使うクラウドサービス(SaaS)が増えるほど、システム同士のつなぎ込みが追いつかなくなります。
データの二重入力や手作業の転記が増え、現場の負担になりがちです。
この課題を解く方法のひとつが「iPaaS(アイパース)」と呼ばれる仕組みで、Workato(ワーカート)はその代表的な製品です。
この記事では、Workatoをフラットに解説したうえで、NetSuiteとの連携で何ができるかまでお伝えします。
この記事で分かること
- Workatoとは何か(iPaaSの一種としての位置づけ)
- 主な機能と、RPA・手組みAPIとの違い
- NetSuiteと連携してできること
- 日本での提供状況と、向いている企業の見極め方
読了目安:約7分
Workatoとは
Workatoは、複数のSaaSやアプリをつないで業務を自動化する「iPaaS」の一種です。
iPaaSとは「Integration Platform as a Service」の略で、クラウド同士をつなぐための土台となるサービスを指します。
Workatoは2013年に米国シリコンバレーで創業した企業が提供しており、日本にも法人があります(出典:Workato公式)。
特徴は、プログラミングをほとんど使わずに連携を作れる「ノーコード/ローコード」である点です。
「レシピ」と呼ばれる単位で自動化の流れを組み立てるため、専門のエンジニアでなくても扱いやすい設計になっています。
Workatoの主な機能
Workatoには、業務自動化のための機能が一通りそろっています。
ここでは代表的な4つを紹介します。
1,000以上のコネクタ
主要なSaaSと数クリックでつなげる「コネクタ」が1,000以上用意されています(出典:Workato公式)。
自分でAPIを一から開発する手間を減らせるのが利点です。
レシピ(自動化ワークフロー)
「あるシステムにデータが入ったら、別のシステムにも自動で反映する」といった流れを、レシピとして組み立てられます。
公開されているサンプルを取り込み、自社向けに調整して使うこともできます。
Workbot・AI機能
SlackやTeamsなどのチャット上から操作する「Workbot」や、データ処理を助けるAI機能を備えています(出典:Workato公式)。
外部の生成AIと組み合わせた自動化に取り組みやすい点も、近年注目されています。
ガバナンス・セキュリティ
誰がどの連携を使っているかを管理画面で把握でき、権限の統制やセキュリティの機能を標準で持っています(出典:Workato公式)。
自動化を個人アカウントに紐づけず、チームで共有できるため、属人化を防ぎやすい設計です。
オンプレミスとの連携
WorkatoはクラウドのSaaSだけでなく、自社内(オンプレミス)のシステムとも連携できます(出典:Workato公式)。
クラウドと社内システムが混在する環境でも、まとめて自動化の対象にできます。
WorkatoとRPA・手組みAPIの違い
「自動化」と聞くとRPAを思い浮かべる方も多いですが、つなぎ方の発想が異なります。
ここでは、Workato(iPaaS)・RPA・手組みのAPI開発を比べて整理します。
| 観点 | Workato(iPaaS) | RPA | 手組みAPI開発 |
|---|---|---|---|
| つなぎ方 | APIで直接データを連携 | 人の画面操作を再現 | 個別にプログラムを開発 |
| 得意な領域 | SaaS間の大量データ連携 | 画面操作の自動化 | 独自要件への作り込み |
| 属人化リスク | 低め(チーム共有) | 中(作り込み次第) | 高(開発者依存) |
| 向くケース | 複数SaaSの定常的な連携 | 既存画面の繰り返し作業 | 標準では対応できない要件 |
WorkatoはAPI連携を前提とするため、大量データの処理を得意とします(出典:Workato公式)。
近年はどの方式でもAIとの組み合わせが進んでいますが、製品ごとの比較は連携手段の選び方として別途整理が必要です。
WorkatoとNetSuiteの連携でできること
WorkatoはNetSuiteとの連携に対応しており、NetSuiteの認定を受けたコネクタが用意されています(出典:Workato公式)。
NetSuiteは、会計・販売・在庫などの基幹業務を1つにまとめるクラウドERP(会社全体の仕事を一つのシステムで見える化する基幹システム)です。
世界220地域・43,000社以上で利用されています(出典:Oracle NetSuite公式、SuiteConnect 2026)。
2つの接続方式(SOAP/REST)
WorkatoのNetSuiteコネクタには、SOAPとRESTの2つの方式があります(出典:Workato公式)。
新しく連携を作る場合は、REST方式が推奨されています。
接続にはトークン認証やOAuth 2.0という安全な認証の仕組みを使います。
代表的な連携シナリオ
NetSuiteと他システムをつなぐと、たとえば次のような自動化ができます。
- CRM(顧客管理)とNetSuiteの間で、顧客や受注のデータを同期する
- 購買や支払の承認を、チャットツールと連携して進める
- ECやモールの受注を、基幹データへ自動で反映する
ただし、どの方式でどこまでつなぐかは、取引量や運用体制によって変わります。
