UM SaaS CloudとNetSuiteの違い・連携方法|製造業のERP選び方を専門パートナーが解説

「うちは製造業だから、生産管理に強いUM SaaS Cloudで決まりだ」

そう考えて比較を始める会社は、少なくありません。

半分は正しく、半分は早すぎます。

UM SaaS Cloudとは、シナプスイノベーションが提供する製造業向けのクラウド生産管理です。

NetSuiteとは、Oracleが提供する全業種向けのクラウドERPです。

UMは工場の中から、NetSuiteは会社の数字の側から組み立てる製品で、得意な範囲が違います。

だから選択肢は2つではなく、UM単独・NetSuite単独・両方の併用の3つになります。

決め手は製品の良し悪しではなく、自社がシステムに一番任せたい範囲です。

では、その範囲はどこで線を引けばよいのか。

手がかりは、工場の中より、月末の締めにあります。

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、UM SaaS Cloudのパートナーでもあります。

どちらかに寄せない立場から、選ぶ前に決めることを書いていきます。

目次

この記事で分かること

  • UM SaaS CloudとNetSuiteの、得意な範囲とお金のかかり方の違い
  • 「UM単独・NetSuite単独・併用」のどれが合うかを決める条件
  • いまUMやNetSuiteを使っている会社が、見直すときの順番
  • 選ぶときによくある失敗3つと、その避け方
  • 今日1時間でできる、自社の棚卸しの方法

言葉の整理:ERPは、会計・販売・在庫などの基幹の業務を一つのデータでつなぐ仕組みです。

生産管理は、生産の計画・工程の進み具合・実績などを管理する仕組みです。

各製品の詳しい説明は、次の記事で扱っています。

まず押さえる違い|「現場の生産管理」か「会社全体の基幹」か

2つの製品は、同じ「クラウドERP」と呼ばれることがあります。

ただし、出発点が違います。

比較の軸UM SaaS CloudNetSuite
提供元シナプスイノベーション(国内)Oracle(米国)
出発点製造の現場の工程・実績の管理会計を中心とした会社全体の基幹
製品の構成6製品を組み合わせる一つの基盤にモジュールを足す
会計外部の会計システムと連携本体に会計を持つ
海外・多通貨公式サイトで大きく打ち出してはいない190通貨・27言語に対応
料金の公開公式サイトに料金の例あり構成ごとの見積り

UM SaaS Cloudは、次の6製品で構成されています(出典:UM SaaS Cloud公式、2026年9月確認)。

  • UM工程進捗・UM販売購買・UMガント
  • UM生産計画AI・UM原価・UM EDI

対応する生産方式として、個別受注生産・受注生産・見込み受注生産・見込み生産が挙げられています(同)。

NetSuiteは、世界220地域・44,000社以上で使われています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月時点)。

会計・販売・購買・在庫・CRM・ECを、一つの基盤で扱います。

UMは工場の中から、NetSuiteは会社の数字の側から組み立てる。

どちらが上かではありません。

どこから始めたいかで、向き不向きが決まります。

得意な領域と、選ぶ前に見る点

業務の領域UM SaaS Cloudの長所NetSuiteの長所選ぶ前に見る点
工程の進み具合・実績の入力現場向けの製品(UM工程進捗)がある標準の製造の機能で対応現場の入力の細かさが、どこまで要るか
生産の計画UM生産計画AI、UMガント標準の機能で対応計画を人が立てるか、システムに任せるか
販売・購買・在庫UM販売購買(Salesforce基盤)複数の拠点の在庫を一元管理製造以外の事業(卸など)があるか
会計・決算外部の会計システムと連携本体で会計まで一気通貫会計をどのシステムで締めるか
グループ・海外国内の工場の運用が中心190通貨・27言語3〜5年後に海外の拠点を持つか

