世界で44,000社以上。
それなのに、NetSuiteの日本公式サイトが名前を挙げている導入企業は、7社です。
しかも、メルカリやクボタなど、大きな会社が中心です。
NetSuiteとは、Oracleが提供するクラウド型のERPです。
会計・販売・在庫・購買などを、一つの仕組みでまとめて管理します。
実際の利用者は、業種も規模もさまざまです。
ただ、「似た会社が使っている」ことは、自社に合う理由になりません。
決め手は、自社の一番の課題が「モノの管理」か「ヒトの管理」か。
そして、何を一つにまとめたいかです。
では、名前の挙がる7社と規模の違う会社は、何を手がかりに自社と比べればよいのか。
この記事で分かること
- NetSuiteの導入企業の全体像と、公式が公表している日本の導入企業(2026年9月時点)
- 業種別・規模別の活用パターンと、導入費用の幅
- NetSuiteが向いている会社と、別の選択肢が合う会社の条件
- 他社の事例を、自社に当てはめるときの手順
言葉の整理:ERPは、会社全体の仕事(会計・販売・在庫・人事など)を一つの仕組みで管理するシステムです。
クラウド型は、自社でサーバーを持たず、インターネット経由で使う形です。
NetSuiteを導入している企業の全体像
NetSuiteは、世界220地域・44,000社以上で使われています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月時点)。
190通貨・27言語に対応しています。
公式サイトの会社概要によると、1998年にサービスを始め、2016年にOracleに買収されました(出典:NetSuite日本公式、2026年9月確認)。
NetSuiteそのものの基礎は、NetSuiteとは?クラウドERP入門で解説しています。
公式が公表している日本の導入企業
NetSuite日本公式の会社概要では、導入企業として次の会社が紹介されています(出典:NetSuite日本公式、2026年9月確認)。
- メルカリ
- アダストリア
- ディー・エヌ・エー(DeNA)
- Peatix Japan
- トリドールホールディングス
- タナベコンサルティンググループ
- クボタ
業種はばらばらです。
共通するのは、成長にあわせて業務を整えたいという課題でしょう。
中堅・中小企業が読むときは、社名の大きさに引っぱられないことです。
「業種」より「課題の形」が近いかを見てください。
業種ごとの導入パッケージ「SuiteSuccess」
NetSuiteには、SuiteSuccess(スイートサクセス)という導入の型があります。
公式サイトでは、20年以上の導入実績から得た経験を、進め方の型にまとめたものと案内されています。
リーディングプラクティス(先行企業の進め方)と呼ばれます(出典:NetSuite日本公式、2026年9月確認)。
日本公式のページには、次のエディションが紹介されています。
| エディション | 公式の説明の要旨 |
|---|---|
| Financials Edition | 事業の拡大にあわせて広げられる財務管理の基盤。急成長する会社向け |
| Manufacturing Edition | 購買・生産・財務のデータを一元的に把握する製造業向け |
| Wholesale Distribution Edition | 分かれていた財務と業務の流れを統合する卸売・流通業向け |
(出典:NetSuite日本公式、2026年9月確認)
NetSuiteは、特定の業種の専用品ではありません。
業種ごとの型を持ちつつ、幅広い業種で使える作りです。
【業種別】NetSuiteの活用パターン
業種によって、NetSuiteの「使いどころ」は変わります。
代表的な5つの業種で並べると、次のようになります。
| 業種 | 主な経営課題 | NetSuiteの使いどころ | AIとの親和性 |
|---|---|---|---|
| 製造業 | 在庫・原価・生産計画がばらばら。表計算に頼る | 生産・在庫・会計を一つにし、原価を早く把握 | 高。在庫と原価のデータがそろい、異常の点検を任せやすい |
