「うちの業種のテンプレートがある。それなら、入れればすぐに使えるはずだ」
InfiniOneを調べた会社から、ときどき聞く言葉です。
半分は当たっていて、半分は外れています。
InfiniOne(インフィニワン)とは、FutureOne(フューチャーワン株式会社)が提供する国産のERPパッケージです。
販売から生産・会計までを1つで扱い、業種ごとのテンプレートを持っています。
複数の生産の形が混ざる国内の製造業や、業界の商習慣が強い商社と相性のよい製品です。
海外の拠点をクラウドで一元化したい会社は、他の製品も並べて比べる価値があります。
では、テンプレートがあっても外れるのは、どこなのか。
答えは、製品の側より、自社の生産の形の中にあります。
※NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、InfiniOneの提供元ではありません。InfiniOneの導入の相談は、提供元のFutureOneへお問い合わせください。
この記事で分かること
- InfiniOneの基本(提供元・成り立ち・扱う業務の範囲)
- 主な機能と、製造業向けの対応
- 向いている会社・向いていない会社の条件
- 費用と期間を左右する4つの要因と、見積もりの比べ方
(読了時間の目安:約8分)
InfiniOneとは|提供元と成り立ち
ERPとは、販売・在庫・会計などの基幹業務を、1つのシステムでまとめて管理する仕組みのことです。
InfiniOneは、「変化対応型」をうたうERPパッケージです。
販売から生産・会計までを、切れ目なくつなぐことを特徴としています。
提供元の公式サイトの紹介は、次のとおりです(出典:FutureOne公式、2026年9月確認)。
- 旧製品名は「NewRRR」
- 1999年に開発された、中堅企業向けのERP
- 導入実績は1,200社
公式サイトの紹介を図にすると、次のとおりです。
長く使われてきた国産のERPです。
日本の中堅企業の業務に合わせて、磨かれてきました。
InfiniOneの主な機能
次の業務を、1つのパッケージで管理できます(出典:FutureOne公式、2026年9月確認)。
| 領域 | 主な中身 |
|---|---|
| 販売・購買・在庫 | 受注・出荷・発注・仕入・在庫の管理 |
| 債権債務 | 売掛金・買掛金など、お金の出入りの管理 |
| 貿易 | 輸出入に関わる業務 |
| 生産・原価 | 生産の計画・管理と、原価の計算 |
| 財務会計 | 仕訳から決算まで |
必要な機能だけを選んで入れられます。
最初から全部を入れる必要はありません。
業界ごとの商習慣に合わせた「業界別テンプレート」もあります。
公式サイトが紹介する業種は、次の8つです(出典:FutureOne公式、2026年9月確認)。
- 食品製造業/卸業、鉄鋼/非鉄金属業、総合商社/専門商社、機械商社
- 組立製造業/プロセス製造業、建設資材業/工事業
- プレカット/木材加工業、住宅設備機器卸/サービス業
製造業向けの対応
製造業の中でも、生産の進め方の違いに対応している点が特徴です(出典:FutureOne公式、2026年9月確認)。
| 区分 | 対応する生産の形 | 主な機能 |
|---|---|---|
| 組立の製造業 | 見込みで作る計画生産、注文を受けて作る受注生産、外部に委託するファブレス生産 | MRP |
| プロセスの製造業 | 配合表(レシピ)から、中間財を含めて計画を立てて作る製造 | ロット管理、検査情報の管理 |
MRPは、必要な部品や材料の量と時期を計算する仕組みのことです。
ロット管理は、同じ条件で作った製品のまとまりごとに、履歴を追う管理を指します。
連携とオプション
外部のシステムとの連携も用意されています(出典:FutureOne公式、2026年9月確認)。
- EDI(会社の間で、注文などのデータをやり取りする仕組み)
- ハンディターミナル(倉庫などで使う読み取りの端末)
- BIツール(データを集計・可視化する道具)との連携
- 関連製品として、電子請求書を一括で配信する「InfiniOneボックス」
そのほかの連携やオプションの範囲は、提供元に問い合わせてください。
InfiniOneの特徴(強み)
- 日本の商習慣に合わせやすい:販売・会計・貿易までを、国産のパッケージで一体に使える
- 製造業の生産の形を幅広く扱う:計画生産・受注生産・ファブレス、プロセス製造まで
- 必要な機能から段階的に入れられる:業務に合わせて範囲を選べる
- 日々のデータを会計につなげる:伝票や製造の記録を会計のデータにつなげ、経営の判断に使いやすいとされる
判断の物差し|InfiniOneが合う会社、別の選択肢が合う会社
比べる軸は、製品の優劣ではなく「どんな条件の会社に合うか」です。
