発注量の決め方|経済的発注量(EOQ)を学んでも、現実の発注が決まらない理由

式が出した答えは、127個。

ところが仕入先のケースは50個単位で、発注できるのは100個か150個です。

「切らしたくないから、150個」。

多くの現場は、こうして数量を決めています。

商品が10品目あり、それぞれに選択肢がいくつかあるだけで、組み合わせは1,000通りを超えます。

発注量の決め方には、2つの道があります。

式から決める方法と、制約から決める方法です。

教科書が教える経済的発注量(EOQ)は前者で、発注のコストと持ち続けるコストの合計が最も小さくなる量を求めます。

ただ、その式を知っても、現場の発注は決まりません。

式が答えを出す前に、現実のほうが選択肢を狭めているからです。

では、127個を150個に丸めたとき、何が見えなくなっているのか。

目次

📌 この記事で分かること

  • 発注量の「いつ」と「いくつ」は、別の問いであること
  • 経済的発注量(EOQ)とは何か。そして何を前提にしているか
  • 現実の発注を縛る4つの制約と、それぞれの効き方
  • 「式で出して、丸める」をやめて、制約から決める3ステップ

発注量には、2つの決め方がある

発注の話には、2つの問いが混ざりがちです。

「いつ買うか」と「いくつ買うか」

発注には、タイミングの問いと数量の問いがあります。

いつ買うかは、在庫が一定量を下回ったら発注する、あるいは毎月決まった日に発注する、といった運用の話です。

システムの補充機能で自動化できる部分でもあります。

その設定は、NetSuiteの需要予測(Demand Planning)完全ガイドで扱っています。

この記事の問いは、もう一方の「いくつ買うか」です。

式から決めるか、制約から決めるか

「いくつ買うか」には、性質の違う2つの道があります。

式から決める制約から決める
出発点コストの釣り合いを表す計算式買える範囲を縛っている条件
問い理論上、いくつが最も安いかこの条件の中で、どこまで選べるか
前提にするもの需要・コストが安定していること条件は変えられないこと
答えの形1つの数量選べる範囲と、その中の最良
教科書での扱い中心的に教えられるほとんど扱われない
現場での効き方参考値どまりになりやすいこちらが先に効く

教科書が教えるのは、左です。

現場で先に効くのは、右です。

この食い違いが、「式を知っているのに発注が決まらない」状態を生んでいます。

経済的発注量(EOQ)とは何か

式を否定したいわけではありません。

どこまでが有効で、どこから効かなくなるかを知っておけば、式は役に立ちます。

EOQの考え方と前提を図にすると、次のとおりです。

経済的発注量(EOQ)は、2つのコストの釣り合い 発注そのものにかかるコストは、まとめて買うほど1個あたりが下がり、持ち続けるコストは多く持つほど増える。2つの合計が最も小さくなる点がEOQ。ただし、需要が一定、いくつでも買える、資金と置き場所に制約がない、という3つの前提の上に立つ。 EOQは、2つのコストの釣り合い EOQ 合計 持ち続けるコスト 発注のコスト 1回の発注量 → EOQが前提にしている3つ ・需要が一定である ・いくつでも買える ・資金と置き場所に制約がない 前提が崩れると、答えは参考値になる
経済的発注量(EOQ)は、2つのコストの釣り合い

2つのコストの釣り合い

経済的発注量(EOQ:Economic Order Quantity)は、発注量を決める古典的な考え方です。

1回あたりの発注量を、2つのコストの合計が最も小さくなる点に置きます。

2つのコストは、逆方向に動きます。

1つめは、発注そのものにかかるコストです。

見積もり、発注書、検収、請求処理。1回あたりの手間は、数量が多くても少なくても大きく変わりません。

だから、まとめて買うほど1個あたりの手間は下がります。

2つめは、持ち続けるコストです。

倉庫の費用、資金が寝ること、劣化や陳腐化のリスク。

こちらは、多く持つほど増えます。

片方は数量を増やすと下がり、もう片方は上がる。

合計が最小になる点が、理論上の最適な発注量です。

考え方は明快で、いまも有効です。

EOQが前提にしていること

問題は、この式が置いている3つの前提です。

  • 需要が一定であること:毎月同じペースで売れることが前提。季節商品や新商品では成り立たない
  • いくつでも買えること:計算結果が127個なら、127個買えると考える。最低発注数量やケース単位は式の中にない
  • 資金と置き場所に制約がないこと:式は1商品ごとに計算する。全商品を足して予算を超えるかは、式の外側の話

