Odoo One App Freeとは?無料プランで使える範囲・条件とメリット・デメリット【2026年版】

「無料で試せるなら、とりあえず入れてみるか」。

会議でそう決まり、担当者が1週間触ってみた。報告は「悪くないが、在庫とつながらない」。結局、Odooを採るのか見送るのか、誰も決められない。

この足踏みは、無料プランの使いどころを決めずに始めたときに起こりがちです。目的を決めて使えば、One App Freeはよくできた入口になります。

One App Freeとは、Odooオンライン上で1つのアプリを、ユーザー数無制限・無期限で使える料金プランです。Odooには、無料・オープンソースのCommunity版と、有償サブスクリプションのEnterprise版があります。One App Freeは、Community版の「無料」とは仕組みが別です。

1つの業務なら、全社員が使っても無料です(One App Freeで何ができるか)。

使いどころが分かると、たとえば次のことを決められます。

  • 商談管理だけなら、無料のまま本番で使う
  • 操作感や現場の反応は、無料プランで先に確かめる
  • 在庫や会計までつなぐなら、最初から有償環境で計画する

ただし、1アプリだけではアプリ同士の連携を体験できません。2つ目のアプリを入れた時点で、有償プランへの切り替えが必要です。

では、この無料プランを、導入するかどうかの判断にどうつなげればよいのか。答えは判断は有償環境で行うに、良い点と注意点はOne App Freeのメリットとデメリットにまとめました。

Odooの「無料」は2種類ある One App Free(シングルアプリ無料プラン)とCommunity版という2つの無料を上下に並べた図。One App Freeはアプリ1つ・Odooのクラウド・連携不可、Community版は複数アプリ・自社サーバー・会計など一部機能なし。ユーザー数はどちらも無制限。 Odooの「無料」は2種類ある One App Free (シングルアプリ無料プラン) ・アプリは1つだけ ・ユーザー数は無制限 ・Odooのクラウドで使える ・サーバー管理は不要 ・アプリ同士の連携は不可 Community版 (オープンソース版) ・複数アプリを使える ・ユーザー数は無制限 ・自社でサーバーを用意する ・構築・保守は自社の責任 ・会計など一部機能が使えない どちらも「無料」だが、意味も制約も違う 混同すると計画が崩れる
Odooの「無料」は2種類ある
目次

Odoo One App Freeとは何か

1アプリだけを無料で使えるプラン

Odoo公式によれば、シングルアプリ無料プランはOdooオンライン上のデータベースで利用します。1アプリを、ユーザー数無制限・無期限で使えるとされています(出典:Odoo公式ブログ、2026年8月確認)。

押さえる条件は3つです。

  • アプリは1つだけ
  • ユーザー数に制限がない
  • 期間の制限がない(試用期間ではない)

Odooのクラウドで使える

このプランは、Odooが提供するクラウド(Odooオンライン)上で動きます。

サーバーの準備も保守も要りません。技術的な知識がなくても、登録すればすぐに使い始められます。

依存するアプリは付随する

1アプリと言っても、そのアプリが動くために必要な機能は含まれます。

たとえば販売アプリを選べば、見積・受注に必要な基本機能は使えます。ただし「在庫アプリも一緒に」というわけにはいきません。

One App FreeとCommunity版の「無料」の違い

いちばん混同されやすいのが、ここです。

まったく別の仕組み

観点One App FreeCommunity版
アプリ数1つだけ複数使える
動かす場所Odooのクラウド自社でサーバーを用意
サーバー管理不要自社の責任
技術的な知識ほぼ不要必要
使えない機能2つ目以降のアプリ会計・Studio・給与など

制約の性質が違う

  • One App Free:使えるアプリが1つに限られる。ただし、その1つは通常どおり使える
  • Community版:複数アプリを使えるが、会計など機能そのものが一部欠けている

One App Freeは「幅」が狭く、Community版は「深さ」が欠けている。この違いを押さえずに「無料版を試そう」と始めると、何を試しているのかが分からなくなります。

