NetSuiteとMA-EYESを徹底比較|プロジェクト原価管理ERPの選び方と乗り換え判断【2026年版】

プロジェクト型ERP(案件単位で原価や収支を管理するERP)を検討すると、「NetSuite」と「MA-EYES」が候補に挙がることがあります。

どちらも、案件ごとの採算を見える化できるクラウドERPです。ただ、設計思想や得意な領域はかなり違います。

「macloud」で探していた方へ:macloudは別の製品(M&Aプラットフォーム)です。本記事で比較するのは、ビーブレイクシステムズが提供する「MA-EYES(エムエーアイズ)」です。MA-EYESの後継・乗り換えを検討中の方も、この記事が参考になります。

大切なのは「どちらが優れているか」ではありません。自社の経営課題に、どちらが合うかです。

結論を先にお伝えすると、人件費中心の国内プロジェクト事業ならMA-EYES、グローバル展開や在庫・製造まで含めて統合するならNetSuiteが基本の目安です。

この記事では、両製品の違い・費用・向いている企業・乗り換えの論点を、NetSuite認定パートナーのベンチャーネットが中立的に整理します。

この記事で分かること:

  • NetSuiteとMA-EYESの違い(比較表つき)
  • どんな企業にどちらが向くか
  • MA-EYESから乗り換えるときの判断ポイント
目次

比較の前提:プロジェクト型ERPとは

最初に、両製品が属する「プロジェクト型ERP」の考え方を整理します。ここがズレると、比較の軸そのものがぶれてしまうためです。

ERP(Enterprise Resource Planning)とは、会計・販売・購買・勤怠などの基幹業務を、1つのシステムにまとめて管理する仕組みです。

その中でもプロジェクト型ERPは、「案件(プロジェクト)ごとの採算」を管理することに重きを置きます。

向いているのは、主な原価が人件費や外注費になる事業です。たとえば、システム開発・コンサルティング・人材派遣・建設コンサルなどが当てはまります。

こうした事業では、「どの案件が黒字で、どの案件が赤字か」をリアルタイムに把握できるかどうかが、経営を左右します。

NetSuiteとMA-EYESは、どちらもこの領域に対応します。ただし、その先のカバー範囲が大きく異なります。

ERP全体の選び方の中での位置づけを知りたい方は、ERPを徹底比較|失敗しない選び方も参考になります。

MA-EYESの概要

MA-EYESは、プロジェクト単位の収支管理に特化した、国産のクラウドERPです。中堅・中小企業を主な対象としています。

提供元は株式会社ビーブレイクシステムズです。プロジェクト管理を中心とした「プロジェクト型企業向け」と、販売・仕入を連携した「広告業界向け」の2系統があります。

特徴は、大きく3つです。

  • プロジェクト収支のリアルタイム可視化:人員のアサインや外注費を案件に紐づけ、予算と実績の差を早く把握できる
  • ノーコードの柔軟性:プログラミングの知識がなくても、画面や帳票を調整できる
  • 業種特化:プロジェクト型・広告業界の業務に合わせた作り

費用は導入形式を選べます。SaaS版は初期費用を抑えて月額で始められ、一括導入版はサーバライセンス型で利用人数によらず料金が一定です(金額は時期や要件で変わるため、提供元への見積もり確認が確実です)。

MA-EYES単体のより詳しい解説は、MA-EYESとは?をご覧ください。

NetSuiteの概要

NetSuiteは、世界で最初に生まれたクラウドネイティブERPです。プロジェクト管理から会計・在庫・グローバル対応まで、幅広い業務を1つに統合します。

提供元はOracleです。世界220地域・43,000社以上で利用され、AI機能を組み込んだ「#1 AI Cloud ERP」と位置づけられています。

プロジェクト型の業務にも対応します。PSA(プロフェッショナルサービスオートメーション:サービス業務の収益性やリソース稼働を管理する仕組み)により、プロジェクトの収益性やリソースの稼働率を可視化できます。

