広告予算の配分|「効率の良い順」に配ると年間4,212万円を取りこぼす理由

3.61が、0.33になる。

検索広告に100万円ずつ予算を足していったとき、1本目と5本目で得られた効果です。

5本目の効果は、1本目の1割以下まで落ちました。

同じ検証で、飽和の遅い動画広告は、5本目でも0.76を保っていました。

広告予算の配分とは、限られた予算を、媒体ごとにいくらずつ置くかを決めることです。

現場でいちばん普及しているのは、効率の良い媒体から順に満額を入れる配り方でしょう。

ところが検証では、この配り方が、最適な配分より年間4,212万円相当少ない結果になりました。

予算も媒体も同じで、変えたのは配り方だけです。

担当者の勘が悪いわけではありません。

「効率の良い順」というルールに、見落としが組み込まれています。

では、その見落としは表のどこに現れるのか。第3章の計算例で追います。

目次

この記事で分かること

  • 「効率の良い順に配る」が、合理的に見える理由
  • 効果は投じるほど鈍る。限界効果と飽和の考え方
  • 効率の順位が途中で逆転する計算例(3.61 → 0.33)
  • 取りこぼし(年間4,212万円相当)が生まれる場所
  • 媒体どうしの食い合いと相乗りを無視すると、さらに約2割損する理由
  • 明日から配り方を変えるための、問いの立て方

(読了時間の目安:約11分)

「効率の良い順に配る」は、なぜ合理的に見えるのか

最初に、この配り方の良いところを認めておきます。

効率順配分とは、単価あたりの効果が高い媒体や施策から順に、予算を埋めていく配り方のことです。

ROAS(広告費に対する売上の比率)や、1件の獲得にかかった費用(CPA)を並べる。

良いものから順に予算を入れ、枯れたら次へ。

Excelで組める単純さもあり、実務で最も普及しています。

合理的に見える3つの理由

  1. 実績にもとづいている:去年の数字が根拠になる
  2. 説明しやすい:「効率の良いところに厚く」には誰も反対できない
  3. 手間がかからない:順位をつけて上から埋めるだけ

どれも間違っていません。

この配り方をしている担当者は、まったく非合理ではないのです。

ただし、前提が1つ抜けている

効率順が正しいのは、効率が投じる額によって変わらないときだけです。

100万円入れたときと500万円入れたときの効率が同じなら、良い順に埋めるのが正解になります。

しかし広告の効果は、そうなっていません。

販促費の配分全体の考え方は、販促最適化とは?で4つのステップにまとめています。

効果は、投じるほど鈍る

限界効果と飽和

限界効果とは、予算を追加で1単位投じたとき、追加で得られる効果のことです。

1本目の100万円と、5本目の100万円では、得られる効果が違います。

露出が増えるほど同じ人に何度も届き、新しく動く人が減っていくからです。

飽和とは、予算を追加しても、効果がほとんど増えなくなる状態を指します。

効果には上限があり、投じるほど上限に近づきますが、超えることはありません。

だから、追加1本あたりの効果はだんだん小さくなります。

媒体ごとに、鈍り方が違う

飽和の速さは、媒体によって違います。

検索広告のように「いま探している人」を刈り取る媒体は、対象が限られるぶん早く飽和します。

動画広告のように「まだ知らない人」に届ける媒体は、対象が広いぶん飽和が遅い。

つまり、1本目の効率が良い媒体ほど、早く鈍ることが起きます。

効率順配分は、この違いを見ていません。

去年の平均の効率で順位をつけ、その順位のまま満額を入れるからです。

計算例|効率の順位は、途中で逆転する

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが、販促最適化の仕組みを検証したときの計算例です。

検証用のサンプルデータによる計算例であり、実際の媒体や事業では数字が変わります。

条件

  • 月の予算:1,500万円
  • 媒体:5つ(検索広告・動画広告・SNS広告・メッセージ配信など)
  • 各媒体への投入額:0〜500万円の6段階
  • 組み合わせの数:7,776通り

