Odoo 20の新機能まとめ|日本の会計対応・AIと移る時期の判断【2026年版】

「Odooの新しい版が出たそうです。上げたほうがいいですか」。担当者にそう聞かれても、すぐには答えにくいものです。

公式のリリースノートには、変更点が数百項目も並びます。すべてを読む時間は、経営者にはありません。

ただ、経営者が読むべきところは多くありません。ERP導入支援を手がけるベンチャーネットの見立てでは、中小企業の経営判断に関わる変化は3つです。日本の決算書・勘定科目表・消費税申告書への対応、AI機能のクレジット制、日々の入力画面の改善です。

Odoo 20は、2025年に公開されたOdoo 19の次のメジャーバージョン(原則として年1回の、大きな区切りの版)です。公式のリリースノートには、決算書を「中小企業の会計に関する基本要領」に沿った形にしたと記載されています(日本の会計・消費税の3つの変更)。

リリースノートの記載どおりなら、たとえば次のことが変わります。

  • 日本の会計の初期設定にかかる手間が、小さくなる可能性がある
  • AIエージェント(指示を受けて作業を代わりに進めるAI)に、データの作成や更新を頼める
  • 見積・発注・請求書で、税込と税抜の表示を切り替えられる
  • 倉庫や客先で電波が弱くても、入力を続けられる

ただし、実際の決算や申告にそのまま使えるかは、実機での確認が必要です。いまOdoo 19を使っている会社が、急いで移る必要もありません。

では、いつ、何を確かめてから移ればよいのか。答えは版の更新前に確かめる4つのことにあります。

CommunityとEnterpriseの区別について

Odooには無料のCommunity版と有償のEnterprise版があります。この記事で扱う新機能には、Enterprise版の範囲のものが多く含まれます。版ごとの提供範囲は、検討時点でOdoo公式のエディション比較ページをご確認ください。

出典について

この記事の新機能は、Odoo公式のOdoo 20 Release Notes(2026年9月付)にもとづきます(2026年9月確認)。ベンチャーネットによる実機での検証は、これから順次行います。

Odoo 20で経営者が押さえたい3つの変化 日本の会計と消費税、AI機能、日々の使い勝手という3つの変化を、上から順に並べた図。 Odoo 20で経営者が押さえたい3つの変化 日本の会計・消費税 ・決算書が中小会計要領に沿った形に ・勘定科目表を更新 ・消費税の申告書を追加 AI機能 ・すべてクレジット制に ・データの作成・更新をAIに頼める ・外部のAIとつなげる 日々の使い勝手 ・税込・税抜の切り替え ・通信が切れても入力を続けられる ・権限の設定が簡単に ※ Odoo公式リリースノート(2026年9月付)をもとに ベンチャーネットが整理
Odoo 20で経営者が押さえたい3つの変化
目次

Odoo 20とは:年に1度のメジャーバージョン

Odooは原則として年1回、メジャーバージョン(大きな区切りの版)を更新します。Odoo 20は、2025年に公開されたOdoo 19の次の版です。

標準サポートは、各版3年間が原則です。Odoo 19の標準サポートは2028年9月まで(予定)とされています。いまOdoo 19を使っている会社が、すぐに移る必要はありません。

(出典:Odoo公式ドキュメント Standard and extended support、2026年10月確認)

19.1〜19.4のような中間の版は、Odoo社のクラウド(Odooオンライン)でだけ先に提供されてきました。Odoo 20の新機能の一部は、こうした中間の版ですでに提供済みです。

Odoo.shやオンプレミス(自社サーバー)で使っている会社は、Odoo 20に上げることで、中間の版の新機能もまとめて受け取れます。

更新の考え方はOdooのバージョンアップとサポート期間で、前の版の変更点はOdoo 19の新機能まとめで扱っています。

Odoo 20の日本対応:会計・消費税の3つの変更

経営者にとって、最も大きな変化はここです。公式のリリースノートには、日本向けとして次の3点が記載されています。

対象変更の内容
決算書貸借対照表と損益計算書が、「中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)」に沿った形になった
勘定科目表主な取引をカバーするよう更新され、中小会計要領と国税の電子申告(e-Tax)の科目コードに合わせられた
消費税一般課税と簡易課税について、消費税の申告書の項目が追加された

