UM SaaS Cloudとは?機能・料金・向いている製造業を中立に解説【2026年版】

月額50,000円(税抜)。

製造業向けのクラウドERP「UM SaaS Cloud」の、公式サイトに載っている料金の例です。

紙とExcelの生産管理から抜け出したい中小製造業には、手の届く数字に見えます。

UM SaaS Cloud(ユーエム サース クラウド)とは、株式会社シナプスイノベーションが提供する、製造業向けのクラウドERPです。

見積から受発注、生産管理までを、SaaS型のサービスとして使えます。

課題の中心が製造現場の見える化なら、有力な候補です。

ただ、この月額だけで初年度の支払いは決まりません。

そして、月額の安さで選んでよいかどうかは、別の問いで決まります。

困っている数字が「現場」にあるのか、「全社」にあるのか、です。

目次

この記事で分かること

  • UM SaaS Cloudを構成する6つの製品と、それぞれの役割
  • 公式の料金例と、初年度に見ておく費用
  • 向いている製造業・慎重に比べたい製造業の条件
  • これから選ぶ会社と、いま使っていて見直す会社の考え方
  • 製品を決める前に業務を仕分ける、見える化からの進め方

ERPは、販売・在庫・生産・会計など、会社の業務を一つの仕組みでつなぎ、情報を見える化するシステムです。

SaaSは、ソフトを買い切らず、インターネット経由で月額などで使う提供形態を指します。

Salesforce基盤は、Salesforceのクラウドの上に作られていることを意味します。

UM SaaS Cloudとは

UM SaaS Cloudは、製造業の現場業務に強い「製造特化型」のクラウドERPです。

単一の製品ではなく、機能ごとに分かれた製品群の総称です。

必要な製品を選んで組み合わせて使います。

公式サイトでは、Salesforce基盤の採用が示されています。

「自律型AIを活用できる基盤」とも説明されています(出典:UM SaaS Cloud公式サイト、2026年9月確認)。

対応する生産方式は、個別受注生産・受注生産・見込み受注生産・見込み生産です。

生産形態は、加工・プロセス・組立に対応しています(出典:UM SaaS Cloud公式サイト、2026年9月確認)。

多品種少量や、受注と見込みが混ざる会社でも、候補に入れやすい範囲です。

主な機能|6つの製品

公式の製品一覧では、次の6製品が案内されています(出典:UM SaaS Cloud公式サイト 製品一覧、2026年9月確認)。

製品役割
UM工程進捗生産計画から所要量計算、進捗・原価までを扱う生産管理の中核
UM販売購買製造業向けの販売・購買管理。データはSalesforce基盤上に保持
UMガント生産計画や人・設備の負荷を見ながら、スケジュールを調整する
UM生産計画AI納期・稼働率・リソース・リードタイムを考え、生産計画を自動で作る
UM原価品目単位・ロット単位で原価の内訳を見て、売上・粗利と比べる
UM EDI企業間の取引を電子化するBtoB向けのサービス

AIの機能の範囲は、提供元で最新の状況を確認してください。

現場の入力と、会計との連携

UM工程進捗では、実績の入力方法が幅広く用意されています。

公式ページでは、スマートフォン・タブレット、ハンディターミナル、紙の資料のスキャンが挙げられています。

RFID・バーコードの一括読み取りや、計量器とのIoT連携もあります(出典:UM SaaS Cloud公式サイト UM工程進捗、2026年9月確認)。

会計は、UM SaaS Cloudの中ではなく、外の会計システムとつなぐ形です。

公式サイトでは、仕訳の情報を「勘定奉行クラウド」へ連携できると案内されています。

債権・債務の情報は「債権奉行クラウド」「債務奉行クラウド」へ連携します(出典:UM SaaS Cloud公式サイト ソリューション、2026年9月確認)。

現場の入力と会計との関係を図にすると、次のとおりです。

現場で入力し、会計は外とつなぐ UM工程進捗では、スマートフォンやハンディターミナル、紙のスキャン、RFID・バーコード、計量器とのIoT連携で実績を入力する。会計は中に持たず、仕訳は勘定奉行クラウド、債権・債務は債権奉行クラウド・債務奉行クラウドへ連携する。 現場で入力し、会計は外とつなぐ 現場の実績の入力 スマホ・タブレット、ハンディターミナル 紙の資料のスキャン RFID・バーコード、計量器とのIoT連携 UM SaaS Cloud UM工程進捗(生産管理の中核) 会計は、外の会計システムへ連携 仕訳 勘定奉行 クラウド 債権 債権奉行 クラウド 債務 債務奉行 クラウド
現場で入力し、会計は外とつなぐ