連携方式(API・CSV・iPaaS)の選び方は、別記事のネクストエンジン×NetSuite連携ガイド|API・CSV・iPaaS 3方式の選び方で整理しています。
Salesforce(CRM)とNetSuiteをつなぐ
営業が使うSalesforceと、基幹のNetSuiteをつなぐ使い方があります。
顧客や受注のデータを双方向で同期し、「正しい数字はどれか」という迷いをなくせます(出典:Workato公式)。
営業・経理・経営が同じデータを見られるようになり、二重入力も減らせます。
購買から支払までを自動化する
調達ツールやチャットツールと組み合わせ、購買から支払までを自動化する使い方もあります。
たとえば購買申請の承認をチャット上で行い、発注や支払の処理までつなげられます(出典:Workato公式)。
人の手作業を減らし、処理のスピードと正確さを高めやすくなります。
Workato導入の進め方
Workatoは導入して終わりではなく、設計と運用が成果を左右します。
おおまかな進め方は、次の3ステップです(出典:Workato公式)。
- 業務プロセスを分析し、どこを自動化するかを決める
- レシピ(自動化の流れ)を設計して組み立てる
- 権限やガバナンスを設定し、安全に運用できる状態にする
特に最初の「どこを自動化するか」の見極めが、効果を大きく左右します。
業務と製品の両方を理解した支援者が関わると、この見極めを誤りにくくなります。
Workatoの日本での提供状況
Workatoは日本に法人があり、日本語のUIや技術ドキュメント、国内のデータセンターなど、日本向けの提供体制を整えています(出典:Workato公式)。
ただし、政府向けの評価制度(ISMAP)への対応状況など、細かい条件は時期によって変わることがあります。
最新の対応範囲は、導入前にWorkato公式の案内で確認することをおすすめします。
Workatoが向いている企業/慎重に検討したい場合
Workatoは万能ではなく、向き不向きがあります。
公平に整理すると、次のようになります。
- 向いている:つなぎたいSaaSが複数あり、連携を継続的に運用したい企業
- 向いている:エンジニアに頼り切らず、現場でも自動化を広げたい企業
- 慎重に検討したい:つなぐ対象が1〜2件にとどまり、効果が見合うか不明な場合
- 慎重に検討したい:日本独自のサービスが多く、標準コネクタが少ない場合
最後の点は特に注意が必要です。
海外発のiPaaSは海外の主要SaaSには強い一方、日本独自のサービスには標準では対応していないことがあります。
iPaaS・NetSuite連携でつまずきやすいポイント
連携プロジェクトは、ツール選びよりも「設計」と「運用」でつまずきます。
NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが、現場でよく見る3つのパターンを挙げます。
「つなぐこと」が目的になってしまう
連携はあくまで手段で、ゴールは経営課題の解決です。
「何のためにつなぐのか」が曖昧なまま進めると、効果の見えない自動化が積み上がります。
ベンチャーネットは「製品ありき」ではなく「経営課題ありき」で、必要な連携範囲から一緒に考えます。
日本独自サービスの前提を見落とす
標準コネクタがある前提で進めると、日本のサービス連携で手戻りが起きがちです。
橋渡し役を挟むなど、現実的な方式の選択が必要になります。
物流・3PL連携の実例はNetSuiteと物流SaaSの連携、標準コネクタがない日本でどうつなぐか【3PL連携の現実解】で解説しています。
作った人しか分からない属人化
自動化が特定の担当者に紐づくと、異動や退職でブラックボックス化します。
権限やガバナンスを設計し、運用まで見据えることで、この問題を防ぎやすくなります。
ベンチャーネットは導入後の運用も伴走し、止まらない仕組みづくりを支援します。
よくある質問(FAQ)
Workatoは何ができるツールですか?
SaaS同士をつないで業務を自動化するiPaaSです。
1,000以上のコネクタとレシピ機能で、データの同期や承認フローの自動化などを、プログラミングを最小限にして実現できます(出典:Workato公式)。
RPAとの違いは何ですか?
RPAが人の画面操作を再現するのに対し、WorkatoはAPIでデータを直接やり取りします。
そのため、大量データの連携や複数SaaSの定常的な自動化を得意とします(出典:Workato公式)。
NetSuiteとつなぐと何が自動化できますか?
CRMや購買、ECなどのデータをNetSuiteと同期し、入力や転記の手作業を減らせます。
NetSuite認定コネクタがあり、SOAP・RESTの2方式に対応しています(出典:Workato公式)。
ただし、つなぐ範囲や方式は要件によって変わるため、設計の見極めが重要です。
日本語で使えますか?日本でのサポートはありますか?
Workatoは日本に法人があり、日本語UIや技術ドキュメント、国内データセンターなどの提供体制を整えています(出典:Workato公式)。
細かい対応条件は時期で変わることがあるため、最新情報は公式で確認してください。
もう少し詳しく知りたい方へ
NetSuiteの導入や、既存システムとの連携を検討している方へ、ベンチャーネットの相談窓口をご案内します。
「製品ありき」ではなく、経営課題から一緒に連携の形を考えます。