| 卸売・流通 | 受発注・在庫・物流が分断。多拠点の管理が大変 | 受発注から在庫・会計まで統合。倉庫の仕組みとも連携 | 高。品目と拠点ごとの動きを一か所で見られる |
| 小売・EC | 店舗とECなど販売の窓口が分断。顧客情報が散る | 複数の窓口の在庫と顧客情報をまとめて管理 | 中〜高。窓口ごとのデータを先につなぐ必要がある |
| IT・専門サービス | 案件の採算が見えない。工数・請求が煩雑 | プロジェクト管理で、工数から請求・採算まで見える化 | 中。工数の入力が正確かどうかで決まる |
| 成長企業・スタートアップ | 急拡大に管理が追いつかない。海外も視野 | 必要な機能から段階的に拡張。多通貨・多言語にも対応 | 高。早い段階からデータが一か所に集まる |
「AIとの親和性」は、AIに点検や集計を任せるための土台があるか、という意味です。
AIを業務に使うには、まずデータが一か所にそろっている必要があります。
5つの業種の課題は違って見えます。
それでも根は同じで、「情報がばらばらで、全体が見えない」という悩みです。
NetSuiteは、その分断をなくすところに強みがあります。
5つは、さらに2つの形に分けられます。
モノの管理は、在庫・販売・購買が中心の課題です(製造・卸売・小売など)。
ヒトの管理は、プロジェクトや工数の管理が中心の課題です(IT・専門サービスなど)。
同じ卸売業でも、案件ごとの採算が悩みなら「ヒトの管理」寄りになります。
比べる相手は、業種の名前ではなく、この形で選びます。
ベンチャーネットでも、卸売・小売業での業務標準化を伴走支援してきました(出典:ベンチャーネットのプレスリリース〔2025年9月17日〕、2026年9月確認)。
同じ業種でも、課題は会社ごとに違います。
業種別の詳しい使い方は、卸売・商社のNetSuite活用ガイドやNetSuite製造業向け導入ガイドで扱っています。
【規模別】NetSuiteの活用パターン
規模によっても、活用の仕方は変わります。
| 規模 | よくある状況 | 活用の仕方 | 始め方 |
|---|---|---|---|
| 中小企業(〜数十名) | 「うちの規模で大丈夫か」と不安がある | 必要な機能から小さく開始。会計・販売管理から | 小さく始める |
| 中堅企業(数十〜数百名) | 部門ごとに仕組みが乱立し、データが分断 | 基幹業務を統合し、部門をまたいで見える化 | 段階的に統合 |
| 海外・多拠点 | 海外子会社の連結や多通貨の管理が手作業 | 多通貨・多言語・連結を一つの仕組みで管理 | 拠点ごとに展開 |
「規模が小さいから、NetSuiteは無理」ということはありません。
規模より先に見るのは、課題がどこにあるかです。
NetSuiteのライセンスは、ミニマム構成で月額20万円〜が出発点です。
モジュール・ユーザー数・オプションの構成で変わり、数百万円規模になることもあります。
導入の費用も、規模と中身で大きく開きます。
ベンチャーネットが支援したNetSuite導入の費用では、3名程度で購買・販売だけの事例が150万円程度・1.5か月でした。
100名程度で購買・販売・在庫・会計に外部システム連携を含めた事例は、2億円程度(うち開発約7割)・1.5年です。
その間に、30名程度・購買・販売・プロジェクト管理で2,000万円程度・1年の事例があります。
20名程度・購買・販売・在庫・会計で情シスなしの事例は、3,000万円程度・2年でした。
差を生む要因は、機能範囲・開発(特に外部システム連携)・社内の体制・ユーザー数の4つです。
4事例の詳細は、「NetSuiteの料金」で扱っています。
海外拠点を含めた使い方は、NetSuiteのグローバル展開機能をご覧ください。
判断の物差し
NetSuiteが向いている会社
- 会計・販売・在庫など、3つ以上の業務の仕組みがばらばらで、つなぐ作業に毎月時間がかかっている
- 3〜5年のうちに、拠点・事業・海外のいずれかを増やす予定がある
- 自社でサーバーを持たず、版の更新も提供元に任せたい
- 標準の機能に業務を合わせることに、経営者が納得している
