FDEチームの1週間——3〜5人で、現場と社内をどう行き来しているか

ベンチャーネットのFDEチームは、1つのプロジェクトあたり3〜5人です。役割は分けていません。プロジェクトに入るメンバーは、全員がFDEです。

そして、週の形は曜日で決まっていません。90日のどこにいるかで変わります。

この記事では、その週の実像を書きます。何人で、どう分担し、フェーズによって何が変わるのか。採用に関心のある方にも、依頼を検討されている方にも、同じものをお見せします。

これはVN-Lab——ベンチャーネットが自社で試していることを、都合の悪い部分も含めて公開するシリーズの1本です。

目次

「1週間のスケジュールを教えてください」に、時間割で答えられない

面談でよく聞かれます。月曜は何をして、火曜は何をして、と。

正直に言うと、時間割の形では答えられません。曜日で決まっていないからです。

これは「行き当たりばったり」という意味ではありません。週の形を決めているのは曜日ではなく、案件がいまどのフェーズにいるかだからです。現場を見ている時期と、手を動かしている時期と、定着させている時期では、必要な動き方が違います。

そこを説明するには、まず体制の話から始める必要があります。

3〜5人、全員がFDE

1つのプロジェクトに入るのは、3〜5人。そして、そのメンバー全員がFDEです。

ここが、普通の受託開発と大きく違います。

役割を分けるか、分けないか 役割を分ける体制 営業が、聞く 要件を、書く 作る 定着を、見る 矢印の数だけ伝言が起き、うまくいかないとき誰の責任か決まらない ベンチャーネットの体制(3〜5人・全員がFDE) 聞く → 決める → 作る → 定着させる 同じ人が、続けて担当する 経営者の言葉を聞いた人が、そのまま手を動かす

図:役割を分けると、間の数だけ伝言が起きる。分けないと、責任が一本につながる。

役割を分けると、間に伝言が発生します。経営者が話した言葉は、要件定義書という別の言葉に置き換えられ、そこからさらに設計書に置き換わる。置き換わるたびに、少しずつ意味が落ちます。

落ちるのは、たいていなぜそう決めたのかの部分です。「この取引先だけ納期を優先する」という話が、「特定顧客は納期優先フラグを立てる」という仕様に変わったとき、なぜそうなのかは残りません。だから、仕様どおりに作ったのに現場で使われない、ということが起きます。

もう一つ、責任の空白も生まれます。うまくいかなかったとき、聞き方が悪かったのか、書き方が悪かったのか、作りが悪かったのかを、誰も特定できません。

分けなければ、どちらも起きません。聞いた人がそのまま手を動かすので、意味が落ちる場所がない。作った人が定着まで見るので、責任の所在も分かれません。

これはFDEという仕事に書いた「課題の定義から成果までを、同じ人・同じチームでやり切る」の、体制側の裏づけにあたります。

3〜5人という規模も、ここから決まっています。全員が全体を把握できる人数の上限が、だいたいこのあたりだからです。

週の形は、フェーズで変わる

その上で、週の中身です。

ベンチャーネットは最初の90日を30日ずつ3つに区切っています。週の形も、この区切りに沿って変わります。

フェーズが変われば、週の過ごし方も変わる 1〜4週|見る・描く 現場に出る比率:高い ・業務を見る、担当者に聞く ・判断の理由を掘る ・業務の地図を下描きする 週の主役は「聞くこと」 同じ人に何度も会う 時期でもある 5〜8週|つくる 社内で手を動かす比率:高い ・小さく動くものを出す ・任せる線を、責任者と引く ・現場に触ってもらい、直す 週の主役は「作ること」 現場に出るのは 見てもらうときだけ 9〜13週|定着・測る 現場に戻る比率:高い ・使われるまで、付き添う ・運用のルールを言葉にする ・現実の数字で確かめる 週の主役は「見届けること」 いちばん地味で、 いちばん効く時期 曜日を固定すると、この変化に合わせられない

図:90日の3区切りに沿って、週の重心が現場と社内を行き来する。

1〜4週は、現場に出る比率が高くなります。業務を見て、担当者に聞く時期です。この期間、動くものは何も出てきません。聞いているのは手順そのものより、なぜそこでそう判断するのか。同じ人に何度も会う時期でもあります。一度で全部は出てこないからです。

5〜8週は、社内で手を動かす比率が高くなります。小さく動くものを1つ作り、どこまでAIに任せるかの線を業務の責任者と引き、現場に触ってもらって直す。現場に出るのは、見てもらうときが中心になります。

9〜13週は、また現場に戻ります。作ったものが日々の業務で使われるまで、付き添う時期です。地味ですが、ここを飛ばすと、動くものはできたのに使われていない、という結末になります。

曜日を固定していないのは、この変化に合わせるためです。観察の時期に「今週は社内作業日」と決まっていると、聞きたいことが出てきたときに1週間待つことになります。

どの週にも、共通していること

形が変わっても、変えていないことが3つあります。

どの週にも、共通していること 1 会議の記録は、必ず残る 人が清書する設計にしない。忙しい週に穴が空くから 2 決めたことと、決めた理由を書く 後からまとめて書くことは、本人にもできない 3 次の一手が、誰の手元にあるかを確かめる 「持ち帰り」のまま消えているものを、週のうちに拾う