7,776通りなら、すべて計算して確実な正解を出せます。

その正解と、効率順の配分を比べました。

追加1本ごとの効果を並べる

追加100万円ごとの効果を、効率首位の検索広告と、飽和の遅い動画広告で並べます。

媒体1本目3本目4本目5本目
検索広告(効率首位)3.611.090.600.33
動画広告(飽和が遅い)1.391.030.890.76

※2本目は、検索広告1.98、動画広告1.20です。

1本目だけなら、検索広告の3.61は動画広告の1.39の2.6倍あります。

効率順なら、迷わず検索広告に満額を入れるところです。

ところが5本目では、検索広告は0.33まで落ちます。

動画広告は0.76を保っています。

逆転が起きる場所

表を横に読むと、4本目で順位が入れ替わります。

  • 3本目まで:検索広告(1.09)>動画広告(1.03)
  • 4本目以降:検索広告(0.60)<動画広告(0.89)

検索広告の4本目・5本目に入れた200万円は、動画広告に回したほうが効いていました。

効率順の配り方は、この逆転を見落とします。

順位を1回つけ、その順位のまま上から埋めるからです。

途中で順位が変わることを、計算に入れていません。

取りこぼしはいくらか

効率順の配分と、確実な正解

検証で、効率順の配分は、検索広告・SNS広告・メッセージ配信の3媒体に予算のほとんどが集中しました。

7,776通りから選んだ最適配分は、5媒体すべてに分散していました。

最も多かったのは動画広告の400万円。1本目の効率では3位以下だった媒体です。

配分の決め方増分利益(月)
効率の良い順に、上から満額最適配分より 351万円少ない
7,776通りから選んだ最適配分2,244万円

差は月351万円、年間で4,212万円相当です。

予算も媒体も変えず、同じ1,500万円の配り方を変えただけで、この差が出ました。

差が生まれる場所は、特定できる

この検証で意味があったのは、金額の大きさより、原因まで特定できたことです。

原因は、第3章の表そのものにあります。

効率首位の媒体に満額を入れると、その4本目・5本目は、他の媒体の1本目より効かなくなっている。

効率順の配り方は、そこを見ないまま埋め切ります。

取りこぼしは偶然でもミスでもなく、このルールを使えば毎月起きるものです。

第3章から第4章の流れを図にすると、次のとおりです。

取りこぼしが生まれる場所(計算例) 効率首位の検索広告は追加100万円の効果が3.61から0.33に鈍り、4本目で動画広告と順位が逆転する。効率順の配分は最適配分より月351万円、年間4,212万円相当少なかった。 取りこぼしが生まれる場所 効率首位の検索広告 3.61→0.33 追加100万円の効果が、1本目→5本目で鈍る 4本目で順位が逆転 0.60<0.89 検索広告より、動画広告の4本目が効く 効率順と最適配分の差 月351万円 年間4,212万円相当。予算も媒体も同じ 検証用のサンプルデータによる計算例
取りこぼしが生まれる場所(計算例)

道具がなくても、ここまでは埋まる

この差は、高価な仕組みを入れなければ埋まらないものではありません。

追加の1本ごとの効果を見比べて配れば、このシナリオでは確実な正解に届きます。

最初の問題は、道具ではなく、配るときの問いの立て方です。

道具が要るのは、次の章の「媒体どうしの影響」が入ってからになります。

媒体どうしは、影響し合う

飽和だけなら、配り方の工夫で対処できます。

配分をさらに難しくしているのは、もう1つの性質です。

相互作用とは

相互作用とは、2つの媒体に同時に投じたとき、単独で投じたときの合計と効果が変わる性質のことです。

方向は2つあります。

種類何が起きるか検証で置いた例係数
食い合い同じ顧客を取り合い、合計が減るディスプレイ広告×SNS広告(どちらもバナー)−0.25
食い合い同じ客が見比べ、一方でしか買わない2つのECモール広告−0.25
相乗り一方が他方の効果を押し上げる動画広告×検索広告(動画で知って検索で刈り取る)+0.20

