「プロジェクト管理のERPを入れれば、会計まで1つにそろう」
そう考えてZACの資料を開くと、1か所で手が止まります。
ZAC(ザック)とは、株式会社オロが提供する、プロジェクト型ビジネス向けのクラウドERPです。
案件ごとの売上・原価・工数を1つの仕組みで管理し、採算を早く見えるようにすることを得意とします。
ただし、決算書をつくる財務会計は、外部の会計システムと連携する形です。
つまりZACは、案件の採算を月末まで待たずに見たい、国内中心の会社に合う製品です。
会計や海外拠点まで1つにしたいなら、ZACの範囲の外も含めて考えることになります。
では、自社はどちらなのか。
決め手は機能の多さではありません。
自社の管理の中心が「案件」にあるのか、「会社全体」にあるのかです。
この記事で分かること
- ZACの位置づけ・機能・料金の仕組み(2026年9月時点の公式情報)
- ZACの守備範囲と、その外にあるもの
- ZACが向いている会社と、ZAC以外が合う会社の条件
- すでにZACを使う会社が、会計や海外まで広げるときの3つの道
言葉の整理:ERPは、会計・販売・購買など基幹の業務を1つにまとめる仕組みです。
プロジェクト型ビジネスは、案件や契約ごとに人と費用をかけ、案件ごとに利益が決まる事業の形を指します。
ZAC(ザック)とは
公式サイトでは、ZACは「案件・プロジェクト型のビジネスに特化したクラウドERP」と説明されています。
導入社数は1,100社を突破しています(出典:株式会社オロ ZAC公式サイト、2026年9月確認)。
クラウドERPの仕組みは、クラウドERPとはをご覧ください。
対象の業種には、IT・システム開発、SaaS、広告・制作、士業・コンサルティングが挙がっています。
設備工事・メンテナンス、機械設計・電子設計、個別受注型製造なども含まれます(出典:同上)。
共通するのは、案件ごとに人の時間と外注費がかかるという点です。
量産の製造や大量の物販とは、管理の中心が違います。
一般的なERPは、会社全体の業務をまとめます。
ZACは、その中でもプロジェクトごとの収支を中心に置いています。
ZACの主な機能
公式の機能一覧をもとにまとめます(出典:株式会社オロ ZAC公式サイト 機能一覧、2026年9月確認)。
| 区分 | 主な機能 |
|---|---|
| 基幹業務(プロジェクト管理) | プロジェクト管理、販売管理、購買管理、勤怠管理、工数管理、経費管理、工程管理、在庫管理 |
| 情報共有(グループウェア) | 予定表、コンタクト管理、文書管理 |
| 管理会計(BIツール) | 経営モニタリング、BIツール連携 |
| 経営管理を効率化する機能 | ワークフロー、外部システム連携、シングルサインオン、スマートフォン対応など |
| 法制度への対応 | 電子帳簿保存法対応、インボイス対応 |
工数管理は、誰がどの案件に何時間使ったかを記録することです。
オプションには、セキュリティ、IT資産管理、HubSpot連携、Salesforce連携、サブスクリプション管理、SES管理が載っています。
SESは、技術者の稼働を提供する契約の形です。
IT業界に寄せた作りといえます。
ZACの強み
- 採算を月末まで待たない:工数や経費を登録するたびに、案件の原価と利益に反映される
- 個別原価計算を仕組みにする:案件ごとの原価の集計を、Excelの手作業から離せる
- 内部統制を整える:承認の流れと記録がシステムに残る
個別原価計算は、案件や受注ごとに原価を集計する方法です。
AIの機能
オロは2026年4月21日に、AI機能の第一弾「AI日報補完機能」を発表しました。
カレンダーの予定名から、工数を登録する案件と作業内容をAIが推測して提案する機能です。
2026年5月から提供予定とされ、利用には勤怠ライセンスの契約が必要と案内されています(出典:株式会社オロ ZACニュース、2026年9月確認)。
工数の入力漏れは、採算がずれる大きな原因です。
その負担を下げる、地に足の着いたAIの使い方です。
ZACの料金の仕組み
公式サイトには価格体系のページがあり、一部の金額が公開されています(2026年9月確認)。
| 費用の項目 | 公式サイトの記載 | 確認しておくこと |
|---|---|---|
| ZAC初期設定費用 | 10万円 | 初期に必ずかかる費用か |
| 導入支援費用 | フリープランは0円(特定の条件を満たす場合)、スタンダードプランは都度見積もり | 自社がどちらの条件に当たるか |
| ライセンス費用(月額) | 各ライセンス価格×機能ご利用人数。単価は製品資料で案内 | 使う機能と人数の組み合わせ |
