最適化ツールの選び方|「掛け算の条件」があるかどうかで決まる

5つのうち4つ。

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが、最適化の手法を自社で検証した結果です。

この4つでは、既存の数理最適化ソフトのほうが、専用の計算手法より速く正確でした。

専用手法を選ぶ必然性が示せたのは、残りの1つだけです。

発注量の見直し、在庫の配分、広告予算の配り方。

こうした「組み合わせを決める」テーマでツールを探すと、ソルバー、数理最適化、量子アニーリングと、難しい言葉が並びます。

けれど、自社にどれが要るかを分ける基準は、1つしかありません。

その条件を確かめるのに、2つ以上の項目を同時に見る必要があるか。

同時に見る必要がないなら、無料のソフトで足ります。

必要があるなら、そこから先が有料のソフトと専用手法の領域です。

では、専用手法が勝てた「1つ」とは、どんな条件だったのか。

目次

📌 この記事で分かること

  • 組合せ最適化・ソルバー・足し算で書ける条件・掛け算の条件とは何か(1文ずつ)
  • 「掛け算の条件」の5つの型と、自社に当てはまるかの見分け方
  • 4つの道具を、扱える条件の形で比べた結果
  • 3つの問いで道具が決まる選び方
  • ベンチャーネットが検証で取り下げた主張3つ

4つの道具と、選ぶための1問

言葉の整理

組合せ最適化とは、たくさんの選び方の中から、条件を満たす最も良い組み合わせを見つける作業のことです。

発注する商品と数量、在庫を置く倉庫、広告を出す媒体と金額。

いずれも、組み合わせを選ぶという同じ形の問題です。

ソルバーとは、条件と目的を書いて渡すと、答えの組み合わせを計算して返すソフトのことです。

無料と有料のものがあり、それぞれ扱える条件の種類が違います。

足し算で書ける条件とは、項目を1つずつ見て足していけば判定できる条件のことです。

「合計金額が予算以内」「この商品は100個まで」は、1項目ずつ見れば済みます。

掛け算の条件とは、2つ以上の項目を同時に見ないと判定できない条件のことです。

「AとBを同時に選ぶと効果が落ちる」は、Aだけを見ても、Bだけを見ても分かりません。

道具は4つに分かれる

選択肢は、おおまかに4つです。

  1. 表計算ソフト+経験則
  2. 無料のソルバー
  3. 有料のソルバー
  4. 専用の計算手法(量子アニーリング方式)

値段も難しさも、この順に上がります。

ただし、上に行くほど良いわけではありません。

下の道具で足りるなら、下のほうが速く、確実です。

分かれ目は1か所だけ

4つの境目のうち、いちばん大きいのは2番と3番の間です。

無料のソルバーは、足し算で書ける条件なら、数ミリ秒で正解を返します。

ところが掛け算の条件が1つ入ると、計算そのものができなくなります。

だから、最初に問うのはこの1問です。

その条件を確かめるのに、2つ以上の項目を同時に見る必要があるか

答えが「いいえ」なら、無料のソルバーで足ります。

「はい」なら、第2章から先の話になります。

「掛け算の条件」とは何か

足し算で書ける条件の例

  • 発注金額の合計を、月間の予算以内に収める
  • 1回の発注は、最低ロット以上にする
  • この倉庫の保管量は、上限を超えない
  • 広告費の合計を、四半期の枠に収める

どれも、1つずつ見て足していけば判定できます。

候補が何万通りあっても、ソルバーにとっては軽い計算です。

掛け算の条件の例

同じように見えて、性質の違う条件もあります。

  • 仕入先が特定のカテゴリに偏らないようにする
  • 各倉庫ゾーンの利用率を、なるべくそろえる
  • 同じ時期に一緒に売れる商品を、まとめて持ちすぎない
  • 2つの媒体を同時に出すと、互いに食い合う分を差し引く
  • 同じ商品を、2つのセットに重ねて入れない

どれも、1項目だけを見ても判定できません。

他の項目の状態で良し悪しが変わるからです。

計算式に直すと、項目どうしの掛け算が現れます。

「掛け算の条件」と呼んでいるのは、そのためです。

掛け算の条件は、5つの型に分かれる

ベンチャーネットの検証資料を見直すと、実務で出てくる掛け算の条件は5つの型に分かれました。

自社に当てはまるものがあるか、順に見てください。

#型現場での言い方何を計算しているか
①偏らせたくない仕入先が1カテゴリに集中している各先のシェアを二乗して足す
②そろえたい倉庫ゾーンの利用率にばらつきがある平均からの差を二乗して足す
③同時に動く季節商品が一緒に売れ、一緒に外れる商品ペアの動きを掛け合わせる
④組み合わせで効果が変わる媒体どうしが食い合う、相乗りする2つの出稿額を掛け合わせる
⑤同じものを2か所に置けない1商品を複数のセットに入れられない選択どうしの重なりを掛け合わせる

