AS400がサポート終了!乗り換え先のERP選定のポイント

IBMによる「IBM i 7.3」のサポート終了が正式に発表され、多くの企業が次のシステムへの移行を検討するタイミングを迎えています。AS400は、その堅牢性と信頼性により、1988年の登場以来、多くの企業にとって欠かせない基幹システムとして活用されてきました。しかし、サポート終了が近づく中、セキュリティリスクの増加やシステムの維持が難しくなる可能性が指摘されています。

こうした状況の中、企業が次世代システムへの移行を成功させるためには、信頼性や業務効率化に優れたERPの選定が重要です。

本記事では、AS400の後継システムとして注目されているOracle NetSuiteを中心に、移行先ERPを選ぶ際のポイントについて詳しく解説します。NetSuiteの特徴や導入事例を通じて、なぜこのシステムがAS400のリプレイスに最適なのかを見ていきます。

目次

AS400がサポート終了

IBMより、「IBM i 7.3」のサポート終了が正式に発表されました。1988年に登場した歴史あるオフィスコンピューター「IBM i(AS/400)」を基盤とするこのシステムは、その堅牢性や信頼性の高さから、多くの企業で長年にわたり活用されてきました。現在でも、このシステムを運用し続けている企業は少なくありません。

しかし、サポート終了に伴い、セキュリティリスクの増加やシステム維持の難易度が高まる可能性が指摘されています。そのため、IBM i(AS/400)ユーザーの企業様におかれましては、次期システムへの移行や計画の検討を進める必要性が高まっています。

サポート終了の詳細は下記のとおりです。

対象となるOS対象OSの営業活動終了日対象OSのプログラムサービス終了日ケアサービスのサポート終了日
IBM i 7.32023年4月28日2023年9月30日2026年9月30日 ※
IBM i 7.22020年4月30日2021年4月30日2024年4月30日
IBM i 7.12017年9月30日2018年4月30日2021年4月30日

AS400から他のERPへの乗り換えの必要性

AS400は長年、企業の基幹システムとして利用され、多くの企業が信頼を寄せるシステムです。しかし、近年の技術進化やビジネスニーズの変化により、AS400のリプレイスが必要とされています。

具体的には、システムの老朽化や保守の困難さ、最新技術との互換性の問題が顕著になってきています。特に、ハードウェアの寿命や部品供給の問題、そして専門知識を持つ技術者の不足により、システムの維持がますます難しくなっているのが現状です。こうした背景から、企業はERPシステムへの移行を検討する必要があります。

また、ERPシステムに移行することで得られる主なメリットとしては、業務の効率化、リアルタイムでのデータ分析、柔軟なシステム拡張性などがあります。これにより、企業は競争力を強化し、成長する市場に迅速に対応できるようになります。

AS400から他のERPへの乗り換えのポイント

AS400から他のERPへの乗り換えのポイントは次のとおりです。

パッケージ導入とスクラッチ開発の選択

AS400からERPシステムへ移行する際、まず考慮すべき重要なポイントは、パッケージ導入とスクラッチ開発の選択です。パッケージ導入は、コスト効率が良く、短期間で導入可能な点が大きなメリットです。しかし、カスタマイズに制限があるため、自社の業務プロセスに完全には適合しない場合があります。一方で、スクラッチ開発は高いカスタマイズ性を持ち、自社の要件に完全に合わせることが可能ですが、コストと時間が大幅にかかり、保守や将来的な拡張性に課題が生じるリスクがあります。

中小企業・中堅企業に適したERPパッケージの基準

特に中小企業や中堅企業では、リソースが限られていることから、コスト効率が高く、短期間で導入できるERPパッケージが推奨されます。ERPパッケージを選ぶ際の基準として、コスト、導入期間、機能の充実度、そしてシステムの拡張性が重要です。また、初期費用だけでなく、運用コストを含めた総所有コスト(TCO)で判断することが求められます。さらに、短期間での導入が可能なものを選び、業務への影響を最小限に抑えることも成功のポイントです。

パッケージ適合度と業務プロセスの見直し

ERP選定において、自社の業務要件に100%一致するパッケージを探すのは現実的ではありません。そのため、適合度が80%程度のパッケージを選択し、残りの部分は業務プロセスの見直しや軽微なカスタマイズで対応する姿勢が重要です。このようなアプローチを取ることで、導入のスピードとコストを最適化しながら、必要な業務要件を満たすことができます。

RFP(提案依頼書)の作成の重要性

ERP導入を成功させるためには、RFP(提案依頼書)の作成が不可欠です。RFPは、自社の業務要件やニーズをERPベンダーに明確に伝えるツールであり、適切な提案を受けるための基盤となります。また、RFPはプロジェクトの成功を左右する重要な要素であり、ベンダー選定の基準を明確にするための手段でもあります。これを通じて、企業の要件を満たす最適なソリューションを見つけることができます。

