基幹システムの打ち合わせで、提案側がこう言います。「フィットギャップの結果、この3点はアドオンで対応します」。
うなずいたものの、何を了承したのかを自分の言葉で説明できない。「カットオーバー」「分析会計」も、意味を聞きそびれたまま会議が終わる。そういう場面は珍しくありません。
言葉が分かれば、会議で出た言葉をその場で追えます。分からない前提を聞き返せれば、任せきりにせず経営として決められるようになります。
このページは、Odooと基幹システムをめぐる用語を100語集めた用語集です。上から読む物ではありません。必要なときに引き、その言葉が費用・保守・データのどの判断に関わるかをつかむために作りました。100語は、検討・導入・運用の場面ごとに9つのカテゴリへ分けています(この用語集の使い方)。
この用語集を引くと、たとえば次のことが分かります。
- 「フィットギャップ」「アドオン」など、提案書に出てくる言葉の意味
- 「分析会計」のように、Community版とEnterprise版で扱いが変わる言葉
- 提案や見積を受け取ったら確かめたい7つの問い
- 社内の呼び名とOdooの言葉を、最初の打ち合わせでそろえる手順
規模や要件がOdooに合わず、NetSuiteが候補に入ることもあります。そのときはNetSuiteの教科書の用語集で言葉をそろえられます(言葉をそろえる手順)。
では、100語のうち経営者がまず押さえるべき言葉はどれか。答えはよくある質問に置いています。
CommunityとEnterpriseの区別について
このサイトでは、Odooの機能に触れるとき、無料のCommunity版と有償のEnterprise版のどちらの話かを必ず明示しています。用語集でも、版によって扱いが変わる言葉にはその旨を添えています。
この用語集の使い方|9つのカテゴリと場面
100語は、9つのカテゴリに分けてあります。上から順に読む必要はありません。
検討している段階ならERPの基礎とOdooの版・プラン、導入が決まったら導入プロジェクトの進め方。使い始めてからは、会計・財務からデータ・AI・システム連携までの6つのカテゴリが出番です。いまいる段階のカテゴリから読むのが近道です。
| カテゴリ | 語数 | 主に必要になる場面 |
|---|---|---|
| 1. ERP・基幹システムの基礎 | 12語 | 検討を始めたとき |
| 2. Odooの版・プラン・ホスティング | 12語 | 見積を取るとき |
| 3. 導入プロジェクトの進め方 | 14語 | 導入が決まったとき |
| 4. 会計・財務 | 14語 | 数字を見るとき |
| 5. 経営指標 | 10語 | 経営判断をするとき |
| 6. 販売・顧客管理 | 12語 | 営業の仕組みを考えるとき |
| 7. 在庫・購買・製造 | 10語 | モノの流れを整えるとき |
| 8. 人事・労務 | 8語 | 人の管理を整えるとき |
| 9. データ・AI・システム連携 | 8語 | 他の仕組みとつなぐとき |
経営指標の項目には、目安となる数値を載せていません。適正な水準は、業種や事業モデルによって大きく変わるためです。代わりに、その指標が何を見るためのものかを書きました。
ERP・基幹システムの基礎用語
ERP
「Enterprise Resource Planning」の略で、企業の資源を統合して管理する仕組みです。会計・販売・在庫・人事などの情報を、一つの基盤にまとめます。部門ごとに散らばっていた数字がつながるので、経営の判断が速くなります。
基幹システム
会社の売上や利益を生み出す中心的な業務を支えるシステムです。受注、在庫、生産、請求、会計などがここに含まれます。止まると事業そのものが止まるため、選ぶ基準は安定して動くことと引き継ぎやすさです。
業務システム
日々の仕事を効率よく進めるために使うシステム全般を指します。基幹システムより広い言葉で、日報や経費の申請といった周辺業務も含むのが特徴です。必要に応じて個別に増やしていくと数が膨らみ、同じ情報を何度も入力する手間が生まれます。
SaaS
「Software as a Service」の略で、インターネット経由で使うソフトの提供形態です。自社でサーバーを持たず、月額や年額で利用します。詳しくはSaaSの本質で解説しています。
クラウド
自社に機器を置かず、提供者のサーバーをネット越しに使う形態です。機器の購入や設置が不要で、必要に応じて使う範囲を広げられます。障害への対応やバックアップを提供者が担うため、社内の運用負担を抑えやすい形です。
