基幹システムとは?ERPとの違いと中堅・中小企業のクラウドERP移行判断【2026年版】

経理の担当者が1週間休むと、月次の数字が締まらない。

販売管理は20年以上前に入れた仕組みで、保守の会社はもう撤退した。

後任のエンジニアは、採用できていない。

中堅・中小企業の経営者から、こうした相談が増えています。

基幹システムとは、受注・出荷・請求・会計など、止まると会社の業務が丸ごと止まる、中核のシステムです。

ERPは、部門ごとに分かれた基幹システムを1つにまとめ、全社のデータを1か所で扱う仕組みです。

刷新は「古いから替える」ではなく、経営の判断として決めるものです。

では、替えるべきなのか。

それとも、まだ使い続けてよいのか。

目次

この記事で分かること

  • 基幹システムとは何か(種類・情報系システムとの違い)
  • 基幹システムとERPの違い
  • リプレイス(入れ替え)を考える5つの兆候と、優先度の目安
  • 延命・更新・乗り換えのどれが合うかの物差し
  • 刷新の先に、会社がどう変わっていくか

(読了時間の目安:約13分)

基幹システムとは

基幹システムとは、会社の中核の業務を支えるシステムの総称です。

「止まると、会社の業務そのものが止まるシステム」と言い換えると分かりやすくなります。

基幹業務そのものの定義は、基幹業務とはで扱っています。

基幹システムの種類

種類主な役割
会計システム仕訳・決算・財務諸表の作成
販売管理システム受注・出荷・請求の管理
在庫管理システム入出庫・在庫の数量の管理
生産管理システム生産計画・工程・原価の管理
人事給与システム勤怠・給与計算・人事情報の管理

これらは部門ごとに別々に入れられることが多く、「部門最適」の考え方で作られています。

自社にどのシステムがあり、それぞれ何年使っているか。

それを書き出すことが、刷新の検討の出発点です。

基幹システムと情報系システムの違い

会社のシステムは、大きく「基幹系」と「情報系」に分かれます。

情報系システムは、メール・グループウェア・チャット・Web会議など、社内の情報共有を支えるシステムです。

区分止まった時の影響例
基幹系受注・出荷・請求などの業務そのものが止まる会計・販売・在庫・生産
情報系不便だが、業務は完全には止まらないメール・チャット・Web会議

止まった時の影響の大きさが、両者を分ける実務の目安です。

基幹システムの刷新は、情報系の道具の入れ替えとは重みが違います。

基幹システムとERPの違い

ERP(Enterprise Resource Planning、企業資源計画)は、基幹業務をまとめて管理する仕組みです。

会計・販売・在庫・人事などを、1つのシステムで扱います。

部門ごとに分かれていたデータを1つにし、「全社最適」を目指します。

違いを図にすると、次のとおりです。

部門ごとの基幹システムとERPの違い 部門ごとの基幹システムは販売・在庫・会計・人事が別々で、データは部門ごとに分散する(部門最適)。ERPはそれらを1つのシステムで扱い、データを1か所で管理するため、そろったデータをAIに渡せる(全社最適)。 部門ごとのシステムとERP 部門ごと ERP 販売 在庫 会計 人事 会計 販売 在庫 人事 データは 1か所で管理 部門最適 データは部門ごとに分散 全社最適 そろったデータをAIへ
部門ごとの基幹システムとERPの違い
観点基幹システム(部門ごと)ERP
考え方部門最適全社最適
対象の範囲特定の業務基幹業務の全般
データ部門ごとに分散1か所で管理
導入の目的特定の業務の効率化経営の見える化・判断の迅速化

