月額50,000円(税抜)。
製造業向けのクラウドERP「UM SaaS Cloud」の、公式サイトに載っている料金の例です。
紙とExcelの生産管理から抜け出したい中小製造業には、手の届く数字に見えます。
UM SaaS Cloud(ユーエム サース クラウド)とは、株式会社シナプスイノベーションが提供する、製造業向けのクラウドERPです。
見積から受発注、生産管理までを、SaaS型のサービスとして使えます。
課題の中心が製造現場の見える化なら、有力な候補です。
ただ、この月額だけで初年度の支払いは決まりません。
そして、月額の安さで選んでよいかどうかは、別の問いで決まります。
困っている数字が「現場」にあるのか、「全社」にあるのか、です。
この記事で分かること
- UM SaaS Cloudを構成する6つの製品と、それぞれの役割
- 公式の料金例と、初年度に見ておく費用
- 向いている製造業・慎重に比べたい製造業の条件
- これから選ぶ会社と、いま使っていて見直す会社の考え方
- 製品を決める前に業務を仕分ける、見える化からの進め方
ERPは、販売・在庫・生産・会計など、会社の業務を一つの仕組みでつなぎ、情報を見える化するシステムです。
SaaSは、ソフトを買い切らず、インターネット経由で月額などで使う提供形態を指します。
Salesforce基盤は、Salesforceのクラウドの上に作られていることを意味します。
UM SaaS Cloudとは
UM SaaS Cloudは、製造業の現場業務に強い「製造特化型」のクラウドERPです。
単一の製品ではなく、機能ごとに分かれた製品群の総称です。
必要な製品を選んで組み合わせて使います。
公式サイトでは、Salesforce基盤の採用が示されています。
「自律型AIを活用できる基盤」とも説明されています(出典:UM SaaS Cloud公式サイト、2026年9月確認)。
対応する生産方式は、個別受注生産・受注生産・見込み受注生産・見込み生産です。
生産形態は、加工・プロセス・組立に対応しています(出典:UM SaaS Cloud公式サイト、2026年9月確認)。
多品種少量や、受注と見込みが混ざる会社でも、候補に入れやすい範囲です。
主な機能|6つの製品
公式の製品一覧では、次の6製品が案内されています(出典:UM SaaS Cloud公式サイト 製品一覧、2026年9月確認)。
| 製品 | 役割 |
|---|---|
| UM工程進捗 | 生産計画から所要量計算、進捗・原価までを扱う生産管理の中核 |
| UM販売購買 | 製造業向けの販売・購買管理。データはSalesforce基盤上に保持 |
| UMガント | 生産計画や人・設備の負荷を見ながら、スケジュールを調整する |
| UM生産計画AI | 納期・稼働率・リソース・リードタイムを考え、生産計画を自動で作る |
| UM原価 | 品目単位・ロット単位で原価の内訳を見て、売上・粗利と比べる |
| UM EDI | 企業間の取引を電子化するBtoB向けのサービス |
AIの機能の範囲は、提供元で最新の状況を確認してください。
現場の入力と、会計との連携
UM工程進捗では、実績の入力方法が幅広く用意されています。
公式ページでは、スマートフォン・タブレット、ハンディターミナル、紙の資料のスキャンが挙げられています。
RFID・バーコードの一括読み取りや、計量器とのIoT連携もあります(出典:UM SaaS Cloud公式サイト UM工程進捗、2026年9月確認)。
会計は、UM SaaS Cloudの中ではなく、外の会計システムとつなぐ形です。
公式サイトでは、仕訳の情報を「勘定奉行クラウド」へ連携できると案内されています。
債権・債務の情報は「債権奉行クラウド」「債務奉行クラウド」へ連携します(出典:UM SaaS Cloud公式サイト ソリューション、2026年9月確認)。
現場の入力と会計との関係を図にすると、次のとおりです。
SaaS型としての特徴
公式サイトでは、定期的なバージョンアップで常に最新の環境を使えると案内されています。
システムのメンテナンス費用や、データのバックアップも不要とされています(出典:UM SaaS Cloud公式サイト、2026年9月確認)。
自社でサーバーを持つ場合に比べ、運用の手間を抑えやすい点は利点です。
不要とされる範囲と契約の条件は、契約の前に提供元に確認してください。
料金|公式の料金例と、初年度に見る費用
公式の料金ページでは、次の内訳が示されています(出典:UM SaaS Cloud公式サイト 料金、2026年9月確認)。
| 項目 | 月額(税抜) |
|---|---|
| UM基本パック Business Edition(10ID、管理者1IDを含む) | 35,000円 |
| UM工程進捗(10ID) | 15,000円 |
| UM販売購買(10ID) | 15,000円 |
| 合計の例(基本パック+1製品) | 50,000円 |
同じページには、年間での契約であること、契約時に検証用の環境の料金が要ることも書かれています。
