安全在庫の配分|同時に売れる商品をまとめて持つと、まとめて外れる

「需要のブレが大きい商品ほど、安全在庫を厚く持つ」

安全在庫を商品ごとに変えようとすると、まずこう考えます。

ブレが大きければ外れ幅も大きい。

だから備えを厚くする。

理屈は通っています。

ところが、ベンチャーネットが8商品で検証すると、最適な配分はこの順番に並びませんでした。

安全在庫の配分とは、限られた在庫予算を、どの商品にどれだけ振り向けるかを決める作業です。

答えを分けたのは、商品どうしの関係でした。

バレンタインの商品は、3つとも同じ時期に、同じ方向へ動きます。

それぞれを別々に守ろうとすると、外れるときもまとめて外れます。

だから、同時に動く商品は、グループとしてまとめて見る必要があります。

では、グループで見ると、配分はどう変わるのか。

目次

この記事で分かること

  • 安全在庫の「配分」とは何か(水準を決める話との違い)
  • 同時に動く商品を、別々に扱うと何が起きるか
  • 8商品の検証で出た配分と、その読み方
  • 配分は「持つ/持たない」の二択ではないこと
  • 手計算や無償のソフトで解けない理由と、証明できなかったこと

(読了時間の目安:約11分)

安全在庫の「配分」とは

先に押さえる4つの言葉

安全在庫の配分とは、限られた在庫予算を、どの商品にどれだけ振り向けるかを決める作業のことです。

需要の連動(相関)とは、複数の商品の売れ方が同じ方向に動く関係のことです。

同じ季節やイベントで動く商品群は、この関係を持ちます。

配分レベルとは、その商品にどれくらい手厚く安全在庫を持たせるかを、段階で表したものです。

残るブレとは、安全在庫を配分したあとも、吸収しきれずに残る需要のブレのことです。

配分を厚くするほど小さくなり、配分ゼロなら元のブレがそのまま残ります。

「いくつ持つか」と「どう配るか」は別の問題

安全在庫の話は、2つに分かれます。

水準を決める配分を決める
問いこの商品は、いくつ持つべきか限られた予算を、どの商品にどう配るか
見る単位1商品ずつ商品の組み合わせ
決め手ブレ幅・リードタイム・欠品をどこまで許すか予算の総額と、商品どうしの関係

水準のほうは、1商品ずつ計算すれば答えが出ます。

ブレ幅とリードタイムが分かれば、必要な数量は求められます。

この記事は、配分のほうを扱います。

配分が難しいのは、1商品ずつの答えを足し合わせても、全体の答えにならないからです。

1商品の水準が何で決まるかは、在庫最適化とは?で扱っています。

配分は、その先の話です。

同時に動く商品を、別々に守ると外れる

1商品ずつの計算が成り立つ前提

「ブレの大きい商品に厚く配る」考え方は、ある前提に立っています。

商品どうしが、無関係に動くという前提です。

商品Aが想定より売れた月に、商品Bは想定より売れないかもしれない。

互いに関係がなければ、平均すると全体のブレは打ち消し合います。

だから、1商品ずつ備えれば足ります。

需要の見通しをどう立てるかは、需要予測とは?にまとめています。

季節商品は、この前提が崩れる

現実には、同じ方向へ一緒に動く商品があります。

バレンタインの板チョコ、生チョコ、トリュフ。

バレンタインが盛り上がれば3つとも売れ、不発なら3つとも残ります。

打ち消し合わず、同じ方向に同時に振れるのです。

検証では、この関係の強さを数字で置きました。

同じグループの商品には、0.6という連動の強さを設定しています。

何が起きるか

連動する商品を1商品ずつ評価すると、2つのことが起きます。

1つめ。

グループ全体のリスクを小さく見積もります。

打ち消し合う前提で計算するため、実際より安全に見えてしまいます。

2つめ。

同じグループに予算が集中します。

ブレの大きい商品を順に選ぶと、同じグループの商品が並ぶことがあります。

予算をそこに寄せると、そのイベントが不発だったとき、まとめて外れます。

だから、同時に動く商品はグループとして見ます。

グループ全体のリスクを見たうえで、その中の配分を決める。

これが「まとめて見る」の中身です。

2つの前提の違いを並べると、次のとおりです。

無関係に動く商品と、同時に動く商品の違い 無関係に動く商品はブレが打ち消し合うので1商品ずつ備えれば足りる。同時に動く商品はブレが打ち消し合わず、1商品ずつの計算ではリスクを小さく見積もるため、グループとしてまとめて見る。 1商品ずつの計算が効く前提 無関係に動く商品 同時に動く商品 動き方 互いに無関係 同じ方向に 同時に振れる 全体のブレ 打ち消し合う 打ち消し合わない 1商品ずつ備えると それで足りる リスクを 小さく見積もる どう見るか 1商品ずつ グループとして まとめて見る 例:バレンタインの板チョコ・生チョコ・トリュフ
無関係に動く商品と、同時に動く商品の違い