| 保守費用(月額・データセンター利用料) | 6万円〜/月。ライセンス数によってプランが決まる | 人数が増えたときのプランの変わり方 |
出典:株式会社オロ ZAC公式サイト 価格体系(2026年9月確認)
ライセンスは機能ごとに分かれ、契約後も拡張・縮小ができると案内されています。
「工数は全員、販売管理は営業と経理だけ」のように、機能と人数の組み合わせで費用が決まります。
正確な総額は、提供元のオロ社の見積もりで分かります。
導入にかかる期間と補助金
ご利用開始までは「最短3ヶ月、通常6か月程度」と案内されています(出典:株式会社オロ ZAC公式サイト 導入までの流れ、2026年9月確認)。
途中に、マスタ・会計科目の設定や、並行稼働(新旧の仕組みを同時に動かして照らし合わせること)の工程があります。
オロの公式サイトには、2026年度のデジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)の案内ページもあります(2026年9月確認)。
交付決定の前に発注すると対象外になるなど、順番の決まりに注意が要ります。
一般的な流れは、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)でNetSuiteを導入する方法で扱っています。
ZACの守備範囲と、その外にあるもの
冒頭の「会計まで1つにそろうのか」への答えが、この表です。
| 業務の領域 | ZACでの扱い | 見ておくこと | AIとの親和性 |
|---|---|---|---|
| 案件の収支・工数・経費 | 中心の機能 | 工数を毎日入れる運用が回るか | 高。案件ごとにデータがそろい、採算の点検をAIに任せやすい |
| 販売・購買・在庫 | 機能あり | 物販の量が多くても足りるか | 中〜高。案件にひもづき分析しやすい |
| 財務会計 | 外部の会計システムと連携 | いまの会計ソフトが連携先にあるか | 中。会計と案件のデータが2か所に分かれる |
| 多通貨・多言語・海外拠点 | 公式の機能一覧に項目は見当たらず | 海外拠点も同じ仕組みに載せたいか | 拠点ごとに別の仕組みだと、横断の分析がしにくい |
財務会計は、区分けしたCSVデータを出力し、財務会計システムに連携する仕組みです(出典:株式会社オロ ZAC公式サイト 製品特徴、2026年9月確認)。
連携先には、勘定奉行クラウド、マネーフォワード クラウド会計Plus、SuperStream-NXなどが挙がっています。
これ以外にも多数の連携実績があると書かれています(出典:株式会社オロ ZAC連携ソリューション、2026年9月確認)。
多通貨・多言語は、ベンチャーネットが確認した範囲では、公式の機能一覧に項目が見当たりませんでした。
海外拠点を含めて考えるなら、提供元に対応範囲を直接聞いてください。
ZACの中と外を図にすると、次のとおりです。
判断の物差し|ZACが合う会社、ZAC以外も並べたい会社
ZACが合いやすい会社
- 売上の大半が、案件・契約ごとの受託や制作から生まれている
- 利益の差が「人の時間の使い方」で決まり、工数を原価として管理したい
- 拠点は国内が中心で、海外の子会社を同じ仕組みで管理する予定がない
- 会計は、いまの会計ソフトを使い続けたい
- 機能ごとに人数を絞り、必要な範囲から小さく始めたい
ZAC以外も並べて考えたほうがよい会社
| 自社の状況 | 合いそうな選択肢 | 理由 |
|---|---|---|
| 同じ目的の製品と比べたい | Reforma PSAなど、プロジェクト型向けの製品 | 画面や料金の考え方を比べられる |
| 海外子会社や連結決算まで1つに見たい | NetSuiteなどの統合型クラウドERP | 会計・多通貨・複数の会社を1つのデータで持つ |
| 会計・販売・在庫を、費用を抑えて広く1つにしたい | Odoo | アプリを組み合わせて広い範囲を持てる |
| 物販や量産が中心 | 販売・在庫・生産に強い国産ERP | 管理の中心がモノにある |
| 案件が少なく、Excelでも締めが遅れていない | いまは入れない | 表の作り方を整えるだけで足りることがある |
PSAは、案件・人員・工数・請求をまとめて管理する、プロジェクト型の会社向けの仕組みです。
プロジェクト型向けの別の製品はReforma PSAとは、OdooはOdooとはで扱っています。
ERP全体の比べ方はERP・クラウドERPを徹底比較をご覧ください。
NetSuiteは、統合型のクラウドERPです。