AIとの相性も違います。

部門ごとのシステムでは、AIに渡す前にデータを集める手間がかかります。

ERPなら、データがそろった状態でAIに渡せます。

「基幹システム=ERP」と表現されることもあります。

いまのERPが、基幹システムの機能をまとめて備えているためです。

老朽化した基幹システムをERPに替える会社が増え、両者の境目はあいまいになってきました。

ERPにしても、部門のシステムを残す場合

ERPにすべてを載せる必要はありません。

給与や勤怠、業界に特有の業務は、専用のシステムを残す会社も多くあります。

その場合は、次の2つを決めておきます。

  • どちらを正とするか:取引先や社員の情報を、どのシステムで管理するか
  • どうつなぐか:自動の連携か、CSV(表形式のファイル)の取り込みか

つなぎ方が決まっていないと、ERPにしても手での転記が残ります。

ERPの役割の変化はERPとは何か、統合の進め方は基幹システムとERPの違い(統合のメリットと進め方)で扱っています。

なぜ今、基幹システムのリプレイスが注目されるのか

保守の期限|SAPの「2027年問題」

大企業を中心に使われるSAPでは、保守の期限が注目されています。

SAPは、SAP Business Suite 7の主要なアプリの標準保守を2027年末までとしています。

延長保守は、2030年末までです(出典:SAP公式ニュース、2020年2月)。

これが「2027年問題」と呼ばれています。

SAPを使っていない会社にも、同じ構図はあります。

どの製品にも、保守の期限と、動いているサーバー・OSの期限があります。

自社のシステムの期限を、契約書と保守の会社への問い合わせで押さえる。

それが出発点です。

SAPを使う会社の論点はSAP 2027年問題の解決策、更新か乗り換えかの判断軸は基幹システムは更新か乗り換えかで扱っています。

担当者の高齢化と、保守の会社の撤退

古いシステムを扱える人は高齢化し、特定の人に頼る危うさが表に出てきました。

「今動いているから大丈夫」と思っていても、担当者が退職した時に業務が止まることがあります。

冒頭の場面は、どの会社でも起こり得ます。

クラウドERPがもたらす変化

観点オンプレミス型ERPクラウドERP
初期の費用高い(サーバーの購入・構築)抑えられる(月額の利用料)
保守・更新自社で対応・計画する提供元が行う
拡張独自の開発で対応標準の機能の進化を使う
海外展開拠点ごとに構築1つのシステムで対応

オンプレミス型は、自社でサーバーを持って運用する形です。

IT人材を確保しにくい中堅・中小企業ほど、クラウドERPの利点を受けやすくなります。

ただし、「クラウド」と名乗っていても、クラウドを前提に設計されているとは限りません。

クラウドに移っても、変わらないこともあります。

データの登録のルールや、承認の順番を決めるのは自社です。

ここが決まらないままでは、仕組みを替えても手作業は残ります。

クラウドERPの基礎は、クラウドERPとは?で扱っています。

リプレイスを考える5つの兆候

自社に当てはまるものを数えてみてください。

兆候具体的な状態調べ方
1. 数字が見えるまで時間がかかる月次決算の確定が翌月15日以降/経営会議の数字を毎回手で集計している直近3か月の、月次決算の確定日を並べる
2. 部門ごとにシステムが分かれている販売・在庫・会計が別々/突き合わせを手作業で行う/Excelが業務の中心月末に手で突き合わせている表の数を数える
3. 業務が特定の人に頼っている「あの人がいないと月次が締まらない」/引き継ぎの資料がない担当者が1週間休んだら何が止まるかを書き出す
4. 拠点・事業の拡大に追いつけない海外展開やM&Aに対応できない/連結会計や多通貨に毎期苦労している新しい拠点・会社を足す時の作業と日数を聞く
5. 統制・監査の対応に手間がかかる内部統制・J-SOXに手作業が多い/IPOの準備で限界が見えた監査で求められた資料を集めるのにかかった日数

