Odooの学習リソースまとめ|何を、どの順で読むか

Odooを学ぼうとすると、最初に困ることがあります。

情報量が多すぎて、どこから手をつければよいか分からない。

公式ドキュメントは膨大です。アプリの数も多い。そして日本語の解説記事は限られています。

この記事では、役割別に「何を、どの順で学ぶか」を整理します。

公式の一次情報は2か所です。Odoo公式ドキュメント(英語・一部日本語)と、チュートリアル・eラーニング・認定をまとめた Odoo Learn(英語)です。

目次

役割によって、学ぶものが違います

役割ごとに必要な学習内容が異なることを示した図 経営者は判断に必要な範囲、業務担当者は自分が使うアプリの操作、技術者は仕組みと拡張方法というように、役割によって学ぶべき内容と深さが異なることを示した図です。 全員が同じものを学ぶ必要はありません 経営者・決裁者 何ができる製品か 費用の構造 日本での注意点 操作は覚えなくてよい 業務担当者 自分が使うアプリだけ 日々の操作手順 困ったときの対処 全機能を知る必要はない 技術者・情シス 仕組みと設計思想 設定と権限の考え方 拡張と保守の方法 ここは深く学ぶ 全員に全機能を教えようとすると、確実に失敗します

よくある失敗

導入時に、全員を集めて全機能の説明会を開くというやり方があります。

これはうまくいきません。

自分が使わない機能の説明を聞いても、記憶に残らないからです。そして「難しそうだ」という印象だけが残ります。

必要な人に、必要な範囲だけ。 これが原則です。

定着の考え方は Odooを社内に定着させる方法 にまとめています。

公式ドキュメントの歩き方

Odooの公式サイトには、ドキュメントが公開されています。日本語版もあります。

ただし、量が多いため歩き方を知らないと迷います。

構造を理解しておく

公式ドキュメントは、おおむね次のような構成になっています。

区分内容誰が読むか
アプリごとの説明各アプリの機能と操作業務担当者
管理・設定ユーザー、権限、データベース技術者・情シス
開発者向け仕組みと拡張の方法開発者
法的情報ライセンス条項など決裁者・法務

まず「自分がどの区分を読むべきか」を決めてください。

バージョンの確認を忘れずに

公式ドキュメントは、バージョンごとに分かれています。

検索から辿り着いたページが、自社が使うバージョンのものとは限りません。画面上のバージョン表示を必ず確認してください。

これは実務で意外と多いつまずきです。

日本語版と英語版

日本語版が用意されているページも多くあります。ただし、一部の記述は英語のほうが詳しい場合があります。

日本語版で概要をつかみ、詳細で迷ったら英語版を見るという使い方が現実的です。

公式が提供している学習の仕組み

Odooの公式サイトでは、ドキュメント以外の学習手段も Odoo Learn で案内されています。

チュートリアルと動画

アプリごとの操作を、順を追って学べる教材が用意されています。

文章より動画のほうが理解しやすい方には、こちらが向いています。 とくに画面操作は、動きを見たほうが早く分かります。

eラーニングと認定

体系的に学ぶための仕組みと、習熟度を確認する認定の制度が案内されています。

社内に担当者を育てたい場合、目標として使えます。

実際に触れる環境

Odooには、実際に画面を操作して試せる方法が用意されています。

読むより触るほうが速いという方は、まず動かしてみることをおすすめします。

1アプリから試す方法については Odoo One App Freeとは? をご覧ください。

日本語の情報について

正直にお伝えします。

日本語の情報量は、国産の業務ソフトと比べると限られています。

  • 解説記事の数が少ない
  • 質問サイトでの事例も多くない
  • 検索して出てこないことがある

この点は、検討時のリスクとして見ておくべきです。

日本語情報を探すときの工夫

(1) 英語で検索する

日本語で見つからない情報も、英語なら見つかることがよくあります。アプリ名を英語で検索するだけで結果が変わります。

(2) 公式ドキュメントを優先する

個人の解説記事は、バージョンが古いことがあります。まず公式を確認する習慣をつけてください。

(3) 情報の日付を確認する

Odooは年1回バージョンが上がります。数年前の記事は、画面も機能も違う可能性があります。

とくに「OpenERP」という名称が出てくる記事は、2014年より前の情報を含みます。経緯は Odooの歴史 にまとめました。

学習でつまずく3つの原因

Odooの学習でつまずく3つの原因を示した図 用語が分からない、業務の流れを知らない、目的がないという3つがつまずきの原因であり、それぞれに対して用語の確認、業務の理解、目的の設定という対処があることを示した図です。 つまずくのは、機能が難しいからではない ① 用語が分からない 「プロダクト」「オーダ」「ジャーナル」など独特の訳語 → 用語集を先に押さえる ② 業務の流れを知らない 在庫評価や複式簿記の考え方が前提になっている → 業務の知識が先。操作は後 ③ 目的がない 「とりあえず全部覚えよう」として続かない → 自社の業務を1つ、動かしてみる