UM販売購買は、Salesforceの基盤の上にデータを持ちます(出典:UM SaaS Cloud公式、2026年9月確認)。

提供元は、基盤について「15万社以上が利用するSalesforce基盤」と説明しています(同)。

これはSalesforceの利用社数で、UM SaaS Cloudの導入社数ではありません。

UMの導入実績の数は、提供元に聞いてください。

公式サイトには、業種別の導入事例が載っています。

NetSuiteの製造の機能の詳細は、NetSuite製造業向け導入ガイド|生産管理・原価管理・在庫管理の解決策【2026年版】で扱っています。

併用するときの役割分担(例)

併用を考えるなら、業務ごとに「どちらが元のデータを持つか」を先に決めます。

次の表は、一つの考え方の例です。自社の業務に合わせて変えてください。

データ・業務持ち主の例もう一方の役割決めておくこと
品目・部品表NetSuiteUMへ送って使う品目のコードの桁と付け方
取引先NetSuiteUMへ送って使う新しい取引先を誰が登録するか
受注NetSuiteUMで生産の指示に使う受注の変更をどう伝えるか
生産計画・工程の実績UM完成の数だけNetSuiteへ送る単位(日ごと・指示ごと)
在庫の数どちらか一方に決める片方は参照だけ二重に持たないこと
原価・仕訳NetSuiteUMの実績を元に計算締めの日と、遅れて届く実績の扱い

とくに在庫を両方で持つと、月末に数字が合わなくなります。

「在庫の正しい数はどちらにあるか」を一つに決める。

併用は、そこから始まります。

持ち主と受け渡しを図にすると、次のとおりです。

併用するときのデータの持ち主(例) 例として、品目・取引先・受注・原価と仕訳はNetSuiteが持ってUMへ送り、生産計画と工程の実績はUMが持って完成の数をNetSuiteへ送る。在庫の数はどちらか一方に決める。 併用するときのデータの持ち主(例) NetSuiteが持つ 品目・部品表/取引先/受注 原価・仕訳(UMの実績を元に計算) 品目・取引先・受注 完成の数 UMが持つ 生産計画・工程の実績 在庫の数は、どちらか一方に決める 両方で持つと、月末に数字が合わない 自社の業務に合わせて変える、一つの例
併用するときのデータの持ち主(例)

AIとの親和性|「現場のAI」と「会社全体のAI」

AIの使い方にも、出発点の違いが出ます。

AIの観点UM SaaS CloudNetSuite
製品に組み込まれたAIUM生産計画AI(生産計画の自動作成)決算・銀行の照合・レポートの説明文などのAI機能
外部のAIとの接続公式サイトでは詳しい記載を見つけられずAI Connector Service(MCPに対応)
AIが使えるデータの範囲製造の現場のデータが中心会計から販売・在庫まで会社全体

UM生産計画AIは、納期・稼働率・リソースの条件・リードタイムを考え、生産計画を自動で作ります(出典:UM SaaS Cloud公式、2026年9月確認)。

公式サイトは、UM SaaS Cloudを「自律型AIを活用できる基盤」とも説明しています(同)。

NetSuiteは、2026年2月11日のSuiteConnectで8つのAI機能を発表しました(出典:NetSuite公式発表、2026年9月確認)。

Intelligent Close Manager(決算の進み具合を見る機能)や、AIによる銀行取引の照合などです。

一部の機能は米国のみ、レポートの説明文は英語から、とされています(同)。

MCPは、外部システムのデータをAIが使うための、共通の接続方式です。

NetSuiteのAI Connector Serviceは、MCPに対応したAIから使えます。

例として、Claude Pro以上やChatGPTが挙げられています(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)。

この機能自体は有料ではなく、AI側の有料プランが要ることがあります(同)。

管理者のロールでは使えず、ロールの権限の範囲で動きます(同)。

AIを工場の計画に使いたいならUM、経営の数字に使いたいならNetSuiteが近い。

これは公式の記載ではなく、ベンチャーネットの見方です。

どちらを選んでも、AIの前に整えること

元のデータが整っていなければ、AIの機能は役に立ちません。

製品を選ぶ前から、次の3つを整えておくと、どちらを選んでも効きます。

  • 実績をその日のうちに入れる:翌日にまとめて入れると、AIの計画や予測が1日遅れる
  • 品目のコードを一つにそろえる:同じ部品に別のコードがあると、AIが別の物として扱う
  • 理由を記録する:計画を変えた理由や遅れの原因を選択肢で残すと、後でAIが傾向を読める