オンプレミス
サーバーやソフトを、自社の設備内に置いて動かす形態です。設定の自由度が高く、社内の方針に合わせた構成を組めます。一方で、機器の調達や保守、障害時の対応は自社の責任になります。運用の体制があるかが、判断の分かれ目です。
オープンソース
ソフトの設計図にあたるソースコードが公開され、誰でも入手して改変できる形態です。特定の提供者に縛られにくい点が利点になります。詳しくはオープンソースERPで解説しています。
モジュール
機能ごとに分かれたソフトの部品です。会計、在庫、販売のように役割の単位で分かれており、必要なものだけを組み合わせて使えます。後から足せるため、小さく始めて事業の広がりに合わせて育てていく進め方が可能です。
マスターデータ
取引先、商品、従業員など、業務の基本になる情報です。一度登録すれば、さまざまな業務で繰り返し使われます。ここが重複したり表記がそろわなかったりすると、集計が合わなくなるのが問題です。整備の優先度が高い情報といえます。
トランザクションデータ
受注、出荷、入金のように、日々発生する取引の記録です。マスターデータと組み合わせて集計され、売上や在庫といった数字になります。件数が多く現場で増え続けるため、入力の手間と正確さをどう両立するかが課題です。
一元管理
同じ情報を一つの場所にまとめ、どの部署からも同じ数字を見られる状態です。転記や照合の作業が減り、判断が速くなります。詳しくは一元管理の基本で解説しています。
二重入力
同じ情報を複数のシステムや帳票に、別々に入力している状態です。手間が増えるだけでなく、入力漏れや数字の食い違いを招く原因になります。解消の道は、仕組み同士をつなぐか、入力する場所を一つに寄せるかのどちらかです。
Odooの版・プラン・ホスティングの用語
Odoo
ベルギー発のERPで、CRMや販売、在庫、会計など多くの業務アプリを一つの基盤の上にそろえています。無料のCommunity版と有償のEnterprise版の2つがあるのが特徴です。必要なアプリだけを選んで、小さく始められます。
Community版
無料で使えるオープンソース版のOdooです。ソースコードが公開され、自社の環境に自由に導入できます。ホスティングと保守は自社の責任で、公式サポートとOdooオンラインの対象外です。詳しくは両版の違いで解説しています。
Enterprise版
有償のサブスクリプションとして提供される版です。公式サポート、Odooオンラインでのホスティング、バージョンアップが含まれます。会計のフル機能やOdoo Studioなど、この版が前提となる機能もあります。
LGPL
Community版に適用されているオープンソースライセンスです。GNU Lesser General Public Licenseの略で、入手や改変、再配布の条件を定めています。無償で使える根拠となるため、利用時は条件の確認が必要です。
One App Free
アプリを1つだけ使う場合の、無料のプランを指します。ユーザー数に制限はなく、人数が増えても無料のままです。ただし、2つ目のアプリを足した時点で有償プランに切り替わります。詳しくはOne App Freeで解説しています。
スタンダードプラン
全アプリを利用でき、Odooオンラインでのホスティングが含まれる有償プランです。アプリ数による課金の差がないため、使う範囲を広げても料金の考え方は変わりません。標準機能の範囲で運用したい企業に向く選択肢です。
カスタムプラン
全アプリに加え、Odoo.shやオンプレミスでの稼働、カスタムモジュールや外部システムとの連携まで扱える有償プランです。標準機能だけでは足りない業務がある場合や、独自開発を前提とする場合に選ばれます。
Odooオンライン
Odooが提供するクラウド上でOdooを使う、ホスティングの形態です。サーバーの用意や保守はOdoo側が担うため、利用者は業務そのものに集中できます。Community版は対象外で、有償プランの利用が前提です。
Odoo.sh
開発環境が組み込まれた、クラウドのホスティング形態です。独自モジュールの追加や検証用の環境の用意がしやすく、作り込みを伴う運用に向きます。カスタムプランで選べる形態にあたり、外部システムとの連携を前提とする場合にも使われる形です。
メジャーバージョンアップ
機能が大きく更新される版の切り替えを指します。Odooは原則として年1回、このバージョンアップを行うのが通例です。作り込みを加えている場合は追随の作業と検証が要るため、導入時から方針を決めておくと安心です。
アプリ(Odooの)