さらに高度なリソース最適化が必要な場合はSuiteProjects Pro、シンプルな案件管理ならNetSuite本体のプロジェクト管理と、要件の規模で使い分けられます。

NetSuiteの強みは、ここから先の広がりです。

  • 多通貨・多言語での海外拠点の統合管理
  • 在庫・製造を含む幅広い業務のカバー
  • 会計から販売まで一気通貫のデータ連携

NetSuiteの基礎は、NetSuiteとは?で詳しく解説しています。

NetSuiteとMA-EYESの比較表

両製品の違いを、6つの観点で整理します。優劣ではなく、設計思想の違いとして見てください。

凡例:◎=標準で強い / ○=標準対応 / △=限定的・要検討

観点NetSuiteMA-EYES
対象事業業種横断・グローバル志向 ◎プロジェクト型に特化 ◎
得意な原価製造原価・在庫まで幅広い ◎人件費・外注費中心の案件原価 ◎
プロジェクト収支管理◎(PSA/SuiteProjects Pro)◎(専業特化・国産で馴染む)
グローバル・多通貨多言語◎(220地域)△(国内中心)
在庫・製造(モノづくり)△(慎重に検討)
提供形態・費用サブスク・規模で要見積SaaS月額制/一括ライセンス。小さく始めやすい

表からわかるのは、重なる部分と、はっきり分かれる部分があることです。

プロジェクト収支管理は、どちらも得意です。一方で、グローバル対応や在庫・製造は、NetSuiteに分があります。費用の入りやすさは、MA-EYESに利点があります。

つまり、どちらが正解かは、自社が何を重視するかで変わります。

どちらが自社に向くか

ここでは、選び方の軸を整理します。判断の出発点は「自社の課題が、モノの管理か、ヒトの管理か」です。

MA-EYESが向くケース

  • 主な原価が人件費・外注費(IT開発・コンサル・派遣・建設コンサルなど)
  • 事業の中心が国内で、まずプロジェクト採算の見える化を急ぎたい
  • 小さく始めて、国産ツールの馴染みやすさを重視したい

NetSuiteが向くケース

  • 海外拠点を多通貨・多言語でまとめたい
  • 在庫・製造など、プロジェクト以外の業務も統合したい
  • 事業拡大を見据え、成長に合わせて広げられる基盤がほしい

ここで強調したいのは、これは製品の優劣ではないということです。

人の稼働がそのまま原価になる国内事業なら、MA-EYESの特化した作りが力を発揮します。事業がグローバルやモノづくりに広がるなら、NetSuiteの統合力が活きます。

迷いやすいのが「まず財務会計を完璧にしたい」というケースです。日本特有の会計要件にはハードルがあるため、財務はフェーズを分けて進める方が現実的なこともあります。

なお、モノづくりの製造業(材料費・在庫が中心)でERPを比べたい方は、製造業ERPの選び方も参考になります。同じプロジェクト型ではZAC(ザック)も候補です。

MA-EYESからNetSuiteへの乗り換えを考えるときの論点

MA-EYESを使っていて、乗り換えを考え始めた方向けに、判断のポイントを整理します。結論を急ぐ必要はありません。

まず確認したいのは、不満の原因がどこにあるかです。

ERP導入がうまくいかない理由は、製品そのものより、進め方やパートナーにあることが少なくありません。製品は合っているのに、伴走相手との相性で前に進まない、というケースもあります。

不満の原因が「製品」なのか「パートナー」なのかの切り分け方は、ERP導入失敗の原因の切り分けとパートナー変更という選択肢でも詳しく解説しています。

そのうえで、乗り換えが妥当なのは、たとえば次のような場合です。

  • 海外展開が始まり、多通貨・多言語が必要になった
  • プロジェクト以外(在庫・製造など)まで統合したくなった
  • 事業規模が大きくなり、今の仕組みでは手狭になった

逆に、課題がプロジェクト採算の見える化にとどまるなら、今の製品を活かす選択肢も十分に現実的です。

乗り換える場合は、データ移行や業務の切り替えに一定の負担がかかります。「今と同じ動き」をそのまま再現しようとすると、かえって複雑になります(詳しくは次章の失敗パターンで触れます)。

