製造業向けERP15選|課題・できること・タイプ別の選び方を徹底比較【2026年版】

製造業の経営者の方から、よくこんな悩みをうかがいます。

  • 部門ごとに数字が合わない
  • 在庫を正確に把握できない
  • 売上は伸びているのに、利益が見えにくい

これらは特別な悩みではありません。多くの製造業で共通して起きていることです。

原因の多くは、受注・生産・購買・在庫・原価・会計といった業務が、部門ごとに別々のシステムやExcelで管理され、情報が分断されている点にあります。

こうした分断を整理する手段が、製造業向けERP(基幹システム)です。本記事では、製造業でERPが解決できる課題や基本機能、失敗しにくい選び方を整理したうえで、代表的な製造業向けERPを15製品紹介します。自社に合うERPの検討軸をつくるために、ぜひ参考にしてください。なお、製造業以外も含めた総合比較はERPを徹底比較を参照してください。

目次

製造業向けERPとは

製造業向けERPとは、製造業の業務フローに合わせて設計された基幹システムのことです。受注・生産・在庫・購買・原価・会計といった業務データを一つの仕組みで管理し、部門をまたいだ情報共有を可能にします。

ERP(Enterprise Resource Planning)は、日本語では「統合基幹業務システム」と訳されます。会社全体の業務を一つのシステムで見える化する仕組み、とイメージしてください。

製造業では、営業・製造・購買・経理がそれぞれ別のシステムやExcelで管理しているケースが多く見られます。その結果、同じ情報を何度も入力したり、数字が部門ごとに合わなかったりする問題が起きがちです。

一般的なERPと比べて、製造業向けERPには次のような機能が前提として組み込まれています。

  • 生産計画
  • 部品表(BOM:製品を構成する部品と数量の一覧)
  • 製造実績
  • 製品・部品ごとの原価管理

つまり製造業向けERPは、単なるITツールではありません。現場の業務と、経営の数字をつなぐ基盤だといえます。

製造業でERPが必要とされる背景と、解決できる課題

近年、製造業でERPの導入や刷新を検討する企業が増えています。背景には、現場と経営の両面に共通する課題があります。ここでは、その背景と、ERPで解決できる代表的な課題を整理します。

ERP導入が増えている3つの背景

1. システムの老朽化・分断

長年使ってきた生産管理や販売管理のシステムが、部門ごとに独立しているケースです。データ連携に手間がかかり、正確な経営数値をリアルタイムで把握しにくくなっています。

2. 人手不足と属人化

熟練担当者の経験や勘に頼った業務が多く、担当者が不在になると業務が止まることもあります。業務プロセスとデータの標準化が求められています。

3. 原価高騰と競争の激化

原材料費や外注費が上昇する中で、製品ごとの利益を正確に把握し、素早く価格や生産計画を見直す必要があります。

製造業でERPが解決できる主な課題

上記の背景のもとで、製造業の現場には共通した課題が生まれます。ERPが解決できる代表的なものは次の5つです。

部門ごとにデータが分断されている

営業は販売管理、製造は生産管理、経理は会計ソフト、現場はExcel。こうした分断があると、売上の数字が部門で合わない、在庫が最新か分からない、同じ情報を何度も入力する、といった問題が起きます。ERPはデータを一元化し、情報のズレや二重入力を減らします。

生産計画と在庫の精度が低い

在庫が多すぎて資金が寝る、必要な部品が直前で判明する、納期回答が経験頼みになる。ERPは受注・在庫・生産実績を連動させ、「今ある在庫で、いつ・どれだけ作れるか」を見える化します。

原価が見えず、利益が把握しにくい

「売上は伸びているのに利益が残らない」という悩みは、製品別・案件別の原価が正確に把握できていないことが原因の場合が多くあります。ERPは材料費・外注費・加工費を紐づけて管理し、製品ごとの利益構造を見えやすくします。

業務が属人化している

「この業務はあの人しか分からない」「Excelの計算式は作った本人しか触れない」。ERPで業務フローとデータを標準化すれば、誰が担当しても同じやり方で業務を回せる状態に近づきます。

経営判断が遅れる

売上・原価・在庫・生産状況がバラバラだと、集計に時間がかかり、数字が出たころには状況が変わっていることもあります。ERPはこれらをリアルタイムで集約し、判断のスピードを上げます。

製造業向けERPでできること(基本機能)

