販促最適化とは?販促費の予算配分を、勘で決めないための4ステップ

「効率の良い施策から順に、予算をつけていけばいい」

来期の販促計画を立てる会議で、よく出てくる考え方です。

いちばん合理的に聞こえます。

ところが、この順番で配り切っても、売上が前年並みで止まる会社があります。

販促最適化とは、限られた販促費を、効果が最も大きくなるように施策へ配分することです。

販促の計画には、「施策を選ぶ」ことと「予算を配る」ことが混ざっています。

成果を左右するのは、後者の配り方です。

販促最適化は、測る→枠を決める→条件を書き出す→配分を決める、の4ステップでできています。

では、なぜ「効率の良い順」では、うまく配れないのか。

答えは4つめのステップにあります。

広告の運用の小技ではなく、経営として販促費をどう扱うかの話です。

目次

この記事で分かること

  1. 販促最適化とは何か。「施策を選ぶ」と「予算を配る」の違い
  2. 販促計画が毎年、勘に頼ってしまう3つの理由
  3. 販促最適化の4つのステップと、自社がどこで止まっているかの見分け方
  4. キャンペーンの効果を「何と比べて」測るか
  5. 配分が足し算で決まらなくなる境目

(読了時間の目安:約10分)

販促最適化とは|「施策を選ぶ」と「予算を配る」は別の意思決定

販促の計画づくりには、性質のまったく違う2つの意思決定が混ざっています。

施策を選ぶ予算を配る
決めること何をやるかそれぞれにいくら出すか
判断のもと顧客の理解、商品の特性、過去の手応え効果の実績、予算の枠、施策どうしの関係
得意な人販促・マーケティングの担当者本来は経営・管理部門
足りないと的外れな施策をやってしまう良い施策に足りない額しか出せない

会議で話し合われるのは、たいてい左側です。

右側は、「去年と同じくらいで」「余った分を回そう」で決まることが少なくありません。

けれども、成果を左右するのは右側です。

同じ施策でも、投じる額が違えば、返ってくるものは変わります。

販促最適化は、この右側を、勘ではなく根拠で決められるようにする取り組みです。

「最適化」という言葉について

最適化と聞くと、少し身構えるかもしれません。

ここでは、条件を満たしたうえで、いちばん良い組み合わせを選ぶことと考えてください。

条件とは、たとえば「予算の上限」や「この施策は必ず入れる」といった決まりごとです。

その決まりを守りながら、効果が最大になる配り方を探します。

広告運用の最適化とは、層が違う

似た言葉に「広告の最適化」があります。

こちらは主に、1つの媒体の中で入札や配信を調整することを指します。

販促最適化は、その1つ上の層です。

媒体や施策をまたいで、限られた原資をどう振り分けるかを決めます。

広告運用の最適化販促最適化
扱う範囲1つの媒体・1つのキャンペーンの中施策や媒体をまたいだ全体
決めること入札額、配信先、クリエイティブどの施策にいくら配るか
主な担い手運用担当者・代理店経営・管理部門
効いてくる時間日次〜週次四半期〜年