Odooで業務ごとに提供される機能のまとまりを指します。CRM、販売、在庫、会計などが、それぞれ一つのアプリです。必要なものだけを使い始め、後から追加して対象の業務範囲を広げていけます。
Odoo Studio
画面の項目や入力欄を、ノーコードで調整できる機能です。プログラムを書かずに、現場へ合わせた微調整ができます。Enterprise版の中でも、カスタムプランが前提です。詳しくはOdoo Studioで解説しています。
ERP導入プロジェクトの進め方の用語
要件定義
新しい仕組みで何をどこまで実現するかを決める工程です。現状の業務を整理し、必要な機能と優先順位を文書にまとめます。詳しくは要件定義の進め方で解説しています。
Fit to Standard
業務をパッケージの標準機能に合わせていく進め方です。独自の手順を見直し、標準でできる形に業務側を寄せます。詳しくはFit to Standardで解説しています。
フィットギャップ分析
自社の業務要件と標準機能を見比べ、合う部分と合わない部分を洗い出す作業です。差が出た項目は、業務のやり方を変える、追加開発する、当面は運用で補うのいずれかを選びます。費用と期間を見積もる材料にもなる作業です。
カスタマイズ
標準機能を、自社の業務に合わせて作り変えることを指します。現場の使い勝手は上がりますが、費用と版を上げる際の検証負担も増えるのが難点です。どこまで行うかを最初に決めておくことが、長く使い続けるための分かれ目になります。
アドオン
標準機能に後から追加する拡張プログラムです。自社で開発したものと、広く公開されているものの両方があります。機能は広がる半面、版を上げる際に動作を確かめる対象が増えるので、入れる範囲は必要なものに絞るのが基本です。
PoC(概念実証)
本格導入の前に、小さな範囲で実際に試し、実現できるかを確かめる取り組みです。Proof of Conceptの略になります。想定どおり動くか、現場の人が無理なく使えるかを早い段階で確認でき、判断の精度が上がります。
RFP(提案依頼書)
発注する側が要件や前提を整理し、複数の会社に提案を求めるための文書です。Request for Proposalの略になります。条件をそろえて比べられるため、提案の中身と費用の妥当性を判断しやすくなります。
データ移行
既存の仕組みや表計算ソフトから、新しいシステムへ情報を移す作業です。表記のゆれや重複を整える手間がかかり、想定より時間を要します。詳しくはデータ移行で解説しています。
並行稼働
新旧の仕組みを一定の期間そろって動かし、結果を見比べる進め方です。数字のずれを早い段階で見つけられる安心感があります。一方で、現場の入力が二重になり負担が重くなるため、期間と対象の範囲を限って行うのが一般的です。
カットオーバー
旧システムの利用を止め、新しいシステムへ切り替える時点を指します。締め処理や在庫の確定など、事前に必要な段取りが多い場面です。日程は、月初や期初といった業務の区切りに合わせて決めるのが一般的な進め方になります。
ゴーライブ
新しいシステムを、実際の業務で使い始めることです。実務では、カットオーバーとほぼ同じ意味の言葉です。ここを終わりでなく定着と改善の始まりと捉えると、稼働したあとの進め方を設計しやすくなります。
定着(ユーザー定着)
現場が新しいシステムを、日常的に使い続けている状態を指します。教育や手順の整備、入力の負担を軽くする工夫が欠かせません。動き始めても使われなければ効果は出ないため、導入の計画に含めて考える必要があります。
運用保守
稼働したあとも、安定して使い続けるための活動です。中身は、障害への対応、設定の変更、版上げへの追随、利用者からの問い合わせ対応などです。誰がどこまで担うのかを契約の時点ではっきり決めておくと、後の認識違いを防げます。
ベンダーロックイン
特定の提供者の製品や体制に依存し、乗り換えが難しくなる状態を指します。良し悪しの話でなく、データの持ち出しやすさや支援できる会社の数によって決まる性質です。導入の前に確かめておきたい観点の一つになります。
会計・財務の用語
仕訳
取引を借方と貸方の二面に分けて記録する、会計の最小単位です。日々の取引をこの形に直して積み上げることで、決算書が組み上がります。入力の精度が、そのまま決算の正確さを左右する部分です。詳しくは仕訳入力の時短で解説しています。
試算表
総勘定元帳にあるすべての科目の残高を、一覧にまとめた表です。借方と貸方の合計が一致するかを確かめ、記帳の漏れや誤りを早めに見つけられます。決算書を作る前の健康診断にあたる資料です。月次で確認しておくと、期末のまとめ作業が軽くなります。