検証で出た配分|8商品の答え

ここから、ベンチャーネットが在庫最適化の仕組みを検証したときの結果です。

これは、検証用のサンプルデータによる計算例です。

実際の商品構成では、数字が変わります。

また、この検証は8商品の規模で行いました。

数百・数千の商品を扱う現場に、そのまま当てはまる話ではありません。

計算した条件

  • 8商品を4グループに分ける(バレンタイン系3/母の日系2/ハロウィン系2/通年商品1)
  • 同じグループの商品には、連動の強さ 0.6 を設定
  • 安全在庫の予算は 30万円以内
  • 各商品の配分は 5段階(0〜4)から選ぶ
  • 欠品による損失と、残るブレのリスクの合計を最小にする

組み合わせは39万通りです。

この規模なら、すべてを計算して本当の正解を確かめられます。

出てきた配分

商品グループ配分レベル需要のブレ
バレンタイン板チョコバレンタイン系44.0
バレンタイン生チョコバレンタイン系43.5
バレンタイントリュフバレンタイン系43.0
母の日ギフト母の日系22.5
母の日カード添え母の日系42.0
ハロウィン限定ハロウィン系43.2
ハロウィンBOXハロウィン系22.8
通年ロングセラー通年商品01.5

この配分は、39万通りの全探索の結果と完全に一致しました。

この条件で、これより良い配分はありません。

検証で出た配分:グループで見ると順番が変わる 8商品の検証で、バレンタイン系は3商品とも配分4、母の日系はブレの小さいカード添えが4でギフトが2、ハロウィン系は限定が4でBOXが2、通年ロングセラーは0になった。 8商品の配分レベル(0〜4) バレンタイン系(3商品) 板チョコ 4/生チョコ 4 トリュフ 4 連動もブレも大きく、3つとも最大 母の日系(2商品) ギフト 2/カード添え 4 ブレの小さいカード添えのほうが厚い ハロウィン系(2商品) 限定 4/BOX 2 通年商品(1商品) ロングセラー 0 ブレも欠品損失も小さく、予算を回さない ブレの大きい順には並ばない サンプルデータ・予算30万円以内
検証で出た配分:グループで見ると順番が変わる