導入の費用は、個別に見積もります。
月額の小ささだけで判断すると、導入の費用と年間の総額を見落とします。
比べるのは「初年度の総額」と「5年間の総額」です。
クラウドERPの費用の見方は、クラウドERPの費用・料金相場|初期費用から月額・TCOまで徹底解説で扱っています。
判断の物差し|向いている会社・向いていない会社
UM SaaS Cloudは、製造現場に強い製品です。
ただし、すべての製造業に合うわけではありません。
向いている製造業
- 課題の中心が、工程の進捗・負荷・実績の見える化にある
- 紙やExcelの生産管理から、まず現場のDXを進めたい
- 会計は勘定奉行クラウドなど、いまの会計システムを使い続けたい
- 大きな初期投資を避け、製品を足しながら広げたい
慎重に比べたい製造業
- 会計・販売・在庫・生産を、一つのデータベースで持ちたい
- 海外の拠点や子会社があり、多通貨・連結を見たい
- 製造以外の事業(卸・サービスなど)も同じ仕組みで管理したい
UM SaaS Cloud以外が合う場合
| 状況 | 合いやすい選択肢 |
|---|---|
| 会計・海外・グループまで一つにしたい | NetSuiteなどの統合型クラウドERP |
| 費用を抑えて、必要な機能を自社で組み合わせたい | Odoo |
| 業界の慣習に合わせた機能を国内の製品で選びたい | 国産の業種特化ERP |
| 自社独自の工程が強みの源泉で、パッケージに合わない | AIスクラッチ開発 |
| 業務の流れ自体がまだ決まっていない | いまは入れない(先に業務を整理する) |
NetSuiteは、会計を含めて一つのデータで持てる統合型のクラウドERPです。
世界220地域・44,000社以上で使われています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月時点)。
費用はミニマム構成で月額20万円〜が出発点です。
モジュール・ユーザー数・オプションで変わり、数百万円規模になることもあります。
製造特化型と統合型の詳しい違いは、UM SaaS CloudとNetSuiteの違い・連携方法で扱っています。
Odooについては、Odooとは?機能・特徴・向いている企業・費用を徹底解説をご覧ください。
これから選ぶ会社と、いま使っていて見直す会社
これから製造業のERPを選ぶ会社
最初に、課題の中心が「現場」か「全社」かを決めます。
- 現場が中心:工程・負荷・実績を見たい → 製造特化型が候補
- 全社が中心:会計・在庫・販売を一つの数字で見たい → 統合型が候補
次に、会計をどこに置くかを決めます。
UM SaaS Cloudは、会計システムと連携する形です。
いまの会計システムを使い続けるのか、将来まとめたいのかで、選ぶ製品が変わります。
この2段の決め方を図にすると、次のとおりです。
いまUM SaaS Cloudや他の生産管理を使い、見直しを考える会社
拠点や子会社が増え、会社をまたいだ数字が要るようになった。
生産管理と会計の間で、手作業の照合が残っている。
見直しのきっかけは、こうした変化です。
UM SaaS Cloudは年間契約です(出典:UM SaaS Cloud公式サイト、2026年9月確認)。
更新の3〜6か月前に、次の年も同じ構成でよいかを点検すると、判断に余裕が持てます。
オンプレミスの生産管理から移る場合は、優先度の高い業務から始め、定着してから範囲を広げます。
よくある失敗3つ
失敗1:月額だけを比べて決める
起きること:導入後に、導入の費用や検証用の環境の費用が加わり、想定より高くなる。
原因:公式の月額の例だけを比べ、初年度の総額を見ていなかった。
避け方:導入の費用・環境の費用・利用人数の増加を含めて、5年間の総額で比べます。
失敗2:会計との連携を後回しにする
起きること:現場の数字は見えるようになったが、会計の数字と合わず、月末の照合が残る。
原因:どのデータを、いつ、会計に渡すかを決めずに導入した。
避け方:導入の前に、仕訳・債権・債務のどれを連携するかを会計の担当者と決めます。
失敗3:製品名で比べ、自社の生産方式から見ない
起きること:機能は多いのに、自社の生産のやり方に合わず、作り込みが増える。
原因:製品の比較表から入り、自社の生産方式を整理していなかった。
避け方:自社の生産方式(受注か見込みか、加工か組立か)を先に書き出し、製品の対応範囲と照らします。
ERP導入でつまずく構造は、ERP導入はなぜ失敗するのかでも扱っています。
ベンチャーネットならこう見る|製品より先に、現場を描く
「工程管理のシステムを入れれば、現場は見えるようになる」
そう考えて製品選びから始める製造業は、少なくありません。
NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、UM SaaS Cloudの提供元ではありません。
それでも、製造業から相談を受けたときの進め方は、どの製品が候補でも同じです。
先に現場の業務を描き、要らない作業を減らしてから、製品と照らし合わせます。