何がうれしいのか

これまで日本でOdooを使うには、決算書の形や勘定科目を、日本の実務に合わせて整える手間がありました。

今回の変更で、その出発点が日本の中小企業の実務に近づきました。会計の初期設定にかかる手間が、小さくなる可能性があります。

確かめてから使う

ただし、注意点は次の3つです。

  • 実際の決算や申告にそのまま使えるかは、実機での確認が必要です
  • どちらの版で使えるかも、確認が必要です
  • インボイス制度や電子帳簿保存法への対応は、今回の記載には含まれていません

ベンチャーネットは、これらを実機で確かめてから、日本対応の記事に反映します。いま判断が必要な場合は、顧問税理士と一緒に確認してください。

日本対応の全体像はOdooの日本対応状況に、消費税の考え方はOdooの消費税設定にまとめています。

Odoo 20のAI機能:できることが広がり、費用のかかり方が変わった

すべてのAI機能にクレジットが必要に

Odoo 20では、すべてのAI機能に「クレジット」が必要になりました。クレジットは、AIを使うたびに消費される利用枠です。Odooのアプリ内課金(IAP)で購入します。

AIは、使った分だけ費用がかかる形になったわけです。ユーザー単位のライセンス費用とは別に、使う場面と量を見込んでおく必要があります。

AIに頼めることが増えた

主な変更は次のとおりです。

  • AIエージェントに頼んで、データの作成や更新ができる
  • 決まった処理や予約した処理から、AIエージェントを呼び出せる
  • ファイルを見ながら、その内容についてAIに質問できる
  • 声でAIに依頼できる
  • 外部のAIからOdooのデータベースにつなぐ仕組み(MCP)に対応した

AIエージェントとは、指示を受けて一連の作業を代わりに進めるAIのことです。最後の点で、社外のAIツールとOdooを組み合わせて使えるようになります。考え方は外部AIエージェントとOdooをつなぐ考え方で扱っています。

AIの前に、データを1つにする

AIが業務データを作ったり直したりできるほど、問われるのは元のデータの正しさです。

受注も在庫も会計も同じ場所にある会社なら、AIがしたことを元データまでたどって確かめられます。データが散らばったままでは、確かめようがありません。

機能の詳細はOdooのAI機能まとめとOdooのAIエージェントをご覧ください。AIにどこまで任せ、どこを人が持つかという経営側の考え方は、AIエージェントに仕事を任せる考え方にまとめています。

日々の使い勝手:現場の手間に関わる変更

次の変更は、派手ではないものの現場の手間に直結するものです。

変更中身
税込・税抜の切り替え見積・発注・請求書で、税込と税抜の表示を切り替えられる
通信が切れても入力できるオフラインでもデータの作成や編集を続けられる
権限の設定が簡単に誰がどのデータを見られるかの設定が、分かりやすくなった
勘定科目の構成科目のまとめ方が、グループから親科目の形に変わった
スマートフォンの画面入力画面や日付の選び方が、スマートフォン向けに改善された

たとえば、倉庫や客先で電波が弱い会社にはオフライン入力が役立ち、税込で見積を出す商習慣の会社なら表示の切り替えで手間が減ります。

販売・在庫・製造・会計の各アプリにも、多くの改善が入っています。自社が使うアプリは、公式のリリースノートの該当する章を読むのが確実です。

Odoo 20への移行を考えるときの判断の流れ 欲しい新機能、作り込みの量、いまの版のサポート期間の3つを順に確かめ、作り込みの少ない会社と多い会社で動き方が分かれることを示した図。 Odoo 20への移行を考えるときの 判断の流れ ① 欲しい新機能はあるか ② 作り込みはどれくらいあるか ③ いまの版のサポートはいつまでか 作り込みが少ない 検証環境で試し、 区切りのよい時期に 移る計画を立てる 作り込みが多い 影響の洗い出しから 始め、標準に戻せる 所を先に整理する ※ 急いで移る必要はない。 サポート期間の中で、計画的に進める
Odoo 20への移行を考えるときの判断の流れ

Odoo 20に移るかの判断:いま使っている会社、これから検討する会社へ

Odoo 19を使っている会社

急いで移る必要はありません。Odoo 19の標準サポートは2028年9月まで(予定)続きます。

確かめておきたいのは、次の3点です。

  • Odoo 20の新機能に、自社で使いたいものがあるか
  • 作り込みや追加モジュールが、新しい版で動くか
  • いつ移れば、業務の繁忙期と重ならないか

作り込みが多いほど移行の手間は大きくなるため、この機会に標準機能に戻せる部分を整理しておくと、次の更新が軽くなります。考え方はOdooのカスタマイズはどこまでやるべきかで扱っています。