生産計画のAIも、経営の数字を問うAIも、読むのは日々の記録です。

お金のかかり方|月額の数字だけで比べない

観点UM SaaS CloudNetSuite
月額の出発点最小構成で月50,000円から(税抜)ミニマム構成で月額20万円〜
出発点で使える範囲基本パック+1製品(現場の管理)会計を中心とした基幹の一式
広げるときの費用製品ごと、10IDごとに追加モジュール・ユーザー数・オプションで変わる
契約・導入の費用年間契約。導入は個別見積り構成ごとの見積り。導入は構成・要件で変わる

UMの基本パック(Business Edition)は、月35,000円です(出典:UM SaaS Cloud公式、2026年9月確認)。

10ID分で、管理者の1IDを含みます(同)。

UM工程進捗・UM販売購買は、それぞれ10IDで月15,000円です(同)。

最小構成は月50,000円からで、税抜・年間契約です。検証用の環境の料金も要ります(同)。

NetSuiteは、ミニマム構成で月額20万円〜が出発点です。

モジュール・ユーザー数・オプションで変わり、数百万円規模になることもあります。

料金の考え方はNetSuiteの料金・費用・ライセンス体系を徹底解説【2026年最新版】で扱っています。

「UMは月5万円、NetSuiteは月20万円。なら安いほうで」

この比べ方は、出発点で使える範囲の違いを見落としています。

UMの月5万円は現場の管理の出発点で、会計は別のシステムになります。

NetSuiteの月20万円〜は、会計を含む基幹の出発点です。

比べるときは「会計システムの費用」と「つなぐ費用」も足して、同じ範囲で並べます。

月額の出発点は、使える範囲が違う UMは最小構成で月50,000円から(税抜・年間契約)で、現場の管理の出発点。会計は別になる。NetSuiteはミニマム構成で月額20万円〜で、会計を含む基幹の出発点。UMの側に会計システムの費用とつなぐ費用を足し、同じ範囲で比べる。 月額の出発点は、使える範囲が違う UM SaaS Cloud 月50,000円から 最小構成・税抜・年間契約 現場の管理の出発点。会計は別 NetSuite 月額20万円〜 ミニマム構成 会計を含む基幹の出発点 UMの側で足して比べるもの 会計システムの費用+つなぐ費用 同じ範囲にそろえて比べる
月額の出発点は、使える範囲が違う

両製品とも、デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)の対象になる場合があります。

対象かどうかは、申請の時点の登録の状況で決まります。

詳しくは【2026年版】デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)でNetSuiteを導入する方法|対象・枠・申請の流れを解説をご覧ください。

同じ範囲にそろえて比べる

次の表の空欄を、見積りの数字で埋めてみてください。

費用の項目UM単独NetSuite単独併用
生産管理と会計・販売の利用料UMの利用料+別の会計システムNetSuiteの利用料UMとNetSuiteの両方
つなぐ仕組みUMと会計システムの連携要らないことが多いUMとNetSuiteの連携の開発
つなぐ仕組みの保守小さい小さい仕様の変更のたびに要る
導入の支援UM側の導入NetSuite側の導入両方の導入と、つなぐ設計

併用は、両方の長所を取れる一方で、つなぐ仕組みの費用と保守が増えます。

その増えた分より、現場と会計の両方がよくなる価値が大きいか。そこで判断します。

導入の費用と期間を左右する4つの要因

月額よりも総額を大きく動かすのは、導入の中身です。

ベンチャーネットが導入を支援してきた中で、差を生む要因は4つあります。

  • 機能範囲:生産管理だけか、販売・在庫・会計まで入れるか
  • 開発:とくに外部システムとの連携。併用はここが増える
  • 社内の体制:情報システムの担当が少ないと、支援を厚くし、期間も延びやすい
  • ユーザー数:受入テストと教育の工数、社内の調整の時間