J-SOXは、上場企業に求められる、財務報告の内部統制の制度です。

M&Aは、会社の合併や買収のことです。

兆候1と2は、判断の遅れにつながります。

兆候3は、表に出ていない危険です。担当者が辞めた時に、初めて気づくことがあります。

兆候5の統制の弱さは目立ちませんが、長く使うほど危うさが膨らみます。

3つ以上当てはまるなら、検討を始める時期に来ている可能性があります。

ただし、「兆候があるから今すぐ移行」と決める必要はありません。

5つの兆候の数え方を図にすると、次のとおりです。

リプレイスを考える5つの兆候を数える 数字が見えるまで時間がかかる、部門ごとにシステムが分かれている、業務が特定の人に頼っている、拠点・事業の拡大に追いつけない、統制・監査の対応に手間がかかる。3つ以上当てはまれば検討を始める時期だが、今すぐ移行と決める必要はない。 5つの兆候を数える 当てはまるものに印をつける 1. 数字が見えるまで時間がかかる 2. 部門ごとにシステムが分かれている 3. 業務が特定の人に頼っている 4. 拠点・事業の拡大に追いつけない 5. 統制・監査の対応に手間がかかる 3つ以上なら、検討を始める時期 今すぐ移行と決める必要はない 優先度は、兆候の数と成長の段階で決める
リプレイスを考える5つの兆候を数える

優先度の目安

兆候の数と、会社の成長の段階で考えます。

兆候の数成長の段階優先度次の行動
4〜5個成長期・拡大期高い半年以内に検討を始める
4〜5個安定期中〜高1年以内に検討を始める
2〜3個成長期・拡大期中1年以内に情報を集める
2〜3個安定期中〜低中期計画に組み込む
0〜1個すべて低い(現状維持でよい)数字の変化を見続ける

表は、判断の出発点です。

実際には、業種・体制・IT人材・資金の余力を合わせて判断します。

移行の期間は、現場の担当者が本来の仕事と並行して動きます。

繁忙期と重ならない時期を選ぶことも、判断の一部です。

刷新は「守り」だけではない

基幹システムの刷新は、老朽化や制度変更への「守り」の対応と受け止められがちです。

実際には、経営の速さや事業の成長を左右します。

区分目的の例
攻め判断を速くする/新しい事業に対応する/海外展開に備える/データを経営に使う
守り古いシステムの限界に対処する/内部統制を強める/属人化をなくす/セキュリティの危険を下げる

両面で見ると、投資の効果(ROI)も説明しやすくなります。

担当の部門に任せず、経営者が目的を決めるところから始めます。

刷新の後に会社がどう変わっていくかは、第9章で3つの段階に分けて描きます。

判断の物差し|どの道が合うか

「移行するか」だけでなく、「どこへ移るか」「いまは替えないか」も含めて比べます。

最初の分かれ目は、見直しの起点です。

見直しの起点で、道が分かれる 期限が起点なら、延長と乗り換えの見積もりを同じ期間で並べる。事業の変化が起点なら、クラウドERPへの乗り換えを比べる。兆候が0〜1個で期限に余裕があれば、いつまで使うかを決めて延命する。 見直しの起点で、道が分かれる なぜ今、見直すのか 保守・サーバーの期限が起点 延長と乗り換えの見積もりを並べる 事業の変化が起点 クラウドERPへの乗り換えを比べる 兆候0〜1個・期限に余裕 いつまで使うかを決めて延命する どの道も、同じ期間の総額で比べる
見直しの起点で、道が分かれる

期限が起点なら、延長の見積もりと乗り換えの見積もりを、同じ期間でそろえて並べます。

事業の変化が起点なら、クラウドERPへの乗り換えを比べる意味が大きくなります。

兆候が少なく期限に余裕があれば、延命も正当な選択です。

選択肢合う条件注意点
いまの仕組みを延命する期限に余裕があり、兆候が0〜1個いつまで使うか、何が起きたら前倒しするかを決める
同じ製品の新しい版へ更新業務の流れを変えたくない、製品に不満が小さい部門ごとの分断は残りやすい
NetSuite(クラウドERP)部門の分断を解消したい、拠点・海外・成長を見込む日本の商習慣に合わせる設計が要る
国産ERP国内中心で、日本特有の業務を標準のまま使いたい海外拠点の一元管理は製品ごとに確認
Odoo必要な業務から小さく始めたい自社に合う範囲の見極めが要る
AIスクラッチ開発業務がとても独自で、パッケージに合わない作った後の保守の体制が要る