外部システムとつないでいる会社

従来の外部連携の窓口(XML-RPC/JSON-RPC)は、非推奨の扱いです。置き換え先は、新しい窓口のExternal JSON-2 APIです。

削除の予定は、Odoo 20ではなくOdoo 22(2028年秋)に延期されました。Odooオンラインでは21.1(2027年冬)が予定です。

Odoo 20に移っても、すぐに連携が止まるわけではありません。ただ、新しい窓口への切り替えは、計画に入れておく必要があります。詳しくはOdooのAPI連携をご覧ください。

これからOdooを検討する会社

これから導入するなら、Odoo 20を前提に検討するのが自然です。

とくに日本の会計まわりの変更は、初期設定の手間に関わります。検討の段階で、実機で決算書や勘定科目表を見ておくと、判断の材料が増えます。

Odooの全体像はOdooとは?で、版の違いはCommunity版とEnterprise版の違いで整理しています。

自社はどれに当てはまるか

社内の会議では、次の表で自社の位置を見てください。

自社の状況当面の動き方
Odoo 19を標準機能に近い形で使っている欲しい新機能を絞り、検証環境で試してから時期を決める
Odoo 19に作り込みや追加モジュールが多い影響の洗い出しを先に行い、標準に戻せる所を整理する
外部システムとXML-RPC/JSON-RPCでつないでいる版の更新とは別に、連携の切り替え計画を立てる
AI機能を業務で使いたい使う業務と量を決め、クレジットの予算を別枠で持つ
これからOdooを検討するOdoo 20の決算書・勘定科目表を、税理士と実機で見る

Odoo 20に移る良い点と、気をつけること

ここまでの変更を、移る会社から見た良い点と気をつけることに並べ直します。良い点は、公式のリリースノートの記載にもとづくもので、実機での検証はこれからです。

良い点は、次の5つです。

  • 日本の会計の出発点が近づく:決算書と勘定科目表が、中小会計要領に沿った形になったと記載されている
  • 消費税申告書の項目が加わる:一般課税と簡易課税について、申告書の項目の追加が記載されている
  • AIに頼めることが増える:データの作成や更新、ファイルについての質問、外部のAIからの接続(MCP)など
  • 現場の手間を減らす変更が入る:税込・税抜の表示の切り替えや、通信が切れても続けられる入力が加わる
  • 中間の版の機能もまとめて受け取れる:Odoo.shやオンプレミスの会社は、Odoo 20に上げれば、19.1〜19.4のような中間の版の新機能も入る

気をつけることは、次の4つです。

  • 実機での確認がまだ要る:決算や申告にそのまま使えるかは実機で見て、どちらの版で使えるかも確認する
  • AIの費用は別枠になる:すべてのAI機能にクレジットが必要で、ライセンス費用とは別に量を見込む
  • 作り込みが多いと移行が重い:作り込みや追加モジュールが新しい版で動くかを、先に調べる
  • 外部連携の切り替えを計画する:XML-RPC/JSON-RPCは非推奨で、削除はOdoo 22(2028年秋)に延期された

自社がいつ動くかは、自社はどれに当てはまるかの表で見られます。

Odoo 20に移る良い点と、気をつけること 良い点は、公式のリリースノートの記載にもとづく、日本の会計の出発点が近づく、消費税申告書の項目が加わる、AIに頼めることが増える、現場の手間を減らす変更が入る、中間の版の機能もまとめて受け取れること。気をつけることは、実機での確認がまだ要る、AIの費用は別枠になる、作り込みが多いと移行が重い、外部連携の切り替えを計画すること。 Odoo 20に移る良い点と注意点 良い点(リリースノートの記載) 日本の会計の出発点が近づく 決算書・勘定科目表を中小会計要領に 消費税申告書の項目が加わる 一般課税と簡易課税 AIに頼めることが増える データの作成・更新、MCPへの対応 現場の手間を減らす変更が入る 税込・税抜の切り替え、オフライン入力 中間の版の機能もまとめて受け取れる Odoo.sh・オンプレミスの会社 気をつけること 実機での確認がまだ要る 決算・申告への利用と、版の範囲 AIの費用は別枠になる すべてのAI機能にクレジットが必要 作り込みが多いと移行が重い 新しい版で動くかを先に調べる 外部連携の切り替えを計画する XML-RPC/JSON-RPCは非推奨 良い点は公式リリースノートの記載にもとづく 実機での検証は、これから順次行う
Odoo 20に移る良い点と、気をつけること