前提が崩れると、答えも崩れる

3つの前提のうち、実務で成り立っているものはどれくらいあるでしょうか。

需要は動きます。

買える単位は決まっています。

予算には上限があります。

EOQは、前提が整った場面では正しく、整っていない場面では参考値になります。

式が間違っているのではありません。

式が想定している世界と、実務の世界が違うのです。

現実の発注を縛る4つの制約

実務の世界で発注量を縛る条件は、大きく4つに分かれます。

4つの制約の総覧

制約内容誰が決め、交渉で動くか効き方
MOQ(最低発注数量)1回の発注で満たすべき最小の量仕入先。動くことがある必要量より多く買わされる。予算を先食いする
発注単位・ロット発注できる数量の刻み、生産のまとまり仕入先の製造・物流。ほぼ動かない計算結果を切り上げ・切り捨てさせる
リードタイム発注してから入荷するまでの期間仕入先と物流。短縮は限定的次にいつ買えるかが決まり、今回いくつ買うかが決まる
予算と倉庫容量使える資金と置ける量の上限自社。自社の判断で動く全商品で共有される。1つの決定がほかを縛る

この4つは、性質が3つに分かれる

  • 相手が決めていて動かせないもの:発注単位・ロット。これは受け入れるしかない
  • 相手が決めているが交渉の余地があるもの:MOQとリードタイム。ただし交渉は相手のあることなので、動かなかった場合の設計も要る
  • 自社が決めているもの:予算と倉庫容量。自社の判断で変えられる

そして、全商品で共有されているのは、予算と倉庫容量だけです。

MOQへの向き合い方は、MOQ(最低発注数量)とは?で扱っています。

リードタイムが、量を決める

4つのうち、見落とされやすいのがリードタイムです。

リードタイムが2週間なら、切らしそうになってから発注しても間に合います。

1回の発注量は少なくて済みます。

3か月なら、そうはいきません。

次の入荷まで3か月あるなら、その3か月分を今回買う必要があります。

リードタイムは入荷のタイミングだけでなく、1回あたりの量を直接決めています。

量が増えれば、予算も倉庫も圧迫されます。

自社のリードタイムが商品ごとに何か月なのかを把握していない場合、発注量の議論は前に進みません。

まず主力商品の分だけでも、日数を書き出してください。

「式で出して、丸める」が起きる場所

多くの現場がやっている手順

手順は、だいたい同じです。

  1. 必要量をおおよそ見積もる
  2. 仕入先の条件に合わせて数量を調整する
  3. 予算の残りを見て、足りなければ削る

1つめが「式から決める」部分、2つめと3つめが「制約で丸める」部分にあたります。

この順序は自然で、誰も間違っていません。

担当者は、与えられた条件の中で精一杯の判断をしています。

ほかにやりようがないからです。

丸めた瞬間に、最適性は失われる

ただ、この順序には弱点があります。

式が出した数量は、制約を知らない状態で計算されたものです。

それを後から制約に合わせて動かしても、動かした先が最良である保証はありません。

冒頭の127個の例では、100個か150個に丸めます。

選ぶのは、たいてい「切らしたくないから150個」です。

見えていないのは、その50個分の予算をほかの商品に回したらどうなったかです。

丸める判断は1商品の中で完結するため、ほかの商品との比較が入りません。

127個を150個に丸めたとき、見えなくなるもの 式が出した127個は、ケースが50個単位のため100個か150個に丸める。切らしたくないから150個を選ぶと、その50個分の予算をほかの商品に回したらどうなったかが見えなくなる。丸める判断は1商品の中で完結する。 丸めた瞬間に、見えなくなるもの 式が出した答え:127個 ケースは50個単位 100個 150個 切らしたくない 見えていないこと その50個分の予算を、 ほかの商品に回したらどうなったか 丸める判断は、1商品の中で完結する
127個を150個に丸めたとき、見えなくなるもの