どちらが上という話ではありません。

ただし、上の層が決まっていないと、下の層をいくら磨いても、効果は頭打ちになります。

配分そのものが間違っていれば、運用の巧拙では取り返せません。

販促計画が勘に頼ってしまう3つの理由

担当者の能力の問題ではありません。

勘に頼らざるを得ない理由は、だいたい次の3つです。

理由① 効果を測っていない

「売上が伸びた」は、効果の証明になりません。

販促をしなくても、伸びていたかもしれないからです。

比べる相手を決めていないと、どの施策が効いたのかは、いつまでも分かりません。

分からないまま、翌年も同じ施策が並びます。

理由② 配れる枠を決めていない

販促費の総額が先に決まっていない会社は、意外と多くあります。

各部門の要望を足し上げ、最後に経理が削る。

この順番だと、配分の話し合いができません。

枠がないと、「どちらを優先するか」という会話が生まれないからです。

理由③ 配り方のルールがない

効果が分かり、枠も決まっている。

それでも、配分は決まりません。

配り方のルールがないからです。

よくあるのは、「効率の良い順に配る」というルールです。

冒頭の考え方ですね。

一見すると合理的ですが、落とし穴があります(第7章)。

📌 この3つは、順に積み上がっています。①がないと②が決められず、②がないと③が意味を持ちません。自社がどこで止まっているかが分かれば、次の一手が決まります。

販促最適化は4つのステップでできている

販促最適化を一度に全部やろうとすると、たいてい途中で止まります。

分けると、次の4つです。

ステップやること終わると分かること
① 測る効果を「何と比べるか」を決め、実績を残すどの施策が、どれだけ効いたか
② 枠を決める販促費の総額と、配る単位を決める配れる原資はいくらか
③ 条件を書き出す暗黙の運用ルールを言葉にする選んではいけない組み合わせはどれか
④ 配分を決める条件を守りつつ、効果が最大になる配り方を選ぶ次の予算を、どこに厚く置くか
販促最適化の4ステップ 測る、枠を決める、条件を書き出す、配分を決めるの4ステップ。前のステップが終わらないと次に進めず、多くの会社は1つめの測るで止まっている。 販促最適化の4ステップ ① 測る 多くはここで止まる 何と比べるかを決め、実績を残す ② 枠を決める 販促費の総額と、配る単位を決める ③ 条件を書き出す 暗黙の運用ルールを言葉にする ④ 配分を決める 条件を守り、効果が最大の配り方を選ぶ 前のステップが終わらないと、次に進めない
販促最適化の4ステップ

この4つは、前のステップが終わらないと、次に進めません。

多くの会社は、①で止まっています。

効果が分からないまま④を話し合うので、結論が毎回ひっくり返ります。

ステップ① 効果を「何と比べるか」を決める

効果測定の出発点は、測る道具ではありません。

比べる相手を決めることです。

比べる相手は「販促をしなかった場合の見通し」

販促の効果は、正確にはこう書けます。

販促をした場合の売上 − 販促をしなかった場合の売上

後ろの半分は、実際には起きていません。

見通しを立てるしかない部分です。

この見通しにあたるものが、需要予測です。

需要予測は、在庫や発注のための道具だと思われがちです。

けれども、販促の効果を測るときにも、同じものが土台になります。

「販促がなければ、この商品は今月これくらい売れていたはず」。

その基準線があって初めて、上に乗った分を効果と呼べます。

需要予測のやり方は、需要予測とは?やり方・手法・精度の測り方を基礎から解説で扱っています。

基準線と効果の関係を図にすると、次のとおりです。

販促の効果は、基準線の上に乗った分 販促をした場合の売上から、販促をしなかった場合の見通しを引いた分が効果。販促をしなかった場合の見通しにあたるのが需要予測で、効果を測るときの基準線になる。 販促の効果=上に乗った分 販促をした場合の売上 基準線 効果 基準線の上に乗った分 販促をしなかった 場合の見通し =需要予測 実際には起きていない部分 基準線がないと、どれだけ効いたか分からない
販促の効果は、基準線の上に乗った分

📌 販促は、需要を動かす行為です。だから、販促の計画と需要の予測は、本来つながっているものです。販促を打った月の実績をそのまま予測のもとにすると、次の予測が狂います。「その月に何をしたか」の記録が、予測の精度にも効きます。

最小形から始めてよい

厳密な効果測定の手法は、世の中にたくさんあります。

ただ、最初から精密にやろうとすると、たいてい始まりません。

最小形は、次の3つです。

  1. 施策ごとに、いつ・いくら使ったかを残す
  2. 施策を打った対象(商品・地域・チャネル)を記録する
  3. 打たなかった対象や期間と比べる

この3つがあれば、粗くても比べられます。

精度を上げるのは、記録がたまってからで構いません。

比べ方は3つある

「何と比べるか」には、実務で3つの選び方があります。

どれを使えるかは、記録の残り方で決まります。

比べ方やり方向いている場面注意点
前年同月と比べる同じ月の前年の実績を基準にする記録が乏しく、まず何か基準がほしいとき前年もその月に販促を打っていれば、基準が膨らんでいる
打たなかった対象と比べる施策の対象外だった商品や地域と比べる一部の商品・地域だけに打った施策もともとの売れ方が違うと比較にならない
打たなかった期間と比べる施策の前後の期間と比べる期間を区切って打った施策季節の変動が大きい商材では誤差が出やすい