損益計算書
一定期間の収益と費用を対比し、もうけがいくら出たかを示す決算書です。売上からどの費用を引くと何の利益になるかが、段階を追って並びます。どの段階で利益が薄くなっているのかを読み取る資料です。
貸借対照表
ある一時点の資産・負債・純資産の残高を並べ、会社の財政状態を示す決算書です。資金の使い道と、その資金がどこから来たのかが、左右で対応する形に並びます。手元の資産が何によって賄われているのかを読み取るための資料です。
売掛金
商品やサービスを先に提供し、代金をあとで受け取る権利のことです。売上は立っているのに、現金はまだ入っていない状態を表します。回収が遅れると手元の資金を圧迫するため、残高と入金予定日の管理が欠かせません。
買掛金
仕入れた商品やサービスの代金を、あとでまとめて支払う義務のことです。売掛金とはちょうど逆で、会社にとっての支払い予定にあたるものです。支払期日ごとの残高をつかんでおけば、先々の資金繰りの見通しを立てやすくなります。
粗利(売上総利益)
売上高から売上原価を差し引いた利益のことで、売上総利益とも呼ばれます。商品やサービスそのものが、どれだけ稼ぐ力を持っているかを示す数字です。取引先別や商品別に分けて見ると、これから力を入れる先を判断しやすくなります。
営業利益
粗利から販売費及び一般管理費を差し引いた、本業のもうけを示す利益です。会社が主たる事業できちんと稼げているかを判断するために使われます。資金の調達や運用によって生じた損益は、この段階の利益には含まれません。限界利益・貢献利益まで含めた利益の使い分けは、限界利益と貢献利益の違いにまとめています。
販管費
販売費及び一般管理費の略で、商品を売る活動と会社全体の管理にかかる費用です。人件費や家賃、広告のための費用などが幅広く含まれます。売上の増減に対してこの費用がどう動いているかを見ると、費用構造の課題が見えてきます。
減価償却
建物や機械のように長く使う資産の取得額を、使用する期間にわたって費用へ振り分ける会計処理です。支出した年に全額を費用としない点が特徴になります。現金が出ていく時期と費用として計上する時期がずれる、代表的な例です。
キャッシュフロー
一定の期間に、実際に出入りした現金の流れのことです。帳簿の上で利益が出ていても、入金と支払いの時期がずれれば手元の資金は不足します。利益とは別にこの流れを追うと、資金繰りの危うさに早い段階で気づけます。
入金消込
入金された金額がどの請求に対するものかを照らし合わせ、売掛金の残高を消していく作業です。振込名義や金額が請求と一致しないと、手作業での確認が増えます。未回収を正しくつかむための、回収管理の基本となる工程です。
分析会計
取引を部門や案件、プロジェクトなど任意の切り口に振り分けて集計する、会計の考え方です。全社の決算書では見えない単位の採算を把握できます。Odooでは、この機能はEnterprise版が前提です。詳しくはOdooの会計で解説しています。
管理会計
社内の意思決定のために、部門別や商品別の採算を把握する会計です。外部への報告を目的とする財務会計とは、狙いが異なります。Odooでは、部門別の管理会計を含む会計のフル機能はEnterprise版が前提です。Community版は、請求書発行など基本的な範囲にとどまります。
経営指標の用語
KPI
重要業績評価指標の略で、目標の達成度を測るために日々追いかける数値のことです。最終的な成果そのものでなく、その手前にある活動量や進み具合を置きます。全員が同じ数字を見ることに意味がある指標です。詳しくはKPIとKPAの見える化で解説しています。
KPA
KPIを達成するために取るべき行動そのものを測る指標として使われる考え方です。訪問や提案の件数など、担当者が自分の意思で動かせる数値を置きます。結果だけを追うよりも、次の打ち手を見つけやすくなります。
ROA
総資産利益率と訳され、会社が持つ資産全体でどれだけの利益を生んだかを見る指標です。利益を総資産で割って求めます。資産を有効に使えているかを確かめる目的で用いる指標です。詳しくは収益性のKPIで解説しています。
ROE
自己資本利益率と訳され、株主が出した資金に対してどれだけの利益を生んだかを見る指標です。利益を自己資本で割って求めます。出資に対する効率を示すため、投資家や金融機関が重く見る指標として知られています。
自己資本比率
総資産のうち、返済の必要がない自己資本が占める割合です。外部からの借入にどれだけ頼っているかを表します。財務の安定性を測る代表的な指標ですが、適正とされる水準は業種や事業モデルによって大きく異なります。