それでも丸めるしかない理由

現場を責める話ではありません。

制約を同時に扱う道具が、手元にないだけです。

商品が10品目、それぞれに複数の選択肢があるだけで、組み合わせは1,000通りを超えます。

人が頭の中で比べられる数ではありません。

組み合わせが爆発する性質と、それを計算で扱う技術は、データドリブン経営の次の一手|量子アニーリングで実現する経営最適化で扱っています。

順序を逆にする——制約から決める3ステップ

弱点が順序にあるなら、順序を変えれば改善できます。

制約を先に置き、その中で最良を探す進め方です。

制約から発注量を決める3ステップ 式で出して丸める順序をやめ、制約を書き出す、動ける幅を見る、何を最大化するかを決める、の順で発注量を決める。例ではMOQ100個・50個刻み・予算で最大300個なら選択肢は5通り。 制約から決める3ステップ × 式で出して、あとで丸める 1. 制約を書き出す MOQ・発注単位・リードタイム・予算 ↓ 2. 動ける幅を見る 例:MOQ100個・50個刻み・上限300個 → 100〜300個の5通り ↓ 3. 何を最大化するかを決める 粗利・欠品・偏り・資金の回転 ここは計算ではなく会社の方針
制約から発注量を決める3ステップ

ステップ1:制約を書き出す

主力商品について、4つの制約を1行ずつ書き出します。

MOQ、発注単位、リードタイム、そして全体で使える予算と倉庫の上限です。

地味な作業ですが、ここがいちばんの難所です。

理由は3つあります。

  • 1か所にまとまっていない:仕入先との取引条件書、担当者の記憶、システムのマスタに散っている
  • 変わる:仕入先の条件も、倉庫の空きも、予算も動く。1年前の数字では意味がない
  • 書けない項目が出る:「この商品のリードタイムは何日か」に即答できない商品が、たいてい出てくる

書けなかった項目が、そのまま改善の余地です。

埋まらない欄を責めるのではなく、埋める順番を決めてください。

ステップ2:動ける幅を見る

制約が並ぶと、商品ごとに「買える数量の選択肢」が見えてきます。

たとえば、MOQが100個、ケースが50個刻み、予算の範囲では最大300個まで。

この場合の選択肢は、100・150・200・250・300個の5通りです。

出すのは1つの数量ではなく、この幅です。

幅を出すこと自体が、このステップの目的になります。

幅が見えて初めて、ほかの商品との組み合わせを考えられます。

需要の見込みは、幅の中のどこを選ぶかの材料になり、予測が正確になるほど判断も良くなります。

予測の精度の測り方は、需要予測とは?で扱っています。

ステップ3:何を最大化するかを決める

最後に、何を良い状態とするかを決めます。

ここは計算では決まりません。

  • 粗利の合計を最大にするのか
  • 欠品を最小にするのか
  • 仕入先の偏りを避けるのか
  • 資金の回転を優先するのか

すべてを同時には満たせません。

どれを優先するかは、会社の方針です。

方針が決まって初めて、計算が意味を持ちます。

計算は、方針を数字に翻訳する作業だからです。

仕入先の偏りの測り方は仕入の偏りをどう測るか、システムの標準機能での所要量の計算はNetSuiteのSupply Planning(MRP)とはで扱っています。

自社の発注を測る3つの問い

いまどちらの順序で発注しているかは、3つの問いで分かります。

主力商品の上位20品目で足ります。

問い1:先月の発注量は、何を根拠に決まりましたか

「必要量から」と答えられるか、「いつもこれくらい」と答えるか。

後者なら、式も制約も使われていません。

問い2:4つの制約を、1枚の表に書き出せますか

MOQ、発注単位、リードタイム、予算の上限。

すぐに出せる項目と、調べないと出せない項目に分かれるはずです。

問い3:発注量を変えたら、何が良くなるのかを言えますか

粗利なのか、欠品率なのか、資金の回転なのか。

言えないなら、何を目指して発注しているかがまだ決まっていません。

3つとも答えられなくても、珍しくはありません。

多くの会社が、その状態から始めています。

つまずく3つのパターン

「調べたけれど、結局これまでと同じ発注になった」には、典型が3つあります。

どれも担当者の力量ではなく、進め方と組織の問題です。

発注量の見直しでつまずく3つのパターンと避け方 正しい式を探し続ける、制約を例外として人の頭に置く、発注の権限と予算の責任が離れている、の3つ。避け方は、制約を書き出す作業に移る、制約をマスタの項目として上位商品から埋める、発注を決める場に予算の残りを持ち込む。 つまずく3つのパターンと避け方 1 正しい式を探し続ける → 式探しを止め、制約を書き出す 2 制約を「例外」として人の頭に置く → 制約をマスタの項目にする。  予算の大半を占める上位商品から 3 発注の権限と、予算の責任が離れている → 発注を決める場に、  予算の残りを持ち込む どれも担当者の力量ではなく、進め方と組織の問題
発注量の見直しでつまずく3つのパターンと避け方