数式にすると「媒体Aの効果×媒体Bの効果×係数」という、2つの掛け算になります。

相互作用を無視すると、約2割損する

相互作用を加えたシナリオでは、それを無視した配分は、確実な正解の79.9%にとどまりました。

約2割の取りこぼしです。

食い合う2つの媒体の両方に予算を入れ、相乗りする組み合わせを活かせなかったためです。

媒体を1つずつ評価する方法では、この関係は見えません。

「検索とSNSは食い合っている気がする」という現場の感覚は、たいてい正しい。

ただ、感覚のままでは配分に使えず、強さを係数で持つ必要があります。

ここで初めて、道具の話になる

「媒体Aの効果×媒体Bの効果」という掛け算の項は、無料で使える数理最適化ソフトでは計算そのものができません。

扱うには有料のソフトが要り、費用は年間数百万円規模になります。

ベンチャーネットが専用の計算手法を使う実務上の理由は、この1点です。

掛け算の条件を、無料の道具立てのまま扱えること。

足し算で書ける問題なら、無料のソフトのほうが速く確実です。

この境目は、データドリブン経営の次の一手|量子アニーリングで実現する経営最適化で扱っています。

「次の100万円が、最も効く媒体はどこか」を問う

配り方を変えるのに、まず要るのは道具ではなく、問いの置き換えです。

「効率が良い媒体」から「次の1本が効く媒体」へ

効率順配分の問いは「どの媒体の効率が良いか」でした。

これを、こう置き換えます。

次の100万円を、どこに置くのがいちばん効くか。

順位ではなく、追加の1本で考える。

この問いに毎回答えていくと、配分は自然に分散します。

第3章で、5本目の検索広告より1本目の動画広告を選ぶのと同じことです。

そのためには、媒体ごとの「追加1本あたりの効果」を持っている必要があります。

効果測定ツールの推定値でも、社内の実績でも、担当者の見立てでも構いません。

測定ツールで何が分かるかは、Google Meridianとはで扱っています。

上限を先に決める

もう1つ、簡単で効く方法があります。媒体ごとの上限を、先に決めることです。

「検索広告は月300万円まで」と決めておけば、飽和した4本目・5本目に予算が流れません。

上限の根拠は、追加1本の効果が、他の媒体の次の1本を下回る点です。

第3章の表なら、4本目で動画広告を下回るため、検索広告は3本目までになります。

厳密でなくて構いません。

取りこぼしを生んでいるのは、上限がないこと自体です。

認知の施策は、効率で競わせない

効率順には、もう1つ副作用があります。

短期の効率で選ぶと、購入直前の顧客を刈り取る施策ばかりが残り、認知の施策が計画から消えていきます。

認知の施策は、短期の効率では刈り取りの施策に勝てません。

だから「認知の施策を最低1つ入れる」と、条件として先に決めてください。

効率の土俵から降ろすわけです。

条件の書き出し方は、販促カレンダーの作り方で扱っています。

広告予算の配り方を変える3つの手 問いを「効率が良い媒体」から「次の100万円が効く媒体」に置き換え、媒体ごとの上限を先に決め、認知の施策は条件として守る。 配り方を変える3つの手 問いを置き換える 次の100万円が効く媒体はどこか 上限を先に決める 飽和した4本目・5本目に流さない 認知の施策は条件で守る 効率の土俵から降ろす 掛け算の条件が入ったら そこで初めて道具を選ぶ 飽和だけなら、道具がなくても埋まる
広告予算の配り方を変える3つの手

つまずく3つのパターン

配り方の見直しが行き詰まる典型は、次の3つです。

いずれも担当者の力量ではなく、進め方で起きます。

ROASの良い媒体に、予算を積み増し続ける

こんな状態になっていませんか

  • 前月ROASが良かった媒体に、翌月の増額が集中している
  • 増額したのに、売上の伸びが増額分に追いつかない
  • 「効率が良いのだから、もっと入れるべき」が会議の合意になっている

なぜ起きるのか

ROASは平均の効率で、追加1本の効率ではありません。

平均が良く見える媒体でも、追加分はすでに飽和していることがあります。

平均を見て追加を決めている限り、この見誤りは繰り返されます。

どう回避するか

媒体ごとに「先月より100万円増やしたとき、効果はいくら増えたか」を1行残してください。

平均のROASではなく、増やした分の効果を並べる。

それだけで、飽和している媒体が見えてきます。

媒体を1つずつ評価して、食い合いを見落とす

こんな状態になっていませんか

  • 媒体ごとに別の担当者や代理店が付き、それぞれが自分の媒体の効率を報告している
  • 全媒体の効率が「良い」のに、全体の売上が計画に届かない
  • 新しい媒体を足したら既存媒体の効果が落ちたが、理由が分からない