ベンチャーネットが版の更新前に確かめる4つのこと

版の更新は、IT部門の作業に見えます。けれど実際は、会計の締めや現場の繁忙期に関わる経営の判断です。ベンチャーネットは、次の順で確かめます。

  1. いまの仕組みの棚卸し:作り込み・追加モジュール・外部連携を一覧にします。連携の窓口が何かも、ここで調べます
  2. 欲しい新機能を3つまでに絞る:「新しいから使う」ではなく、いまの困りごとを減らすものだけを選びます
  3. 検証環境で、自社のデータで試す:決算書・消費税・連携を、実際の数字で見ます。会計は顧問税理士にも見てもらいます
  4. 3〜5年後から逆算して時期を決める:繁忙期と決算期を避けます。標準機能に戻す部分も、このとき決めます

考え方のもとにあるのは、標準機能に業務を合わせるOdooとFit to Standardです。作り込みを減らすほど、毎年の更新は軽くなります。

ベンチャーネットが扱うのは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発と、SAPからのリプレイスです。AIスクラッチ開発は、開発費・保守費が別途かかる点も含めてお伝えします。棚卸しの結果、事業の規模や要件がOdooの範囲を超えそうなら、そのままお伝えします。規模での比べ方は、OdooとNetSuiteの違いで整理したとおりです。

よくある質問

Odoo 20には、すぐに移るべきですか?

すぐに移る必要はありません。

Odoo 19の標準サポートは2028年9月まで(予定)です。欲しい新機能の有無と、作り込みへの影響を確かめてから、計画的に移るのが安全です。

日本の消費税申告は、Odooだけで完結しますか?

現時点では、完結するとは言い切れません。

公式のリリースノートには、消費税の申告書の項目が追加されたと記載されています。ただし、実際の申告にそのまま使えるかは、実機での確認が必要です。顧問税理士と一緒に確かめてください。

AI機能には、追加の費用がかかりますか?

かかります。

Odoo 20では、すべてのAI機能にクレジットが必要になりました。クレジットはアプリ内課金で購入します。使う場面と量を見込んで、ライセンス費用とは別に予算を考えてください。

無料のCommunity版でも、新機能は使えますか?

一部は使えますが、Enterprise版の範囲の機能も多く含まれます。

版ごとの提供範囲は、Odoo公式のエディション比較ページで確認してください。無料版は、サーバーの用意や更新作業を自社で担う点も考慮が必要です。

Odoo 20に上げるメリットと注意点は何ですか?

リリースノートの記載では日本の会計対応とAIの広がりです。
公式のリリースノートには、決算書・勘定科目表・消費税申告書に関する変更が記載されています。AIエージェントに頼めることが増えた、とも記載されています。一方で、実際の決算や申告に使えるかは、実機での確認が必要です。AI機能には、クレジットも要ります。両方をOdoo 20に移る良い点と、気をつけることに並べました。

まとめ:新機能より先に、自社の段取りを決める

  • Odoo 20では、日本の決算書・勘定科目表・消費税申告書に関する変更が入った
  • ただし、実際の決算や申告に使えるかは、実機と税理士で確かめる
  • AI機能は、すべてクレジット制になった。使う量を見込んで予算を組む
  • Odoo 19の標準サポートは2028年9月まで(予定)。急いで移る必要はない
  • 作り込みが少ないほど、次の更新は軽くなる

新しい版が出るたびに、機能の一覧は長くなります。けれど会社が問われるのは、機能の数ではありません。更新に追いつける体制と、使いこなせるデータがあるかどうかです。

1年後、次の版の知らせが届いた日に、担当者は作り込みの一覧と移る時期の案を持って、経営者のもとへ相談に来るはずです。AIのクレジットも、どの業務でどれだけ使ったかが月次で見えています。

もう少し詳しく知りたい方へ

Odoo 20に移る時期や、いまの作り込みへの影響を整理したい方は、自社の状況をそのままお聞かせください。

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この記事を書いた人

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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