「業種に強い国産ERPなら、うちの業務もそのまま動くはずだ」
GRANDITを候補に入れた会社から、よく聞く期待です。
半分は当たっています。
GRANDIT(グランディット)とは、複数の企業が共同で開発した純国産のERPパッケージです。
ブラウザだけで使える「完全Web-ERP」で、導入実績は1,500社以上です(出典:GRANDIT公式サイト、2026年9月確認)。
ERPは、会計・販売・在庫・人事などの基幹業務を、1つの仕組みでつなぐシステムを指します。
GRANDITが合いやすいのは、日本の業務の型を生かしつつグループ経営や海外取引にも広げたい中堅企業です。
業務を世界共通の標準に寄せたい会社は、他の製品も並べて比べる価値があります。
残りの半分は、「そのまま動く」かどうかです。
業種に対応していることと、自社の業務が標準の機能で回ることは、同じではありません。
では、標準で回る割合は、どう測ればよいのか。
この記事で分かること
- GRANDITの特徴(コンソーシアム方式・完全Web-ERP・標準で統合された機能)
- モジュールの構成と、3つの提供形態の選び方
- 向いている会社・向いていない会社と、他の選択肢の合う条件
- 「標準で回る割合」を、見える化から測る進め方
(読了時間の目安:約10分)
GRANDITとは
コンソーシアム方式で作られた国産ERP
GRANDITの最大の特徴は、コンソーシアム方式で開発されている点です。
複数の企業が業務の知恵を持ち寄り、共同で製品を作る開発のやり方を指します。
公式サイトでは、複数のシステム企業の技術とノウハウを集めたERPと説明されています(出典:GRANDIT公式サイト、2026年9月確認)。
各業種に通じた企業の知見が入るため、幅広い業種・業務に対応しやすい設計です。
最新のバージョンは「GRANDIT V4」です(出典:同上)。
3つの提供形態
GRANDITには、大きく3つの提供形態があります。
| 形態 | 中身 | 向く会社 |
|---|---|---|
| オンプレミス型のGRANDIT | 自社の環境に構築する従来の形 | 要件に合わせて柔軟に作りたい。自社でサーバーを持てる |
| GRANDIT miraimil(ミライミル) | クラウドで使うSaaS型。業種の商習慣をパターン化し、搭載機能をそのまま使う形 | 標準の機能に合わせ、短い期間・低い費用で始めたい |
| GRANDITクラウド | GRANDITの機能をクラウドで提供。カスタマイズにも対応 | クラウドにしたいが、自社の強みの作り込みも残したい |
オンプレミスは自社設置型、SaaSは完成したソフトをネット経由で使う形のことです。
GRANDITクラウドは、2026年6月に提供開始が発表された新しい形です。
発表では、次の3つの特長が挙げられています(出典:GRANDIT公式サイト ニュース、2026年6月4日、2026年9月確認)。
- IT部門を運用の業務から解放し、IT戦略の業務へのシフトを支える
- クラウドサービスの制約を解消し、会社独自の強みを生かす柔軟なカスタマイズに対応する
- 導入から保守・運用までの窓口を一本化し、見えにくい管理の費用を減らす
miraimilとGRANDITクラウドの細かな使い分けは、提供元に聞いてください。
GRANDITの3つの特徴
業種への対応力
複数のパートナー企業が、業務の知恵を持ち寄って開発しています。
製造・流通・サービスなど、さまざまな業種の業務に対応しやすいのが強みです。
完全Web・オールインワンの統合設計
基幹業務に加え、次の機能を標準で統合しています(出典:GRANDIT公式サイト 製品情報、2026年9月確認)。
- ワークフロー:伝票やマスタの承認を電子化する
- EDI:企業の間で取引データをやり取りする仕組み
- EC:BtoB(企業間)の受発注に対応する
- BI:蓄積したデータを経営の判断に生かす分析の機能
- 自動スケジューラ:決まった処理を、決まった時刻に自動で動かす
- 内部統制への対応:承認や操作の記録で、統制を支える
標準で統合された機能を図にすると、次のとおりです。
最初から1つにまとまっているため、別々のシステムをつなぐ手間を減らせます。
マルチカンパニー・海外対応
マルチカンパニーとは、複数のグループ会社を1つのシステムで扱えることです。