AS400から移行する際のRFP作成手順

AS400から新たな基幹システムへ移行する際、RFP(提案依頼書)の作成はプロジェクト成功の鍵となります。RFPはベンダーに対してプロジェクトの目的や要件を明確に伝えるための重要な文書であり、これが曖昧なままだと、提案内容が的を射ないものになりかねません。以下では、RFP作成手順のポイントを解説します。

プロジェクト概要の明確化

RFPの最初に記載するべきは、プロジェクトの概要です。移行の背景や目的、期待する成果を具体的に記述します。例えば、AS400を長年使用してきた理由と、その限界を乗り越えるための目標を明示します。事業拡大や業務効率化など、移行の動機をはっきりさせることで、ベンダーがプロジェクトの全体像を把握し、適切な提案を行いやすくなります。

現状のシステムと課題の記述

現在のシステム環境と、その中で直面している課題についても詳細に記載します。例えば、AS400を利用した業務プロセスにおける手動入力の頻発によるエラーや、在庫管理における非効率性など、現行システムの制約や改善ポイントを具体的に示します。このように明確な課題を提示することで、ベンダーが効果的なソリューションを提案しやすくなります。

新システムに求める要件の明示

RFPには、新システムに求める機能要件、非機能要件、技術要件、運用保守要件を詳しく記載する必要があります。

  • 機能要件:どのような業務機能が必要か(例:在庫管理、財務管理、販売管理)
  • 非機能要件:性能や信頼性に関する基準(例:処理速度やシステムの可用性)
  • 技術要件:対応するプラットフォームや既存システムとの連携
  • 運用保守要件:メンテナンス体制やサポート内容

これらの要件を明確に伝えることで、ベンダーが提供するシステムが要望に合致しやすくなります。また、要件ごとに優先度を設定し、どの部分に重点を置くべきかを示すことも効果的です。

将来を見据えた要件設定

RFP作成時には、現状の問題解決だけでなく、将来の業務拡大や市場変化を見据えた要件設定も重要です。3~5年先を見据え、システムの柔軟性や拡張性を考慮することで、長期的に利用可能な基幹システムを構築する土台を作ることができます。このような視点を含めることで、プロジェクトの成功可能性を高められます。

全社的な関与の確保

RFP作成は、単なる一部門の作業ではありません。全社的な取り組みが求められます。各部門の声を反映させることで、現場の業務に即した実用的な要件を盛り込むことができます。例えば、営業部門では販売プロセス、物流部門では在庫管理、経理部門では財務処理に関する要件を網羅的に検討します。

AS400からOracle NetSuiteへの移行が最適な理由

AS400のサポート終了を受け、基幹システムを刷新する必要に迫られている企業が増えています。その中で、Oracle NetSuiteが移行先として注目されている理由を詳しく解説します。

Oracle NetSuiteはクラウドベースのERPとして、AS400の後継システムに適した選択肢とされています。その理由は以下のとおりです。

信頼性と実績

NetSuiteは、Oracleが提供するクラウドベースのERPソリューションであり、世界中で38,000社以上の企業に導入されています。この導入実績の多さが、NetSuiteの高い信頼性を証明しています。グローバル規模で幅広い業界に対応してきた経験は、あらゆる企業に適応可能な柔軟性と信頼性の基盤となっています。

グローバル対応とローカライズ

NetSuiteは、グローバル市場で培った豊富な導入事例を背景に、日本市場向けに特化したローカライズ対応を実施しています。これにより、日本企業が必要とする機能や国内法規制に対応したERPソリューションを提供できます。特に多国籍企業においては、グローバル標準とローカルニーズの両立が可能なNetSuiteの強みが活かされます。

NetSuiteは27言語、190以上の通貨、160か国以上の税制に対応しており、グローバル展開する企業に最適です。AS400では国際展開に対応するのが難しい場合がありますが、NetSuiteを利用することで、海外展開を円滑に進めることができます。例えば、異なる通貨や税制に対応した財務データを一元管理できます。

Oracleの長期的な投資

Oracleは、日本市場への長期的な投資を明言しており、その投資計画の10%を日本に充てると発表しています。この取り組みは、日本企業に対する安定したサポート体制や最新技術の提供を約束するものです。長期的な視野に立ったOracleのコミットメントは、NetSuiteを選ぶ企業に安心感を与えます。

ITインフラの運用負担軽減

NetSuiteはクラウドベースでシステムを管理するため、物理的なサーバー管理が不要となります。これにより、オンプレミス環境での煩雑なシステムメンテナンスから解放され、運用コストや時間を大幅に削減することが可能です。特に、AS400のような従来型のシステムから移行する場合、その効果は顕著です。