労働分配率
生み出した付加価値のうち、人件費として配分した割合を示す指標です。稼いだ価値をどれだけ働き手に還元したかを表します。高低だけでは良し悪しを判断できないため、自社の過去の推移や同業種の公表統計と比べて読んでください。
労働生産性
従業員一人あたりが、どれだけの付加価値を生み出したかを示す指標です。付加価値を、従業員の人数や総労働時間で割って求めます。人手が限られる中小企業では、増員以外の改善余地を探すための出発点として使われる指標です。
LTV(顧客生涯価値)
ライフタイムバリューの略で、一人の顧客が取引を続ける間に自社へもたらす利益の総額を表す考え方です。一度きりの売上でなく、関係が続く長さで顧客を見る点が特徴になります。既存顧客を維持するための投資を判断する材料です。
ABC分析
商品や顧客を売上などの大きさ順に並べ、A・B・Cのグループに分けて重点を決める手法です。上位の少数が全体の大部分を占めるという傾向を利用しています。限られた人手や資金をどこへ向けるかを決める判断材料です。
年計表(移動年計)
直近12か月の合計を、毎月ひと月ずつずらして並べた表です。移動年計とも呼ばれ、季節による変動をならして傾向を見られます。単月の増減に振り回されず、事業が伸びているのか縮んでいるのかを落ち着いて読み取れる表です。
販売・顧客管理の用語
CRM
顧客関係管理の略で、顧客との接点や取引の履歴を一元的に記録し、関係づくりに生かすための仕組みです。担当者の記憶や手帳に頼らず、会社として顧客を把握できるようになります。詳しくはOdooのCRMで解説しています。
SFA
営業支援システムの略で、商談の進み具合や活動の履歴を記録し、営業の動きを見えるようにする仕組みです。誰のどの案件が今どの段階にあるかを共有できます。CRMと重なる部分が多く、一体のものとして扱われることもある仕組みです。
MA(マーケティングオートメーション)
見込み客への接触を、あらかじめ決めた条件に沿って自動で進める仕組みです。メールの配信や行動の記録を、流れとして扱います。Odooでは、この機能はEnterprise版が前提です。詳しくはマーケティングオートメーションで解説しています。
リード
まだ取引に至っていない、見込み客の情報のことです。生まれるきっかけは、問い合わせや資料請求、展示会での名刺交換などです。確度を見極めて商談へ引き上げる流れをあらかじめ決めておけば、対応の抜け漏れを防ぎやすくなります。
商談(案件)
特定の顧客に対して、受注を目指して進めている一件ごとの取引を指します。案件とも呼ばれる言葉です。想定する規模や受注の時期、進捗の段階を記録して管理します。担当者任せにせず、会社として共有しておくことが基本です。
パイプライン
商談を進捗の段階ごとに並べ、全体をひとつの流れとして眺める見方です。どの段階に何件たまっているかが、一目で分かります。先の売上の見通しを立てたり、案件が詰まっている段階を見つけたりするための材料になります。
見積
顧客に提示する、提供内容と取引条件をまとめた事前の書類です。ここで示した内容が、そのまま受注したあとの取引の前提です。作成と履歴の管理を仕組みに載せておけば、版の食い違いや転記の手間を減らせます。
受注
顧客から正式に注文を受け、取引が確定した状態を指します。見積の内容がそのまま受注へ引き継がれ、そこから出荷や請求へとつながる流れです。この流れが切れていると、同じ内容を部署ごとに何度も入力し直すことになります。
サブスクリプション
定額の料金を継続して受け取る取引の形と、その契約を管理する仕組みです。契約の更新や継続的な請求を扱います。Odooでは、この機能はEnterprise版が前提です。詳しくはOdooのサブスクリプションで解説しています。
リピート率
一度取引した顧客が、再び購入してくれた割合を示す指標です。新規顧客の獲得と並んで、売上をつくる二つの柱の一方を測ります。計測する期間と再購入の定義を先に決めておかないと、前の期間と比べられなくなります。
名寄せ
同じ相手の情報が複数に分かれて登録されている状態を、一つにまとめる作業です。社名の表記ゆれや、部署ごとの重複登録によって起こります。これを整えないと、顧客ごとの取引の規模や件数を正しく集計できません。
ロイヤルカスタマー
継続して購入し、自社を強く支持してくれる顧客層を指します。取引の規模だけでなく、付き合いの長さや紹介の有無からも見極める存在です。この層を特定して手厚く関わっていくことが、安定した売上をつくる基礎になります。