最初から3つ目を目指さなくて構いません。

1つ目から始め、記録がたまったら2つ目・3つ目に移る。この順番で十分です。

欠かせないのは、「今回はこの比べ方で判断した」と決めて記録に残すことです。

比べ方を毎回変えると、年をまたいだ比較ができなくなります。

データが一か所にないと、これができない

実務でいちばん詰まるのが、ここです。

販促費は会計システム、売上は販売管理システム、施策の記録は担当者の手元のExcel。

この状態だと、比べるための表を作るだけで数日かかります。

そして、続きません。

効果測定が続くかどうかを決めるのは、分析の技術ではありません。

データが一か所にそろっているかです。

基幹システムに販促費と売上が同じ粒度で入っていれば、この作業はほぼ自動になります。

考え方の土台は、サプライチェーンの全体最適とはにまとめています。

売上の側の見通しの立て方は、NetSuite SFAで実現する販売予測をご覧ください。

ステップ② 配れる枠を決める

効果が見えてきたら、次は枠です。

「売上の何パーセント」で決める前に

販促費を、売上の一定の割合で置く会社は多くあります。

出発点としては、分かりやすい方法です。

ただし、この決め方には一つの性質があります。

売上が落ちた年に、販促費も自動で落ちるのです。

本当にてこ入れが要る年に、原資が細る。

割合で決めること自体は悪くありません。

この性質を知ったうえで使えば、です。

枠は「総額」と「単位」の2つを決める

枠を決めるとは、金額を1つ決めることではありません。

決めること中身決めないとどうなるか
総額年間・期間の販促費の上限積み上げで膨らみ、最後に一律カットになる
単位どの区切りで配るか(月・四半期・商品カテゴリ・チャネル)配分の話が「全社でいくら」から先に進まない

配分の話し合いを始める鍵は、単位です。

「今期の販促費を、4つのカテゴリにどう割るか」。

そこまで具体にして、初めて比べられます。

総額の決め方は3通り

総額の決め方にも、よく使われるやり方が3つあります。

それぞれに性質があり、どれか1つが正解というわけではありません。

決め方中身性質
売上比で決める売上の一定の割合を販促費に充てる分かりやすいが、売上が落ちた年に原資も細る
前年実績から増減で決める前年の販促費を起点に増やす・減らす実績が土台になるが、前年の配分の歪みをそのまま引き継ぐ
目標から逆算して決める目標の売上増を決め、そこから必要な額を置く根拠が明確だが、効果の実績(ステップ①)がないと数字を置けない

3つ目がいちばん望ましい形です。

ただし、効果測定ができていないと使えません。

第4章を先に進める理由は、ここにもあります。

いまは、1つ目や2つ目で構いません。

自社がどの決め方を使っているか、それだけは自覚しておきます。

性質を知らずに使うと、想定と違う動きをしたときに、理由が分からなくなります。

価格そのものを動かす判断は、販促とは別の意思決定です。

そちらは、プライシングとは?価格戦略の立て方で扱っています。

ステップ③ 暗黙のルールを「条件」として書き出す

販促の現場には、明文化されていない決まりごとがたくさんあります。

「同じ月に、同じ種類のキャンペーンは重ねない」

「新商品の告知は、必ず入れる」

「この2つの施策は、同時にやらない」

担当者の頭の中にはあっても、どこにも書かれていません。

だから、担当者が替わると、判断の理由ごと消えてしまいます。

条件は4種類に分けられる

種類例
予算の条件年間の上限、月ごとの上限
必須の条件認知のための施策は必ず1つ入れる
排他の条件同じ月に同種の施策を重ねない/この2施策は同時に実施しない
上限の条件1つの施策に全体の3割以上は入れない