UM単独・NetSuite単独・併用のどれを選ぶかは、とくに「開発」の重さを変えます。

判断の物差し|3つの選択肢と、それ以外が合う場合

UM単独・NetSuite単独・併用を分ける2つの問い 月末の数字をどこで締めるかを先に決める。いまの会計システムに残すならUM単独。ERPで締めるなら、現場の細かな工程管理が要るかで、NetSuite単独か併用かに分かれる。 単独か併用かを分ける2つの問い 問い1 月末の数字をどこで締めるか いまの会計システム ERPで締める UM単独 会計とはつないで使う 問い2 現場の細かな 工程管理が要るか 標準で足りる 要る NetSuite 単独 併用 海外の拠点が見えていれば、問い1は 「ERPで締める」に寄る
UM単独・NetSuite単独・併用を分ける2つの問い

冒頭で書いた「月末の締め」の手がかりが、この図の問い1です。

会計をいまのシステムに残すならUM単独。

ERPで締めるなら、現場の工程管理の細かさでNetSuite単独か併用かに分かれます。

UM SaaS Cloud単独が合う会社

  • 国内の工場が中心で、海外の拠点を持つ予定が当面ない
  • 困りごとの中心が、工程の進み具合と現場の実績の入力にある
  • 会計は、いまの会計システム(奉行クラウドなど)で困っていない
  • 小さく始め、製品を足しながら広げたい

UMは、仕訳を勘定奉行クラウドへ連携できるとしています(出典:UM SaaS Cloud公式、2026年9月確認)。

債権・債務も、債権奉行クラウド・債務奉行クラウドへ連携できます(同)。

奉行シリーズを使っている会社には、つなぎ方が見えやすい組み合わせです。

NetSuite単独が合う会社

  • 複数の拠点や海外の子会社があり、グループの数字をまとめたい
  • 製造に加えて、卸・販売など複数の事業を持っている
  • 会計・販売・在庫を一つのデータにし、月次決算を早めたい
  • 現場の管理は、標準の機能と少しの工夫で足りる

両方の併用が合う会社

  • 現場の細かな工程の管理と、グループの会計の一元化の両方が要る
  • いまUMを使っていて、会計・海外でNetSuiteを足したい
  • いまNetSuiteを使っていて、工程の管理だけ現場向けの仕組みを足したい
  • 2つのシステムをつなぐ設計と保守に、予算と人を割ける

UMの公式サイトのソリューションの一覧には、NetSuiteとの連携の記載はありません(2026年9月確認)。

併用する場合は、つなぎ方を個別に設計する前提で考えてください。

どちらでもない方が合う場合

UMもNetSuiteも合わない会社もあります。

状況合いやすい選択肢
業種の商習慣に深く合わせた国産の製造業ERPを求める国産の製造業向けERP(製造業向けERP15選で比較)
費用を抑え、機能を自社で選んで組み立てたいOdoo(Odooとは?)
自社独自の工程が強みで、パッケージに合わせられないAIスクラッチ開発(必要な部分だけ作る)
困りごとがまだ見えていない、件数が少ないいまは入れない。表計算と業務の見直しから始める

何を任せたいかが決まらないまま入れると、どの製品でもつまずきます。

「いまは入れない」も、一つの判断です。

架空の3社で考える

判断の流れをつかむため、架空の3社で考えてみます(数字はすべて架空です)。

会社状況合いやすい選択理由
A社(金属加工・従業員60人)国内1工場。会計は奉行クラウドで困っていない。工程の実績が紙UM単独困りごとが現場に集中し、会計はつなげば足りる
B社(部品製造・従業員200人)国内2工場と海外の販売子会社1社。連結を表計算で作成NetSuite単独会計とグループの数字が最大の困りごと
C社(装置製造・従業員300人)個別受注で工程が複雑。海外の子会社の設立を予定併用現場の細かさと、会計の一元化の両方が要る

