧で拾えます。

ツールが分かれていると、突き合わせるまで気づけません。

仕入先請求書の入力が軽くなる(Enterprise版)

Odooには、請求書の画像やPDFを読み取ってデータにする機能があります。提供はEnterprise版です。

読み取った結果は、人が確認して確定します。丸ごと任せる仕組みではありません。

締めが早まると、意思決定が早まる

月次が5営業日で締まる会社と、20営業日かかる会社。両者では、打ち手を出せる回数が違います。

締めの早期化は、経理の効率化に見えます。実際には経営判断の頻度の話です。

この論点はOdooとデータドリブン経営で詳しく扱っています。

数字の見え方が変わるところ|切り口・ダッシュボード・根拠

同じデータを、見る人が自分で切り替えて見られるようになります。

見たい切り口で、その場で切り替えられる

顧客別、商品別、担当者別、期間別。切り口を変えるたびに、集計をやり直す必要はありません。

同じデータを、別の角度から見ているだけだからです。

ダッシュボードが自動で更新される

社長が朝に見る画面を用意しておけば、誰かが手で更新しなくて済みます。

何を置くかは社長のコックピットをOdooで作るにまとめています。

数字の根拠まで辿れる

グラフの数字をたどると、元の取引にたどり着きます。

「この数字はどこから来たのか」に答えられると、社内の納得感が変わります。信用されない数字では、結局だれも決めないからです。

OdooのAIが効くところ・効かないところ

AIが消してくれるのは、下ごしらえの手間です。決める仕事は、人に残ります。

Odooには、アプリの中で使えるAI関連の機能が組み込まれています。以下はOdoo 19系時点の状況です。

なお、2026年9月に公開されたOdoo 20では、AI機能の利用にクレジット(アプリ内課金)が必要です。使う範囲を決めてから広げるのが無難です。

効きやすいのは「読み取る・下書きする」

  • 請求書や領収書を読み取り、項目に振り分ける
  • 定型的な文面の下書きを作る
  • 蓄積されたデータから、関連する情報を引き出す

どれも、人が最後に確認する前提で、下ごしらえを任せる形です。

任せにくいのは「決める」

値引きの可否、与信の判断、在庫の持ち方の方針。どれも会社の方針が絡みます。

方針を文章にしないままAIに委ねると、判断の根拠を説明できなくなります。

何を任せて何を任せないかは、OdooのAIエージェントで扱っています。任せない範囲を経営者が先に決める考え方は、バーチャルブログのバーチャル社員に決めさせないことを、先に決めるが参考になります。

前提として、データが整っていること

AIの精度は、元になるデータの状態に左右されます。

入力が抜けている。表記が揺れている。そもそも記録していない。この状態では、どのAIを使っても結果は安定しません。

AI活用の第一歩は、AIの設定ではありません。業務の記録を整えることです。データをどこまで整えればAIが使えるかは、経営者のためのデータレディネス入門(NetSuiteの教科書)で整理しています。ERPの製品を問わず通じる話です。

どの手間から消すか|ベンチャーネットが最初に確かめること

すべてを一度に変える必要はありません。効果が出やすい順に手をつけるのが現実的です。

領域ごとに消える困りごとは違っても、原因は1つにまとまります。

業務シーン別に見た、消える困りごと 経理・会計、営業・顧客、情報共有、人事・勤怠、データとAIの5領域について、それぞれで解消される代表的な困りごとを並べ、共通する原因と解決の形を示した図。 どの領域で、何が消えるか 困りごとに近い領域から着手すると、 効果を実感しやすくなる 経理・会計 仕訳入力が重い 証憑を探せない 営業・顧客 案件が埋もれる 報告が会議頼み 情報共有 ファイルが散る 権限が決まらない 人事・勤怠 勤怠と給与が別 集計が手作業 データ・AI 数字が出るのが遅い 記録が活かせない 5領域に共通する原因は、ひとつ 原因:情報が分かれて置かれ、 その間を人の転記と確認が埋めている 解決:同じデータを共有し、 転記・確認・突き合わせをなくす ※読み取り系など、Enterprise版でのみ 提供される機能が含まれます
業務シーン別に見た、消える困りごと

経理・会計なら仕訳入力の重さと証憑探し、営業・顧客なら埋もれる案件と会議頼みの報告。情報共有、人事・勤怠、データとAIにも、それぞれの困りごとがあります。原因はどれも、情報が分かれて置かれ、その間を人が埋めていることです。