5つとも、「二乗」か「掛け合わせ」が出てきます。

これが、無料のソルバーが扱えない形です。

型ごとに、深く扱った記事があります。

自社に当てはまる型から読んでください。

②の「そろえたい」は、検証資料には残っていますが、単独の記事にはまだしていません。

考え方は①と同じ形なので、①の記事が近い内容です。

見分け方は、1問で足りる

型の名前を覚える必要はありません。

問いは、第1章と同じ1つです。

その条件を確かめるのに、2つ以上の項目を同時に見る必要があるか

自社の条件を1つずつ、この問いに通してください。

「合計が予算以内か」は、合計を見れば分かります。

同時に見る必要はありません。

「仕入が偏っていないか」は、1社だけを見ても分かりません。

全体の配分を同時に見る必要があります。

「はい」が1つでもあれば、掛け算の条件を持っています。

1つもなければ、無料のソルバーで足ります。

2つの条件の違いを図にすると、次のとおりです。

足し算の条件と掛け算の条件の見分け方 確かめるのに2つ以上の項目を同時に見る必要がなければ足し算の条件で、無料のソルバーで足りる。同時に見る必要があれば掛け算の条件で、有料のソルバーか専用の計算手法の領域になる。 足し算の条件と掛け算の条件 確かめるのに、2つ以上の項目を 同時に見る必要があるか いいえ 足し算の条件 はい 掛け算の条件 例 合計が予算以内か 仕入が偏っていないか 判定のしかた 合計を見れば分かる 全体の配分を 同時に見る 道具 無料のソルバーで 足りる 有料のソルバーか 専用の計算手法 「はい」が1つでもあれば、掛け算の条件あり
足し算の条件と掛け算の条件の見分け方

4つの道具を、条件の形で比べる

速さでは比べない

本記事は、道具を速さでは比べません。

比べる軸は、「扱える条件の形」です。

理由は2つあります。

1つは、速さは問題の大きさで簡単に逆転するからです。

同じ道具でも、条件が10個の問題と1万個の問題では、順位が入れ替わります。

カタログの秒数は、自社の判断材料になりません。

もう1つは、扱えない条件は待っても答えが出ないからです。

掛け算の条件に対して、無料のソルバーは「遅い」のではありません。

計算を受け付けないのです。

この違いは、速さの比較では見えてきません。

比較表

道具扱える条件費用の目安向いている場面
表計算ソフト+経験則足し算の条件が3つ程度まで追加ゼロ品目が少なく、担当者が全体を把握できる
無料のソルバー足し算で書ける条件無料条件が増えても、すべて1項目ずつ判定できる
有料のソルバー掛け算の条件も扱える年間数百万円規模掛け算の条件があり、予算が確保できる
専用の計算手法掛け算の条件も扱える無料の道具立てで構成掛け算の条件があり、有料ソフトの予算はない