同じ製造業でも、困りごとの場所で答えが変わります。

読者の二つの立場

これから選ぶ製造業

次の順番で決めると、迷いが減ります。

  1. 会計をどこで締めるかを決める(いまの会計システムを残すか、ERPに移すか)
  2. 3〜5年後の拠点の数と国を書き出す
  3. 現場の入力の細かさを決める(工程ごとか、作業指示ごとか)
  4. 1〜3から、単独か併用かを決める
  5. 候補の製品のデモで、自社の実際の帳票を使って試す

いまUM SaaS Cloudを使っていて、見直しを考える会社

まず、困りごとがどこで起きているかを分けます。

  • 現場の入力や工程の管理の困りごと → UMの設定・運用の見直しで解ける可能性が高い
  • 会計・グループの数字の困りごと → 会計側の見直し。NetSuiteの追加(併用)が候補
  • 海外の拠点の困りごと → NetSuiteへの一本化か併用を検討

「全面移管」「会計だけ移す併用」「UMのまま運用を直す」の3つを並べて比べます。

UMは年間契約のため、契約の更新の時期から逆算して検討を始めてください。

いまNetSuiteを使っていて、現場の管理に不満がある会社

「NetSuiteは製造の現場に合わない」と決める前に、次を見ます。

  • 標準の製造の機能を、どこまで設定したか
  • 現場の入力が細かすぎる要求になっていないか
  • 足りない部分が、開発で補える範囲か

それでも足りない場合に、現場向けの仕組みを足す併用を考えます。

NetSuiteの高度な製造の機能は、NetSuite Advanced Manufacturing(高度製造)とはで扱っています。

替えるか、足すか、直すかのチェック表

いま使っている会社は、次の表で当てはまるものに印を付けてください。

当てはまること示す方向
月末の締めで、生産と会計の数字の突き合わせに毎月数日かかる会計を一つにする(NetSuite・併用)
海外や国内の別の拠点の数字を、表計算でまとめているNetSuite・併用
現場の入力が遅れ、工程の進み具合が当日に分からない現場向けの仕組みの見直し(UM・併用)
困りごとの多くが、設定や運用のルールで説明できる替えずに運用を直す
システムを見る人が社内に1人もいない仕組みを増やさない。単独を優先

印が「替えずに運用を直す」に集まるなら、製品を替える前にやることがあります。

製品の限界か、使い方の問題か。見直しは、そこを分けることから始まります。

併用や移行を決めた後の進め方

順番やることつまずきやすい点
1品目・取引先・勘定科目のコードを見直してそろえる2つのシステムでコードの桁や付け方が違う
2データの持ち主と、送る単位・時期を決める在庫を両方で持ってしまう
3会計を切り替える時期を決める期の途中で切り替え、比べる数字がそろわない
4つなぐ仕組みを作り、少ない品目で試す例外の取引(返品・やり直し)を試していない
5古い仕組みと並べて動かし、数字を突き合わせる並べる期間を取らずに切り替える
6稼働後の保守の担当を決める誰も面倒を見ない連携が残る