図:週の形が変わっても、この3つは動かさない。

会議の記録は、必ず残ります。文字起こしから格納までを自動で通しているので、忙しい週でも穴が空きません(自社の会議をどうNotionに貯めているか)。

決めたことと、決めた理由を書きます。その週のうちに書きます。後からまとめて書くのは、本人にも無理だからです。ここは撤収設計に直結する部分でもあります(FDE伴走はどう終わるのか)。

週の終わりに、次の一手が誰の手元にあるかを確かめます。「持ち帰り」で終わって消えているものがないか。これは自社の会議でも同じことをしています。

この体制の弱点

いいことばかりではありません。3つ書いておきます。

同時に持てる案件が限られます。1プロジェクトに3〜5人を張るので、人数がそのまま案件数の上限になります。役割を分けて分業すれば、もっと多くを回せます。回さない選択をしている、ということです。

人が育つまで時間がかかります。全員がFDEということは、全員が経営者と話せて、手も動かせる必要があるということです。どちらか一方の経験しかない人が入ると、もう一方を身につけるまで時間がかかります。分業なら、得意な部分だけで戦力になれます。

属人性は、完全には消えません。同じ人が最初から最後まで担当するので、その人が抜けたときの影響は分業より大きくなります。だからこそ、決めた理由を文字にすることを崩さないようにしています。それでも、ゼロにはなりません。

この週の姿を見て、どう感じるか

採用に関心のある方へ。向き不向きの一般論はFDEという仕事に書いたので、ここでは週の実像から見えることだけを挙げます。

合いそうな人

  • 週の形が変わることを、面倒ではなく自然だと感じる人
  • 経営者と話した内容を、そのまま自分の手で形にしたい人
  • 作ったものが使われるまで見届けないと、落ち着かない人

合わないかもしれない人

  • 決まった時間割の中で、集中して深く作りたい人
  • 得意な工程に専念して、そこで価値を出したい人

後者は弱点ではありません。分業の体制でこそ活きる強みです。この記事は、合う人を増やすためではなく、合うかどうかを判断してもらうために書いています。

よくある質問

Q. 3〜5人は、常にフルで関わるのですか?
A. フェーズによって関わりの濃さは変わります。ただ、途中で人が入れ替わることは避けています。入れ替えると、聞いた人が作るという前提が崩れるからです。

Q. 複数の案件を同時に持つことはありますか?
A. あります。ただ、フェーズが重ならないように調整します。観察の時期が2件重なると、どちらも中途半端になります。

Q. 未経験でも入れますか?
A. 経営者と話す経験と、手を動かす経験の両方が最初から揃っている人は、そう多くありません。片方から入って、もう片方を現場で身につける形が現実的です。

Q. 曜日が決まっていないと、予定が立てにくくないですか?
A. 週単位では立てます。決まっていないのは、月ごと・四半期ごとに同じ形が繰り返されない、という意味です。

Q. お客様側は、どのくらい時間を取られますか?
A. フェーズによります。観察の時期は聞き取りの時間が必要ですが、実装の時期はこちらが手を動かしています。経営者に必ず出ていただくのは、30日目・60日目・90日目の3回です。

Q. リモート中心ですか、出社中心ですか?
A. 案件と時期によって変わります。ここは一律には決めていません。

まとめ:形は変わるが、線は変えない

ベンチャーネットのFDEチームは、1プロジェクトあたり3〜5人。全員がFDEで、役割を分けていません。聞いた人がそのまま作り、作った人が定着まで見届けます。

週の形は曜日ではなく、90日のどこにいるかで決まります。観察の時期は現場に出て、実装の時期は手を動かし、定着の時期はまた現場に戻る。形が変わっても、記録を残すこと、決めた理由を書くこと、次の一手の在処を確かめることは変えません。

ベンチャーネットは、中小・中堅企業向けにFDE型の伴走支援を行う会社です。数字の基盤(NetSuiteまたはOdoo)と言葉の基盤(Notion)の上でAIを動かし、業務と経営を組み替える。これをAX(AIトランスフォーメーション=AIを前提に業務と経営を組み替えること)と呼んでいます。

この体制そのものは、真似していただいて構いません。ただ、役割を分けない働き方は、人が育つまでに時間がかかります。経営者と話せて、手も動かせる人は、社内に一朝一夕では現れません。だから多くの会社は分業を選びますし、それは合理的な判断です。

もし社内で育てる時間がないのであれば、外から補うという選択肢があります。そのために、この体制を持っています。

この働き方に関心がある方は、FDEという仕事からご連絡ください。応募を決めてからでなくて構いません。

依頼を検討されている方は、まず壁打ちから。売り込みではなく、何が課題なのかを一緒に並べるところから始められます。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

株式会社ベンチャーネット 代表取締役
2005年に株式会社ベンチャーネットを設立後、SEOをはじめとするデジタルマーケティング領域のコンサルティングサービスを展開
広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で支援を行っています
著書に『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業 「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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