書き出す作業そのものに、価値があります。

暗黙のルールは、言葉にした時点で、引き継げるものになるからです。

属人化の解消は、仕組みを入れることから始まるのではありません。

いま頭の中にある判断の基準を、外に出すことから始まります。

この書き出しは、販促カレンダーづくりの実務そのものです。

手順は、販促カレンダーの作り方|暗黙のルールを「条件表」に書き出すで扱っています。

ステップ④ 配分を決める|足し算で決まらなくなる境目

ここまで来れば、あとは配るだけ。

そう思えますが、最後のステップに山があります。

冒頭の「効率の良い順」が崩れるのも、ここです。

効果は、投じるほど鈍る

同じ施策に予算を足していくと、足した分の効果は少しずつ小さくなります。

広告の露出なら、同じ人に何度も届くようになるからです。

最初の100万円と、5本目の100万円では、返ってくるものが違います。

投じる額と効果の関係を図にすると、次のとおりです。

効果は、投じるほど鈍る 同じ施策に予算を足していくと、足した分の効果は少しずつ小さくなる。最初の100万円と5本目の100万円では、返ってくるものが違う。効率の良い施策でも、投じ続ければどこかで鈍る。 効果は、投じるほど鈍る 効果 投じる額 最初の100万円 足した分の効果が大きい 5本目の100万円 足した分の効果が小さい 効率の良い施策でも、どこかで鈍る 「次の100万円をどこに置くか」で考える
効果は、投じるほど鈍る

ここから、一つの結論が出ます。

「効率の良い施策に全部寄せる」は、正しくありません。

効率の良い施策でも、投じ続ければどこかで鈍ります。

そして、別の施策のほうが効く点が来ます。

施策どうしは影響し合う

もう一つあります。

施策は、単独では動きません。

認知の施策が効いていれば、その後の販売促進はよく効きます。

逆に、同じ月に似た施策が重なれば、互いに食い合います。

配分を難しくしているのは、この組み合わせで効果が変わる性質です。

単独では効果が小さく見える施策でも、他を押し上げているなら価値があります。

単独では良く見える施策が、実は他の施策の成果を横取りしているだけのこともあります。

1つずつ評価して順位をつける方法では、この関係が見えません。

足し算で決まる範囲と、決まらない範囲

足し算で書ける掛け算が入る
条件の例合計が予算以内に収まる2つの施策を同時にやると効果が変わる/偏りを抑えたい
表計算ソフトで扱えるか扱える扱いにくい
必要な道具表計算ソフト、無料のソルバー専用の計算手法