会計の切り替えは、期首に合わせるのが分かりやすい方法です。

期の途中で切り替える場合は、前の期間の数字の持ち方を会計士・税理士と決めておきます。

データの移し方は、基幹システムのデータ移行ガイド|進め方・注意点・失敗しない計画の立て方で扱っています。

よくある失敗3つ

失敗1:「製造業だからUM」と早く決め、会計と海外で行き詰まる

起きること:導入後に海外の子会社や連結の要件が出て、別のシステムが要る。生産・販売と会計の数字が別々になる。

原因:いまの現場の困りごとだけで選び、3〜5年後の会社の形を考えていなかった。

避け方:選ぶ前に会計と拠点の将来を書き出します。

海外や複数の事業が見えているなら、最初から併用かNetSuiteを候補に入れます。

失敗2:「世界で使われているから」でNetSuiteを選び、現場で作り込みが膨らむ

起きること:工程の細かな管理やハンディの入力を、追加の開発で再現しようとする。費用が見込みを超える。

原因:現場の運用の細かさを、どこまで標準で受けるか決めずに進めた。

避け方:現場の要求を一つずつ、標準に合わせる・開発する・残すの3つに分けます。

「残す」には、UMのような現場向けの仕組みに任せることも含みます。

「残す」が多いなら、併用のほうが安く済むことがあります(第8章)。

失敗3:併用を決めたのに、データの受け渡しを後回しにする

起きること:品目や取引先のコードが2つのシステムで合わない。月末に数字の突き合わせが増える。

原因:製品を先に決め、どちらが何の元データを持つかを決めていなかった。

避け方:併用なら、最初にマスタの持ち主を決めます。マスタは品目・取引先などの元データのことです。

つなぐ方法は、API・iPaaS(システム同士をつなぐクラウドのサービス)・個別の開発の3つが考えられます。

iPaaSの例はCeligoとは|NetSuite連携を加速するiPaaSの機能と日本での使い方で扱っています。

ベンチャーネットならこう見る

ベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。

UMとNetSuiteの比較でも、製品の説明から入りません。

先に、いまの業務を見える化します。

型1:見える化→整理整頓→Fit&Gap

  1. 見える化:工程の実績・在庫・月末の締めが、いま誰の手でどう流れているかを描く
  2. 整理整頓:紙の日報の転記や、二重に持っている在庫表など、やめる作業を決める
  3. Fit&Gap:残った業務を、UMとNetSuiteのそれぞれの標準機能と照らし合わせる

Fit&Gapは、業務と機能の合う・合わないを一つずつ見る作業のことです。

2段目で作業を減らしてから照らし合わせると、「単独で足りるか」がはっきりします。

ベンチャーネットの進め方:見える化→整理整頓→Fit&Gap→3つの選択 業務の見える化、整理整頓、移る先の製品の標準機能とのFit&Gap、そして標準に合わせる・開発する・残すの3択で決める。 ベンチャーネットの進め方業務の見える化いまの業務フローを現場に聞いて描く整理整頓やめる・まとめる・そろえる業務を決めるFit&Gap移る先の製品の標準機能と照らし合わせる3つの選択標準に合わせる/開発する/残す製品が決まっていても、見える化から始める
ベンチャーネットの進め方:見える化→整理整頓→Fit&Gap→3つの選択

型2:標準に合わせる/開発する/残す

Fit&Gapで合わなかった業務は、3つのどれかに決めます。

  • 標準に合わせる:業務のほうを、選んだ製品の標準機能に寄せる
  • 開発する:足りない部分を、追加の開発や連携で補う
  • 残す:その業務は、いまの仕組みや現場向けの別の仕組みで続ける

NetSuite単独で「開発する」が膨らむなら、失敗2の形です。

その業務をUMに「残す」併用のほうが、総額は小さくなることがあります。

逆に「残す」が会計や在庫に及ぶなら、つなぐ仕組みの保守が重くなります。

型2で業務を仕分けると、単独か併用かが、費用の見込みと一緒に見えてきます。

最初の打ち合わせで伺うのは、次の3つです。

  • 月末の数字を、どのシステムで締めたいか
  • 3年後に、工場と拠点はいくつあるか
  • 2つのシステムを保守する人がいるか

ベンチャーネットは、NetSuiteの側の設計と、2つをつなぐ設計を担います。

UMの機能の最新情報は、提供元のシナプスイノベーションに聞くのが確実です。

パートナーを選ぶときに聞くこと

候補のパートナーには、次の3つを聞いてみてください。

  • 「UM単独・NetSuite単独・併用のうち、うちにはどれが合わないと思いますか」
  • 「併用なら、在庫と品目の元データを持たせるのはどちらか」
  • 「つないだ後の保守は、誰がどこまで見ますか」