InfiniOneが合いやすい会社
- 国産のERPで、日本式の販売・会計・貿易を一体で回したい中堅企業
- 計画生産と受注生産など、複数の生産の形が混ざっている製造業
- 業界に特有の商習慣が強く、業界別テンプレートを生かしたい会社
別の選択肢も比べたほうがよい会社
- 海外の拠点を、多通貨・多言語でクラウドの上に一元化したい
- 自社でサーバーを持たず、提供元の更新に任せたい
- 会計が中心で、生産や貿易の機能は当面要らない
選択肢ごとの合う条件
| 選択肢 | 合う条件 | 注意点 |
|---|---|---|
| InfiniOne | 国内の製造業・商社で、複数の生産の形や業界の商習慣がある | 提供の形と、海外拠点の扱いを提供元に聞く |
| 他の国産の製造業向けERP | 生産管理を特に重視したい | 製品ごとに得意な生産の形が違う |
| NetSuite | 海外拠点・複数の会社をクラウドで一元化したい | 日本の商習慣に合わせる設計が要る |
| Odoo・AIスクラッチ開発 | 小さく始めたい、または業務がとても独自 | 範囲の見極めと、作った後の保守の体制が要る |
AIスクラッチ開発は、AIを使って自社専用のシステムを一から作る方法です。
NetSuiteは、Oracleが提供するクラウドERPです。
世界220地域・44,000社以上で使われています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月時点)。
費用は、ミニマム構成で月額20万円〜が出発点です。
モジュール・ユーザー数・オプションで変わり、数百万円規模になることもあります。
ERP全般の選び方はERP・クラウドERPを徹底比較、製造業に絞った比較は製造業向けERP15選で扱っています。
InfiniOneを含む製造業ERPの比較は、mcframe・FutureStage・InfiniOneとNetSuiteの比較をご覧ください。
新しく選ぶ会社と、NewRRRから使い続けている会社
これからERPを選ぶ会社
InfiniOneを候補に入れるかは、上の図の2つの問いで決まります。
1つめに「はい」、2つめに「いいえ」なら、有力な候補です。
2つめが「はい」なら、クラウドERPも並べます。
いまInfiniOneや旧製品(NewRRR)を使っている会社
見直しのきっかけで、最初に聞くことが変わります。
| きっかけ | 最初に聞くこと |
|---|---|
| 保守・サーバーの期限 | 期限の日付と、新しい版への移行の方法・費用(提供元に) |
| 独自の開発が多く、更新が重い | 開発した機能のうち、毎月使っているものの数(社内で) |
| 海外拠点・グループ会社が増える | いまの仕組みで多通貨・複数の会社を扱えるか(提供元に) |
期限が起点なら、新しい版への更新が自然な候補です。
事業の変化が起点なら、別の製品も並べる意味があります。
データの移し方は、基幹システムのデータ移行ガイドで扱っています。
InfiniOneの費用の考え方
InfiniOneの費用は、提供元の見積もりで決まります。
公開情報だけで、一律の金額は示せません。
見積もりを比べるときは、次の項目をそろえます。
- 入れる機能の範囲と、使う人の数
- 導入の支援・データ移行・教育の費用
- 毎年の保守の費用と、サーバーなどの環境の費用
- 将来の機能の追加や、拠点の追加にかかる費用
製品がどれであっても、導入の費用と期間は4つの要因で大きく動きます。
ベンチャーネットがERPの導入を支援してきた中で見えている要因です。
1つめの業務の範囲は、製造業では生産・原価まで入れるかで大きく変わります。
2つめの開発は、EDIやハンディターミナルなど、外部とつなぐ数が多いほど重くなる。
3つめの体制は、情報システムの担当が少ない会社ほど支援が厚くなり、期間も延びがちです。
4つめのユーザー数は、受入テストと教育の手間に効きます。
初期の費用だけでなく、保守や拡張まで含めた総額で並べてください。
費用の見方全般は、クラウドERPの費用・料金ガイドで扱っています。
よくある3つの失敗
失敗1:テンプレートがあるから大丈夫と考える
起きること:導入後に、自社に特有の取引や帳票が標準で扱えないと分かる。
原因:業界別テンプレートの名前だけで判断し、自社の業務の流れで試していなかった。
避け方:デモでは、自社のよくある取引と例外の取引を、架空のデータで流してもらいます。
失敗2:生産の形を整理しないまま選ぶ
起きること:一部の製品だけ管理がうまくいかず、Excelが残る。
原因:計画生産と受注生産の割合や、配合で作る製品の有無を整理していなかった。
避け方:製品ごとに、どの生産の形で作っているかを一覧にしてから比べます。
合う・合わないの見方は、Fit&Gap分析で扱っています。
失敗3:5年後の会社の姿を考えずに決める