②を補足します

Odooの操作が難しいのではなく、業務の考え方を知らないことがつまずきの原因というケースが実際にあります。

たとえば在庫評価。移動平均や先入先出という考え方を知らないまま設定画面を見ても、何を選べばよいか分かりません。

この場合、必要なのは操作の学習ではなく業務の知識です。

③がいちばん多い原因です

「まず全体を理解してから」と考えると、膨大な量に圧倒されて続きません。

自社の業務をひとつ選んで、それだけを動かしてみてください。

受注を1件入れて、出荷して、請求書を出す。この一連を通すだけで、理解の質が変わります。

学習の順序(おすすめ)

第1段階:全体像をつかむ(半日)

  • Odooが何をする製品か
  • アプリという構成の考え方
  • エディションと導入形態の違い

この段階は、次の記事で足ります。

第2段階:自社の業務を1つ通す(数日)

ここがいちばん重要です。

実際に環境を用意して、自社の業務をひとつ動かしてみてください。読むだけでは分からないことが見えます。

第3段階:関係するアプリを広げる(数週間)

第2段階で動かした業務の前後を広げます。受注が動いたなら、在庫へ。在庫が動いたなら、購買へ。

各アプリの解説は、次の記事にまとめています。

第4段階:日本固有の要件を確認する

ここを飛ばさないでください。

よくある質問

Q1. 未経験でも独学できますか?

業務の知識がある方なら、基本的な操作は独学で身につけられます。

ただし、日本の制度対応や、複雑な設定の設計は独学では難しい領域です。ここは相談できる相手を確保することをおすすめします。

Q2. どのくらいの期間で使えるようになりますか?

「使う」の定義によります。

日々の入力ができるようになるまでなら、業務担当者で数日から数週間です。設計や設定まで担うなら、相応の期間が必要です。

Q3. 認定は取るべきですか?

社内に担当者を育てる目的があるなら、学習の目標として有効です。

一方、導入の可否を判断するだけなら必須ではありません。

Q4. 日本語の書籍はありますか?

日本語の書籍は限られています。 これは正直にお伝えすべき点です。

公式ドキュメントと、実際に動かして学ぶことが中心になります。

Q5. 社員教育はどう進めればよいですか?

全員に全機能を教えないでください。 役割ごとに、使う範囲だけを教えます。

そして、詳細なマニュアルより「この作業はこうする」という1枚もののほうが定着します。考え方は Odooを社内に定着させる方法 にまとめています。

まとめ

Odooの学習で最初に困るのは、情報量の多さです。

しかし、全員が同じものを学ぶ必要はありません。

経営者は判断に必要な範囲を。業務担当者は自分が使うアプリだけを。技術者は仕組みと拡張方法を。役割によって、学ぶべきものが違います。

導入時に全員を集めて全機能を説明するやり方は、うまくいきません。使わない機能の説明は記憶に残らず、「難しそうだ」という印象だけが残ります。

公式ドキュメントには日本語版もあります。ただしバージョンごとに分かれているため、自社が使うバージョンのページかを必ず確認してください。

そして、日本語の情報量は国産ソフトに及びません。英語で検索する、公式を優先する、日付を確認する。 この3つが実務的な工夫です。

学習でつまずく原因は3つあります。用語が分からない。業務の流れを知らない。そして、目的がない。

いちばん多いのは3つ目です。

「まず全体を理解してから」と考えると、量に圧倒されて続きません。自社の業務をひとつ選んで、実際に動かしてみてください。 受注を1件入れて、出荷して、請求書を出す。それだけで理解の質が変わります。

もう少し詳しく知りたい方へ

ベンチャーネットは、ERP導入支援を手がける会社です。SAP・NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発という4つの選択肢を扱っているため、特定の製品に偏らない立場でご提案できます。

「まず勉強してください」とは申し上げません。 自社の業務をひとつ動かしてみるところから、ご一緒しています。

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この記事を書いた人

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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