在庫・購買・製造の用語
棚卸し
帳簿上の在庫数と、実際に倉庫にある在庫数を見比べて差異を確認する作業です。ズレを放置すると、原価や利益の数字が実態から離れていきます。決算期の行事で終わらせず、日々の記録を正確に保つ仕組みが欠かせません。
実地棚卸し
現物を一つずつ数えて、実際の在庫数をその場で確定させる棚卸しのやり方です。帳簿だけの確認と違い、紛失や記録漏れといった現場の実態が見えます。全社を止めて一斉に行う方法と、区画ごとに順番に回していく方法の2つがあるのが特徴です。
安全在庫
需要の変動や納品の遅れに備えて、あらかじめ多めに持っておく在庫のことです。少なすぎれば欠品が起き、多すぎれば資金が在庫として寝てしまいます。過去の出荷実績と納期の実績をもとに、品目ごとに適正な量を決めていくのが基本です。
リードタイム
発注してから実際に手元へ届くまでにかかる時間で、日本語では調達期間と呼ばれます。ここが長いほど、先を読んだ早めの発注が必要です。仕入先ごとに実績を記録しておくと、欠品と過剰在庫の両方を減らせます。
発注点
在庫がこの数量まで減ったら発注する、とあらかじめ決めておく基準の数量です。担当者の勘に頼らず、誰が見ても同じ判断ができるようになります。リードタイムと安全在庫をもとに計算し、需要の変化に応じて見直します。
ロケーション(保管場所)
倉庫のどの棚や区画に、どの品目を置いているかを示す保管場所の情報です。登録しておくと探す時間が減り、棚卸しの精度も上がるのが利点です。拠点が複数ある場合は、階層で整理すると全体像をつかみやすくなります。詳しくは在庫管理で解説しています。
入荷検収
届いた品物の数量と状態を確認し、注文どおりかを判定する作業です。ここで記録を残すと、請求金額の食い違いや不良品の見逃しを防げます。仕入先を評価する材料としても積み上がる記録です。詳しくは購買管理で解説しています。
BOM(部品表)
Bill of Materialsの略で、製品を一つ作るのに必要な部品と数量を一覧にしたものです。これがあると、必要量の計算や原価の把握が正確になります。設計変更のたびに更新する運用が前提です。詳しくは製造管理で解説しています。
ロット管理
同じ条件で作られた、あるいは仕入れた製品のまとまりに番号を振って管理する方法です。不具合が起きたとき、影響範囲をそのまとまり単位で素早く絞り込めます。食品や医薬品など、品質が厳しく問われる業種で重視される管理です。
トレーサビリティ
日本語では追跡可能性といい、製品がいつどこで作られ、誰に届いたかをたどれる状態のことです。記録がつながっていれば、回収や問い合わせへの対応が速くなります。取引先や監査の場で説明を求められる場面も増えています。
人事・労務の用語
従業員台帳
氏名や所属、入社日、連絡先といった従業員の基本情報をまとめた記録です。散らばっていると、人数の把握や手続きのたびに探す手間が生じます。Odooでは、基本情報の管理が両版で使える機能です。詳しくは人事管理で解説しています。
勤怠管理
出退勤の時刻や休暇の取得状況を記録し、労働時間を把握する仕組みです。Odooでは、出退勤の記録が両版で使えます。ただし給与計算は、日本向けのローカライズが公式に提供されていません。詳しくは勤怠で解説しています。
就業規則
労働時間や休日、賃金の決まりなど、職場のルールを文書にまとめたものです。運用が実態と合っていないと、記録や集計の前提そのものが成り立たなくなります。内容や適用範囲は制度の解釈が関わるため、専門家への確認が前提です。
工数
ある作業に、誰が何時間かけたかを表す数値です。プロジェクトの採算や、部門ごとの負荷を判断する基本になります。記録が個人の手控えに留まると、見積の精度が上がりません。Odooでは、工数の記録が両版で使えます。
人事評価
従業員の働きぶりや成果を一定の基準で確認し、育成や処遇につなげる仕組みです。基準があいまいだと、評価への納得感が下がります。Odooでは、人事評価と目標管理はEnterprise版が前提です。詳しくは人事評価で解説しています。
オンボーディング
新しく入った人が業務に慣れ、力を発揮できるようになるまでを支える受け入れ活動です。手続きや引き継ぎが人任せになっていると、立ち上がりが遅れます。手順を型にしておけば、採用のたびに同じ質で迎えられます。
属人化
特定の担当者しか、その仕事のやり方や進み具合を分からない状態です。休職や退職のたびに業務が止まり、社内での改善の議論も進みません。手順とデータを共有の場に置いていくことが、解消の出発点になります。