SaaS型としての特徴

公式サイトでは、定期的なバージョンアップで常に最新の環境を使えると案内されています。

システムのメンテナンス費用や、データのバックアップも不要とされています(出典:UM SaaS Cloud公式サイト、2026年9月確認)。

自社でサーバーを持つ場合に比べ、運用の手間を抑えやすい点は利点です。

不要とされる範囲と契約の条件は、契約の前に提供元に確認してください。

料金|公式の料金例と、初年度に見る費用

公式の料金ページでは、次の内訳が示されています(出典:UM SaaS Cloud公式サイト 料金、2026年9月確認)。

項目月額(税抜)
UM基本パック Business Edition(10ID、管理者1IDを含む)35,000円
UM工程進捗(10ID)15,000円
UM販売購買(10ID)15,000円
合計の例(基本パック+1製品)50,000円

同じページには、年間での契約であること、契約時に検証用の環境の料金が要ることも書かれています。

導入の費用は、個別に見積もります。

UM SaaS Cloudで初年度に見る費用 公式の料金例は基本パック月35,000円と製品1つ月15,000円の合計月50,000円(税抜)。これに検証用の環境の料金と、個別見積の導入費用が加わり、契約は年間単位。 初年度に見る費用 月額の料金例(税抜) 基本パック 35,000円 +製品1つ 15,000円=50,000円 年間契約 + 検証用の環境の料金(契約時) + 導入の費用(個別見積)
UM SaaS Cloudで初年度に見る費用

月額の小ささだけで判断すると、導入の費用と年間の総額を見落とします。

比べるのは「初年度の総額」と「5年間の総額」です。

クラウドERPの費用の見方は、クラウドERPの費用・料金相場|初期費用から月額・TCOまで徹底解説で扱っています。

判断の物差し|向いている会社・向いていない会社

UM SaaS Cloudは、製造現場に強い製品です。

ただし、すべての製造業に合うわけではありません。

向いている製造業

  • 課題の中心が、工程の進捗・負荷・実績の見える化にある
  • 紙やExcelの生産管理から、まず現場のDXを進めたい
  • 会計は勘定奉行クラウドなど、いまの会計システムを使い続けたい
  • 大きな初期投資を避け、製品を足しながら広げたい

慎重に比べたい製造業

  • 会計・販売・在庫・生産を、一つのデータベースで持ちたい
  • 海外の拠点や子会社があり、多通貨・連結を見たい
  • 製造以外の事業(卸・サービスなど)も同じ仕組みで管理したい

UM SaaS Cloud以外が合う場合

状況合いやすい選択肢
会計・海外・グループまで一つにしたいNetSuiteなどの統合型クラウドERP
費用を抑えて、必要な機能を自社で組み合わせたいOdoo
業界の慣習に合わせた機能を国内の製品で選びたい国産の業種特化ERP
自社独自の工程が強みの源泉で、パッケージに合わないAIスクラッチ開発
業務の流れ自体がまだ決まっていないいまは入れない(先に業務を整理する)

NetSuiteは、会計を含めて一つのデータで持てる統合型のクラウドERPです。

世界220地域・44,000社以上で使われています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月時点)。