世界220地域・44,000社以上で使われています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月時点)。
費用はミニマム構成で月額20万円〜が出発点です。
モジュール・ユーザー数・オプションの構成で変わり、数百万円規模になることもあります。
基本はNetSuiteとはで扱っています。
Excelで管理している会社と、ZACを使っている会社
いまExcelで案件管理している会社
Excelでの案件管理が悪いわけではありません。
問題は、案件の採算が分かるのが遅すぎるときです。
「粗利が締めの後にならないと分からない」「黒字のはずが、終わってみたら赤字の案件が毎期ある」。
このどちらかがあれば、見直しの時期です。
最初に決めるのは、採算を見たい単位(案件・顧客・部門)と、工数を入れる頻度、そして会計ソフトを残すかどうかです。
会計ソフトを残すならZACの形と合いやすく、会計も1つにしたいなら統合型ERPも並べて比べます。
Excelから移る時期はExcelからNetSuiteへ移行すべきタイミング、工数を採算につなげる考え方は工数管理を「現場の作業」で終わらせないで扱っています。
すでにZACを使い、会計や海外まで広げたい会社
ZACで案件の採算は見えるようになった。
次は、会計や海外拠点までを1つに見たい。
事業が広がった会社で、よく起きる流れです。
| 道 | 中身 | 向く会社 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| A. ZACと会計ソフトの連携を深める | 連携の手順を整える | 国内中心で、困りごとが連携の手間 | 数字の突き合わせは残る |
| B. ZACは残し、海外や連結を別に持つ | 海外子会社や連結は統合型ERPなどで持つ | 海外拠点が少なく、国内の案件管理に満足 | 会社をまたぐ分析はデータを集めて行う |
| C. 全体を統合型ERPに移す | 案件・会計・海外拠点を1つにまとめる | 海外拠点が増える、上場を目指す | 案件管理の使い勝手を作り直す手間 |
図のとおり、先に分けるのは困りごとの種類です。
「連携の手間」なら道A、「全社で同じ数字を見られない」なら道BかCを考えます。
道Cを選ぶなら、費用と期間は4つの要因で大きく動きます。
機能範囲、開発(特に外部システムとの連携)、社内の体制、ユーザー数です。
ZACとつないできた会計ソフトやSalesforceなどの数は、このうち「開発」の重さに直結します。
情報システムの担当が少ない会社では、支援を厚くする分、期間も延びやすくなります。
機能の詳しい比較・乗り換えのサイン・移行の進め方は、ZACとNetSuiteを徹底比較で扱っています。
海外拠点の管理はNetSuiteのグローバル展開機能、NetSuite側のプロジェクト管理はNetSuiteのプロジェクト管理機能とはをご覧ください。
よくある失敗3つ
3つの失敗と避け方を並べると、次のとおりです。
失敗1:工数が入らず、採算が見えないまま
起きること:導入したのに、案件の原価が実際より低く出る。採算の数字を誰も信じなくなる。
原因:工数の入力が現場の負担になり、遅れや漏れが出ている。
避け方:入力の単位(何分刻みか、案件か作業か)を、現場と一緒に決めます。
最初の数か月は、入力率そのものを毎週の目標にします。
失敗2:会計との境目を決めずに入れる
起きること:ZACの案件の利益と、会計の利益が合わない。月末に突き合わせの作業が増える。
原因:どのデータをどちらで持ち、いつ連携するかを決めないまま進めた。
避け方:「案件の原価はZAC、決算の数字は会計ソフト」のように、持ち主を決めた表を先に作ります。
連携の頻度と、差が出たときに誰が直すかも決めておきます。
失敗3:いまの案件の分け方を、そのまま持ち込む
起きること:案件のコードが細かすぎたり粗すぎたりして、見たい単位で採算が出ない。
原因:Excel時代の分け方を、見直さずに設定した。
避け方:「経営会議で、どの単位の採算を見たいか」から逆算して、分け方を決めます。
細かくするほど入力の手間が増えます。
見たい単位より細かくしないのが目安です。
ベンチャーネットならこう見る|採算が見えた先の「守り→攻め→次へ」
NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱っています。
SAPからのリプレイスにも対応しています。
プロジェクト型の会社の相談では、製品を当てはめる前に、案件のデータがこの先どこまで働くかを一緒に描きます。
型:守り→攻め→次へ
- 守り|業務が回る:工数・経費・請求が1つにそろい、案件の採算が月末を待たずに出る。ZACが得意とする段階