ジョブローテーション
従業員に複数の部署や職種を、計画的に経験させていく人事の進め方です。属人化を防ぎ、同じ業務を引き継げる人を増やす狙いがあります。ただし手順や記録が整っていないと、異動のたびに現場が混乱しかねません。
データ・AI・システム連携の用語
API
Application Programming Interfaceの略で、ソフトウェア同士がデータをやりとりするための窓口です。人手による再入力をなくす基盤になります。詳しくはAPI連携で解説しています。
データ連携
複数のシステムが持つ情報を、決まった手順で自動的につなぎ合わせる仕組みです。同じ内容を何度も入力する手間と、人の手による転記ミスが減ります。設計の出発点は、つなぐ範囲と更新の頻度を先に決めることです。
アクセス権限
誰がどの情報を見て、どこまで操作できるかを決める設定です。必要な人に必要な範囲だけを渡すことで、情報漏えいや誤操作を防ぎます。Odooでは、権限や認証の基本的な仕組みはCommunity版とEnterprise版で共通です。
バックアップ
データを別の場所に複製して保管し、障害や誤削除から元に戻せるようにする備えです。Odooの場合、Community版は自社の責任で行います。Enterprise版は、利用するホスティングの形態に応じた提供です。
BCP(事業継続計画)
Business Continuity Planの略で、災害や障害が起きても事業を続けるための計画です。誰がどう動き、どのデータをどこから戻すかを事前に決めておきます。作って終わりにせず、定期的に見直すことが求められる計画です。
生成AI
文章や画像などを、人の指示に応じて新しく作り出すAIの総称です。議事録の要約や文書の下書き作成など、日常業務の下支えに使われます。出力の正しさは人が確かめる前提で使う道具です。詳しくはAI機能で解説しています。
AIエージェント
人が指示した目的に沿って、複数の手順を自分で進めるAIの仕組みです。単発の回答にとどまらず、調べる、下書く、登録するといった作業をつなげます。任せる範囲は、決めてから使うのが前提です。詳しくはAIエージェントで解説しています。
MCP
Model Context Protocolの略で、AIモデルが外部のデータやツールとやりとりするための規格です。窓口の形をそろえることで、つなぎ込みの手間を減らす狙いがあります。国内外で採用が広がりつつある考え方です。
この用語集をどう使うか
言葉を覚えることが目的ではありません。言葉が分かることで、質問できるようになるのが目的です。
言葉が分かれば、会議で出た言葉をその場で追えます。追えれば、分からない前提をその場で聞き返せる。そうして初めて、任せきりにせず経営として決められるようになります。
打ち合わせで分からない言葉が出たら、その場で聞くのがいちばん早い方法です。この用語集は、聞く前の下調べと、聞いたあとの確認に使ってください。
提案や見積を受け取ったら確かめたい7つの問い
用語を引いたら、次の問いに自社の答えを書き込んでみてください。空欄が残った項目が、次の打ち合わせで聞くべきことです。
- □ 提案はCommunity版とEnterprise版のどちらが前提か。使いたい機能はその版で使えるか
- □ どのプランとホスティング(Odooオンライン/Odoo.sh/オンプレミス)を想定しているか
- □ フィットギャップで「合わない」とされた項目は何件あり、それぞれ業務変更・追加開発・運用のどれで補うか
- □ カスタマイズやアドオンを入れる場合、年1回のバージョンアップ時の検証は誰が担うか
- □ データ移行の対象はどこまでか。マスターデータの名寄せは誰がいつ行うか
- □ 並行稼働を行うなら、期間と対象はどこまでか
- □ 稼働後の運用保守で、自社と支援会社の分担はどうなっているか
5つ以上に即答できないなら、判断を急ぐ段階ではありません。言葉の意味から確かめ直すほうが、結果的に早く進みます。
ベンチャーネットが最初の打ち合わせで言葉をそろえる手順
導入がつまずく原因の一つは、同じ言葉を社内と支援会社で違う意味に使っていることです。ベンチャーネットは、要件の話に入る前に次の順で言葉をそろえます。
- 社内の呼び名とシステムの言葉を対応づける:「得意先」と「顧客」、「品番」と「商品」のように、社内の言い方とOdooの言葉を一覧にします。以後の会議はこの一覧を前提に進めます
- マスターデータの範囲と持ち主を決める:取引先・商品・従業員の情報を、どの部署が登録し、誰が直すのかを決めます。名寄せが必要かどうかもここで確かめます