表計算ソフトの限界は、速さではなく管理のしやすさにあります。

条件が3つを超えると、どの条件がどのセルに効いているかを、人が追えなくなります。

数式は動いていても、直せなくなるのです。

無料のソルバーが「解けない」理由

検証資料の原本には、こう記されています。

広く使われている無償ソルバー(HiGHSなど)では解けず、商用ソルバー(Gurobi、SCIPなど)を持つ組織でなければ比較検証もできません

無料のソルバーは、足し算で書ける問題を解くように作られています。

掛け算の項が入ると、問題の種類そのものが変わり、入り口で受け付けられません。

有料のソルバーは、この種類の問題も扱えます。

そのかわり、費用がかかります。

専用の計算手法は、掛け算の条件を、無料の道具立てのまま扱うための選択肢です。

ベンチャーネットが専用手法を使う理由は、この一点だけです。

足し算で書ける問題なら、無料のソルバーのほうが速く確実です。

計算の原理は、データドリブン経営の次の一手|量子アニーリングで実現する経営最適化で扱っています。

選び方|3つの問いで決まる

順に答えていくと、道具が1つに絞れます。

問い1:条件はいくつありますか

3つ以下で、担当者が全体を把握できているなら、表計算ソフト+経験則で足ります。

無理に道具を変える必要はありません。

4つ以上になり、条件どうしの調整が手作業で回らなくなってきたら、問い2に進みます。

問い2:掛け算の条件はありますか

第2章の1問に、自社の条件を通してください。

1つもなければ、無料のソルバーで足ります。

費用ゼロで、しかも正解が保証される。

いちばん良い状態です。

1つでもあれば、問い3に進みます。

問い3:有料ソフトの予算は確保できますか

確保できるなら、有料のソルバーが第一候補です。

速く、正解の保証もつきます。

すでに社内で有料ソルバーを使っているなら、置き換える理由はありません。

確保できないなら、専用の計算手法が選択肢になります。

計算に数秒かかり、ごくわずかに正解へ届かない場合があります。

そのかわり、無料の道具立てのまま、掛け算の条件を扱えます。

3つの問いと道具の対応

条件の数掛け算の条件予算道具
3つ以下——表計算+経験則
4つ以上なし—無料のソルバー
4つ以上ありあり有料のソルバー
4つ以上ありなし専用の計算手法
3つの問いで最適化の道具を選ぶ 条件が3つ以下なら表計算と経験則。4つ以上で掛け算の条件がなければ無料のソルバー。掛け算の条件があり予算があれば有料のソルバー、予算がなければ専用の計算手法。 3つの問いで道具を選ぶ 問い1 条件は 4つ以上か いいえ 表計算+ 経験則 はい 問い2 掛け算の 条件はあるか いいえ 無料の ソルバー はい 問い3 有料ソフトの 予算はあるか はい 有料の ソルバー いいえ 専用の計算手法 正解の保証はない いちばん大きい分かれ目は問い2 下の道具で足りるなら、下のほうが 速く、直しやすく、引き継ぎやすい
3つの問いで最適化の道具を選ぶ

図のとおり、いちばん大きい分かれ目は問い2です。

掛け算の条件がなければ、問い3に進む必要はありません。

発注量や予算配分の考え方は、発注量の決め方|勘に頼らない基準の作り方と販促予算の最適化とは|配分を決めるための考え方で扱っています。

条件の中には、足し算で書けるのに手強いものもあります。

その代表が最低ロットです。

扱い方は最低ロットがあるときの発注計画で解説しています。

検証で分かった、それぞれの限界

ベンチャーネットが自社で行った検証の結果です。

数字は、検証用のサンプルデータによる計算例です。

規模は8商品から61商品で、実データでいくら利益が増えるかは測っていません。

5つ中4つは、既存のソフトのほうが優位だった

販促側で5つのシナリオを用意し、3つの手法で比べました。

専用の計算手法を選ぶ必然性が示せたのは、相互作用が入る1つだけでした。

冒頭で残した問いの答えが、これです。

相互作用とは、第2章の型④のように、組み合わせで効果が変わる条件を指します。

残り4つは、既存の数理最適化ソフトのほうが速く、正確でした。

専用手法を売る立場から見れば、不利な結果です。

それでも、そのまま載せます。

規模が大きければ有利、という予想は外れた

検証の前、ベンチャーネットは「組み合わせが増えるほど専用手法が有利になる」と考えていました。

実際には、約10億通りの規模でも、既存のソフトは0.005秒で解きました。

同じ問題に、専用手法は8.2秒かかっています。

規模を根拠にした主張は、成り立ちませんでした。

精度も、わずかに届かない

同じ検証で、専用手法が出した答えの水準は、最良の答えに対して98.9%と97.9%でした。

実務では十分に使える水準です。

ただし、「常に正解」ではありません。

在庫側の検証でも、4つのシナリオのうち2つで差が残りました。

倉庫の配置で7.2%、保管クラスで1.9%です。

では、何が示せたのか

答え合わせができる小さい問題では、全数計算の答えと完全に一致しました。

64通り、144通り、約1,000通り、そして39万通り。

計算方法そのものの正しさは、いずれも確認できています。

言えるのは、ここまでです。

  • 計算方法は、答え合わせできる範囲で正しい
  • 掛け算の条件を、無料の道具立てのまま扱える
  • ただし、大きい問題で常に最良に届く保証はない
  • 実データでの利益増は、まだ測っていない