データは会社ごとに分けて持てます。
グループ全体の管理と、個社の運用を両立しやすい作りです。
多言語・多通貨にも対応しています(出典:GRANDIT公式サイト 製品情報、2026年9月確認)。
海外取引の受注・売上、発注・仕入、船積書類の作成の機能もあります(出典:GRANDIT公式サイト 販売・調達在庫・製造の機能、2026年9月確認)。
GRANDITの機能|モジュールの構成
GRANDITは、業務の領域ごとのモジュールで構成されています。
公式サイトでは、次のまとまりで紹介されています(出典:GRANDIT公式サイト 製品情報、2026年9月確認)。
| まとまり | 主な業務 |
|---|---|
| 販売・調達在庫・製造 | 受注・出荷・請求、発注・入荷・在庫、製造 |
| 経理・資産・経費 | 会計、固定資産、経費の精算 |
| 債権・債務 | 売掛金の回収、買掛金の支払 |
| 人事・給与 | 人事の情報、給与の計算 |
| アドオン・テンプレート | 業種や会社ごとの追加の機能 |
モジュール単位で導入できるため、必要な業務の範囲から段階的に始められます。
オプションとして、モバイルへの対応なども用意されています。
費用の考え方
GRANDITには、公開された定価がありません。
ライセンスの利用料は、利用するモジュールと従業員数に応じて決まります(出典:GRANDIT公式サイト ライセンス提供方法、2026年9月確認)。
費用は、大きく2つに分かれます。
- 初期費用:ライセンスの取得、要件定義、教育、データの移行などの導入作業
- 運用費用:保守・サポート、ライセンスの更新など、使い続けるための費用
費用の見方を図にすると、次のとおりです。
クラウド版のGRANDIT miraimilには、初期の導入費用を抑えるセルフ導入プランがあります。
提供元の発表では、初期費用150万円〜とされています。
2024年4月の発表で、同年5月から提供予定とされました(出典:GRANDIT miraimil公式、2026年9月確認)。
どの製品でも、導入の費用と期間は、次の4つの要因で大きく動きます。
- 機能範囲:どの業務まで入れるか
- 開発:追加の開発、とくに外部システムとの連携
- 社内の体制:情報システムの担当が少ないと、支援を厚くし期間も延びやすい
- ユーザー数:受入テスト・教育の工数と、社内の調整
GRANDITでは、2つ目の「開発」が作り込みの量にあたります。
初期費用が低くても、作り込みの保守や更新で差が出ます。
見積もりは、5年ほどの総額で比べることをおすすめします。
判断の物差し|向いている会社・向いていない会社
向いている会社
- 複数の業種の知恵を生かしたい会社:コンソーシアム方式の強みが生きる
- グループ経営・海外取引を進める会社:マルチカンパニー・多言語・多通貨が役立つ
- 日本の商習慣を重んじたい会社:純国産ならではの合わせやすさがある
- 承認や統制をシステムで固めたい会社:ワークフローと内部統制への対応が標準にある
向いていない会社
- 要件がきわめて特殊な会社:標準でできる範囲を、先に見極める必要がある
- 自社専用の作り込みを強く望む会社:作り込みが多いほど、費用と更新の負担が増える
- 海外拠点が主役の会社:世界共通の業務の型に寄せるなら、グローバル前提のクラウドERPも比べたい
他の選択肢と「合う条件」で比べる
| 選択肢 | 合う条件 | 注意点 |
|---|---|---|
| GRANDIT(オンプレミス・GRANDITクラウド) | 国内の業務の型を生かし、グループ・海外にも広げたい | 作り込みの量で、費用と更新の負担が変わる |
| GRANDIT miraimil | 標準に合わせ、短い期間で始めたい | 標準で足りるかを先に見極める |
| NetSuite | 拠点やグループを1つのクラウドでまとめ、更新は自動で受け取りたい | 標準の業務の型に合わせる姿勢が要る |
| Odoo・AIスクラッチ開発 | 小さく始めたい、または独自の業務そのものが強み | 設計と保守を担う体制を先に決める |
miraimilについては、提供元が「miraimil × AI連携基盤」を案内しています(出典:GRANDIT miraimil公式、2026年9月確認)。
