Odooの導入形態3つを比較|Online・Odoo.sh・オンプレミスの選び方【2026年版】

Odooを検討していると、「どこで動かすか」を選ぶ場面が出てきます。

多くのクラウドERPは、ベンダーのクラウドで使うことが前提です。選択の余地はありません。ところがOdooには3つの選択肢があります。これは強みですが、同時に「何を基準に選べばよいのか」という迷いも生みます。

この記事では、ERP導入支援を手がけるベンチャーネットが、3つの導入形態を整理します。読み終えると、次の3つが分かります。

  • 3つの形態が、それぞれ何を意味するか
  • 自社はどれを選ぶべきか、どの順序で判断すればよいか
  • 「選べること」と「運用できること」の違い
目次

Odooの導入形態は3つ

Odooを動かす場所は、次の3つから選べます。

形態概要
Odoo OnlineOdooが提供するクラウドで使う
Odoo.shOdoo公式のクラウド開発基盤で使う
オンプレミス自社が用意したサーバーで使う

ただし、どの形態でも自由に選べるわけではありません。契約するプランによって、選べる範囲が決まります。

Odoo公式によれば、スタンダードプランはOdoo Onlineでの提供です。カスタムプランでは、Odoo Online・自社ホスティング・Odoo.shの3つから選べます(出典:Odoo公式料金ページ、2026年8月時点)。

つまり、Odoo.shやオンプレミスを使いたい場合は、カスタムプランが前提になります。

なお、無料のCommunity版を選ぶ場合は、自社でサーバーを用意する形になります。詳しくはCommunity版とEnterprise版の違いの記事をご覧ください。

Odooを動かす場所は3つから選べる Odoo Online、Odoo.sh、オンプレミスの3つの導入形態を並べた図。 Odooを動かす場所は3つから選べる Odoo Online Odooのクラウド サーバー管理は不要 Odoo.sh 公式の開発基盤 独自開発に対応 オンプレミス 自社サーバー 自由度は最も高い ※ Odoo.shとオンプレミスを使うには、カスタムプランが前提になります

3つの形態の比較

比較表

比較軸Odoo OnlineOdoo.shオンプレミス
サーバーの管理Odooが担う一部を自社が担う自社の責任
カスタムモジュール使えない使える使える
開発・テスト環境用意されない用意できる自社で構築
バージョンアップOdooが実施自社の判断で実施自社で実施
必要な技術力低い中〜高高い
データを置く場所OdooのクラウドOdooのクラウド自社が指定

Odoo Online:もっとも手軽な形

Odooのクラウド上でそのまま使う形です。

サーバーの準備も保守もバックアップも、すべてOdooが担います。利用する側は、業務の設定に集中できます。

一方で、独自のモジュールを入れることはできません。標準機能と設定の範囲で運用する形になります。

Odoo.sh:開発を伴う場合の選択肢

Odoo公式が提供する、開発向けのクラウド基盤です。

Odoo公式によれば、Odoo.shは開発・テスト(ステージング)・本番の環境をホスティングするプラットフォームです。カスタムモジュールの開発や活用が可能になります(出典:Odoo公式料金ページ、2026年8月時点)。

独自の機能を作り込む前提がある場合に、この形態が候補になります。ただし、扱うには技術的な知識が必要です。

オンプレミス:自社環境で動かす

自社が用意したサーバー、または自社が契約したクラウド上で動かす形です。

自由度はもっとも高くなります。データを置く場所も自社で決められます。

その代わり、サーバーの構築・保守・バックアップ・セキュリティ対策・バージョンアップまで、すべて自社の責任になります。

どれを選ぶべきか:判断の3ステップ

順序で考えると、迷いにくくなります。

ステップ1:自社環境での運用が必須かを確認する

まず、ここが分かれ道です。

社内規程やデータの扱いに関する制約で、外部のクラウドを使えない企業があります。この条件がある場合は、オンプレミス一択になります。

逆に、この制約がなければ次のステップに進みます。

ステップ2:独自の作り込みが必要かを確認する

標準機能と設定で足りるなら、Odoo Onlineが最も負担の少ない選択です。

独自のモジュールを作る前提があるなら、Odoo.shが候補になります。ただし、この判断は慎重に行ってください。「作り込みが必要」と早い段階で決めてしまうと、本来は標準機能で足りたはずの部分まで開発してしまうことがあります。