製造業向けERPは、製造業に関わる業務をまとめて管理する仕組みです。ここでは、多くの製品に共通する基本機能を整理します。

受注・販売管理

見積・受注・売上・請求といった販売情報を一元管理します。受注内容が生産・在庫・会計に自動連携するため、転記ミスや確認作業が減ります。

生産管理

生産計画の作成、製造指示の発行、作業実績の登録などを管理します。受注や需要予測をもとに計画を立てられるため、「作りすぎ」や「作れない」を防ぎやすくなります。

在庫管理

原材料・仕掛品・完成品の在庫をまとめて管理します。在庫数だけでなく、入出庫の履歴や使用先も追跡でき、欠品や過剰在庫の防止につながります。

購買管理

原材料や部品の発注・仕入を管理します。生産計画や在庫状況と連動し、「いつ・何を・どれだけ」発注すべきかを判断しやすくなります。

原価管理

材料費・加工費・外注費などを製品や案件ごとに集計します。標準原価と実際原価を比較することで、どこでコストが膨らんでいるかを把握しやすくなります。

品質管理

製品によっては、検査結果の記録、不良品の管理、ロットや履歴の追跡に対応した機能を備えるERPもあります。トラブル時の原因追跡がしやすくなります。

会計・経営管理との連携

販売・購買・生産のデータが会計情報と自動連携します。売上・原価・利益をリアルタイムに把握でき、経営判断のスピードと精度が向上します。

製造業のタイプ別に見るERPの選び方

製造業と一口にいっても、モノの作り方は会社ごとに大きく異なります。ERP選定で失敗しやすいのは、「有名だから」「高機能だから」と、自社の製造スタイルを確かめずに選んでしまうケースです。

まずは自社がどのタイプに近いかを整理したうえで、合ったERPを選ぶことが大切です。

組立製造業(部品を組み合わせて作る)

機械・装置メーカー、自動車部品メーカー、電子機器・精密機器メーカーなどが該当します。部品点数が多く、BOM(部品表)が複雑で、設計変更が頻繁に発生する点が特徴です。

選び方のポイントは次の通りです。

  • 部品表(BOM)を柔軟に管理できるか
  • 設計変更に強いか(履歴管理・切替管理)
  • 見込み生産・受注生産の両方に対応できるか

組立製造では「一部の変更が全体に影響する」ため、変更に強いERPかどうかが成否を分けます。

プロセス製造業(配合・連続生産)

食品メーカー、化学・医薬品メーカー、素材・原材料メーカーなどが該当します。配合比率で製品が決まり、ロット管理や期限管理が重要で、原材料の単位が複雑です。

選び方のポイントは次の通りです。

  • 配合表(レシピ)を管理できるか
  • ロット・賞味期限・使用期限を追跡できるか
  • 原材料単位(kg、Lなど)の変換に対応しているか

組立製造向けのERPをそのまま使うと「現場が回らない」ケースもあるため、注意が必要です。

受注生産・個別受注生産

装置産業、金属加工業、オーダーメイド製品メーカーなどが該当します。案件ごとに仕様が異なり、製番(案件単位)で管理したい、原価を案件別に把握したいというニーズが強いタイプです。

選び方のポイントは次の通りです。

  • 製番ごとに原価・進捗を追えるか
  • 見積〜受注〜生産〜売上まで一貫管理できるか
  • 途中の仕様変更に対応できるか

「製品単位」ではなく「案件単位」で管理できるERPを選ばないと、原価が見えず利益管理が難しくなります。

見込み生産が中心

消費財メーカー、量産型メーカーなどが該当します。需要予測が重要で、在庫リスクが大きく、生産量の調整が頻繁です。

選び方のポイントは次の通りです。

  • 需要予測をもとに生産計画を立てられるか
  • 在庫過多・欠品を防ぐ仕組みがあるか
  • 売れ行きに応じて柔軟に調整できるか

「在庫を減らしつつ、売り逃しを防ぐ」仕組みがあるERPが向いています。

クラウドERPとオンプレミスERP、どちらを選ぶか

製造業でERPを検討する際、クラウドとオンプレミスのどちらを選ぶかは重要な判断ポイントです。ここでは、メリット比較ではなく「どんな会社に向いているか」という視点で整理します。