表の読み方|3つ

① ブレの大きい順に並んでいない

母の日系を見てください。

ブレ2.5のギフトが配分2、ブレ2.0のカード添えが配分4です。

ブレの小さいほうに、厚く配っています。

おかしく見えるのは、1商品ずつ見ているからです。

計算は、グループ単位でリスクを見ています。

連動する2商品では、グループ全体に残るブレをどこまで抑えるかが問われます。

片方を厚くして全体を抑えるほうが、両方を中途半端に守るより効く場合があるのです。

ブレの順に並べて上から配るやり方では、出てこない答えです。

② 通年ロングセラーが配分ゼロ

いちばん違和感のある結果でしょう。

安定して売れている商品に、安全在庫を持たない。

検証の原本には、こう記されています。

ブレが最も小さく欠品損失も小さいため、予算を回す価値がないと判断

理由は2つです。

ブレが小さいこと。

そして、欠品したときの損失も小さいこと。

限られた予算では、どこかに配ればどこかを削ります。

この商品より他に回したほうが、全体の損失が減るという判断です。

③ バレンタイン系だけ3商品とも最大

3商品が連動し、ブレも大きいグループに、予算が集まりました。

グループとして見たリスクがいちばん大きいため、ここを抑えるのが効くという結果です。

冒頭の問いへの答えは、この3つです。

グループで見ると、配分はブレの順ではなく、グループのリスクの順に決まります。

配分は「0か100か」ではない

表をもう一度見てください。

配分レベルは、0・2・4の3種類が使われています。

段階で持つという発想

検証では、配分を5段階(0〜4)に分けています。

「持つか持たないか」の二択ではありません。

実務でも、この発想は使えます。

「厚め・標準・薄め・持たない」の4段階を決め、商品をどれかに割り当てる。

それだけでも、全商品一律よりずっと実態に近づきます。

段階があると、予算の中で調整できる

二択だと、調整の幅がありません。

予算が足りなければ、どれかを丸ごと諦めることになります。

段階があれば、「この商品を4から2に下げ、浮いた分を別の商品へ」という調整ができます。

母の日ギフトが2になっているのも、この調整の結果です。

何段階にするか

多いほど細かく調整できますが、運用の手間も増えます。

まずは3〜4段階から始めるのが現実的です。

商品を段階に割り当てるだけなら、担当者が判断できます。

段階を増やすのは、運用が回り始めてからで構いません。

なぜ手計算では出せないのか

掛け算が入ると、計算の性質が変わる

連動を考慮すると、計算式に商品どうしの掛け算が現れます。

「商品Aに残るブレ」と「商品Bに残るブレ」を掛け合わせた項が、グループのリスクに足されます。

連動が強いほど、この項は大きくなります。

足し算だけなら、1つずつ評価して足していけば答えが出ます。

掛け算が入ると、組み合わせを変えるたびに全体が変わります。

1つずつ評価する方法では、届きません。

無償のソフトでは解けない

この形の問題は、広く使われている無償の最適化ソフトでは扱えません。

検証の原本には、こう記されています。

広く使われている無償ソルバー(HiGHSなど)では解けず、商用ソルバー(Gurobi、SCIPなど)を持つ組織でなければ比較検証もできません

商用のソフトは、ライセンス費用が年間数百万円規模になります。

ベンチャーネットが専用の計算手法を使う理由は、この一点です。

掛け算を含む条件を、無償の道具立てのまま扱えること。

足し算で書ける問題なら、無償のソフトのほうが速く確実です。

道具の分かれ目を図にすると、次のとおりです。

配分の計算:連動を考えるかで道具が分かれる 連動を考えないなら足し算で書け、ブレの大きい順に予算内で上から配ればよく、Excelや無償のソフトで足りる。連動を考えると商品どうしの掛け算が式に入り、無償のソフトでは扱えないため専用の計算手法で扱う。 配分の計算、道具の分かれ目 商品どうしの連動を考えるか 同時に動く商品を、まとめて見るか 考えない 足し算で書ける ブレの大きい順に 予算内で上から配る Excelや無償の ソフトで足りる 考える 商品どうしの 掛け算が式に入る 無償のソフトでは不可 専用の計算手法で 扱う どちらでも、道具より先に決めること: グループの切り方と欠品損失の金額
配分の計算:連動を考えるかで道具が分かれる

道具ごとの得意・不得意は、最適化ツールの選び方で比べています。

考え方の土台は、データドリブン経営の次の一手|量子アニーリングで実現する経営最適化にあります。

発注の制約とは別の問題

配分が決まっても、そのとおりに発注できるとは限りません。

最低発注数量、ケース単位、倉庫の容量。

発注の側にも、別の制約があります。

配分の設計と、発注の設計は分けて考えてください。

順番としては、配分が先です。

発注側の制約の扱いは、発注量の決め方で扱っています。

流れ全体の考え方は、サプライチェーンの全体最適とは?をご覧ください。

証明できたことと、できなかったこと

数字を紹介する以上、どこまで信頼してよいかも一緒にお伝えします。

証明できたこと

内容根拠
計算のしかたが正しい安全在庫の配分と多期間の在庫計画で、全探索の正解と完全に一致(差0.0%)
連動を近似せずに扱える掛け算の項を式に載せたまま解いている
結果が再現できる同じ条件で2回実行して同じ値。全実行が自動で記録され、後から追跡できる

証明できなかったこと

原本にそのまま記録されている内容です。

内容状況
実データ規模での性能検証は8商品程度。522商品での処理速度や解の品質は未測定
実務上の効果コスト削減率などは、これからデータを集めて測る段階
常に正解に到達すること保証はない

同じ検証の中には、差が残ったシナリオも2つあります。

倉庫の配置で7.2%、保管クラスの割り当てで1.9%、正解との差が残りました。

差が残ったことをどう見るか

原本は、これを弱点とは見ていません。

全探索ができない規模では、そもそもこの方式しか選べません。

そのとき効くのは、正解にどれだけ近いかを毎回測り、記録していることです。

差があること自体より、差を把握できていることが、第三者から見た信頼につながります。

安全在庫の配分では、単一の探索では正解に届かないことも分かりました。

そこで、1,000回×6セットの探索を重ねる方法に変えています。

この試行錯誤も、記録に残っています。

相談先を選ぶときは、ここまで線引きを示せる相手かどうかを見てください。

効果の数字だけを並べる説明は、確かめようがありません。

つまずく3つのパターン

安全在庫の配分を見直す取り組みが、行き詰まる典型です。

どれも担当者の力量ではなく、進め方の構造から起きます。

安全在庫の配分でつまずく3つのパターンと避け方 1つめはグループを売り場の分類で切ること。山が同じ月に来る商品を同じグループにする。2つめは配分を決めたきり見直さないこと。3つめは欠品損失を金額で置いていないこと。 配分の見直しでつまずく3つ 1 グループを売り場の分類で切る 避け方:山が同じ月に来る商品を 同じグループにする 2 配分を決めたきり見直さない 避け方:見直す日を先にカレンダーに 置く。年2回で十分 3 欠品損失を金額で置いていない 避け方:在庫ゼロの日数×販売ペース ×1個あたりの粗利で概算する
安全在庫の配分でつまずく3つのパターンと避け方