業務の統合管理

NetSuiteはERP機能だけでなく、CRMやEコマースを含む幅広い業務を統合管理できます。この統合管理機能により、企業全体の業務効率化が進み、データの一元管理が可能になります。さらに、リアルタイムでのデータ可視化が経営判断を迅速化し、ビジネスの競争力を高めます。

柔軟なカスタマイズ

NetSuiteは、必要最低限のカスタマイズで現場のニーズに対応する柔軟性を持っています。過剰なアドオンを避けることで、導入プロジェクトの負担やリスクを軽減できます。このバランスの取れたアプローチは、コスト管理と現場の満足度を両立させ、企業ごとの個別要件に応じた最適なシステム運用を実現します。

単一プラットフォームによる業務効率の向上

NetSuiteは、単一プラットフォームで広範な業務プロセスをカバーします。この統合により、複数のシステムやエクセルを併用することで生じる非効率や属人的な業務を解消します。単一のデータソースを活用することで、リアルタイムの運営が可能になり、業務効率を大幅に向上させることができます。

迅速かつコストパフォーマンスの高い導入

NetSuiteは、迅速に導入できるうえに高いコストパフォーマンスを実現します。「SuiteSuccess」と呼ばれる長年のERP導入経験に基づいたテンプレートを活用することで、短期間でのシステム導入が可能です。これにより、企業は移行期間を短縮し、早期に効果を実感することができます。

ビジネスの可視化ができる

NetSuiteはビジネスインテリジェンス(BI)機能やダッシュボード機能を備えており、リアルタイムでビジネス情報を可視化できます。AS400では、ビジネス情報の把握に時間がかかる場合がありますが、NetSuiteではリアルタイムでのデータ分析が可能です。例えば、販売データや在庫レベルなどの情報をリアルタイムで把握し、迅速な意思決定が可能です。

成功事例:志成販売株式会社

AS400からNetSuiteに移行した具体的な事例としては、志成販売株式会社のケースがあります。志成販売はインテリア雑貨や服飾小物を取り扱う企業で、AS400を基盤とした販売管理システムを使用していましたが、データ活用に課題を抱えていました。

NetSuiteに移行することで、ダッシュボード上で経営情報が可視化され、従来の定期レポートが不要になった結果、年間約300時間の効率化を実現しました。このように、NetSuiteの導入により、業務の効率化が大きく進み、ビジネスのスピードを向上させることができます。

NetSuiteとは

NetSuiteは、複数の業務アプリケーション機能を一元化したSaaS型統合業務アプリケーションソフトウェアです。企業が会計、ERP、CRM、Eコマースなどの主要な業務機能を、単一のシステムで効率的に管理できるように設計されています。

特徴

NetSuiteはSaaSプロバイダのリーディングカンパニーであり、北米地域で最も急速に成長している企業の一つです。Deloitteの調査報告である「Fast 500」においてもその成長が証明されています。

また、NetSuiteはオンデマンドサービスとして提供されるため、ハードウェアの調達やライセンス料金の支払い、複雑な設定などが不要です。さらに、ビジネスインテリジェンス(BI)機能やダッシュボード機能がデフォルトで提供され、リアルタイムで最新のビジネス情報を把握できます。

機能

NetSuiteの機能は多岐にわたります。CRM・SFA、販売・債権管理、購買・債務管理、在庫管理、需要供給計画・生産管理、財務会計、経費精算、プロジェクト管理、BI・データ出力、マスタ管理、複数会社管理、監査などが含まれます。これらの機能は、さまざまな業務プロセスを効率化し、企業全体の効率性を向上させるのに役立ちます。

向いている企業

NetSuiteは、中小企業から大規模企業まで幅広い規模の企業に適しています。さまざまな業界やセクターで利用され、製造業、小売業、金融業、医療業界など、多岐にわたる業種でのニーズに対応しています。また、古いシステムの更新やレガシーシステムの置き換えを検討している企業にも適しており、スムーズな移行が可能です。

NetSuiteは、クラウドベースのERPソリューションを支える強力な技術基盤を持ち、外部ベンダーへの開発依頼を抑え、コスト削減に貢献します。そのため、技術的にも進んだ企業にも適しています。 NetSuiteは27言語、190以上の通貨、160か国以上に対応しており、グローバル展開する企業にも最適なソリューションです。

NetSuiteが自社に適しているか試してみよう

NetSuiteが適しているかどうかを確認したい場合は、まず無料のデモを受けることをおすすめします。
機能を体験できるため、実際に利用したところ思っていたシステムではなかったという問題を防止できます。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

株式会社ベンチャーネット 代表取締役
2005年に株式会社ベンチャーネットを設立後、SEOをはじめとするデジタルマーケティング領域のコンサルティングサービスを展開
広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で支援を行っています
著書に『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業 「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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