クラウドERPが向いているケース

次の条件に当てはまる場合、クラウドERPの方が失敗しにくい傾向があります。

  • 基幹システムの老朽化を解消したい:サーバー管理や保守を自社で抱えなくてよいため、リプレイス時の負担を減らせます。
  • 将来の事業拡大や変化を想定している:拠点や工場の増加、海外展開やグループ管理を見込む場合、拡張・追加がしやすいのが強みです。
  • 経営数値をリアルタイムで把握したい:データが一元管理されるため、月次決算の早期化や経営判断のスピード向上につながります。
  • ERPを現場システムと切り離して考えたい:生産管理やMES(製造実行システム:現場の作業をリアルタイムに管理する仕組み)は専用システムを使う場合。ERPは会計・販売・在庫を中心にできます。クラウドERPは他システム連携が前提の設計が多く、役割分担しやすい傾向があります。

オンプレミスERPが向いているケース

一方、次のようなケースではオンプレミスERPが選ばれることもあります。

  • 業務フローが極めて独自:標準機能では対応できない工程が多く、システムを業務に細かく合わせたい場合。
  • ネットワーク制約やセキュリティ要件が厳しい:工場ネットワークが外部と分離されている、クラウド利用に制限がある業界・企業の場合。
  • 既存オンプレ環境の運用が確立している:社内に運用ノウハウやサーバー管理体制が整っている場合、無理に変えない選択も現実的です。

製造業向けERP15選を比較表で一覧

ここからは、代表的な製造業向けERPを15製品紹介します。まず全体像をつかめるよう、比較表で整理します。

製品ごとに得意領域が異なります。製品名の有名さではなく、自社の製造方式を起点に見てください。

製品(提供元)主な対応製造方式提供形態特に強い領域
Oracle NetSuite(Oracle)組立中心・受注/見込も対応クラウド複数拠点・複数事業の統合
SAP S/4HANA Cloud(SAPジャパン)組立・プロセス両対応クラウド多様な生産方式・大規模
mcframe 7 SCM(ビジネスエンジニアリング)生産・販売・在庫統合要確認サプライチェーン最適化
Infor SyteLine(インフォアジャパン)マルチサイト製造要確認多言語・多通貨・海外拠点
InfiniOne(FutureOne)組立(見込/受注)要確認組立・ファブレス・原価予実
FutureStage(日立システムズ)個別受注・自動車部品・金属加工要確認中堅中小・テンプレート・輸出入
BIZXIM製番(NTTデータ関西)受注/個別受注要確認製番管理・アフター保守
Ross ERP(日立システムズ)プロセス(化学・食品)要確認配合・ロット・期限管理
スーパーカクテルCore FOODs(内田洋行)プロセス(食品)要確認食品の販売/生産計画・賞味期限
STRAMMIC(ニッセイコム)マルチファクトリー要確認段階導入・協力工場連携
atWill(SCSK)製造全般要確認標準×拡張・周辺業務まで
アラジンオフィス(アイル)組立/加工/プロセス/ファブレス要確認中堅中小・短期導入
Dynamics 365 Business Central(Microsoft)組立・プロセス両対応クラウドMicrosoft 365連携・段階システム化
GRANDIT(インフォコム)組立・プロセス要確認日本型製造業務にフィット
生産革新シリーズ(大塚商会)組立・量産加工・配合・小ロットオンプレ中心(一部クラウド)中堅中小・5製品で全製造業をカバー

この表は概観です。実際の選定では、各製品の紹介と公式情報を確認してください。

Oracle NetSuite(Oracle)

NetSuiteは、クラウドネイティブで設計されたERPです。販売・購買・在庫・生産・会計を単一データベースで統合し、受注から製造、出荷、会計処理までを一気通貫で可視化できます。

複数拠点・複数事業を前提とした設計のため、工場や販社が増えてもマスタや数値を統一しやすく、成長フェーズの製造業に向いています。世界220地域・43,000社以上で利用され、190通貨・27言語に対応しています(出典:Oracle NetSuite公式、2026年4月以降の最新数値)。

製造業向けには、BOM管理、MRP(資材所要量計画)、生産進捗管理、原価管理を標準で備え、組立を中心に受注生産・見込生産の双方に対応します。SKU別・案件別の損益管理など、「現場の管理」と「経営判断」を同じ数字でつなげたい企業に適しています。API連携や拡張性も高く、MESやWMS(倉庫管理システム)など周辺システムと組み合わせて段階的に高度化できる点も評価されています。

SAP S/4HANA Cloud(SAPジャパン株式会社)