NetSuiteは、Oracleが提供するクラウドERPです。
世界220地域・44,000社以上で使われています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月確認)。
GRANDITとの違いは、NetSuite と GRANDIT を徹底比較で詳しく扱っています。
ERP全体の比べ方は、ERP・クラウドERPを徹底比較をご覧ください。
提供形態の選び方と、いま使っている会社の見直し
これから候補に入れる会社|形は「標準で回るか」で決まる
3つの形のどれにするかは、費用より先に、1つの問いで分かれます。
主な業務は、標準の機能で回るのか。
- 標準で回る → miraimil
- 作り込みは要るが、サーバーは持ちたくない → GRANDITクラウド
- 自社の環境で持つ理由がある → オンプレミス
問いに答えるには、自社の主な業務の流れを3つほど選び、デモで動かしてもらうのが近道です。
測り方は、第8章で扱います。
いまGRANDITを使っている会社|作り込みをどこまで持っていくか
オンプレミスのGRANDITを使っている会社は、機器や保守の期限が見直しの節目です。
道は3つあります。
- 新しいバージョン(V4など)へ更新する
- GRANDITクラウドなど、クラウドの形へ移す
- 別のERPに乗り換える
どの道でも、先に決めるのはこれまでの作り込みの扱いです。
すべて持っていく前提だと、どの道でも費用がかさみます。
乗り換えの進め方は、基幹システムのリプレイスとは?で扱っています。
GRANDITを選ぶときによくある3つの失敗
失敗1:業種への対応力を「そのまま使える」と受け取る
起きること:導入してみると、自社の細かな業務に合わない部分が多く、作り込みが膨らむ。
原因:「業種に対応」を、「自社の業務がそのまま動く」と同じ意味に受け取っていた。
避け方:自社の主な業務の流れを、デモで実際に動かしてもらいます。
標準で回る部分と足りない部分を一覧にしてから、見積もりを取ります。
失敗2:提供形態を費用だけで選ぶ
起きること:初期費用の安い形を選んだが、要件が標準に収まらず、後から作り直しになる。
原因:標準をそのまま使う形と、作り込める形の違いを、費用だけで比べていた。
避け方:先に「標準で回るか」を決め、それから形を選びます(第6章)。
失敗3:統合された機能を使い切らず、別のシステムを残す
起きること:ワークフローやBIが標準にあるのに別のツールを使い続け、データが二重になる。
原因:今のツールを残すことを前提に、導入の範囲を決めていた。
避け方:今のツールのうち、GRANDITの標準で置き換えられるものを洗い出します。
残すツールは、データのつなぎ方まで決めておきます。
進め方の失敗の型は、ERP導入はなぜ失敗するのかで詳しく扱っています。
ベンチャーネットならこう見る|「標準で回る割合」は見える化から測る
「うちの業務がGRANDITの標準で何割回るか、デモを見れば分かる」
そう考えて、いまの業務をそのままデモに持ち込む会社は多いものです。
ただ、いまの業務には、やめてよい手順も混ざっています。
そのまま照らし合わせると、要らない作り込みまで「足りない部分」に数えてしまいます。
NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、製品が決まっていても次の順で進めます。
NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応する立場からの見方です。
型1:見える化→整理整頓→Fit&Gap
- 業務の見える化:いまの業務の流れを、現場に聞いて描く
- 整理整頓:やめる・まとめる・そろえる手順を決める
- Fit&Gap:残った手順を、候補の製品の標準機能と照らし合わせる
Fit&Gapは、業務と機能の合う・合わないを一つずつ見る作業のことです。
2段目で手順が減るほど、「標準で回る割合」は正しく上がります。
型2:標準に合わせる/開発する/残す
照らし合わせて合わなかった手順は、3つのどれかに決めます。
- 標準に合わせる:業務のほうを、製品の標準機能に寄せる
- 開発する:追加の開発や、外部の仕組みとの連携で補う
- 残す:ERPには載せず、いまの仕組みや運用で続ける