変えること自体は、失敗ではありません。会社を前に進めるための、健全な経営判断です。判断に迷うときは、第三者の視点で一緒に切り分けるのも一つの方法です。

導入・乗り換えの落とし穴 ── ベンチャーネットが選定の現場で見てきた失敗パターン

比較表で「どちらが優れているか」を見ても、選び方を誤ると本来の価値は出ません。

ここでは、NetSuiteとMA-EYESの選定・乗り換えで起こりがちな失敗を、4つの根本原因に整理してお伝えします。

これは、NetSuiteを売り込みたいから書くのではありません。お客様に「失敗してほしくない」という思いから書くものです。

ベンチャーネットは、お客様との対等な関係を大切にしています。リスクも正直にお伝えし、一緒に乗り越える伴走者でありたい。そんな思いで現場の知見を共有します。

目的が曖昧なまま「製品比較」から入る

よくある現象

  • 「とりあえずプロジェクト型ERPを比較したい」から始める
  • 機能の多さや価格の安さで候補を絞ろうとする
  • 「何を解決したいのか」が言葉になっていない

なぜ失敗するか

製品比較から入ると、判断軸が「機能の数」や「価格」になりがちです。

しかし本当に必要なのは、自社の経営課題に合うかどうかです。目的が曖昧なまま選ぶと、使わない機能に投資したり、肝心の課題が解決しないまま終わります。

どう回避するか

先に「何を見える化したいか」を決めます。たとえば「案件ごとの赤字を早く見つけたい」「人の稼働と利益を結びつけたい」といった具体的な目的です。

ベンチャーネットでは、製品の説明より先に経営課題の整理から入ります。目的が定まれば、候補は自然と絞られていきます。

「現行踏襲」で、今と同じ動きを再現しようと乗り換える

よくある現象

  • 「今の業務を変えたくない」が乗り換えの前提になっている
  • 既存システムの画面や帳票をそのまま再現したい
  • なぜその運用なのか、誰も説明できない項目が残っている

なぜ失敗するか

今のやり方をそのまま新システムに移すと、非効率や属人化も一緒に持ち込んでしまいます。

結果、新システムは前より複雑になり、「使いにくい」という声が出ます。これは課題を解決したのではなく、見えにくくしただけです。

どう回避するか

乗り換えは、業務を見直す好機です。「本当に必要な業務」と「惰性で続けている業務」を仕分けます。

ERP導入がうまくいかない理由は、製品そのものより、進め方やパートナーにあることが少なくありません。製品を活かしながら、進め方や伴走相手を冷静に見直す。これも現実的な選択肢です。

価格や「国産」など、見えやすい条件だけで決める

よくある現象

  • 月額の安さや「国産だから安心」で候補を絞る
  • 逆に、海外拠点や在庫管理の要件を後回しにする
  • 数年後の事業拡大を想定に入れていない

なぜ失敗するか

見えやすい条件は比べやすい反面、自社の本質的な要件を見落としがちです。

たとえば人件費中心のプロジェクト事業なら、MA-EYESのような専業特化が馴染みます。一方、海外拠点を多通貨・多言語でまとめたい、在庫や製造まで含めたいなら、NetSuiteのような統合型が向きます。ここを取り違えると、後から作り込みが膨らみます。

どう回避するか

自社の課題が「モノの管理」なのか「ヒトの管理」なのかを、まず整理します。

ベンチャーネットでは、最初から全部を完璧にしようとせず、優先度の高い領域から始めることをおすすめしています。日本特有の会計要件などは、フェーズを分けて進める方が現実的な場合もあります。