製造業の基幹業務を幅広く統合し、計画から実行までをつなげて管理できるERPです。組立製造・プロセス製造の双方に対応し、繰返生産・受注生産・リーン生産・カンバン方式など多様な生産方式を前提に設計されています。

提供形態はパブリッククラウド版とプライベートクラウド版があり、プライベートクラウド版では既存運用に合わせたカスタマイズが可能です。機能領域が広い分、要件整理の難易度が上がりやすいため、導入時はベンダー支援を含めた体制設計が重要になります。

詳しくは、SAPとは?機能・特徴・向いている企業規模・費用をわかりやすく解説【2026年版】もご覧ください。

mcframe 7 SCM(ビジネスエンジニアリング株式会社)

需給調整から生産計画、調達、製造、出荷までをカバーする生産・販売・在庫の統合システムです。複数拠点を束ねる管理基盤として利用でき、工場・倉庫・販社をまたいだサプライチェーン最適化に向きます。

現場の状況を把握しやすいダッシュボードや、タブレット・スマホでの不良状態の画像記録など、現場での使いやすさを意識した仕組みも用意されています。

NetSuiteとの比較は、mcframeとNetSuiteを比較|製造業基幹システムの選定ガイドもご覧ください。

Infor SyteLine(インフォアジャパン株式会社)

多言語・多通貨・マルチサイトに対応したグローバルERPパッケージです。海外拠点を含む複雑な製造体制を前提に据えており、拠点が増えるほど難しくなるデータ整合・手配連携・在庫の見える化に強みを持ちます。

ノンプログラミングのカスタマイズツールを搭載し、バージョンアップ後も設定を引き継げるため、改善のPDCAを回しやすい点が利点です。海外展開や拠点再編が見込まれる企業に向いています。

詳しくは、Inforとは?NetSuiteとの違いを製造業・グローバル展開の視点で比較【2026年版】もご覧ください。

InfiniOne 組立製造業向けERPソリューション(FutureOne株式会社)

組立製造業に軸足を置き、販売・購買・在庫・生産・原価・会計を一元化するソリューションです。見込生産・受注生産といった生産形態の違いを前提に機能が整理されています。

ファブレス型製造業にも対応し、外注管理の機能を備えます。見込生産では製品別、受注生産では案件別というように、生産形式に合った単位で収益を管理できる点が、経営管理まで見据えた運用に向きます。

NetSuiteとの比較は、mcframe・FutureStage・InfiniOneとNetSuiteの比較|製造業ERP選定で迷わないための4製品深掘りガイドもご覧ください。

FutureStage 製造業向け生産管理システム(株式会社日立システムズ)

中堅・中小規模企業のモノづくりの実態を想定した生産管理システムです。自動車部品製造、金属加工、一般機械(個別受注生産)向けなど、業種・業務形態に合わせたテンプレートが用意されています。

生産・原価・販売・購買・在庫管理に加え、輸出入管理やロットトレース管理を標準搭載します。MRPと製番管理を併用できる生産管理や、製番別の正確な原価計算など、現場で詰まりやすいポイントを狙って解消する機能が厚いのが特徴です。

詳しくは、mcframe・FutureStage・InfiniOneとNetSuiteの比較|製造業ERP選定で迷わないための4製品深掘りガイドもご覧ください。

BIZXIM製番(株式会社NTTデータ関西)

多品種少量生産に多い「受注生産」「個別受注生産」を中心に、製番管理を軸として業務を統合するERPソリューションです。引合の発生段階から見積・受注・出荷・売上・原価までを一気通貫で追えます。

アフターメンテナンスや定期点検のステータス、保守部品情報を製番情報と紐づけて管理できるため、販売後の対応品質を安定させたい企業にも向きます。Excelライクな操作性も備えています。

Ross ERP(株式会社日立システムズ)

化学品製造業や食品製造業といったプロセス製造に焦点を当てた基幹業務システムです。単位が複雑、配合・純度・特性が絡む、ロットや期限で追う必要がある、といった要件を前提に機能が設計されています。

食品業界向けにはロット単位での品目・消費期限・品質検査結果の管理、化学業界向けには多様な形態に対応する拡張単位変換などを搭載します。トレーサビリティや規格管理を強く求められる領域で検討対象になります。

スーパーカクテルCore FOODs(株式会社内田洋行)