型1:見える化→整理整頓→Fit&Gap
- 業務の見える化:受注から工程・実績・出荷・請求までを、現場に聞いて描く。紙やExcelで写している所に印を付ける
- 整理整頓:やめる・まとめる・そろえる作業を決める。同じ内容を二重に記録している作業は、ここで減らす
- Fit&Gap:残った業務を、候補の製品の標準機能と照らし合わせる
Fit&Gapは、業務と機能の合う・合わないを一つずつ見る作業のことです。
図の3段目はNetSuiteを例にしていますが、照らし合わせる相手がUM SaaS Cloudでも順番は変わりません。
型2:標準に合わせる/開発する/残す
Fit&Gapで合わなかった業務は、3つのどれかに決めます。
- 標準に合わせる:工程や実績の付け方を、製品の標準の形に寄せる
- 開発する:追加の開発や、他の仕組みとの連携で補う
- 残す:システムに載せず、いまのやり方で続ける(会計をいまの製品に残すのも、これにあたる)
製造特化型の製品は、1つ目を選べる業務が多いほど軽く始められます。
2つ目が増えるなら、統合型も含めて比べ直す合図です。
相談の最初に伺う3つ
- いちばん困っている数字は、工程の遅れか、原価か、会社全体の利益か
- 会計を、いまの仕組みに残すか、まとめたいか
- 3年後、拠点・子会社・海外は増えるか
1つ目の答えが「現場」に集まるなら、UM SaaS Cloudのような製造特化型が合います。
2つ目と3つ目で「全社」に答えが集まるなら、統合型も並べます。
製造特化型と統合型は、どちらが優れているかではなく、それぞれに長所があります。
どちらにも当てはまらない場合は、「いまは入れない」も正直な答えです。
今日できること|1枚の「生産方式メモ」を作る
1時間で、次の表を埋めてみてください。
| 項目 | 自社の答え |
|---|---|
| 生産方式(受注・見込み・その混在) | |
| 生産形態(加工・組立・プロセス) | |
| いま生産管理に使っている道具 | |
| 会計システムの名前と、変える予定の有無 | |
| 3年以内に増えそうな拠点・会社 | |
| いちばん見たいのに見えていない数字 |
この1枚があると、UM SaaS Cloudを含む製品の比較を、自社の条件で進められます。
提供元やパートナーとの打ち合わせにも、そのまま使えます。
よくある質問
Q1. UM SaaS Cloudはどんな企業向けですか
製造現場の見える化を進めたい製造業向けです。
受注生産から見込み生産まで、加工・プロセス・組立に対応すると公式サイトで示されています。
必要な製品を組み合わせて使えます。
Q2. 料金はいくらからですか
公式の例では月額50,000円(税抜)です。
基本パック(月35,000円)と、UM工程進捗などの製品(10IDで月15,000円)を組み合わせた例です。
年間契約で、検証用の環境の料金と、個別見積の導入費用がかかります(第3章)。
Q3. 会計はUM SaaS Cloudの中で行えますか
会計は外の会計システムと連携する形です。
仕訳を勘定奉行クラウドへ、債権・債務を債権奉行クラウド・債務奉行クラウドへ連携できると案内されています。
会計まで一つのシステムにしたい場合は、統合型のERPも比べます。
Q4. オンプレミスの生産管理からクラウドへ移るときの進め方は
段階的に進めるのが現実的です。
工程進捗など優先度の高い業務から始め、定着してから範囲を広げます。
移す前に、業務を見える化し、やめる作業と残す作業を仕分けておきます(第7章)。
Q5. NetSuiteなど統合型のERPとは何が違いますか
UM SaaS Cloudは製造現場に強い特化型です。
NetSuiteは、会計まで含めた統合型です。
どちらが合うかは、課題の中心が「現場」か「全社」かで変わります。
詳しくはUM SaaS CloudとNetSuiteの違い・連携方法で扱っています。
Q6. AIは使えますか
生産計画を自動で作る「UM生産計画AI」があります。
納期・稼働率・リソース・リードタイムを考えて計画を作ると案内されています。
使える範囲や条件は、提供元で最新の情報を確認してください。
まとめ
- UM SaaS Cloudは、シナプスイノベーションの製造業向けクラウドERP
- 6つの製品を組み合わせて使う。会計は奉行クラウドと連携する形
- 公式の料金例は月額50,000円(税抜)。年間契約で、検証用の環境の料金と個別見積の導入費用が加わる
- 課題の中心が「現場」なら有力な候補。「全社」なら統合型も並べる
- 製品を決める前に、見える化→整理整頓→Fit&Gapで業務を仕分ける
月額50,000円で選んでよいかは、困っている数字の置き場所で決まります。
まずは生産方式メモを1枚作り、その数字が現場にあるのか、全社にあるのかを確かめてください。
UM SaaS Cloudの導入そのものは、提供元の株式会社シナプスイノベーションへお問い合わせください。
もう少し詳しく知りたい方へ
製造特化型と統合型のどちらが合うか、中立の立場で一緒に整理します。