Community版の詳細は、Community版とEnterprise版の違いの記事にあります。

One App Freeで何ができるか

向いている使い方

1つの業務だけをシステム化したい
たとえば、名刺管理や商談管理だけをCRM(顧客管理)で始めたい。この使い方なら、無料のまま実用になります。

まず操作感を確かめたい
実際の画面に触れて、自社の担当者が使えそうかを見る。この目的にも向いています。

特定の業務を試験的に運用したい
一部の部署で試し、効果を見てから広げる。その最初の一歩として使えます。

ユーザー数が無制限なのは大きい

多くの無料プランは、ユーザー数に制限があります。

One App Freeには、その制限がありません。1つの業務であれば、全社員が使っても無料です。営業全員に同じ画面を触ってもらえるのは、実務上意味のある条件です。

One App Freeでできないこと

アプリ同士の連携が体験できない

これが最大の制約です。

Odooの価値の中心は、アプリ同士がデータでつながることにあります。受注が在庫に反映され、請求につながる。この流れこそが、ERP(基幹業務を1つにまとめるシステム)の本質です。

1アプリだけでは、この連携を体験できません。

導入判断の材料にならない

One App Freeを触って「Odooはこんなものか」と判断するのは、評価対象を誤っています。本番で使う姿とは、別のものを見ているからです。

過小評価して見送ることも、過大評価して予算を誤ることも、どちらも起こり得ます。

2つ目のアプリを入れた時点で有償になる

「販売と在庫、両方使いたい」と思った瞬間に、有償プランへの切り替えが必要になります。

無料で始め、そのまま業務を広げていく。この計画は成り立ちません。

One App Freeのメリットとデメリット

One App Freeは、Odooオンライン上で使う料金プランの1つです。無料のCommunity版とは、良い点も注意点も違います。メリットは、次の5つです。

  • 無料で無期限に使える:試用期間ではなく、期間の制限がない
  • ユーザー数に制限がない:1つの業務なら、全社員が使っても無料
  • サーバーの準備も保守も要らない:Odooのクラウドで動く。自社でサーバーを用意するCommunity版と違い、技術的な知識はほぼ不要
  • 選んだ1つは通常どおり使える:動くために必要な機能も含まれる。販売アプリなら、見積・受注の基本機能を使える
  • マイナー版の更新も届く:Odooオンライン上で動くため、19.1〜19.4の対象に含まれる

デメリットと注意点は、次の4つです。

  • アプリ同士の連携を体験できない:受注が在庫に反映され、請求につながる流れを試せない
  • 導入判断の材料にならない:本番で使う姿とは、別のものを見ている
  • 2つ目のアプリから有償になる:無料のまま業務範囲を広げる計画は成り立たない
  • Community版の「無料」と混同しやすい:One App Freeは幅が狭く、Community版は深さが欠けている

両方を並べると、次の図のとおりです。

One App Freeのメリットとデメリット 良い点は、無料で無期限に使える、ユーザー数に制限がない、サーバーの準備も保守も要らない、選んだ1つは通常どおり使える、マイナー版の更新も届くこと。注意点は、アプリ同士の連携を体験できない、導入判断の材料にならない、2つ目のアプリから有償になる、Community版の無料と混同しやすいこと。 One App Freeのメリットとデメリット 良い点 無料で無期限に使える 試用期間ではない ユーザー数に制限がない 1業務なら全社員が使っても無料 サーバーの準備も保守も要らない Odooのクラウドで動く 選んだ1つは通常どおり使える 動くために必要な機能も含まれる マイナー版の更新も届く 19.1〜19.4の対象に含まれる 注意点 アプリ同士の連携を体験できない 受注から在庫・請求の流れを試せない 導入判断の材料にならない 本番で使う姿とは別のものを見ている 2つ目のアプリから有償になる 無料のまま業務を広げる計画は不可 Community版の無料と混同しやすい 幅が狭いか、深さが欠けているか
One App Freeのメリットとデメリット

注意点の多くは、目的を決めてから使えば避けられます。使い分けは自社はどれに当てはまるか:会議用の判断表で、判断の進め方は判断は有償環境で行うで説明しています。

どう使うべきか:3つの現実的な使い方

無料プランと有償ライセンスの使い分け 操作感の確認や1業務のシステム化は無料プランで足り、アプリ間の連携の確認や導入の可否の判断には少人数分の有償ライセンスが必要という使い分けを示した図。 無料と有償の使い分け 無料プランで足りること ・画面の操作感を知る ・担当者が使えそうか確かめる ・1業務だけをシステム化する ・社内の反応を見る 有償ライセンスが必要なこと ・アプリ間の連携を確かめる ・自社の業務が回るか検証する ・導入の可否を判断する ・会計を含めて試す 判断は、少人数分の有償ライセンスで 本番と同じ環境を試す ユーザー単位の課金なので、全社分は不要 無料プランは操作感を知る道具で、判断の道具ではない
無料プランと有償ライセンスの使い分け