食品製造業に特化した製販一体型の統合パッケージです。調達から生産、販売までの流れをつなぎ、業界特性を踏まえた販売計画・生産計画の作成を強みとしています。

賞味期限管理や店舗・帳合先管理、ハンディターミナルによる入出荷・検品など、食品業界特有の商慣習や現場オペレーションを効率化する機能が充実しています。

STRAMMIC(株式会社ニッセイコム)

生産管理を中心に据えた製造業向け基幹業務システムで、マルチカンパニー・マルチファクトリー対応を前提に設計されています。目的に応じて必要な機能から導入し、段階的に拡張できる点が特徴です。

所要量計算や補充計算をもとに生産指図や出荷指示を自動生成でき、自社工場だけでなく協力工場・外注先を含めた生産体制の効率化にも向いています。

atWill(SCSK株式会社)

製造業で蓄積された業務ノウハウをベースに構築された業務システムで、「標準×拡張」のバランスを重視した設計が特徴です。業態・業界別のテンプレート群と、ローコード開発基盤を組み合わせられます。

生産管理を中心に、販売・購買・在庫・品質・原価を一元管理できます。金型管理やアフターサービス、倉庫管理など、後回しにされがちな周辺業務まで含めて整理できる点が強みです。

アラジンオフィス(株式会社アイル)

中堅・中小製造業を中心に多数の導入実績を持つ販売・在庫・生産管理パッケージです。組立型・加工型・プロセス型・ファブレス型など、多様な製造業態を想定した標準機能を備え、比較的短期間での導入・定着を狙いやすい点が特長です。

部品表管理、工程進捗、所要量計算、原価・ロット・トレーサビリティ管理を標準でカバーし、外部会計やWMSとの連携実績も豊富です。

詳しくは、アラジンオフィスとは?機能・特徴・向いている企業(製造業・卸売業)と費用の考え方を解説もご覧ください。

Dynamics 365 Business Central(Microsoft)

販売・購買・在庫・生産・会計を統合管理できるクラウドERPで、製造業向けの生産管理モジュールを標準搭載しています。組立製造・プロセス製造の双方に対応し、見込生産・受注生産など複数の生産タイプを扱えます。

MPS/MRPによる生産・購買計画の自動立案や、BOM・工程のバージョン管理、リアルタイム原価計算などを押さえています。Microsoft 365やPower Platformとの親和性が高く、Excelベースの業務を段階的にシステム化したい企業に向いています。

詳しくは、Microsoft Dynamics 365とは?6つの製品・できること・費用・向いている企業を徹底解説もご覧ください。

GRANDIT(インフォコム株式会社)

複数のコンソーシアム企業のノウハウを集約して開発された、製造・販売・財務一体型のERPです。日本の製造業で多い生産形態を前提に、生産管理機能が細かく用意されています。

組立製造向けには製番別の都度手配にも対応し、繰返生産・個別生産・ハイブリッド生産を柔軟に扱えます。プロセス製造向けには配合表をもとにした消費量計算や代替原料を含むBOM管理を搭載します。日本型の製造業務にフィットするERPを重視したい企業に向いています。

詳しくは、GRANDITとは?機能・特徴・向いている企業・費用を徹底解説もご覧ください。

生産革新シリーズ(株式会社大塚商会)

大塚商会の「生産革新」は、製造業の業種・生産形態ごとに用意された生産管理システムのシリーズです。複数のパッケージで、幅広い製造業をカバーします。

主な製品は次の通りです(出典:大塚商会 ERPナビ)。

  • Fu-jin(風神):組立業向けの製販一気通貫型
  • Raijin(雷神):組立業向けの繰返&個別受注ハイブリッド型
  • Ryu-jin(龍神):自動車・電気部品・金属・樹脂・食品などの繰返・量産加工型
  • Blendjin(ブレンジン):配合業向け(化学・食品・化粧品など)
  • Wun-jin(雲神):多品種小ロット加工業向けのクラウド型
  • Bom-jin(ボムジン):設計部門向けの部品構成表(BOM)管理

自社の生産形態に合わせてパッケージを選べるため、組立・量産加工・配合・小ロットと、製造スタイルが明確な中堅・中小の製造業に向いています。

AIとの親和性で見る製造業ERPの選び方

近年のERP選びでは、「AIとの親和性」も重要な比較軸になっています。製品によって、AIの活かし方は大きく2つに分かれます。

ひとつは組込型AIです。ERPの中にAI機能があらかじめ組み込まれ、需要予測や異常検知などを標準で使えるタイプです。もうひとつは外部AI連携型です。ChatGPTやClaudeといった外部の生成AIと連携し、ERPのデータを使った対話や分析を行えるタイプです。