AIスクラッチ開発は、AIを使って自社専用のシステムを一から作る方法です。

比べ方は、ERP・クラウドERPを徹底比較、Odooとは?、AIでスクラッチ開発とERP、どちらを選ぶべきかで扱っています。

部門ごとのシステムから、初めてERPを考える会社

最初に決めるのは、どの業務のデータを1つにしたいかです。

在庫がある会社は販売・在庫・会計を、案件で動く会社は案件・請求・会計を先に1つにします。

海外拠点がある会社は、最初から多通貨で設計します。

すべてを一度に替える必要はありません。

検討の前に、次の3つをそろえておくと話が早く進みます。

  • いま使っているシステムとExcelの一覧:どの部門が、何に使っているか
  • 経営者が毎月見ている数字:誰が、何日かけて作っているか
  • 3〜5年後の会社の姿:人数・拠点・事業の数の見込み

この3つがあると、候補の製品やパートナーからの提案を、同じ物差しで比べられます。

いまの基幹システムの期限を迎える会社

保守の延長を考えるなら、見積もりで次の点を聞きます。

  • 延長できる期間と、その後にもう一度延長できるか
  • 延長の費用と、障害が起きた時の対応の範囲
  • 動いているサーバー・OS・データベースの期限
  • 法改正への対応が、延長の期間も続くか

「いまは替えない」を選ぶなら、いつまで使うかと、何が起きたら前倒しするかを決めておきます。

期限を決めない先送りは、障害が起きた時に選べる道を狭めます。

保守の期限は基幹システムの保守切れリスクとは?、AS400からの移行はAS400がサポート終了!乗り換え先のERP選定のポイントで扱っています。

刷新でよくある3つの失敗

失敗1:製品選びから始めてしまう

起きること:機能の比較表を作り、数社にデモを頼む。何を実現したいかが決まらないまま、製品だけが選ばれる。

導入後に「思っていたものと違う」が起きる。

原因:結果の差は、製品の優劣より「会社として何を実現したいか」が言葉になっているかで生まれます。

それがないと、各社の提案に振り回され、機能の多さや価格の安さで選んでしまいます。

避け方:製品の話の前に、経営の課題を言葉にします。

「数字が早く見えない」「部門が分かれている」など、経営者と現場の困りごとをそろえます。

各社の提案は、それぞれ自社製品の強みから語られます。

比べる物差しを自社で先に持っていないと、提案の上手さで選んでしまいます。

失敗2:現場の要望をすべて入れようとする

起きること:各部門の要望を全部並べ、「いまの業務をそのまま再現したい」となる。

独自の開発が膨らみ、見積もりが当初の2〜3倍になる。

原因:クラウドERPは、世界標準の業務の流れ(ベストプラクティス)を前提に作られています。

独自の流れを全部載せると、自動の更新が効きにくくなり、保守の費用も膨らみます。

避け方:「何を作るか」以上に、「何を作らないか」を決めます。

分け方は、第9章の型1で紹介します。

失敗3:データ移行と切り替えを軽く見る

起きること:データ移行を最後の作業に回し、古いデータをそのまま移す。

切り替えの日に業務が止まり、現場が混乱する。

原因:古いシステムには、表記の違う同じデータ、使っていない項目、重複や欠けのある記録がたまっています。

そのまま移すと、新しいシステムでも同じ問題が続きます。

避け方:データ移行を、要件を決める段階から計画に入れます。

並行して動かす期間と、元に戻す手順を決め、データの整理(クレンジング)の工程を入れます。

受注・出荷・請求・会計のどこかが止まれば、取引先にも影響が広がります。

移行の進め方は、基幹システムのデータ移行ガイドで扱っています。

このほか、社内だけで進めて現場が疲れる失敗、責任の所在があいまいで決まらない失敗もよく起きます。

どちらも、進行の担当(PM)を立て、経営・現場・パートナーをつなぐ役を先に決めると防ぎやすくなります。

PMが社内にいない場合は、期間を区切って外部のPMを立てる方法もあります。

根本の原因は、ERP導入はなぜ失敗するのかと基幹システムの落とし穴で扱っています。

クラウドERPの代表的な選択肢|NetSuite

NetSuiteは、Oracleが提供するクラウドERPです。

1998年に、前身のNetLedgerとして事業を始めました(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)。