1つめに正直に答えられるかで、売り込みか、判断の手伝いかが分かります。

パートナーの選び方は、NetSuiteパートナー一覧と選び方でも扱っています。

今日できること|「任せたい範囲」を1枚に書く

1時間あれば、次の表を埋められます。

業務いまの仕組みと困りごと3年後に要ること任せたい先(UM/NetSuite/未定)
(例)工程の実績紙の日報を表計算に転記。入力が翌日になる当日中に進み具合を見たいUM
(例)月次決算会計ソフト。締めに10日かかる子会社と合わせて締めたいNetSuite

生産計画・工程の実績・在庫・販売・購買・原価・会計・連結の順に書きます。

右端の列がUMに集まればUM単独、NetSuiteに集まればNetSuite単独、分かれれば併用が候補です。

「未定」が多いなら、製品を選ぶ前に業務の見える化が先です。

よくある質問

Q1. UM SaaS CloudとNetSuiteの一番の違いは何ですか

出発点が製造の現場か会社全体の基幹かの違いです。

UMは工程・実績など現場の管理から始まり、会計は外部のシステムとつなぎます。

NetSuiteは会計を中心に、販売・在庫・CRMまで一つの基盤で扱います。

Q2. 製造業ですが、NetSuiteを選んでもよいですか

会計・グループ・海外まで一つにしたいなら有力な候補です。

ただし、現場の細かな入力を最も重く見るなら、併用も比べてください。

「製造業だからUM」と決めつけず、任せたい範囲で決めます。

Q3. UM SaaS CloudとNetSuiteは、つないで使えますか

つなげますが個別の設計が前提です。

UMの公式サイトのソリューションには、奉行シリーズとの連携は載っていますが、NetSuiteとの連携の記載はありません(2026年9月確認)。

品目・取引先などの元データの持ち主を、最初に決めてください。

Q4. 料金はどのくらい違いますか

UMは月50,000円から(税抜)です。NetSuiteはミニマム構成で月額20万円〜です。

ただし、出発点で使える範囲が違います。

UMは会計が別になるため、会計とつなぐ費用も足して、同じ範囲で比べてください。

導入の総額は、機能範囲・開発(特に外部連携)・社内の体制・ユーザー数で大きく変わります(4-2)。

Q5. いまUMを使っています。NetSuiteへ移るべきですか

困りごとが会計・グループ・海外にあるなら検討する価値があります。

現場の入力の困りごとなら、UMの運用の見直しで解けることが多いです。

「全面移管」「会計だけ移す併用」「UMのまま直す」の3つを並べて比べます。

Q6. 併用すると、システムの保守は大変になりますか

つなぐ仕組みの保守が増えます。

どちらかの製品の更新や、品目のコードの変更のたびに、つなぐ仕組みの点検が要ります。

NetSuiteの大きなリリースは年2回で、数か月かけて段階的に更新されます(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)。

更新の前に、つなぐ仕組みを試す手順を決めておくと安心です。

Q7. AIを使いたい場合、どちらが向いていますか

工場の計画ならUM・経営の数字ならNetSuiteが近いです。

UMには生産計画を自動で作るUM生産計画AIがあります。

NetSuiteは、MCPに対応した外部のAIから会社全体のデータを使えるAI Connector Serviceを提供しています。

まとめ

  • UMは製造の現場から、NetSuiteは会社の数字から組み立てる製品
  • 選択肢はUM単独・NetSuite単独・併用の3つ。どちらでもない選択肢もある
  • 分かれ目は、月末の数字をどこで締めるかと、現場の工程管理の細かさ
  • 月額は使える範囲をそろえて比べ、総額は4つの要因で見る
  • 併用するなら、元データの持ち主を最初に決める

「製造業だからUM」の前に、月末の締めをどのシステムでしたいかを、経理と話してみてください。

その答えが、3つのどれを選ぶかの出発点になります。

もう少し詳しく知りたい方へ

UMとNetSuiteのどちらが合うか、併用がよいか。

ベンチャーネットは、特定の製品に誘導しない立場で、判断のお手伝いをしています。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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