自社の困りごとから、最初の領域を選ぶ

社内会議では、まず「いちばん時間を取られている困りごと」を一つ選んでください。

いまの困りごと最初に効きやすい領域会議で確かめたい問い
数字が出てくるのが遅い販売・会計をつなぐ締めの日数のうち、集計待ちは何日か
在庫が合わない在庫と販売・購買をつなぐ帳簿と実物がずれるのは、どの工程か
承認で止まる承認フローの整備止まるのは誰の承認で、何日か
顧客対応が属人的CRMと販売をつなぐ担当者が休んだ日に、答えられない問い合わせはあるか
原価が読めないプロジェクト・作業時間の記録案件ごとの作業時間を、いま記録しているか

どの領域から始めるかは、Odooのアプリ一覧と全体像を横に置いて決めると迷いません。

ベンチャーネットが最初に確かめる4つのこと

ベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。製品を先に決めず、次の順で「消したい手間」を探ります。

  1. 手間の棚卸し:月末に誰が、何の集計に、何時間かけているかを聞き取ります。機能の話は、まだしません
  2. つながりの切れ目を探す:転記や問い合わせが起きている工程を一本の線に並べ、情報が分かれている場所を特定します
  3. 標準機能に合わせられるかを見る:Fit to Standard(業務をOdooの標準機能に合わせる考え方)で進められるかを見極めます。独自のやり方を残すべき業務だけを切り分けます
  4. 3〜5年後から逆算して製品を選ぶ:いまの規模に加え、拠点や事業の増え方を踏まえて、Odooが合うかを判断します

規模や要件が大きくなる見込みなら、NetSuiteも選択肢に入ります(比べ方は、NetSuiteの教科書のOdooとNetSuiteの比較が参考になります)。パッケージに乗らない固有業務が中心なら、AIスクラッチ開発も候補です。AIスクラッチ開発はライセンス費用がかからない一方、開発費と保守費が別途かかります。

合わないと判断したときは、その理由とあわせてそうお伝えします。

小さく始めて広げる進め方は、Odoo導入の進め方と期間をご覧ください。

Odooの便利な使い方についてよくある質問

この記事で挙げた効果は、無料のCommunity版でも得られますか?

一部は得られますが、すべてではありません。

Community版は無料で使えますが、会計をはじめ一部の機能が含まれません。サーバーの用意と保守も、自社で行う前提です。

読み取り系の機能など、Enterprise版でのみ提供されるものもあります。詳しくはCommunity版とEnterprise版の違いをご覧ください。

導入すれば、自動的にこうなりますか?

なりません。

ここで挙げた効果は、業務がOdooの中で回っていることが前提です。一部の担当者が従来どおりExcelで作業すると、つながりはそこで切れます。

だから定着の設計が要ります。この点はOdoo導入の失敗パターンと回避策で扱っています。

どれくらいの期間で効果を感じられますか?

ひとつの業務に絞って始めた場合、数か月で日々の手間の変化を感じる会社が多い印象です。

一方、月次の締めや経営数字の変化は、運用が一巡してから見えてきます。

最初の3か月の進め方はOdoo導入 最初の90日プランにまとめました。

Odooを使うと、どんな業務を効率化できますか?

承認・入力・月次の締め・数字の見え方が変わります。

承認の依頼と結果は、見積・発注・経費といった対象そのものに紐づきます。受注の内容は、出荷指示にも請求書にも引き継がれます。締めは「集める作業」から「確認する作業」に変わり、数字は見たい切り口でその場で切り替えられます(毎日の業務が変わるところ)。

まとめ

  • 便利さは機能の数ではなく、なくなった手間で測る
  • 効果の源は、つながっていること。転記・確認・突き合わせが消える
  • 月次の締めが早まれば、経営判断の頻度が上がる
  • AIは「読み取る・下書きする」に効き、「決める」は人が担う
  • 全部を一度に変えず、困りごとに近い領域から始める

1年後の月初、経理が各部門に「数字まだですか」と催促するメールは、もう送られていないはずです。空いた時間で、社長と幹部が画面の数字を元の取引までたどり、次の手を話し合っています。

この記事は随時更新します。新しい便利な使い方が確認でき次第、追記していきます。

もう少し詳しく知りたい方へ

自社でいちばん時間を取られている手間がどこにあるか、整理するところからご一緒できます。

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この記事を書いた人

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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