世界220地域・44,000社以上で使われています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月時点)。

Oracleは、NetSuiteを「#1 AI Cloud ERP」と位置づけています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月確認)。

特徴中身
1つの基盤会計・販売・在庫・人事・CRM(顧客管理)を1つのシステムで扱う
海外対応190通貨・27言語に対応(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)
小さく始められる会計や販売管理から始め、段階的に機能を足せる
AIとの親和性組込型のAIに加え、AI Connector Service(MCP)で外部のAIとつなげる

MCPは、AIと外部のシステムをつなぐための共通の規格です。

一方で、日本独自の帳票を形を変えずに出したい、業界に特有の業務を標準の機能だけで回したい。

こうした条件が強い会社は、NetSuite以外も並べて比べてください。

費用は、ミニマム構成で月額20万円〜が出発点です。

モジュール・ユーザー数・オプションで変わり、初期の費用と合わせて数百万円規模になることもあります。

中小企業は「デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)」を使える可能性もあります(出典:中小企業庁、2026年9月確認)。

費用の考え方はクラウドERPの費用・料金相場、補助金はデジタル化・AI導入補助金でNetSuiteを導入する方法で扱っています。

AI時代のERP像はAIクラウドERPとは、組込型と外部のAIの違いはNetSuiteの組込型AIと外部AI連携の違いをご覧ください。

NetSuiteの全体像はNetSuiteとは?、導入事例はNetSuiteの導入事例で紹介しています。

ベンチャーネットならこう見る|刷新の先は「守り→攻め→次へ」

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱っています。

SAPからのリプレイスにも対応しています。

国産ERPやフルスクラッチも含め、どれが優れているかではなく、それぞれに長所があると考えます。

基幹システムの相談で、最初に聞くのは次の3つです。

  • いま使っているシステムと、それぞれの保守・サーバーの期限
  • 見直しの起点は、期限か、事業の変化か
  • 経営者が見たい数字と、なくしたい手作業

型1:見える化→整理整頓→Fit&Gap

失敗2の「何を作らないか」は、次の順番で決めます。

  1. 業務の見える化:いまの業務の流れを、現場に聞いて描く
  2. 整理整頓:やめる・まとめる・そろえる業務を決める
  3. Fit&Gap:残った業務を、移る先の製品の標準機能と照らし合わせる

Fit&Gapは、業務と機能の合う・合わないを一つずつ見る作業です。

合わない業務は、「標準に合わせる/開発する/残す」のどれかに決めます。

移る先の製品が決まっていても、見える化からやり直します。

いまの仕組みには、もう使っていない帳票や、手作業で補っている業務が混ざっているからです。

型2:守り→攻め→次へ

刷新の後、会社は3つの段階で変わっていきます。

定着の先の3段階:守り→攻め→次へ 守りは業務が回ること、攻めはデータで打つこと、次へは経営が変わること。 定着の先の3段階守り|業務が回る在庫・販売・会計を1つにし、日々の業務を安定させる攻め|データで打つ売れ筋・在庫の分析、営業作業の自動化、生成AIでの集計次へ|経営が変わるKPI、管理会計、上場に向けた内部統制
定着の先の3段階:守り→攻め→次へ
  • 守り(業務が回る):在庫・販売・会計を1つにし、日々の業務を安定させる。冒頭の「1週間休むと締まらない」は、ここで解きます
  • 攻め(データで打つ):売れ筋や在庫を分析し、営業の作業を自動にし、生成AIで集計する
  • 次へ(経営が変わる):KPI、管理会計、上場に向けた内部統制に進む