費用はミニマム構成で月額20万円〜が出発点です。

モジュール・ユーザー数・オプションで変わり、数百万円規模になることもあります。

製造特化型と統合型の詳しい違いは、UM SaaS CloudとNetSuiteの違い・連携方法で扱っています。

Odooについては、Odooとは?機能・特徴・向いている企業・費用を徹底解説をご覧ください。

これから選ぶ会社と、いま使っていて見直す会社

これから製造業のERPを選ぶ会社

最初に、課題の中心が「現場」か「全社」かを決めます。

  • 現場が中心:工程・負荷・実績を見たい → 製造特化型が候補
  • 全社が中心:会計・在庫・販売を一つの数字で見たい → 統合型が候補

次に、会計をどこに置くかを決めます。

UM SaaS Cloudは、会計システムと連携する形です。

いまの会計システムを使い続けるのか、将来まとめたいのかで、選ぶ製品が変わります。

この2段の決め方を図にすると、次のとおりです。

課題の中心で、候補の型を分ける 課題の中心が現場(工程・負荷・実績)なら製造特化型、全社(会計・在庫・販売を一つの数字で)なら統合型が候補。次に、会計をいまの仕組みに残すか将来まとめるかを決める。 課題の中心で、候補の型を分ける いちばん困っている数字は 「現場」か「全社」か 現場が中心 工程・負荷・ 実績を見たい 製造特化型が候補 全社が中心 会計・在庫・販売を 一つの数字で見たい 統合型が候補 次に:会計をどこに置くか いまの会計システムを使い続けるか、 将来まとめたいかで、選ぶ製品が変わる
課題の中心で、候補の型を分ける

いまUM SaaS Cloudや他の生産管理を使い、見直しを考える会社

拠点や子会社が増え、会社をまたいだ数字が要るようになった。

生産管理と会計の間で、手作業の照合が残っている。

見直しのきっかけは、こうした変化です。

UM SaaS Cloudは年間契約です(出典:UM SaaS Cloud公式サイト、2026年9月確認)。

更新の3〜6か月前に、次の年も同じ構成でよいかを点検すると、判断に余裕が持てます。

オンプレミスの生産管理から移る場合は、優先度の高い業務から始め、定着してから範囲を広げます。

よくある失敗3つ

失敗1:月額だけを比べて決める

起きること:導入後に、導入の費用や検証用の環境の費用が加わり、想定より高くなる。

原因:公式の月額の例だけを比べ、初年度の総額を見ていなかった。

避け方:導入の費用・環境の費用・利用人数の増加を含めて、5年間の総額で比べます。

失敗2:会計との連携を後回しにする

起きること:現場の数字は見えるようになったが、会計の数字と合わず、月末の照合が残る。

原因:どのデータを、いつ、会計に渡すかを決めずに導入した。

避け方:導入の前に、仕訳・債権・債務のどれを連携するかを会計の担当者と決めます。

失敗3:製品名で比べ、自社の生産方式から見ない

起きること:機能は多いのに、自社の生産のやり方に合わず、作り込みが増える。

原因:製品の比較表から入り、自社の生産方式を整理していなかった。

避け方:自社の生産方式(受注か見込みか、加工か組立か)を先に書き出し、製品の対応範囲と照らします。

ERP導入でつまずく構造は、ERP導入はなぜ失敗するのかでも扱っています。

ベンチャーネットならこう見る|製品より先に、現場を描く

「工程管理のシステムを入れれば、現場は見えるようになる」

そう考えて製品選びから始める製造業は、少なくありません。

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、UM SaaS Cloudの提供元ではありません。

それでも、製造業から相談を受けたときの進め方は、どの製品が候補でも同じです。

先に現場の業務を描き、要らない作業を減らしてから、製品と照らし合わせます。

型1:見える化→整理整頓→Fit&Gap

  1. 業務の見える化:受注から工程・実績・出荷・請求までを、現場に聞いて描く。紙やExcelで写している所に印を付ける
  2. 整理整頓:やめる・まとめる・そろえる作業を決める。同じ内容を二重に記録している作業は、ここで減らす
  3. Fit&Gap:残った業務を、候補の製品の標準機能と照らし合わせる

Fit&Gapは、業務と機能の合う・合わないを一つずつ見る作業のことです。

ベンチャーネットの進め方:見える化→整理整頓→Fit&Gap→3つの選択 業務の見える化、整理整頓、NetSuite標準機能とのFit&Gap、そして標準に合わせる・開発する・残すの3択で決める。 ベンチャーネットの進め方業務の見える化いまの業務フローを現場に聞いて描く整理整頓やめる・まとめる・そろえる業務を決めるFit&GapNetSuiteの標準機能と照らし合わせる3つの選択標準に合わせる/開発する/残す製品が決まっていても、見える化から始める
ベンチャーネットの進め方:見える化→整理整頓→Fit&Gap→3つの選択