まずは標準機能でどこまで回るかを確かめてから決めるのが順序です。

ステップ3:運用を担う体制を確認する

最後に、誰がシステムの面倒を見るのかを決めます。

社内に技術者がいない場合、オンプレミスやOdoo.shの自社運用は現実的ではありません。支援先に任せる前提を作るか、Odoo Onlineを選ぶことになります。

どれを選ぶか:判断の3ステップ 自社環境の必須要件、独自開発の要否、運用体制の順で判断する流れ図。 どれを選ぶか:判断の3ステップ ① 自社環境要件 外部クラウドが 使えないか ② 作り込みの要否 標準機能で 足りるか ③ 運用体制 誰が面倒を 見るか ※ 「選べること」と「自社で運用できること」は別です。運用責任も同時に引き受けることになります

見落としやすい注意点

「選べること」と「運用できること」は違う

オンプレミスを選べるのはOdooの構造的な強みです。ただし、選べることと運用できることは別の話です。

自社サーバーでの運用には、次の責任がついてきます。

  • サーバーの構築と維持
  • バックアップの設計と実行
  • セキュリティ対策
  • 障害時の復旧
  • バージョンアップの実施

これらを担える体制がないまま選ぶと、運用が止まるリスクを抱えることになります。

途中で形態を変えるのは簡単ではない

導入後に形態を変えることは可能ですが、負担が発生します。

データの移行、設定の再構築、環境の検証が必要になるためです。最初の選択で、3〜5年後まで見通しておくことをおすすめします。

バージョンアップの責任が変わる

Odoo Onlineでは、バージョンアップをOdooが実施します。

一方、オンプレミスでは自社が実施します。放置すると、サポート対象外のバージョンで使い続けることになり、セキュリティ上のリスクが高まります。

「入れて終わり」にならない体制を、最初から想定しておく必要があります。

よくある質問

あとから形態を変更できますか?

技術的には可能です。

ただしデータ移行、設定の再構築、動作検証が必要になります。負担は小さくないため、最初の選択で数年先まで見通しておくことをおすすめします。

オンプレミスのほうが安く済みますか?

一概には言えません。

ライセンス費用の考え方は変わりますが、サーバー費用と運用の人件費が発生します。社内に技術者がいて余力があるなら成立しますが、いなければ外部に依頼する費用がかかります。費用の考え方はOdooの料金体系の記事で整理しています。

Odoo.shは必ず必要ですか?

必要になるのは、独自のモジュールを開発する場合です。

標準機能と設定で業務が回るなら、Odoo Onlineで十分です。むしろ、最初から開発前提で進めると、作り込みが膨らみやすくなります。まず標準でどこまで回るかを確かめてから判断してください。

データを日本国内に置きたい場合は?

自社が場所を指定できるのは、オンプレミスの形態です。

自社サーバーでも、自社が契約する国内のクラウドでも構いません。ただし、その場合の運用責任は自社側にあります。要件がある場合は、導入の初期段階で明確にしておいてください。

まとめ:判断の起点は「制約」と「体制」

この記事の要点です。

  • Odooの導入形態は3つ。Online・Odoo.sh・オンプレミス
  • Odoo.shとオンプレミスを使うには、カスタムプランが前提になる
  • 判断は「自社環境の必須要件があるか」から始め、次に作り込みの要否、最後に運用体制で決める
  • 自社サーバーを選べることは強みだが、運用責任も同時に引き受けることになる
  • 途中の変更は負担が大きいため、最初の選択で数年先を見通す

動かす場所の選択は、技術の話に見えて、実は「どこまでを自社で持つか」という経営の判断です。運用の責任範囲を決める選択だからです。

ベンチャーネットは、Odooに加えてNetSuite、SAP、AIスクラッチ開発も扱っています。クラウド専用の製品では要件を満たせない企業にとって、Odooが現実的な選択肢になる場面は確かにあります。一方で、自社運用の体制がないまま選ぶと苦しくなることも、正直にお伝えしています。

「うちの制約と体制だと、どれが現実的だろう」と迷ったら、その整理からご一緒します。

もう少し詳しく知りたい方へ

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この記事を書いた人

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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