起きること:数年後に海外拠点やグループ会社が増え、仕組みの選び直しが要る。
原因:いまの業務だけで要件を決めていた。
避け方:人数・拠点・海外・事業の数について、5年後の見込みを要件に入れます。
ベンチャーネットならこう見る|テンプレートの前に、生産の形を見える化する
冒頭の「テンプレートがあれば、すぐに使える」。
当たっているのは、業界の商習慣の部分です。
外れやすいのは、その会社だけの取引と、混ざり合った生産の形のほうです。
NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応するベンチャーネットは、製品の候補が決まっていても、次の順番で進めます。
型1:見える化→整理整頓→Fit&Gap
- 見える化:製品ごとの生産の形と、受注から出荷・請求までの流れを描く
- 整理整頓:もう作っていない製品の手順や、使っていない帳票をやめる
- Fit&Gap:残った業務を、テンプレートと標準機能に照らし合わせる
Fit&Gapは、業務と機能の合う・合わないを一つずつ見る作業です。
テンプレートの良し悪しは、この3段目で初めて分かります。
型2:標準に合わせる/開発する/残す
テンプレートで扱えなかった取引は、3つのどれかに決めます。
- 標準に合わせる:業務のほうを、テンプレートの流れに寄せる
- 開発する:追加の開発や、外部の仕組みとの連携で補う
- 残す:ERPには載せず、いまの運用で続ける
3つの決め方を図にすると、次のとおりです。
2つめを選ぶほど、第6章の「開発の量」が増え、費用と期間が延びます。
1つめを選べる取引が多い会社ほど、InfiniOneの強みがそのまま生きます。
最初の打ち合わせで伺うのは、主に次の3つです。
- 生産の形は、どれとどれが、どのくらいの割合で混ざっているか
- 5年後に、海外の拠点や別の会社を管理する必要があるか
- 独自の帳票・機能のうち、毎月使っているものはどれか
国内の製造業で、生産の形が複雑なら、InfiniOneは自然な候補です。
比べた結果がInfiniOneになれば、ベンチャーネットはそのままお伝えします。
今日できること|1時間で「生産の形の一覧」を作る
製造と経理の担当と一緒に、主な製品ごとに次の表を埋めてみてください。
| 製品 | 生産の形 | 月の件数 | 困っていること |
|---|---|---|---|
| (例)製品A | 受注生産 | 30件 | 原価が案件ごとに見えない |
| (例)製品B | 計画生産 | 5ロット | 在庫が多い |
生産の形が2つ以上混ざっていれば、それを扱える製品かが選定の要になります。
「困っていること」の欄は、そのままデモで試す項目です。
よくある質問
Q1. InfiniOneとはどんなERPですか
FutureOneが提供する国産のERPパッケージです。
販売・購買・在庫・貿易・生産・原価・会計を1つで扱います。
旧製品名はNewRRRで、導入実績は1,200社です(出典:FutureOne公式、2026年9月確認)。
導入の相談や見積もりは、提供元のFutureOneへお問い合わせください。
Q2. 製造業以外でも使えますか
商社・卸などの業種向けの解決策も用意されています。
詳しい対応の範囲は、提供元にお問い合わせください。
Q3. 費用はいくらですか
個別の見積もりです。
製品を問わず、業務の範囲、開発の量、社内の体制、ユーザー数で大きく動きます。
保守や拡張の費用も含めて見積もりを取ると、比べやすくなります。
Q4. クラウドERPとはどう違いますか
提供の形と海外への対応の考え方が違います。
比べる視点は、ERP・クラウドERPを徹底比較で扱っています。
Q5. InfiniOneが合わない会社はありますか
あります。
海外拠点をクラウドで一元化したい会社は、他の製品も比べてください。
会計が中心で、生産や貿易の機能が当面要らない会社も、より簡単な製品で足りることがあります。
まとめ
- InfiniOneは、FutureOneが提供する国産のERPパッケージ
- 販売・購買・在庫・貿易・生産・原価・会計を1つのパッケージで扱う
- 複数の生産の形と業界別テンプレートが強み
- 海外拠点のクラウドでの一元化が中心なら、他の製品も並べて比べる
- テンプレートの前に、生産の形を見える化し、合わない取引を3つに仕分ける
テンプレートが合うかどうかは、自社の生産の形の一覧を作ると見えてきます。
まず、その表を1枚埋めるところから始めてください。
もう少し詳しく知りたい方へ
InfiniOneが合うか、別の製品が合うかは、生産の形と事業の見込みで変わります。
製造業のERP選びの整理から、ご相談をお受けしています。
InfiniOneそのものの導入・見積もりは、提供元のFutureOneへお問い合わせください。