使い方①:操作感を知る

画面の見た目、入力のしやすさ、動きの速さ。どれも、実際に触らないと分かりません。

この目的なら、One App Freeで十分です。

使い方②:1業務だけをシステム化する

業務範囲が本当に1つで足りるなら、無料のまま実用できます。

たとえば、商談管理だけをCRMで行う。この使い方なら、有償にする理由がありません。

使い方③:社内の反応を見る

「新しいシステムを入れる」と言うと、現場から抵抗が出ることがあります。

実際に触ってもらい、反応を見る。導入前の合意形成に使う方法もあります。

そして、判断は有償環境で行う

導入の可否を判断する段階になったら、少人数分の有償ライセンスで本番と同じ環境を試してください。

Odooはユーザー単位の課金で、アプリ数による課金差はありません。最初から全社分を契約する必要はなく、数名分から始められます。自社の業務が回ると分かってから広げる。遠回りに見えて、この順序が確実です。

自社はどれに当てはまるか:会議用の判断表

社内で「無料で試すか」を話し合うときは、次の表で目的と環境をそろえてください。

今の状況向いている環境確かめられること
使う業務が本当に1つだけ(商談管理のみ等)One App Freeそのまま本番運用できるか
担当者が画面に慣れるか不安One App Free操作感・現場の反応
受注から在庫・請求までつなげたい少人数分の有償プラン業務が一気通貫で回るか
自社サーバーで技術検証をしたいCommunity版構築・保守の手間

次の項目に1つでも当てはまるなら、One App Freeだけで判断を下すのは早すぎます。

  • □ 2つ以上の業務(販売と在庫、販売と請求など)をつなげたい
  • □ 会計まで含めて1つのシステムにまとめたい
  • □ 1年以内に対象業務を広げる予定がある
  • □ 経営会議で「導入するか否か」を決める材料が必要

無料で試す前に、ベンチャーネットが一緒に決めること

ERP導入支援を手がけるベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。だから、Odooありきで話を進めません。無料プランの相談でも、次の順番で決めていきます。

  1. 何を確かめたいのかを1つに絞る
    「操作感」「現場の反応」「業務が回るか」のどれかを決めます。目的が1つなら、One App Freeで足りるかどうかもすぐ決まります。
  2. 3〜5年後に、どの業務までつなげたいかを書き出す
    今は1業務でも、数年後に在庫や会計までつなげたいなら、最初から有償環境を前提に計画します。
  3. 最初の1アプリを、業務の流れの起点から選ぶ
    多くの場合、顧客や受注の情報が生まれるCRMか販売です。後から広げたとき、データのつなぎ直しが少なくて済みます。
  4. 標準機能のままで回るかを見る
    Fit to Standard(標準機能に業務を合わせる考え方)で、変えるべきは業務か設定かを見極めます。
  5. 合わなければ、別の選択肢を正直に伝える
    規模や要件によっては、NetSuiteのほうが合う会社もあります(目安はNetSuiteは中小企業でも使える?)。パッケージに乗らない固有業務が中心なら、AIスクラッチ開発も候補です。ただしその場合は、ライセンスが不要でも開発費・保守費が別途かかります。判断の軸はAIでスクラッチ開発とERP、どちらを選ぶべきかにまとめています。

One App Freeのよくある誤解

「無料で始めて、後から有償にすればいい」

計画としては成り立ちません。

2つ目のアプリを入れた時点で有償になるため、「無料のまま業務範囲を広げる」ことはできないからです。最初から、必要な業務範囲を前提に計画してください。

「無料版で評価してから決める」

評価の対象を誤っています。

1アプリでは連携を体験できず、Community版には会計などの主要機能が入っていません。どちらも、本番で使う姿とは違います。

「無料だから、まず入れてみよう」

目的を決めずに触ると、何を確かめたのか分からないまま時間が過ぎます。

「操作感を知る」「担当者が使えるかを見る」など、目的を1つ決めてから触ってください。

バージョンと機能の更新について

Odoo 19.0は2025年9月にリリースされました。標準サポートの終了は2028年9月(予定)と、公式に記載があります。

その後、19.1(2026年1月)・19.2(2026年3月)・19.3(2026年5月)・19.4(2026年7月)が順に提供されています。

注意したいのは、提供先です。19.1〜19.4は、Odooオンラインだけで提供されています。Odoo.shとオンプレミスは対象外です(公式のサポート表にN/Aと明記)。