- 「合わない」の扱いを経営者と決める:基本はFit to Standard(標準機能に業務を合わせる考え方)です。差が出た項目を、業務変更・追加開発・運用のどれで補うかを一緒に判断します
- 版とプランを、話のたびに明示する:その機能がCommunity版とEnterprise版のどちらで使えるのかを、資料と会話の両方で毎回添えます。前提とするプランも同じように明示します
- 合わないときは合わないと伝える:ベンチャーネットはNetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。規模や要件がOdooに合わなければ、その理由と別の選択肢を説明します
規模や要件からNetSuiteが候補に入ったときは、NetSuiteの教科書のNetSuite用語集で言葉をそろえられます。
AIスクラッチ開発を選ぶ場合、ライセンス費用はかかりません。ただし開発費と保守費が別途かかるため、同じ3〜5年の期間で比べて判断します。追加開発の考え方はOdooのカスタマイズはどこまでやるべきかで、年1回の版上げについてはOdooのバージョンアップとサポート期間で解説しています。
Odoo・ERP用語についてよくある質問
この用語集の言葉をすべて覚える必要がありますか?
必要ありません。100語すべてが同時に必要になることはないためです。いま自分がいる段階のカテゴリだけを見れば足ります。検討段階ならERPの基礎とOdooの版・プラン、導入が決まったら導入プロジェクトの進め方というように、必要になったときに引く使い方を想定しています。
経営者として、まず押さえるべき言葉はどれですか?
費用と保守の負担に直結する言葉です。具体的には「Community版」「Enterprise版」「カスタマイズ」「アドオン」「フィットギャップ分析」「運用保守」の6語になります。この6語が分かると、提案書のどこに将来の負担が隠れているかを読めるようになります。
用語の説明が簡単すぎる気がします。もっと詳しく知りたい場合は?
主要な用語に添えたリンク先の記事をご覧ください。この用語集は意味をつかむための入口なので、1語あたりの説明は短くしています。背景や実務での使い方は、リンク先の記事で扱っています。
経営指標の目安となる数値が書かれていないのはなぜですか?
業種や事業モデルによって、適正とされる水準が大きく変わるためです。設備を多く持つ業種と持たない業種では、同じ数字の意味が違ってきます。このサイトでは目安を示す代わりに、自社の過去の推移と比べる方法と、同業種の公表統計で確認する方法を案内しています。
載っていない用語はどうすればよいですか?
まずは該当しそうな記事を探してみてください。このサイトの各記事では、専門用語が初めて出てきたときに、かっこ書きで簡潔な定義を添えています。用語集は随時追記していく方針です。
フィットギャップ分析とは、どういう意味ですか?
業務と標準機能の差を洗い出す作業のことです。自社の業務要件と標準機能を見比べ、合う部分と合わない部分を分けます。差が出た項目は、業務のやり方を変える、追加開発する、当面は運用で補うのいずれかを選びます。費用と期間を見積もる材料にもなる作業です(導入プロジェクトの進め方)。
まとめ
この用語集は、Odooと基幹システムをめぐる100語を、場面ごとに9つのカテゴリへ分けたものです。
- 検討・導入・運用のどの段階にいるかで、必要な言葉は変わる
- 1語あたりの説明は短くし、詳しくはリンク先の記事に譲っている
- 版によって扱いが変わる言葉には、CommunityとEnterpriseの別を添えている
- 経営指標の目安となる数値は載せていない。業種による差が大きいため
- 覚えることが目的ではなく、質問できるようになることが目的
1年後、提案側から「この部分はアドオンで対応します」と言われたとき、「版上げのときの検証は誰が持つのですか」と、その場で聞き返している。用語集がそういう一言を支えていれば、この辞書は役目を果たしています。
もう少し詳しく知りたい方へ
ベンチャーネットは、ERP導入支援を手がける会社です。NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しているため、特定の製品に偏らない立場でご提案できます。
手元の提案書や見積に分からない言葉があれば、その言葉が自社の場合に何を意味するのかの整理から、ご相談を承っています。
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