正しい式を探し続ける

起きること

  • 発注量の計算式を調べる時間が長く、実際の発注は変わっていない
  • 「うちの業種にはこの式は合わない」という結論で止まっている
  • 式の議論はするが、制約の一覧はどこにもない

原因

発注量を「求めるもの」と捉えています。

すると、正しい求め方を探すことになります。

ところが第2章のとおり、式は前提が整った場面でしか効きません。探し続けても、前提は整いません。

避け方

式を探す作業をいったん止め、制約を書き出す作業に移ってください。

順序が逆になっているだけで、やろうとしていることは正しいはずです。

制約が並んでから式に戻ると、どこまで式が使えるかを判断できます。

制約を「例外」として人の頭に置く

起きること

  • システムには発注点や標準の発注量が入っているが、実際は担当者が手で直している
  • 「この仕入先はケース単位だから」という知識が、特定の人にしかない
  • 新しい担当者が入ると、最初の数か月は発注のミスが増える

原因

制約を、業務の「例外」として扱っています。

システムに入れるには項目を作る手間がかかり、担当者が覚えていれば回るので後回しになります。

覚えている人がいる限り、誰も困りません。

ただ、制約が人の頭にある限り、計算には載せられません。

避け方

制約を「例外」ではなく、マスタの項目として扱ってください。

全部を一度に入れる必要はありません。

予算の大半を占める上位商品から、4つの制約を1つずつ埋めるだけでも、載せられる範囲は広がります。

上位で型ができれば、残りの商品は同じ型で広げられます。

発注の権限と、予算の責任が離れている

起きること

  • 発注を決める人が、今月の仕入予算の残りを知らない
  • 予算を見ている人は、商品ごとの事情を知らない
  • 月末になって「予算を超えた」と分かり、翌月の発注を絞る

原因

個人ではなく、情報が組織で分かれていることが原因です。

発注担当は「切らさないこと」を見られ、経理は予算の総額を見ています。

どちらも役割を果たしているのに、予算という制約が発注の判断材料に入っていません。

予算は、4つの制約の中で唯一、全商品に共有される条件です。ここが見えなければ、組み合わせの判断は成り立ちません。

避け方

発注を決める場に、予算の残りを持ち込んでください。

発注の画面に予算の消化率が出れば理想です。

そこまでいかなくても、月次の需給の会議に経理が同席するだけで変わります。

予算の残りを、その場で商品ごとの数量の話に置き換えられるからです。

生販在を1つの場で調整する進め方は、PSI会議とはで扱っています。

ベンチャーネットならこう見る|発注量を決めるのは、計算ではなく方針

発注量の相談で、ベンチャーネットが最初に聞くのは1点です。

発注を決めている人が、予算の残りを見られるかどうか。

ここが分かれていると、どんな計算の仕組みを入れても、現場では使われません。

型1:見える化→整理整頓→仕組みへ

ベンチャーネットは、システムを入れる前に業務を見える化し、整理整頓してから標準の機能と照らし合わせます。

発注量に当てはめると、こうなります。

  1. 見える化:制約の棚卸し。MOQ・発注単位・リードタイム・予算・倉庫容量を、商品ごとに1枚の表にする
  2. 整理整頓:何を最大化するかを、経営の判断として言葉にする
  3. 仕組みへ:誰がいつ、何を見て数量を確定するかを決め、制約をマスタのどこに持つかを設計する