確かめる項目を図にすると、次のとおりです。
NetSuite以外が合う会社
国産の業種特化型ERP、Odoo、自社開発。
どれが優れているかではなく、それぞれに長所があります。
| 自社の状況 | 合いやすい選択肢 | 理由 |
|---|---|---|
| 国内だけで、業種特有の商慣習に深く合わせたい | 国産の業種特化型ERP | 日本の商慣習が標準で入っている製品が多い |
| 社内に開発の体制があり、費用を抑えて広く作り込みたい | Odoo | アプリを組み合わせ、自社で手を入れやすい |
| 業務が独特で、パッケージに合わせる部分が少ない | AIスクラッチ開発 | 自社の業務に合わせて作れる |
| 会計ソフトとExcelで回っていて、困りごとが一部だけ | いまは入れない | 仕組みを大きく変える前に、業務の整理で足りることがある |
困りごとが一つの業務に限られるなら、その業務から手を付ける方が確実です。
OdooとNetSuiteの比べ方はOdooとNetSuiteを徹底比較、自社開発との比べ方はAIでスクラッチ開発とERP、どちらを選ぶべきかで扱っています。
これから選ぶ会社と、見直す会社
これからERPを選ぶ会社にとって、導入企業の顔ぶれは入口にすぎません。
課題の形、まとめたい範囲、3〜5年後の規模を先に決めます。
そのうえで、課題の形が近い会社がどの順で導入したかを探します。
候補を広く並べるなら、ERP・クラウドERPを徹底比較が役立ちます。
いまの仕組みを見直す会社のきっかけは、保守の期限、拠点や事業の増加、NetSuiteの一部の部門での利用どまり、などです。
保守の期限が近いなら、延ばすか置き換えるかを先に決めます。
考え方は基幹システムの保守切れリスクとは、進め方は基幹システムのリプレイスとはで扱っています。
すでにNetSuiteを使っている会社は、他社の使い方と比べる前に、使われていない機能と部門を洗い出します。
製品ではなく、設定や運用の設計に原因があることも少なくありません。
よくある3つの失敗
3つの失敗と避け方を図にすると、次のとおりです。
失敗1:「同業他社が使っているから」だけで決める
起きること:同業の会社が使っていると聞いて選んだが、自社の業務の流れと合わず、作り込みが増えた。
原因:業種が同じでも、課題や業務の順番は会社ごとに違う。
避け方:他社の名前ではなく、自社の課題を先に3つ書き出します。
そのうえで、課題の形が近い事例を探します。
失敗2:小さい規模のうちから、全機能を入れようとする
起きること:一度にすべての機能を入れ、現場が混乱した。使われない機能が増え、定着しないまま終わった。
原因:将来の規模にあわせて、最初から全部そろえようとした。
避け方:課題の大きい業務から小さく始め、成長にあわせて広げます。
どこを標準に合わせるかの考え方は、NetSuite導入のFit&Gap分析で扱っています。
失敗3:導入企業の「成功」だけを見て、定着の手間を見落とす
起きること:稼働はしたが、入力のルールが部門ごとにばらばらで、数字が合わない状態が続いた。
原因:導入をゴールにして、稼働後の運用と定着を計画に入れていなかった。
避け方:稼働後の半年間に、誰が何を見直すかを導入の計画に入れます。
失敗の実例は、NetSuite導入の失敗事例と後悔しないためのポイントで扱っています。
ベンチャーネットならこう見る|他社の事例より、自社の見える化から
NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱っています。
SAPからのリプレイスにも対応する立場です。
「どんな会社が使っているか」から入る相談でも、先に描くのは自社の業務です。
他社の事例は、その会社の業務に合わせた答えです。
自社の業務の流れが見えていないと、どこが似ていて、どこが違うのかを比べられません。
だから、次の順番で進めます。
- 業務の見える化:いまの業務の流れを、現場に聞いて描く
- 整理整頓:やめる・まとめる・そろえる業務を決める
- Fit&Gap:残った業務を、NetSuiteの標準機能と照らし合わせる