第5章の「守り」と「攻め」は、この順につながっています。

守りが固まらないうちに、攻めには進めません。

AIの仕込みは、導入の中で

AIを経営に使うのは、稼働の後です。

ただ、その仕込みは導入のプロジェクトの中で行います。

取引先や商品の登録のルール、コードの付け方、見たい数字の定義。

導入の中で決めておけば、そろったデータが最初からたまっていきます。

稼働後に決め直すと、過去のデータを整え直す手間が生まれます。

引き継ぎ・連携の相談が多い

ベンチャーネットの仕事は、ゼロからの導入より、他社のあとの引き継ぎ・立て直しと、他システムとの連携が多くを占めます。

部門のシステムを残してERPとつなぐ設計も、その一部です。

比べた結果、延命や国産ERPが合うこともあります。

その場合も、正直にお伝えします。

パートナーの変更を考えている方は、「パートナー変更(リプレイス)」という選択肢もご覧ください。

今日できること|1時間で「基幹システムの一覧」を作る

情報システムの担当か、各部門のリーダーと一緒に、次の表を埋めてみてください。

システム使い始めた年保守の期限分かる人の数
(例)販売管理(営業・倉庫)2008年契約書で確認1人
会計
在庫
生産
給与

そのうえで、第4章の5つの兆候を数えます。

  • 期限が2年以内のシステム:延長と乗り換えの両方の見積もりを取る
  • 分かる人が1人のシステム:手順を書き出すことから始める
  • 兆候が3つ以上:4-1の表で、検討を始める時期を決める

埋まらない欄があれば、それが次に調べることです。

よくある質問

Q1. 基幹システムと情報系システムの違いは何ですか

止まった時の業務への影響の大きさです。

基幹システムは、受注・出荷・請求・会計など、止まると業務が止まるシステムです。

情報系システムは、メールやグループウェアなど、社内の情報共有を支えるシステムです。

Q2. 基幹システムとERPは何が違いますか

ERPは部門ごとの基幹システムを1つにまとめた仕組みです。

部門ごとの基幹システムは部門最適、ERPは全社最適を目指します。

いまのERPは基幹システムの機能をまとめて備えるため、「基幹システム=ERP」と呼ばれることもあります(第2章)。

Q3. 基幹システムの寿命はどのくらいですか

何年という決まりはありません。

保守の会社の撤退、担当者の退職、機器のサポート終了が重なると、危うさが急に高まります。

第4章の5つの兆候に3つ以上当てはまるなら、寿命を疑う時期です。

Q4. リプレイスすると、会社は何が変わりますか

守り→攻め→次への順に変わっていきます。

まず業務が安定して回り、次にデータで打ち手を決められるようになります。

その先に、KPI・管理会計・内部統制といった経営の変化があります(第9章)。

Q5. 情報システムの担当が1人しかいませんが、移行できますか

できます。

ただし、外部に任せきりにせず、自社で持つべき判断の軸は持ちます。

専門性の高い部分は、期間を区切ってパートナーの力を借ります。

Q6. NetSuiteは「使いにくい」と聞きますが、本当ですか

最初は違和感が出やすいです。

世界標準の業務の流れに合わせて作られ、日本のソフトと画面の考え方が違うためです。

日本向けに寄せる開発もできますが、やりすぎるとクラウドの利点が薄れます。

どこまで合わせるかの線引きが、導入の要になります。

Q7. 費用と補助金はどう考えればよいですか

NetSuiteはミニマム構成で月額20万円〜が出発点です。

構成で変わり、初期の費用と合わせて数百万円規模になることもあります。

補助金は「デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)」です。

最新の情報は、中小企業庁のお知らせと事務局サイトでご覧ください。

まとめ|基幹システムの刷新は、経営の判断

  • 基幹システムは、止まると業務が止まる中核のシステム
  • ERPは、部門ごとのシステムを1つにまとめて全社最適を目指す仕組み
  • 5つの兆候のうち3つ以上なら、検討を始める時期
  • 道は、延命・同じ製品の更新・クラウドERP・国産ERP・Odoo・AIスクラッチ開発から合う条件で選ぶ
  • 刷新の先は、守り→攻め→次へ。AIの仕込みは導入の中で行う

替えるべきか、まだ使えるか。

答えは、基幹システムの一覧と、5つの兆候の数から見えてきます。

まずは、分かる人が1人しかいないシステムに印をつけてください。

もう少し詳しく知りたい方へ

更新か乗り換えかは、期限と事業の変化によって答えが変わります。

いまのシステムの棚卸しと、判断の整理から、ご相談をお受けしています。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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