- 攻め|データで打つ:たまった工数のデータで、見積もりの精度や人の配置を見直す
- 次へ|経営が変わる:案件の粗利をKPIにし、管理会計や、上場に向けた内部統制までつなぐ
「守り」までなら、国内中心で会計ソフトを残す会社には、ZACが素直に合います。
「次へ」で海外や連結まで1つに見たくなったとき、第6-2節の道BとCが現れます。
どこまで行きたいかが先に分かれば、製品が広すぎるか足りないかも、先に分かります。
1周目は、1つの業務・1つのKPIに絞る
「攻め」に進むときも、全部を一度に変えません。
最短90日で、1つの業務と1つのKPIに絞った1周目を回します。
プロジェクト型の会社なら、KPIの候補は「案件の終了から採算の確定までの日数」です。
第9章の表が、そのまま1周目の出発点になります。
最初の打ち合わせで伺うのは、次の3つです。
- 売上の何割が案件型か。物販や定期の売上はあるか
- 案件・顧客・部門・会社のどこまでを1つに見たいか
- 3年後の海外拠点、M&A、上場の予定
今日できること|直近の3案件で「採算が分かった日」を書き出す
最近終わった案件を3つ選び、次の表を埋めてみてください。
1時間ほどでできます。
| 案件 | 終了日→採算が確定した日 | 見込みと実際の粗利の差 | 数字を集めた場所 |
|---|---|---|---|
| (例)A社サイト制作 | 6月30日→8月10日 | ▲12% | Excel・勤怠・経費精算 |
見るのは2つです。
- 終了から確定までの日数:長いほど、仕組みで縮める価値がある
- 数字を集めた場所の数:3か所以上なら、1つにまとめる効果が大きい
この表は、どの製品を検討するときにも要件の出発点になります。
よくある質問
Q1. ZACはどんな会社に向いていますか
案件ごとに人の時間と外注費がかかる国内中心の会社です。
公式サイトでは、IT・広告・士業・設備工事・個別受注型製造などが対象業種に挙がっています(第1章・第5章)。
Q2. ZACの料金はいくらですか
初期設定費用10万円と保守費用6万円〜/月が公開されています。
このほかに、機能ごとのライセンス価格×利用人数の月額と、導入支援費用がかかります。
ライセンスの単価は製品資料で案内されているため、総額は見積もりで確かめてください(第3章)。
Q3. ZACの導入には、どれくらいかかりますか
公式サイトでは最短3ヶ月・通常6か月程度です。
案件の分け方を決める社内の議論に、時間がかかりやすい点に注意してください(第3章・第7章)。
Q4. ZACだけで会計まで完結しますか
財務会計は外部の会計システムと連携する形です。
会計まで1つにしたい場合は、統合型ERPも並べて比べます(第4章)。
Q5. 海外拠点がある会社でも使えますか
公式の機能一覧に多通貨・多言語の項目は見当たりませんでした。
提供元に対応範囲を確かめてください。
国内はZAC、海外は別の仕組みという組み合わせもあります(第6章)。
Q6. ZACとNetSuiteは何が違いますか
ZACは案件の採算が中心です。
NetSuiteは、会計を含む会社全体が中心です。
どちらが合うかは、案件のデータで「守り」まで行けばよいか、「次へ」まで広げたいかで変わります(第8章)。
詳しい比較と乗り換えの判断は、ZACとNetSuiteを徹底比較で扱っています。
まとめ
- ZACは、株式会社オロのプロジェクト型ビジネス向けクラウドERP。導入社数は1,100社を突破
- 中心は、案件ごとの売上・原価・工数の管理。財務会計は外部の会計システムと連携する形
- 料金は、初期設定費用10万円・保守費用6万円〜/月などが公開。ライセンスは機能×人数
- 国内中心で会計ソフトを残すならZACは素直に合う。海外や連結まで1つにしたいなら統合型ERPも並べる
- 案件のデータの行き先は「守り→攻め→次へ」で描く
「会計まで1つにそろうのか」。
その答えを決めるのは、製品より先に、自社がどの単位の採算をどこまで1つに見たいかです。
まず直近の3案件で、採算が分かった日を書き出してみてください。
もう少し詳しく知りたい方へ
案件ごとの採算を、会計や海外拠点まで1つにつなげたい。
そう考え始めたプロジェクト型の会社から、ご相談をお受けしています。
ZACを使い続けるか、組み合わせるか、移すか。
判断の材料として、採算と会計が同じデータでつながる画面をデモでご覧いただけます。
- 案件の採算と会計がつながる画面を見たい方:NetSuite無料デモのお申込み
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