この観点で見ると、Oracle NetSuiteは「#1 AI Cloud ERP」を掲げ、両方の方向に対応している点が特徴です。組込型としては、SuiteConnect 2026で発表された複数のAI機能を備えます。外部AI連携型としては、AI Connector Service(MCP対応・Bring Your Own AI)を備えます。これにより、ChatGPTやClaudeなどの外部AIをERPに直接つなげられます(出典:Oracle NetSuite公式)。

AIとの親和性は製品ごとに差が大きい領域です。自社が「標準機能でAIを使いたい」のか、「使い慣れた外部AIをつなげたい」のかを整理したうえで、各製品の対応状況を確認することをおすすめします。

自社に合う製造業ERPの選び方【まとめ】

製造業向けERPは、受注・生産・在庫・購買・原価・会計といった基幹業務を一つの仕組みでつなぎ、部門間の情報ズレや二重入力、属人化を減らす土台になります。

ただし、ERP導入を成功させるには「有名だから」「高機能だから」で選ばないことが大切です。自社の製造スタイル(組立/プロセス/受注生産など)や、管理したい単位(製品別/製番別/ロット別)に合うかどうかを起点に比較しましょう。クラウドが向く企業もあれば、業務の独自性や制約からオンプレミスが現実的な企業もあります。

進め方としては、まず「解決したい課題」と「ERPに任せたい業務範囲」を整理します。そのうえで候補を2〜3製品に絞り込み、デモや導入パートナーの提案を比較するのが現実的です。

ここで、ベンチャーネットがお伝えしたいことがあります。ERPは、単なるIT導入ではありません。会社の情報を一つにつなぐ、経営基盤づくりです。だからこそ、製品の機能比較だけで決めるのではなく、「自社の経営をどう変えたいか」から考えることが、遠回りのようでいて近道になります。

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、中堅・中小企業のERP導入を支援しています。特に、既存ERPからのリプレイスを検討しており、社内にERP専任担当者を置きにくい企業に向いています。業務整理・To-Be設計・運用定着までを一貫して伴走する点に強みがあります。

「自社にはどのタイプが合うのか」「何から整理すればよいのか」と迷ったときは、お気軽にご相談ください。一緒に、御社にとって最適な進め方を考えさせてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 製造業向けERPは大企業向けで、中小の製造業には大げさではないですか?

会社の規模よりも、「部門ごとに情報が分断されているか」で考えるのが実態に合います。

近年はクラウド型ERPが増え、中堅・中小の製造業でも導入しやすくなっています。むしろ、拠点や品目が増えて業務が複雑化する前に基盤を整える方が、後の負担は小さくなります。

Q2. 何から検討を始めればよいですか?

最初から製品を比較するより、自社の課題がどこにあるかを整理するのが先です。

在庫なのか、原価なのか、部門連携なのか。課題が見えてくると、必要な機能と合う製品が絞り込めます。本記事の「タイプ別の選び方」と「比較表」が、その整理の入口になります。

Q3. 製造業のERP導入で失敗しやすいのはどんなケースですか?

「有名だから」「高機能だから」で、自社の製造方式を確かめずに選んでしまうケースです。

組立・プロセス・個別受注では、必要な機能が大きく異なります。自社のタイプに合わない製品を選ぶと、現場が回りません。導入段階の失敗パターン全般は、ERP導入はなぜ失敗するのか|リプレイスで同じ轍を踏まないための進め方で詳しく解説しています。

Q4. クラウドとオンプレミス、どちらを選べばよいですか?

保守負担を減らし将来の拡張に備えたいならクラウド、独自工程やネットワーク制約が強いならオンプレミスが候補になります。

本記事の「クラウドERPとオンプレミスERP、どちらを選ぶか」で、向いているケースを整理しています。多くの中堅・中小の製造業では、保守を自社で抱えなくてよいクラウド型が選ばれやすい傾向があります。

製造業のERP選びでお困りの方へ

自社に合う製造業向けERPを選ぶには、製品の比較だけでなく、自社の課題と「任せたい業務範囲」の整理が欠かせません。ベンチャーネットは、その整理から導入後の運用定着まで伴走します。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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