足し算で書ける範囲なら、表計算ソフトと無料の道具で十分です。

わざわざ高価な仕組みを入れる必要はありません。

難しくなるのは、飽和や相互作用のように、掛け算が入ってからです。

そこを超えたときに、初めて別の道具の出番になります。

効率の良い順に配ると、具体的に何が起きるのか。

例は、広告予算の配分|「効率の良い順」に配ると年間4,212万円を取りこぼす理由で示しています。

どの道具をいつ使うかは、最適化ツールの選び方|「掛け算の条件」があるかどうかで決まるをご覧ください。

考え方の土台は、データドリブン経営の次の一手で扱っています。

よくある失敗の3つの型

失敗① 効率の良い順に配って、そこで終わる

起きること:費用対効果の良い施策から順に、予算を埋めていった。

数字のうえでは合理的に見えるのに、売上は前年並みで止まった。

原因:効率は、投じる額で変わります。

順位を1回つけて配り切る方法は、投じた後に効率が変わることを計算に入れていません。

避け方:配るときの問いを変えます。

「どの施策が効率的か」ではなく、「次の100万円をどこに置くのがいちばん効くか」。

順位ではなく追加の1単位で考えると、配分は自然に散らばります。

失敗② どれも捨てられず、全部を薄く実施した

起きること:各部門の要望をすべて採用し、金額を一律で削って帳尻を合わせた。

どの施策も必要な規模に届かず、手応えが残らなかった。

原因:施策には、効き始める最低限の規模があります。

一律のカットは、その規模を下回らせる方向に働きます。

「やらない施策を決める」という意思決定を避けた結果です。

避け方:枠を先に決め、単位ごとに配ります(第5章)。

削るのではなく、「今期は入れない」と決めることを、計画づくりの正式な工程にします。

やらないと決めた理由を残しておくと、翌年の話し合いが短くなります。

失敗③ やった後に測らず、翌年も同じ案が並ぶ

起きること:実施の報告は上がるが、売上との比較がされていない。

翌年の計画会議で、前年と同じ施策が同じ金額で提案される。

原因:効果を測るには、販促の記録と売上の記録を突き合わせる必要があります。

それぞれが別のシステムや担当者の手元にあると、手間がかかりすぎて続きません。

避け方:精密な効果測定を最初から目指さず、第4章の最小形から始めます。

そのうえで、販促費と売上が同じ場所に、同じ粒度で残る状態を作ります。

測定が続くかどうかは、意志ではなく仕組みで決まります。

自社はどこで止まっているか|3つの問い

次の3つに答えてみてください。

最初に詰まったところが、いま手をつけるステップです。

問い① 直近の販促施策について、「何と比べて効果を判断したか」を言えますか

言えなければ、ステップ①(第4章)から始めます。

ここが空白のまま配分を話し合っても、結論は毎回ひっくり返ります。

問い② 今期の販促費の総額と、配る単位を言えますか

「だいたいこれくらい」ではなく、金額と単位です。

言えなければ、ステップ②(第5章)です。

枠がないと、優先順位の会話が始まりません。

問い③ 販促計画をつくるとき、「これはやらない」と決めた理由を記録していますか

やったことの記録は残っていても、やらないと決めた理由は、ほとんど残っていません。

ここが空白なら、ステップ③(第6章)です。

判断の理由こそが、引き継げる資産になります。

3つとも答えられたなら、配分の仕組み化(ステップ④)を考える段階です。

まだなら、手前のステップを飛ばさないでください。飛ばすと、必ず戻ることになります。

ベンチャーネットならこう見る|1つの商品群・1つの指標で、90日の1周目を回す

販促の企画そのものは、広告代理店やマーケティングの専門会社が得意な領域です。

ベンチャーネットが関わるのは、その手前の土台です。

販促費と売上を同じ場所に同じ粒度で残し、需要の見通しと販促の記録をつなぎます。

型1:最短90日で、1業務・1KPIに絞った1周目

4つのステップを、全社の全施策で一度に回そうとすると止まります。

ベンチャーネットは、データを使った経営の1周目を、最短90日で、1つの業務と1つの指標に絞って回します。

販促なら、たとえば1つの商品カテゴリと、そこでの販促による売上の上乗せ分です。

そして、現場の勘と計算による提案を、同じ条件で比べます。

担当者がふだんどおりに決めた配分と、条件を守って計算した配分。

同じ比べ方(第4章)で答え合わせをすれば、どちらが効いたかを社内で納得できます。

勘を否定するためではありません。

勘のどこが当たり、どこが外れるかを知るためです。

型2:守り→攻め→次へ

定着の先の3段階:守り→攻め→次へ 守りは業務が回ること、攻めはデータで打つこと、次へは経営が変わること。 定着の先の3段階守り|業務が回る在庫・販売・会計を1つにし、日々の業務を安定させる攻め|データで打つ売れ筋・在庫の分析、営業作業の自動化、生成AIでの集計次へ|経営が変わるKPI、管理会計、上場に向けた内部統制
定着の先の3段階:守り→攻め→次へ

販促最適化の4ステップも、この3段に重なります。

  • 守り:販促費と売上が、同じ場所に同じ粒度で残る。ステップ①の測定が、毎月の業務として回る
  • 攻め:暗黙のルールを条件として書き出し(ステップ③)、データで配分を打つ
  • 次へ:販促の効果が、KPIや管理会計の数字として経営会議で語られる

