報告のためだけの営業会議をなくす|OdooのCRMで予実を会議の前に見る

「月曜の会議、あれ本当に必要ですかね」。営業担当からそう言われた経験はないでしょうか。

月曜の朝9時。営業6人が順番に、先週の訪問先と今週の予定を読み上げる。2時間が過ぎても、その場では何も決まらないまま解散する。営業の情報が一人ひとりの手元にしかないので、集めるために全員を呼んでいるのです。

案件を1か所に置き、段階と金額を同じ物差しで記録すれば、予算と実績は会議の前に画面で分かります。会議はなくさず、止まった案件の相談に使えます。

最初の一歩は、商談の段階の区分を全員で1つに決めることです。表現が人によって違わなくなるだけで、全体の姿が読み取れます(OdooのCRMでの変わり方)。

予実が画面で見えると、たとえば次のことが変わります。

  • 予算と実績の差がどこで生まれているかが、画面で分かる
  • 「先方の誰が決めるのか分からない」といった話に時間を使える
  • 営業責任者が、会議の前に画面で止まった案件を拾える

ただし、規模や要件によっては、NetSuiteが向くこともあります。パッケージに業務が乗らなければ、開発費と保守費が別途かかるAIスクラッチ開発も選択肢です。良い点と注意点は、予実を画面で見る良い点と、気をつけることに並べました。

では、なぜ報告の会議はなかなかやめられないのでしょうか。答えは報告だけの営業会議が生まれる3つの理由にあります。

CommunityとEnterpriseの区別について

商談の段階管理や活動の記録は、Community版(無料)でもEnterprise版(有償)でも使えます。1つのアプリの中での一覧・集計・グラフ表示も両版で使えます。複数のアプリをまたいで予実を1つの画面にまとめる場合は、Enterprise版のスプレッドシート機能が前提です。

目次

報告だけの営業会議、こんな場面はありませんか

金曜の夕方、営業責任者が依頼を出します。「月曜までに今月の見込みを出しておいて」。担当者は手帳や表計算ソフトを開き、思い出しながら数字を打ち込みます。

月曜、会議室に集まった全員が順番に読み上げる。聞く側は、自分の番が来るまで待つだけです。数字が出そろった頃には、それはもう先週の姿になっています。行き詰まった案件を相談したくても、報告が終わると時間が残っていません。

会議の中身は入れ替えられる いまの状態では、案件は各自の手元にあり、集めるために全員を呼ぶので、2時間が報告で終わる。つながった状態では、案件が同じ場所にあり、数字は見れば分かるので、止まった案件を相談できる。会議をなくすのではなく、会議で扱うものを入れ替える。 会議の中身は入れ替えられる いまの状態 案件は各自の手元にある 集めるために全員を呼ぶ 2時間が報告で終わる つながった状態 案件が同じ場所にある 数字は見れば分かる 止まった案件を相談する 会議をなくすのではなく、 会議で扱うものを入れ替える
会議の中身は入れ替えられる

報告だけの営業会議が生まれる、3つの理由

理由1:案件の状況が各自の手元にしかない

商談の進み具合を知っているのは担当者だけ、という状態です。全体像がどこにもないので、見ようとすれば全員から集めるしかありません。

理由2:数字をまとめるのに人手がかかる

集計を誰かが手で行っている限り、頻度は週に1度か月に1度が限界です。意思決定はいつも過去の数字を見ながら行われます。

理由3:報告させること自体が管理だと思われている

報告の場を続けていれば管理できている、という感覚は根強いものです。しかし管理したいのは進捗の中身で、読み上げる行為ではありません。

OdooのCRMで予実を見ると、営業会議はこう変わる

案件を1か所に置き、段階と金額を同じ物差しで記録します。すると数字は見れば分かる状態になり、会議を相談の場に空けられます。ここでいうCRM(顧客関係管理)は、顧客と商談の情報を1か所で管理する仕組みのことです。

商談の段階をそろえる

商談がどの段階にあるかの区分をまず全員で1つに決め、そのうえで、案件ごとに金額と見込みの時期を記録します。表現が人によって違わなくなるだけで、全体の姿が読み取れます。

予算と実績を並べて置く

目標の数字と、いま積み上がっている数字を同じ場所で見られるようにし、差がどこで生まれているかが分かれば、会議で聞き出す必要はありません。詳しい進め方はOdooのCRMでできることでも触れました。