正直なベンダーの見分け方

手法の比較は、売る側が自社に有利に書きやすい領域です。

見分け方を1つ挙げるなら、取り下げた主張があるかどうかを見てください。

ベンチャーネットが検証の結果、取り下げた主張は3つあります。

① 複数の良い案を、同時に出せる

「1つの計算で、良い案を複数まとめて提示できる」と説明していました。

検証では、その優位性を確認できませんでした。

既存のソフトでも、条件を変えて繰り返せば同じことができます。

② 将来、量子ハードウェアへそのまま移行できる

「量子計算機が実用化されたとき、いまの仕組みをそのまま載せ替えられる」と説明していました。

現時点で検証できる話ではありません。

確かめようのない主張は、根拠として使えません。

③ 条件の変更に強い

「条件が増えても柔軟に対応できる」と説明していました。

検証では、既存のソフトより明確に強いとは言えませんでした。

これらを取り下げても、残るものが1つあります。

掛け算の条件を無料の道具立てのまま扱えること。

検証で裏づけの取れた優位は、ここだけです。

取り下げた主張と残った優位を図にすると、次のとおりです。

検証で取り下げた3つの主張と、残った優位 複数の良い案を同時に出せる、量子ハードウェアへそのまま移行できる、条件の変更に強い、の3つの主張は検証の結果取り下げた。残った優位は、掛け算の条件を無料の道具立てのまま扱えること。 取り下げた3つの主張 1 複数の良い案を、同時に出せる → 優位性を確認できなかった 2 量子ハードウェアへそのまま移行 → 現時点で検証できない 3 条件の変更に強い → 既存より明確に強いとは言えない 残った優位 掛け算の条件を、無料の道具立てのまま扱える 「できなかったこと」が書かれているかを見る
検証で取り下げた3つの主張と、残った優位

道具を選ぶときは、提案書の「できること」より、「できなかったこと」が書かれているかを見てください。

書かれていない提案書は、検証していないか、都合の悪い結果を外しているかのどちらかです。

つまずく3つのパターン

パターン1:いちばん高機能な道具から検討してしまう

現象

量子・AIといった言葉から入り、見積もりを取り、費用に驚いて止まる。

半年後、同じ場所から再開する。

構造的な原因

道具の名前で探しているためです。

自社の条件がどの形かを先に見ていないので、比較の基準が作れません。

基準がないまま比べると、判断材料が費用しか残りません。

回避策

自社の条件を紙に書き出し、第2章の1問に通してください。

掛け算の条件が1つもなければ、検討対象は無料のソルバーだけです。

ここで決着する会社は、少なくありません。

パターン2:表計算ソフトのまま、条件を足し続ける

現象

条件が増えるたびに数式を継ぎ足し、シートが巨大になる。

作った担当者しか触れなくなり、異動で止まる。

構造的な原因

1つずつの追加が小さいため、移行を判断する瞬間が来ないまま限界を越えます。

条件が3つを超えたあたりから、どの数式がどの条件に当たるかを、人が追えなくなります。

回避策

「条件が3つを超えたら道具を見直す」と、あらかじめ決めておいてください。

限界を感じてからでは、引き継ぎの余裕がありません。

パターン3:正解の保証がないことを、あとで知る

現象

専用手法を導入したあとで「常に最良とは限らない」と知り、社内で説明できなくなる。

構造的な原因

保証の有無が比較表の外に置かれやすいためです。

速さと費用は並べて比べても、「正解の保証がつくか」は項目として立てられないことがあります。

回避策

見積もりの段階で、「この手法に正解の保証はつきますか」と1問だけ聞いてください。

つかない場合は、その理由と、どの程度まで届くのかを文書で受け取ります。

ベンチャーネットならこう見る|「お勧めしない3つの場合」を先に言う

ベンチャーネットは、NetSuiteの導入支援と並行して、最適化の仕組みづくりも支援しています。

NetSuiteにたまった発注・在庫・販促のデータを、そのまま計算の入力に使う形です。

そのうえで、お勧めしない場合を先にはっきりさせています。

  • すでに社内で有料ソルバーを使っている会社:速さでも正確さでも、既存の環境が上回ります
  • 掛け算の条件が1つもない会社:無料のソルバーで足ります
  • 条件が3つ以下の会社:表計算ソフトのほうが、直しやすく引き継ぎやすいからです