2つ目が多いほど、第4章の「開発」が重くなります。
提供形態の選び方も、この割合で決まります。
図の3段目はNetSuiteを例にしていますが、照らし合わせる相手がGRANDITでも順番は同じです。
最初の打ち合わせでは、主に次の3つを伺います。
- 法令や取引先の都合で、変えられない業務はどれか
- 3年後に、グループ会社や海外拠点は増えるか
- AIや他のシステムと、データをどうつなぎたいか
国内の業務の型を強く生かしたい会社には、GRANDITが合うこともあります。
候補は製品の名前ではなく、この答えから絞ります。
今日できること|1時間で「標準で回るか」の表を作る
自社の主な業務の流れを3つ選び、次の表を埋めてみてください。
| 業務の流れ | 今の手順の数 | 変えられない理由がある手順 | やめる・まとめる候補の手順 |
|---|---|---|---|
| (例)受注から請求まで | 8 | 取引先ごとの請求書の書式 | 社内の承認の回数 |
右の列を先に埋めると、見える化と整理整頓の下書きになります。
この表を持ってデモに臨めば、見るべき手順が絞れます。
よくある質問
Q1. GRANDITはクラウドで使えますか
使えます。
クラウドで使うSaaS型の「GRANDIT miraimil」があります。
2026年6月には、カスタマイズにも対応する「GRANDITクラウド」の提供開始も発表されています(第1章)。
Q2. GRANDITの費用はどのくらいですか
公開された定価はなく利用するモジュールと従業員数で決まります。
費用は初期費用と運用費用に分かれ、作り込みの量でも変わります。
miraimilのセルフ導入プランは、初期費用150万円〜とされています(2024年4月発表)。
Q3. GRANDITは中小企業でも導入できますか
モジュール単位で導入できるため規模に応じた構成を組めます。
必要な業務の範囲から、段階的に始められます。
標準に合わせて始めるなら、miraimilも選択肢です。
Q4. GRANDITのモジュールには何がありますか
販売・調達在庫・製造や経理・資産・経費などがあります。
ほかに、債権・債務、人事・給与、アドオン・テンプレートのまとまりがあります。
ワークフロー・EDI・EC・BIなども標準で統合されています(第2章・第3章)。
Q5. GRANDITはどんな企業に向いていますか
日本の業務の型を生かしつつグループや海外に広げたい中堅企業です。
ただし、標準の機能で主な業務が回るかは、会社ごとに違います。
見える化と整理整頓を済ませてから、デモで照らし合わせてください(第5章・第8章)。
Q6. GRANDITとNetSuiteの違いは何ですか
GRANDITは純国産のERPでNetSuiteは世界で使われるクラウドERPです。
どちらが合うかは、業務の内容や海外展開の有無で変わります。
詳しくはNetSuite と GRANDIT を徹底比較をご覧ください。
Q7. オンプレミスのGRANDITを使っています。次はどうすればよいですか
更新・クラウドへの移行・乗り換えの3つを並べて比べます。
先に、これまでの作り込みをどこまで持っていくかを決めます(第6章)。
まとめ
- GRANDITは、コンソーシアム方式で開発された純国産の完全Web-ERP。導入実績は1,500社以上
- ワークフロー・EDI・EC・BIなどを標準で統合。マルチカンパニー・多言語・多通貨に対応
- 提供形態は、オンプレミス・miraimil・GRANDITクラウドの3つ。選ぶ軸は「標準で回るか」
- 費用は利用するモジュールと従業員数で決まり、作り込みの量で総額が動く
- 「標準で回る割合」は、見える化→整理整頓→Fit&Gapの順で測る
「うちの業務もそのまま動くか」。
その答えは、デモの前に、やめる手順を決めた会社ほど正確に出ます。
もう少し詳しく知りたい方へ
GRANDITを含めた複数の候補の比べ方から、ご相談をお受けしています。
- NetSuiteの画面を実際に見て比べたい方へ:NetSuite 無料体験デモ
- 今のERPからの乗り換えを考えている方へ:基幹システムリプレイス(ERP乗り換え)支援
- 自社に合う製品を相談したい方へ:お問い合わせ
GRANDITの見積もりや個別の機能については、提供元にお問い合わせください。