なぜ起きるのか

媒体ごとの評価は、他の媒体の成果を横取りしていても「良い」と出ます。

同じ顧客を2つの媒体で獲得すれば、両方の報告書に載る。

合計すると、実際より大きく見えます。

どう回避するか

媒体別の報告とは別に、全体の増分利益を1つの数字で見る場を作ってください。

そのうえで、同時に出稿している組み合わせを書き出し、食い合いが疑われる組を1つずつ検証します。

年初に順位を1回つけて、1年配り切る

こんな状態になっていませんか

  • 年間の媒体別予算が、前年の実績順で年初に決まっている
  • 月次で見ているのは消化率だけで、追加効果の見直しがない
  • 市況が変わっても、配分は年度末まで動かない

なぜ起きるのか

効率順配分の弱点は、順位が固定されることです。

効率は投じるほど変わり、市況でも変わります。

年初の順位は、年の途中でほぼ確実に古くなります。

どう回避するか

配分を「年に1回決めるもの」から「毎月、追加1本の置き場所を決めるもの」に変えてください。

全額を組み直す必要はありません。

予算の1〜2割を「次の100万円」として毎月配り直すだけでも、固定の弊害はかなり減ります。

手法は正直に選ぶ

「では、専用の仕組みが必要なのか」

検証の結果を、そのまま並べます。

決め方得意苦手
Excel+経験導入コストゼロ。柔軟条件が3つを超えると管理できない。相互作用を扱えない
効率順の配分単純な問題では十分機能する飽和による順位の逆転を見落とす
数理最適化ソフト(無料)足し算で書ける条件なら、数ミリ秒で確実な正解を返す相互作用(2変数の掛け算)は計算そのものができない
数理最適化ソフト(有料)相互作用も高速・確実ライセンス費用が年間数百万円規模
専用の計算手法(量子アニーリング方式)相互作用も複合条件も、無料の道具立てのまま扱える計算に数秒かかり、ごく僅かに正解へ届かない場合がある。正解の保証はつかない

検証した5つのシナリオのうち、専用の計算手法を選ぶ必然性があったのは、相互作用が入る1つだけでした。

残りの4つは、既存の数理最適化ソフトのほうが速く正確でした。

どの手法が優れているかではなく、それぞれに長所があります。

すでに数理最適化ソフトを内製で使っている会社に、置き換えを勧めることはありません。

手法ごとの見分け方は、最適化ツールの選び方で扱っています。

ベンチャーネットならこう見る|効率が鈍る場所を探す

ベンチャーネットは、効率の良い媒体を探すより、効率が鈍る場所を探します。

鈍る場所が分かれば、配分は自然に決まるからです。

広告の企画や運用そのものは、代理店や運用担当者が得意とする領域です。

ベンチャーネットが関わるのは、配分を決める土台と、配分の計算です。

型1:足し算なら無料の道具、掛け算から専用の手法

条件を書き出したら、まず足し算で書けるかを見ます。

媒体の上限、認知の施策の最低本数、同時に出稿しない組み合わせ。

ここまでなら、無料のソフトで十分だと申し上げます。

相互作用のような掛け算の条件が入ってから、専用の計算手法を使います。

道具の選び方:足し算なら無料の道具、掛け算から専用の手法 条件を書き出し、足し算で書けるなら無料の数理最適化ソフトで十分。媒体どうしの相互作用のような掛け算が入ってから、専用の計算手法を使う。 道具の選び方 条件を書き出したら 足し算で書けるか? 書ける 媒体の上限 認知施策の最低本数 → 無料のソフトで十分 掛け算が入る 媒体どうしの相互作用 無料ソフトでは計算不可 → 専用の計算手法 5つのシナリオで、専用の手法が要ったのは1つ
道具の選び方:足し算か、掛け算か