会議の中身を入れ替える

報告の時間が空いたら止まっている案件の相談を入れ、「この案件、先方の誰が決めるのか分からない」といった話に時間を使えます。見える化の考え方は経営の「見える化」とはも参考になります。

報告を会議から切り離す3ステップ 1は段階をそろえる(区分を1つに決め、金額と時期を記録)。2は予実を並べる(目標と積み上がりを並べ、差の出どころを見る)。3は中身を入れ替える(報告は画面で済ませ、止まった案件を相談する)。集めるための会議から、決めるための会議へ。 報告を会議から切り離す3ステップ 1 段階をそろえる 区分を1つに決める 金額と時期を記録 2 予実を並べる 目標と積み上がり 差の出どころを見る 3 中身を入れ替える 報告は画面で済ます 止まった案件を相談 集めるための会議から、決めるための会議へ
報告を会議から切り離す3ステップ

AIで代替できる工程の1つが、案件の動きから今週注意すべきものを絞り込む工程です。AIによる傾向の読み取りで、人手を減らせる余地があります。数字がそろっても会議が短くならない理由は、経営会議をAIで変えるで取り上げています。

予実管理で使える範囲(Community版/Enterprise版)

できることCommunity版Enterprise版
商談の段階管理○○
訪問や連絡などの活動記録○○
1つのアプリ内での一覧・ピボット・グラフ集計○○
複数アプリ横断で予実を1画面にまとめる×(スプレッドシート機能が対象外)○
公式サポート・ホスティング自社で用意含まれる

版ごとの対応範囲は改定されることがあるため、検討の段階で、Odoo公式のエディション比較ページで最新の内容をご確認ください。

自社はどちらで足りるか:会議前の判断表

自社の状況考え方
見たいのは商談の段階と見込み金額だけCommunity版の集計で足りる可能性が高い
受注後の請求や入金まで、同じ画面で追いたい複数アプリ横断になるため、Enterprise版が前提
社内でサーバーの運用や保守を担える人がいないホスティングを含むEnterprise版が現実的

予実を画面で見る良い点と、気をつけること

予実を画面に任せたときに得られることと、先に知っておきたい負担を並べます。版で違う点は、その版を書き添えました。

良い点は、次の5つです。

  • 予実が会議の前に分かる:案件を1か所に置き、段階と金額を同じ物差しで記録すれば、数字は見れば分かる
  • 会議を相談に使える:報告の時間が空き、止まっている案件の相談に時間を使える
  • 差の出どころが見える:目標と積み上がりを同じ場所で見れば、会議で聞き出す必要がない
  • 報告資料づくりと入れ替わる:項目を絞れば、入力の総量は増えにくい
  • 基本の集計は両版で使える:商談の段階管理、活動記録、1つのアプリ内の一覧・ピボット・グラフは、Community版でも使える

気をつけることは、次の4つです。

  • 段階の定義を先に決める:決めないと、同じ案件が人によって違う段階に置かれる
  • 入力項目を増やしすぎない:まずは段階・金額・見込み時期の3つに絞る
  • 横断の予実はEnterprise版:複数アプリをまたいで1画面にまとめるには、スプレッドシート機能が前提で、Community版は対象外
  • Community版は担い手が要る:公式サポートとホスティングは、自社で用意する

両方を1枚の図に並べました。

予実を画面で見る良い点と、気をつけること 良い点は、予実が会議の前に分かる、会議を相談に使える、差の出どころが見える、報告資料づくりと入れ替わる、基本の集計は両版で使えること。気をつけることは、段階の定義を先に決める、入力項目を増やしすぎない、横断の予実はEnterprise版が前提、Community版は運用の担い手が要ること。 予実を画面で見る良い点と注意点 良い点 予実が会議の前に分かる 段階と金額を同じ物差しで記録 会議を相談に使える 止まった案件に時間を回す 差の出どころが見える 目標と積み上がりを同じ場所で見る 報告資料づくりと入れ替わる 項目を絞れば総量は増えにくい 基本の集計は両版で使える 1つのアプリ内の一覧・グラフ 気をつけること 段階の定義を先に決める 決めないと人ごとに段階がずれる 入力項目を増やしすぎない 段階・金額・見込み時期から 横断の予実はEnterprise版 スプレッドシート機能が前提 Community版は担い手が要る サポート・ホスティングは自社で用意
予実を画面で見る良い点と、気をつけること