多くの会社は、守りの手前で止まっています。

だから、最初の一歩は派手な計算ではなく、記録の置き場所を決めることです。

配分を計算する仕組みは、足し算で足りる範囲なら、そう申し上げます。

専用の計算手法が要るのは、飽和や相互作用のような掛け算の条件が入ってからです。

ベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。

特定の製品に誘導しない立場で、必要がなければ作らないという提案もします。

基幹システムの側でAIをどう使えるかは、NetSuite×AI活用事例10選にまとめています。

集客の実行の面はNetSuiteで集客を自動化するには、AI検索の時代のマーケティングの設計はAIOとはで扱っています。

今日できること

直近1年で実施した販促施策を、紙1枚に書き出してください。

列は3つだけで構いません。

施策名いつ・いくら使ったか何と比べて効果を判断したか

3列目が埋まらない行が、多いはずです。

その空欄の多さが、いま販促の配分を勘で決めている理由そのものです。

埋まらなかった行を1つ選び、「次にやるときは何と比べるか」を先に決めておく。

販促最適化は、そこから始まります。

数字を会議で回す段階では、PSI会議とはの進め方が参考になります。

よくある質問

Q1. 販促費が年間で数百万円規模でも、最適化を考える意味はありますか

あります。

効いてくるのは、金額の大小より、施策の数と条件の複雑さです。

施策が3つなら、紙の上で比べられます。

10を超えると、組み合わせが一気に増えます。

まずは第4章の効果測定から始めてください。規模によらず、ここが土台になります。

Q2. 効果測定のツールを入れれば、配分まで決まりますか

決まりません。

効果を測ることと、配分を決めることは、別の工程です。

測定は「どの施策がどれだけ効いたか」を教えてくれます。

「では来期どう配るか」は、予算や社内の条件を加えて、別に決めます。

この2つの関係は、Google Meridianとは|MMMツールで予算配分はどこまで決まるのかで扱っています。

Q3. 需要予測がまだない会社でも始められますか

始められます。

最初は、前年同月の実績を基準線に使う方法で十分です。

ただし、前年の実績は、その年に打った販促の影響を含んでいます。

「その月に何をしたか」を一緒に記録することだけは、いまから始めてください。

これがないと、後で精度を上げようとしたときに、材料が残っていません。

Q4. 販促の担当者が1人しかいません。それでも条件を書き出す意味はありますか

むしろ、その状況のほうが意味があります。

判断が1人の頭の中にしかない状態は、その人が不在になると止まります。

条件を書き出すことは、仕組みを入れる前にできる、最も費用のかからない属人化対策です。

Q5. 配分の計算は、表計算ソフトでは無理なのでしょうか

多くの場合はできます。

「合計が予算以内」のような足し算で書ける条件だけなら、表計算ソフトと無料の道具で十分です。

難しくなるのは、効果の頭打ちや施策どうしの影響といった、掛け算の条件が入ってからです。

境目の見分け方は、最適化ツールの選び方で扱っています。

Q6. 基幹システムを入れ替えないと、販促最適化はできませんか

できます。入れ替えは前提ではありません。

要るのは、販促費と売上を同じ粒度で突き合わせられる状態です。

いまのシステムでそれができるなら、そこから始めてください。

突き合わせに毎回数日かかるなら、そのときに土台を見直す順番です。

まとめ

  • 販促の計画には、「施策を選ぶ」と「予算を配る」という別の意思決定が混ざっている。成果を左右するのは後者
  • 勘に頼ってしまう理由は3つ。効果を測っていない/枠を決めていない/配り方のルールがない。この順に積み上がっている
  • 販促最適化は4ステップ。測る → 枠を決める → 条件を書き出す → 配分を決める
  • 効果測定の出発点は道具ではなく、「販促をしなかった場合の見通し」という比べる相手を決めること
  • 暗黙の運用ルールを条件として書き出す作業は、最も費用のかからない属人化対策でもある
  • 配分は、足し算で書ける範囲なら表計算ソフトで足りる。難しくなるのは、効果の頭打ちや相互作用が入ってから

販促費は、使い切る予算ではなく、配る資源です。

「効率の良い順」で配り切る前に、まず1年分の施策を紙に書き出してみてください。

3列目の空欄が、4ステップのどこから始めるかを教えてくれます。

もう少し詳しく知りたい方へ

自社の販促費と売上が、いまどこに、どんな粒度で残っているか。

そこを見るところから、一緒に考えます。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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