パートナー・伴走を軽視し、「製品選び」だけで終える

よくある現象

  • 製品を決めれば、あとは社内で何とかなると考える
  • 導入後の運用・定着に予算を取っていない
  • 質問しても答えが曖昧なパートナーのまま進めている

なぜ失敗するか

ERPは入れて終わりではありません。現場が使い続けて、初めて効果が出ます。

導入や運用を一緒に進めるパートナーの影響は、想像以上に大きいものです。業務を理解した提案が返ってこないと、プロジェクトは前に進みません。

どう回避するか

製品選びと同じ重さで、誰と進めるかを考えます。

ベンチャーネットは、丸投げ型ではなく伴走型の支援を大切にしています。導入後も一緒に運用を磨き、社内にノウハウを残していく。そういう対等な関係を目指しています。

これら4つの失敗は、すべて「事前に知っていれば避けられる」ものです。

大切なのは、完璧な製品を探すことではありません。完璧を目指すより、まず回す。動かしながら磨いていく方が、結果的に早く成果が出ます。

MA-EYESとNetSuite、どちらが自社の課題に合うか。「うちはどっちだろう」と迷ったら、お気軽にご相談ください。製品の比較の前に、課題の整理から一緒に考えさせてください。

よくある質問(FAQ)

NetSuiteとMA-EYESの比較で、よく寄せられる質問をまとめます。

Q1. MA-EYESとNetSuiteの一番の違いは何ですか?

MA-EYESはプロジェクト収支管理に特化した国産ERP、NetSuiteは多通貨・多言語に対応した世界標準の統合ERPです。

MA-EYESは人件費中心の国内プロジェクト事業に馴染みます。NetSuiteは海外拠点や在庫・製造まで含めて統合したい企業に向きます。どちらが合うかは、自社の課題で変わります。

Q2. 費用はどちらが安いですか?

始めやすさではMA-EYESに利点があります。SaaS版なら初期費用を抑えて月額から利用できます。NetSuiteは利用規模や要件で見積もりが変わります。

ただし、安さだけで選ぶのは禁物です。安く始めても、必要な要件をカバーできなければ、後から作り込みや乗り換えのコストがかかります。総額と将来の拡張性で考えるのが安全です。

Q3. MA-EYESからNetSuiteに乗り換えられますか?データ移行は大変ですか?

乗り換えは可能です。ただし、データ移行や業務の切り替えには一定の負担がかかります。

大切なのは、乗り換えありきで考えないことです。不満の原因が製品ではなく進め方やパートナーにある場合、今の製品を活かす選択肢も現実的です。まず原因を切り分けることをおすすめします。

Q4. モノづくりの製造業には、どちらが向きますか?

材料費や在庫の管理が中心のモノづくり製造業は、MA-EYESの主領域とは少しずれます。MA-EYESは人件費が原価の中心になるプロジェクト型に強い製品だからです。

在庫・製造まで統合したいなら、NetSuiteや製造特化のERPが候補になります。製造業での選び方は製造業ERPの選び方で整理しています。

Q5. macloudとMA-EYESは同じ製品ですか?

別の製品です。macloudはM&A関連のプラットフォームで、ERPではありません。

本記事で扱うMA-EYESは、ビーブレイクシステムズが提供するプロジェクト型のクラウドERPです。検索時に名称が混同されやすいため、念のため補足しました。

まとめ ── 自社の課題で選ぶ

NetSuiteとMA-EYESは、どちらもプロジェクトの採算を見える化できるクラウドERPです。

違いは、その先の広がりにあります。

  • MA-EYES:人件費中心の国内プロジェクト事業に特化。小さく始めやすい
  • NetSuite:グローバル・在庫・製造まで統合。成長に合わせて広げられる

最適な答えは、機能を並べて比べるだけでは見えてきません。「自社が何を解決したいのか」が定まって、初めて候補が絞られます。

製品を比べる前に、自社の課題を見極める。そこが定まれば、選択は驚くほどシンプルになります。

完璧な製品を探すより、まず自社の課題を整理する。動かしながら磨いていく方が、結果的に早く前に進めます。

ベンチャーネットは、ERP選定の無料相談を承っています。NetSuiteの認定パートナーですが、課題によってはNetSuite以外が適していると判断することもあります。中立の立場で、経営課題の整理から一緒に考えます。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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