最初の話題が道具ではなく、何を優先するかになるのは、この順番のためです。

計算は、その方針を数字に翻訳するだけです。

型2:1業務・1KPIで、最短90日の1周目

全商品・全制約を一度に扱おうとすると、棚卸しで止まります。

ベンチャーネットは、データを使った経営の1周目を、1業務・1KPIに絞って最短90日で回す形を勧めています。

発注なら、予算の大半を占める上位商品に絞り、粗利か欠品のどちらか1つを指標に置くのが一例です。

一方で、制約が1つか2つしかない会社には、この仕組みを整えることを勧めません。

欲しいものを欲しいだけ買えるなら、組み合わせを考える意味が薄いためです。

取り組む価値が出るのは、制約が3つ以上そろって同時に効きはじめたとき、あるいは月の途中で仕入予算が尽きるようになったときです。

在庫・購買をシステムでどう回すかは、NetSuiteで販売管理・在庫管理・購買管理を行うためのポイント3選で扱っています。

よくある質問

Q1. 経済的発注量(EOQ)は、使わないほうがよいのですか

前提が整った商品ではいまも有効です。

需要が安定し、買える数量に細かい制限がなく、予算に余裕がある。

この条件がそろう商品なら、EOQの考え方で足ります。

使い方としては、式で出した数量を「理論値」として持ち、制約の中でそこからどれだけ離れるかを見ます。

離れ方が大きい商品ほど、制約が強く効いています。

Q2. 発注のタイミングは、どう決めればよいですか

「いくつ」とは別の問いとして決めます。

在庫が一定量を下回ったら発注する方式と、需要計画に連動して先を見越して発注する方式があります。

商品の性格で、向き不向きが分かれます。

システムでの設定を含めて、NetSuiteの需要予測(Demand Planning)完全ガイドで扱っています。

Q3. 最低発注数量(MOQ)が大きすぎる商品は、どうすればよいですか

商品ごとに飲むか飲まないかを決めるのは避けます。

予算は全商品で共有されているため、1商品でMOQを飲む判断は、同時にほかの商品を買わない判断になります。

MOQは交渉で下がることもあり、下がらなくても発注全体の組み合わせの中で扱えます。

順序は第5章の3ステップと同じです。

詳しくはMOQ(最低発注数量)とは?をご覧ください。

Q4. Excelで計算できませんか

制約が1つか2つならExcelで足ります。

「予算の合計が上限以下」「MOQ以上」といった単純な条件なら、表計算ソフトの標準の機能でも答えは出ます。

制約が3つ以上になると組み合わせの数が急に増え、どこかで人が「このへんで」と決めることになります。

ただ、道具より先に、制約と優先順位を数字で持っているかが問われます。

入力がなければ、どの道具を使っても答えは出ません。

ツールの選び方は、最適化ツールの選び方で扱っています。

Q5. 何品目くらいから、この考え方が要りますか

品目数より同時に効く制約の数で考えます。

品目が少なくても、MOQ・ロット・予算の3つが同時に効いていれば、組み合わせの判断は難しくなります。

逆に品目が多くても、欲しいものを全部買えているなら、単品ごとの判断で損は出ません。

目安は第6章の問い2です。制約を1枚に書き出せず手が止まるなら、そこから始める価値があります。

まとめ:式の前に、制約を置く

  • 発注には「いつ買うか」と「いくつ買うか」の2つの問いがある。この記事は後者
  • 「いくつ」の決め方には、式から決める方法と制約から決める方法がある
  • EOQは有効だが、需要が一定・いくつでも買える・資金に制約がない、という3つの前提の上に立っている
  • 現実の発注を縛るのは、MOQ・発注単位・リードタイム・予算と倉庫容量の4つ。予算だけが全商品で共有されている
  • 「式で出して、丸める」順序では、丸めた先が最良である保証がない
  • 順序を逆にする。制約を書き出す → 動ける幅を見る → 何を最大化するかを決める

流れ全体の考え方は、サプライチェーンの全体最適とは?で扱っています。

今日できること

主力商品を1つ選び、4つの制約を書き出してみてください。

最低発注数量はいくつか。発注の刻みは何個単位か。届くまで何日か。今月その商品に使える予算はいくらか。

埋まらなかった項目が、発注の改善の出発点です。

1商品で4つ埋めるのに何分かかったかを測っておくと、全商品に広げたときの工数の見当もつきます。

127個を150個に丸める前に、その50個で何が買えたかを比べる材料になります。

もう少し詳しく知りたい方へ

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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