段階の定義と入力項目の絞り方は、始めるときの2つの注意点で詳しく書きました。

始めるときの2つの注意点

注意1:段階の定義を決めずに始めない

区分の名前だけ用意して中身を決めないと、同じ案件が人によって違う段階に置かれるため、どういう事実があればその段階に進むのかを先に一文で書き出しておきます。

注意2:入力項目を増やしすぎない

管理したい気持ちから項目を足すと現場の入力が止まるため、まずは段階・金額・見込み時期の3つに絞り、足りなければ後から加えます。営業活動の記録の考え方は営業支援システム(SFA)とは?も合わせてご覧ください。

着手前のチェックリスト

  • □ 「この段階に進んだ」と言える事実を、段階ごとに一文で言える
  • □ 今月の目標金額を、担当者別または商品別に置けている
  • □ 会議で本当に決めたいことを、報告以外に3つ挙げられる

□が残るなら、システムより先に決めごとから整えるのが近道です。

営業会議を入れ替えるまでにベンチャーネットが確かめること

ERP導入支援を手がけるベンチャーネットは、会議をなくすことを目的にしません。決めるべきことが決まる会議にすることが目的です。ERPはITではなく経営のプロジェクトだと考えています。

  1. いまの会議で何が決まっていないかを聞く:議題を書き出し、報告と判断の割合を確かめます。
  2. 段階の定義を営業責任者と一緒に言葉にする:Odooの標準の商談管理に合わせる形(Fit to Standard)で、区分を決めます。
  3. 見る数字を3つに絞る:段階・金額・見込み時期から始め、まず見える化を固めます。差の理由が分かる段階(わかる化)へ進むのはその後です。
  4. 3〜5年後の姿から版と範囲を逆算する:営業だけを見るのか、請求や在庫まで1画面で横断して見るのかで、Community版かEnterprise版かが変わります。
  5. 合わない場合は合わないと伝える:規模や要件によってはNetSuiteが向くこともあります。パッケージに業務が乗らなければ、AIスクラッチ開発も選択肢です。その場合も、開発費と保守費が別途かかる点は最初にお伝えします。

見える化した数字を判断に変える「わかる化」は、見える化した数字を、意思決定に変えるで詳しく書きました。販売・CRMの規模が大きくなったときの比べ方は、NetSuiteとOdooの販売・CRM・店舗にまとめています。

よくある質問

営業会議そのものをなくすべきでしょうか?

なくす必要はありません。報告を画面に任せ、空いた時間を判断が必要な案件の相談に使う入れ替えです。

入力の手間が増えるだけになりませんか?

増えるだけにはなりません。報告資料を作る手間と入れ替わる形にすれば、総量は増えにくくなります。項目を絞ることが前提です。

Community版だけでも予実は見られますか?

1つのアプリの中での集計であれば見られます。複数アプリをまたいだ1画面での集約は、Enterprise版が前提です。

少人数の営業チームでも意味はありますか?

あります。人数が少ないほど、報告のために全員の時間を止める負担が相対的に重くなるからです。

営業会議が無駄だと感じるのは、なぜですか?

報告を集めるためだけの場になっているからです。

営業の情報が一人ひとりの手元にしかないと、集めないと全体が見えません。そのため、集めるために全員を呼ぶことになります。案件を1か所に置けば、報告は画面に任せられます(報告だけの営業会議が生まれる3つの理由)。

まとめ:営業会議を、報告の場から相談の場へ

報告のための営業会議は、情報が散らばっていることの結果です。

  • 案件が各自の手元にあるから、集めるために全員を呼ぶことになる
  • 段階と金額の記録をそろえれば、数字は見れば分かる状態になる
  • 商談の段階管理と活動記録、1つのアプリ内での集計はCommunity版でも扱える
  • 複数アプリを横断して予実を1画面にまとめるには、Enterprise版が前提になる

1年後の月曜の朝、営業責任者は会議の前に画面で止まっている案件を拾っています。会議室では読み上げの代わりに、「この案件の決裁者に誰が会いに行くか」が話されています。まずは商談の段階を1つの物差しにそろえるところから始めてみてください。

もう少し詳しく知りたい方へ

ベンチャーネットは、ERP導入支援を手がける会社です。NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しているため、特定の製品に偏らない立場でご提案できます。

「営業会議から報告を切り離すには、どこから手をつけるべきか」という整理から、ご相談を承っています。

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この記事を書いた人

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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