図の3段目はNetSuiteを例にしていますが、照らし合わせる相手がUM SaaS Cloudでも順番は変わりません。

型2:標準に合わせる/開発する/残す

Fit&Gapで合わなかった業務は、3つのどれかに決めます。

  • 標準に合わせる:工程や実績の付け方を、製品の標準の形に寄せる
  • 開発する:追加の開発や、他の仕組みとの連携で補う
  • 残す:システムに載せず、いまのやり方で続ける(会計をいまの製品に残すのも、これにあたる)

製造特化型の製品は、1つ目を選べる業務が多いほど軽く始められます。

2つ目が増えるなら、統合型も含めて比べ直す合図です。

相談の最初に伺う3つ

  • いちばん困っている数字は、工程の遅れか、原価か、会社全体の利益か
  • 会計を、いまの仕組みに残すか、まとめたいか
  • 3年後、拠点・子会社・海外は増えるか

1つ目の答えが「現場」に集まるなら、UM SaaS Cloudのような製造特化型が合います。

2つ目と3つ目で「全社」に答えが集まるなら、統合型も並べます。

製造特化型と統合型は、どちらが優れているかではなく、それぞれに長所があります。

どちらにも当てはまらない場合は、「いまは入れない」も正直な答えです。

今日できること|1枚の「生産方式メモ」を作る

1時間で、次の表を埋めてみてください。

項目自社の答え
生産方式(受注・見込み・その混在)
生産形態(加工・組立・プロセス)
いま生産管理に使っている道具
会計システムの名前と、変える予定の有無
3年以内に増えそうな拠点・会社
いちばん見たいのに見えていない数字

この1枚があると、UM SaaS Cloudを含む製品の比較を、自社の条件で進められます。

提供元やパートナーとの打ち合わせにも、そのまま使えます。

よくある質問

Q1. UM SaaS Cloudはどんな企業向けですか

製造現場の見える化を進めたい製造業向けです。

受注生産から見込み生産まで、加工・プロセス・組立に対応すると公式サイトで示されています。

必要な製品を組み合わせて使えます。

Q2. 料金はいくらからですか

公式の例では月額50,000円(税抜)です。

基本パック(月35,000円)と、UM工程進捗などの製品(10IDで月15,000円)を組み合わせた例です。

年間契約で、検証用の環境の料金と、個別見積の導入費用がかかります(第3章)。

Q3. 会計はUM SaaS Cloudの中で行えますか

会計は外の会計システムと連携する形です。

仕訳を勘定奉行クラウドへ、債権・債務を債権奉行クラウド・債務奉行クラウドへ連携できると案内されています。

会計まで一つのシステムにしたい場合は、統合型のERPも比べます。

Q4. オンプレミスの生産管理からクラウドへ移るときの進め方は

段階的に進めるのが現実的です。

工程進捗など優先度の高い業務から始め、定着してから範囲を広げます。

移す前に、業務を見える化し、やめる作業と残す作業を仕分けておきます(第7章)。

Q5. NetSuiteなど統合型のERPとは何が違いますか

UM SaaS Cloudは製造現場に強い特化型です。

NetSuiteは、会計まで含めた統合型です。

どちらが合うかは、課題の中心が「現場」か「全社」かで変わります。

詳しくはUM SaaS CloudとNetSuiteの違い・連携方法で扱っています。

Q6. AIは使えますか

生産計画を自動で作る「UM生産計画AI」があります。

納期・稼働率・リソース・リードタイムを考えて計画を作ると案内されています。

使える範囲や条件は、提供元で最新の情報を確認してください。

まとめ

  • UM SaaS Cloudは、シナプスイノベーションの製造業向けクラウドERP
  • 6つの製品を組み合わせて使う。会計は奉行クラウドと連携する形
  • 公式の料金例は月額50,000円(税抜)。年間契約で、検証用の環境の料金と個別見積の導入費用が加わる
  • 課題の中心が「現場」なら有力な候補。「全社」なら統合型も並べる
  • 製品を決める前に、見える化→整理整頓→Fit&Gapで業務を仕分ける

月額50,000円で選んでよいかは、困っている数字の置き場所で決まります。

まずは生産方式メモを1枚作り、その数字が現場にあるのか、全社にあるのかを確かめてください。

UM SaaS Cloudの導入そのものは、提供元の株式会社シナプスイノベーションへお問い合わせください。

もう少し詳しく知りたい方へ

製造特化型と統合型のどちらが合うか、中立の立場で一緒に整理します。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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