2026年9月には、次のメジャー版のOdoo 20が公開されました。Odoo.shやオンプレミスの会社も、Odoo 20に上げれば、19.1〜19.4の新機能をまとめて受け取れます。

違うのは、新機能を受け取る時期です。早く使いたいならOdooオンライン。自社で管理したいならOdoo.shかオンプレミスで、年1回のメジャー版に合わせます。Odoo 20の変更点はOdoo 20の新機能まとめにあります。

One App Freeは、Odooオンライン上のデータベースで動きます。したがって19.1〜19.4の対象に含まれます。

19.0では、新しいアプリが加わりました。公式リリースノートによれば、Equity(株式・株主・企業価値の追跡)とESG(カーボン分析・排出係数・社会指標)です。この2つをOne App Freeで選べるかは、Odoo公式の料金ページで確かめてください。

なお、Community版はオープンソース版のため、この19.1〜19.4というマイナー版の更新の流れには乗りません。

※2026年9月時点、Odoo公式のリリースノートおよびドキュメントの記載による

One App Freeについてよくある質問

どのアプリを選べますか?

Odooが提供するアプリの中から、どれか1つを選べます。

CRM、販売、在庫、Webサイトなど、業務に応じて選びます。選べる範囲や条件は変わることがあるため、最新の内容はOdoo公式の料金ページでご確認ください。

期間の制限はありますか?

ありません。Odoo公式によれば、無期限で利用できるとされています(出典:Odoo公式ブログ、2026年8月確認)。

一般的な「30日間の試用」とは異なります。ただし条件は変わることがあるため、利用前に公式情報をご確認ください。

途中で有償プランに切り替えられますか?

切り替えられます。

ただし、無料プランで入力したデータの扱いや、切り替え時の設定は、事前に確認しておくことをおすすめします。

Community版とどちらを試すべきですか?

操作感を知りたいならOne App Free、技術的な検証をしたいならCommunity版です。

  • One App Free:サーバーの準備が不要で、すぐに始められます
  • Community版:サーバーの構築が必要です

どちらを選んでも、導入判断は有償環境で行うという点は変わりません。

One App Freeのメリットとデメリットは何ですか?

1つの業務なら全社員が無料で使える一方でアプリの連携は試せません。

ユーザー数無制限・無期限で、サーバーの準備も要りません。一方、2つ目のアプリを入れた時点で有償になり、受注から在庫・請求へつながる流れも体験できません(メリットとデメリット)。

まとめ:無料プランは「入口」であって「判断材料」ではない

  • One App Freeは1アプリのみ・ユーザー数無制限・無期限
  • Odooのクラウドで使えるため、サーバー管理は不要
  • Community版の「無料」とは、まったく別の仕組み
  • 最大の制約は、アプリ同士の連携を体験できないこと
  • 良い点は無料・無期限・ユーザー数無制限で、サーバー管理が要らないこと
  • 導入の可否は、少人数分の有償ライセンスで判断する
  • 「無料のまま業務範囲を広げる」計画は成り立たない

無料プランは、よくできた入口です。ただし、入口を見ただけで建物全体を判断することはできません。

製品を触る前に、「自社のどの業務をどう回したいか」を決める。それが決まれば、何を試すべきかも自然に決まります。

1年後、無料のCRMで商談を入れ始めた営業チームが、有償プランへ広げたあと、その商談から見積と受注を起こしている。目的を決めて最初の1アプリを選んだ会社なら、そうした広げ方が見えてきます。

もう少し詳しく知りたい方へ

「無料で何を試せばよいか分からない」という段階からでも、ご相談いただけます。今の業務と、数年後にどこまでつなげたいかをお聞かせください。

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この記事を書いた人

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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