グループを、売り場の分類で切ってしまう

こんな状態になっていませんか

  • 商品のグループ分けが、社内の商品カテゴリのまま
  • 同じカテゴリでも、動く時期がばらばらな商品が混ざっている
  • カテゴリは違うのに、同じイベントで動く商品が別々に扱われている

なぜ起きるのか

既存の商品分類は、売り場や会計の都合でできています。

需要の動き方で切られてはいません。

配分に使うグループは、「同じ時期に、同じ方向へ動くか」で切ります。

会計上の分類と一致しないことのほうが多いでしょう。

どう避けるか

過去2〜3年の月別販売数を、商品ごとに並べてみてください。

山が同じ月に来る商品が、同じグループです。

カテゴリが違っても、同じ山なら同じグループに入れます。

配分を決めたが、見直す機会がない

こんな状態になっていませんか

  • 商品ごとの安全在庫を一度決めたきり、年単位で変わっていない
  • 新商品が増えても、グループ分けが更新されていない
  • 「誰が、いつ、何を根拠に決めたか」が分からない

なぜ起きるのか

配分は、一度決めれば日々の業務が回ります。

困らないから、見直されません。

その間にも、商品構成は変わります。

グループの顔ぶれも、連動の強さも、前提が動いていきます。

どう避けるか

見直す日を、先にカレンダーに置いてください。

年2回で十分です。

見るのは3点です。

グループの顔ぶれ、主力商品のブレ幅、欠品と滞留のどちらかへの偏り。

欠品損失を金額で置いていない

こんな状態になっていませんか

  • 欠品は記録されているが、いくら失ったかは記録されていない
  • 「この商品は切らせない」が、担当者の感覚で決まっている
  • 商品ごとに欠品の重さが違うことが、数字になっていない

なぜ起きるのか

欠品の損失は、起きなかった売上です。

帳簿には載りません。

一方、在庫金額は誰の目にも見えます。

見えるものだけで判断すると、片側に寄ります。

配分の計算は、欠品の損失と在庫のコストを比べる作業です。

片方が数字になっていなければ、比べようがありません。

第3章で通年ロングセラーの配分がゼロになったのも、欠品損失が小さいと金額で置かれていたからです。

どう避けるか

厳密でなくて構いません。

在庫がゼロだった日数、その商品の平均的な販売ペース、1個あたりの粗利。

この3つを掛ければ、おおよその金額は出ます。

見えない状態から、見える状態に変える。

それだけで、配分の議論は進みます。

ベンチャーネットならこう見る

配分の正解を出すことより、配分を決め直す仕組みを持つこと。

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、こちらを大事にしています。

前提は、必ず変わるからです。

型1:1業務・1KPIで、1周目を回す

最初から全商品を対象にはしません。

売上の大半を占める主力商品と、季節の波が大きい商品。

この2種類に絞り、欠品損失と残るブレという1つの物差しで、まず1周回します。

データを使った経営改善でも、ベンチャーネットは最短90日で1業務・1KPIに絞った1周目から始めます。

配分も同じです。

型2:現場の勘と、計算の提案を同じ条件で比べる

計算が「配分ゼロ」と出しても、そのまま実行するとは限りません。

いまの担当者の配分と、計算が出した配分を、同じ予算・同じ欠品損失で並べます。

差が出た商品ごとに、理由を言葉にしていきます。

「看板商品だから切らせない」のように金額に表れない事情は、ここで配分の下限として書き足します。

相談の範囲と、お勧めしない場合

ベンチャーネットは、次の範囲で支援しています。

  • グループの切り方:「同じ時期に同じ方向へ動くか」で切り直す作業に同席する。ここがいちばんの難所
  • 欠品損失の金額:在庫ゼロの日数、販売ペース、1個あたりの粗利から概算を組み立てる
  • 配分の計算:足し算で足りるなら無償のソフトで十分と申し上げる。掛け算の条件が入ってから専用の計算手法を使う
  • 基幹システムでの実装:グループと配分レベルをどこに持ち、月次のレポートにどう載せるかを設計する

ベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。

特定の製品に誘導しない立場を取っています。

扱う商品に季節の波がなく、同時に動く商品群もない会社には、この見直しをお勧めしません。

連動がなければ、1商品ずつの計算で足ります。

取り組む価値が出るのは、催事や季節のイベントで売上の山ができる会社です。

在庫・購買をシステムでどう回すかはNetSuiteで販売管理・在庫管理・購買管理を行うためのポイント3選で扱っています。

補充の仕組みはNetSuiteのSupply Planning(MRP)とは、需要の見通しはNetSuiteの需要予測(Demand Planning)完全ガイドをご覧ください。

数字を会議で回す段階では、PSI会議とはの進め方が参考になります。

今日できること

今日、1つだけ試せることがあります。

自社の商品のうち、「同じ時期にまとめて動く組み合わせ」を3つ書き出してみてください。

催事の商品、季節の商品、同じキャンペーンで一緒に売れる商品。

書き出せたら、その3グループの安全在庫を見てください。

同じグループの商品に、そろって厚く持っていませんか。

そろって厚いなら、そのイベントが不発だったとき、まとめて在庫が残ります。

グループ単位で見直す価値がある、という合図です。

よくある質問

Q1. 安全在庫の水準そのものは、どう決めればよいですか

水準の考え方を押さえてから配分に進むのが順番です。

1商品の水準は、需要のブレ幅・リードタイム・欠品をどこまで許すかで決まります。

詳しくは在庫最適化とは?で扱っています。

この記事は、その先の「限られた予算をどう配るか」に絞っています。

Q2. 連動の強さは、どうやって測ればよいですか

山が同じ月に来るかを見れば始められます。

過去2〜3年の月別販売数を商品ごとに並べ、山の月を比べてください。

同じ月に山が来る商品は、連動していると考えて構いません。

検証の0.6は、サンプルデータに設定した値です。

実際の数字は自社のデータから出しますが、まずはグループを特定できれば十分です。

Q3. 商品数が多いと、計算できないのでは

その懸念は正しいです。

だからこそ、まず主力商品に絞ります。

この検証は8商品規模で、数百商品での性能は測っていません。

売上の大半を占める商品と、季節の波が大きい商品を取り出すと、多くの会社で数十商品に収まります。

残りは一律の基準で構いません。

Q4. 配分ゼロの商品を作っても、大丈夫ですか

計算がゼロと出しても実行するとは限りません。

検証で配分ゼロになったのは、ブレが小さく、欠品の損失も小さい商品でした。

実務には「看板商品なので切らせない」といった、金額に表れない事情があります。

そうした商品は、計算の前に配分の下限を決めておいてください。

計算は、その範囲で最適な配分を探します。

Q5. 仕入先やカテゴリの偏りとは、別の話ですか

別の話です。

この記事が扱うのは、売れ方が同じ方向に動く需要の連動です。

仕入先やカテゴリへの仕入金額の偏りは、供給側のリスクで、測り方も対処も違います。

こちらは仕入の偏りをどう測るかで扱っています。

ただし、同じイベントで動く商品を同じ仕入先から仕入れていれば、2つは重なります。

Q6. Excelで配分を計算できませんか

連動を考えないならできます。

ブレ幅の大きい順に並べ、予算の範囲で上から配ればよいからです。

連動を考えると、商品どうしの掛け算が式に入り、表計算ソフトや無償のソフトでは扱えません。

どちらにしても、道具を選ぶ前にグループの切り方と欠品損失の金額を決めるほうが先です。

まとめ

  • 安全在庫には「いくつ持つか(水準)」と「どう配るか(配分)」の2つの問題がある
  • 1商品ずつの計算は、商品どうしが無関係に動く前提に立つ。季節商品ではこの前提が崩れる
  • 同時に動く商品を別々に守ると、リスクを小さく見積もり、同じグループに予算が集まる
  • 検証では、ブレの大きい順に並ばない配分が最適だった。グループ単位でリスクを見ているため
  • 配分は0か100かではなく段階。3〜4段階から始めれば実務でも使える
  • 連動を考えると計算に掛け算が入り、無償のソフトでは扱えない
  • 検証は8商品規模。実データ規模での性能は未測定で、差が残ったシナリオも2つある

「ブレの大きい商品ほど厚く持つ」。

その前に、同じ時期に動く商品が、どのグループにまとまっているかを見てください。

まず3グループを書き出すところから、配分は変えられます。

もう少し詳しく知りたい方へ

自社の商品が、どう連動して動いているのか。

グループの切り方や欠品損失の置き方から、ご相談をお受けしています。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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