型2:いまの配分と計算の配分を、同じ条件で比べる

いきなり配分を入れ替えません。

いまの効率順の配分と計算した配分を、同じ予算・同じ媒体の条件で並べて比べます。

第4章の351万円の差も、この比べ方で出したものです。

そのうえで、計画と実績を毎月突き合わせ、追加効果の読みを更新します。

土台になるのは、媒体別の投入額と成果が、同じ場所に同じ粒度で残る設計です。

基幹システム側のデータの持ち方が中心になります。

ベンチャーネットはNetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。

この見直しを勧めない会社

媒体が2つしかない会社や、予算を1つの媒体で使い切れる規模の会社には、勧めません。

逆転が起きるほど媒体と予算がなければ、効率順でも損は出にくいからです。

取り組む価値が出るのは、媒体が4つ以上あり、効率首位の媒体に予算の半分近くが寄っているときです。

集客の実行面はNetSuiteで集客を自動化するには、売上の見通しの立て方はNetSuite SFAで実現する販売予測で扱っています。

今日できること

効率首位の媒体について、「先月より100万円増やしたとき、効果はいくら増えたか」を出してみてください。

平均のROASではなく、増やした分だけの効果です。

その数字が、2番手の媒体の「1本目の効果」より小さければ、逆転はすでに起きています。

首位の媒体の最後の100万円は、2番手に回したほうが効いていたことになります。

よくある質問

Q1. 効率の良い順に配るのは、間違いなのですか

間違いではなく前提が抜けているだけです。

効率が投じる額で変わらないなら、効率順は正解です。

広告の効果は投じるほど鈍るため、その前提が成り立ちません。

問いを「次の1本が効く媒体」に変えれば、同じ実績データのまま配分は改善します(販促最適化とは?)。

Q2. 4,212万円という数字は、うちの会社でも出ますか

出るとは限りません。

この数字は、検証用のサンプルデータ(月1,500万円・5媒体)での計算例です。

差の大きさは、媒体ごとの飽和の速さと予算の規模で決まります。

実務では金額より、差が生まれる場所(飽和した媒体の4本目以降)を特定できることに意味があります。

Q3. 媒体ごとの「追加1本あたりの効果」は、どう出せばよいですか

3つの方法があります。

  1. 効果測定ツール(MMMなど)の推定値を使う
  2. 過去に投入額を変えた月の、前後の成果の差から出す
  3. 担当者やプランナーの見立てで置く

最初は2つ目か3つ目で置き、毎月の答え合わせで更新するほうが早く進みます。

読みに幅があるなら、強気・弱気の2本で持っても構いません。

Q4. 効果測定ツールを入れれば、配分まで決まりますか

決まりません。

効果を測ることと、配分を決めることは別の工程です。

測定ツールは「いくら投じるとどれだけ効き、どこで飽和するか」を推定します。

その推定値と自社の条件を受け取り、配分を決めるのが次の工程です。

2つの関係は、Google Meridianとはで扱っています。

Q5. Excelで配分を計算できませんか

飽和だけならできます。

媒体ごとに追加1本あたりの効果を並べ、大きい順に1本ずつ配れば、第4章の取りこぼしは埋まります。

難しくなるのは、相互作用(媒体Aの効果×媒体Bの効果)が入ってからです。

この掛け算の項は、表計算や無料の数理最適化ソフトでは扱えません。

Q6. 相互作用の強さ(係数)は、どうすれば分かりますか

疑われる組み合わせの書き出しから始めます。

同じ顧客を取り合っていそうな組と、片方が他方を押し上げていそうな組を挙げます。

そのうえで、一方の出稿を止めた月や増やした月に、他方の成果がどう動いたかを見ます。

方向と大まかな強さが分かれば、配分には使えます。

まとめ|効率の良い媒体ではなく、効率が鈍る場所を見る

  • 「効率の良い順に配る」には、効率が投じる額で変わらないという前提が抜けている
  • 広告の効果は投じるほど鈍り、いずれ飽和する。鈍り方は媒体ごとに違う
  • 検証では、効率首位の媒体の追加効果が3.61から0.33に鈍り、4本目で順位が逆転した
  • 効率順と最適配分の差は月351万円、年間4,212万円相当。同じ予算・同じ媒体で生まれた差
  • この差は「次の1本が効く媒体」を問う配り方で埋まる。道具より先に、問いの置き換え
  • 媒体どうしの相互作用を無視すると、さらに約2割損する。道具の話はここから

取りこぼしは、担当者のミスではなく、ルールに組み込まれた見落としです。

3.61が0.33になる場所は、どの会社の配分にもあります。

まずは首位の媒体の最後の100万円が、何本目にあたるかを出してみてください。

もう少し詳しく知りたい方へ

自社の広告予算が、いまどこで鈍っているのか。

追加1本あたりの効果を出すところから、ご相談をお受けしています。

数字を会議で回す段階では、PSI会議とはの進め方が参考になります。

AI検索時代のマーケティング設計は、AIOとはで扱っています。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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