現実的な選択肢になるのは、次の3つがそろう会社です。

表計算ソフトからの移行先を探している。

掛け算の条件がある。

有料ソフトの予算はない。

どの道具にも、それぞれに長所があります。

最初にやることは、道具の選定ではありません。

自社の条件を洗い出し、掛け算の条件がいくつあるかを数えることです。

ここまでは、ご相談の中で一緒にできます。

在庫の全体像は在庫管理の基本、供給側の設計はサプライチェーン最適化で扱っています。

今日できること

道具を選ぶ前に、10分でできることがあります。

  1. いま守っている条件をすべて書き出す(予算、ロット、納期、保管量、売場の制約など)
  2. 1つずつ第2章の問いに通す:その条件を確かめるのに、2つ以上の項目を同時に見る必要があるか
  3. 「はい」の数を数える

ゼロなら、無料のソルバーで足ります。

検討は、ここで終わりです。

1つ以上なら、その条件がどの型かを第2章の表に当ててください。

型ごとに、詳しく扱った記事があります。

数えた結果をお持ちいただければ、そこから先の判断は短い時間で済みます。

在庫と販売の数字を突き合わせる進め方は、PSI会議の回し方でも触れています。

よくある質問

Q1. 「掛け算の条件」は、専門用語ですか

本記事の中での呼び方です。

計算の世界では「2次項」「非線形の制約」と呼ばれます。

ただ、その呼び方では、自社に当てはまるかどうかの判断につながりません。

「2つ以上の項目を同時に見る必要があるか」という形に直せば、条件の一覧を見ながら数えられます。

Q2. 量子アニーリングとは何ですか

掛け算の条件を扱える手法の1つです。

選び方の上では、「掛け算の条件を、無料の道具立てのまま扱える手法」と位置づけています。

計算の原理は、データドリブン経営の次の一手|量子アニーリングで実現する経営最適化で扱っています。

Q3. 無料のソルバーのほうが速いなら、専用手法は要らないのでは

足し算で書ける条件だけならそのとおりです。

分かれ目は、掛け算の条件があるかどうかです。

掛け算の条件に対して、無料のソルバーは遅いのではなく、計算を受け付けません。

速さの比較の土俵に乗らない、というのが正しい言い方です。

Q4. 「5つ中4つで既存ソフトが優位」と書いて、商売になりますか

負けた結果も同じ場所に出すのが前提だと考えています。

都合の良い1つだけを出せば、導入後に必ず食い違いが出ます。

最初から「効くのはここだけです」と範囲を示したほうが、導入後の説明も短く済みます。

Q5. AIを使えば、こうした問題は解けるのではないですか

種類の違う道具です。

需要予測のように「これから何が起きるか」を推測する場面では、AIが力を出します。

本記事が扱うのは、予測が出たあとにどう配るかを決める場面です。

条件を守りながら最良の組み合わせを選ぶ計算であり、推測ではありません。

両者の関係はERPとAIでも触れています。

販促の分野で「測る道具」と「決める道具」がどこで分かれるかは、Google Meridianとは|MMMツールで予算配分はどこまで決まるのかで扱っています。

Q6. 検証の数字は、自社でも同じように出ますか

出るとは限りません。

第5章の数字は、すべて検証用のサンプルデータでの計算例です。

商品数、条件の数、データの偏り方によって、結果は変わります。

実データでの利益増も、現時点では測っていません。

数字は「計算方法が正しく動いた記録」として読んでください。

まとめ:選ぶ基準は1つだけ

  • 道具は4つ。表計算+経験則/無料のソルバー/有料のソルバー/専用の計算手法
  • いちばん大きい境目は、掛け算の条件を扱えるかどうか
  • 掛け算の条件は5つの型。偏らせたくない/そろえたい/同時に動く/組み合わせで効果が変わる/同じものを2か所に置けない
  • 見分ける問いは1つ。その条件を確かめるのに2つ以上の項目を同時に見る必要があるか
  • 検証では5つ中4つで既存の数理最適化ソフトが優位。約10億通りでも既存ソフトは0.005秒で解いた
  • ベンチャーネットは検証の結果、3つの主張を取り下げた

上の道具ほど良い、ということはありません。

下の道具で足りるなら、下のほうが速く、直しやすく、引き継ぎやすい。

まず、自社の条件を書き出して、「はい」の数を数えてみてください。

ゼロなら、そこで検討は終わります。

もう少し詳しく知りたい方へ

自社の条件が、どの道具の範囲に収まるのか。

条件の一覧をお持ちいただければ、その場で切り分けます。

無料のソルバーで足りる場合は、そうお伝えします。

この記事で、いちばんお伝えしたかったことです。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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