- 3つの選択:合わない業務は、標準に合わせる/開発する/残す、のどれかに決める
見える化の段階で、課題が「モノの管理」か「ヒトの管理」かも、はっきりします。
そこで初めて、課題の形が近い事例が、自社の参考になります。
見える化の結果、「困りごとは一部だけ」と分かることもあります。
その場合は、NetSuite以外や「いまは入れない」も、そのままお伝えします。
今日できること|自社の「課題の形」を1枚にする
次の表を、1時間で埋めてみてください。
| 問い | 自社の答え |
|---|---|
| 毎月いちばん時間がかかっている集計は何か | (例)部門別の損益 |
| その集計に使っている仕組みはいくつか | (例)会計ソフト・販売管理・Excelの3つ |
| 一番の課題はモノの管理か、ヒトの管理か | |
| 3年後に増える予定の拠点・事業・海外 | |
| 一気に変えたいか、小さく始めたいか |
使っている仕組みが3つ以上なら、ERPで一つにまとめる価値が出てきます。
1つか2つなら、いまの仕組みの使い方の見直しで足りることもあります。
よくある質問
Q1. NetSuiteはどんな業種で使われていますか
製造・卸売・小売・サービス業など幅広い業種です。
公式サイトでは、財務・製造業・卸売流通業などの導入の型(SuiteSuccessのエディション)が紹介されています。
特定の業種に限らず、業務を統合したい会社に向いています(第1章)。
Q2. 中小企業でも導入している会社はありますか
あります。
必要な機能から小さく始められます。
ライセンスはミニマム構成で月額20万円〜が出発点で、構成によって変わります。
導入費用は、3名程度で150万円程度の事例から、100名程度で2億円程度の事例まであります(第3章)。
Q3. 日本ではどんな会社が使っていますか
公式サイトでは7社が紹介されています。
メルカリ・アダストリア・DeNA・Peatix Japan・トリドールホールディングス・タナベコンサルティンググループ・クボタです(第1章)。
Q4. 自社と同じ業種の導入事例を知りたいのですが
業種より課題の形が近い事例を探すのがおすすめです。
ベンチャーネットの事例はお客様の声で紹介しています。
業種別の活用例は、NetSuite導入事例もご覧ください。
Q5. 導入企業はどんな成果を出していますか
全体が見えるようになったという声が多く聞かれます。
在庫・販売・会計のデータが一つになり、判断が早くなります。
気になる声も含めた実態は、NetSuiteの評判は本当のところどうかで扱っています。
Q6. NetSuiteが合わない会社はありますか
あります。
国内だけで業種特有の商慣習に深く合わせたい会社や、困りごとが一部の業務だけの会社です。
国産の業種特化型ERPや、いまは入れない選択が合うこともあります(第4章)。
まとめ
- NetSuiteは、世界220地域・44,000社以上で使われるクラウドERP。日本でも業種・規模の違う会社が導入している
- 公式の導入の型(SuiteSuccess)は、財務・製造業・卸売流通業などのエディションがある
- 比べる軸は業種ではなく、課題が「モノの管理」か「ヒトの管理」か、どこまでをまとめたいか
- 導入費用は、3名程度・150万円程度から、100名程度・2億円程度まで。差は導入の中身で生まれる
- 他社の事例を当てはめる前に、自社の業務を見える化する
公式に名前の挙がる7社と、自社の規模は違って当然です。
比べるべきは社名ではなく、自社の課題の形です。
第8章の表が埋まれば、どの事例を参考にすればよいかが見えてきます。
もう少し詳しく知りたい方へ
自社がどのパターンに当てはまるのか、画面を見ながら確かめたい。
そう考え始めた段階から、ご相談をお受けしています。
- 自社の業務でNetSuiteがどう動くかを見たい方:NetSuite 無料体験デモ
- 情報システムの担当がいない中で検討している方:情シスがいない中小中堅企業向けの基幹システム
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