OBIC7・奉行シリーズ経験者がNetSuiteコンサルタントへ|経験を活かすキャリアチェンジの進め方【2026年版】

「そろそろ、クラウドに移ったほうがいいんでしょうか」

保守の打ち合わせの帰りぎわ、長く担当してきたお客様にそう聞かれる。

OBIC7や奉行シリーズを扱う方なら、覚えのある場面かもしれません。

答えに詰まるのは、製品を知らないからではありません。

自分自身の5年後の答えも、まだ出ていないからです。

NetSuiteコンサルタントとは、ERPの導入を通じて、お客様の業務改善と経営課題の解決を支援する仕事です。

国産ERPで培った業務の知識は、この仕事の土台になります。

製品の知識は、入社後に重ねていけます。

ただし、全員にとってNetSuiteが正解ではありません。

国産ERPで深める道も、SAP系へ進む道もあります。

では、自分にはどの道が合うのか。

それを決めるのは、製品の人気ではなく、これまでの経験の中身です。

目次

この記事で分かること

  • NetSuiteコンサルタントの仕事と、国産ERP経験者にいま機会がある理由
  • 「国産ERP継続/NetSuite/SAP系」3つの道が合う条件
  • 向いている人・向いていない人
  • 転身でよくある3つの失敗と、5つのステップ

NetSuiteコンサルタントとは

ERP(Enterprise Resource Planning)は、会計・販売・在庫・人事などの基幹業務を、1つのシステムで統合して管理する仕組みです。

NetSuiteは、Oracleが提供するクラウド型のERPです。

世界220地域・44,000社以上で利用されています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月確認)。

仕事の中身は、大きく次の流れです。

  • お客様の現状の業務を聞き取り、課題を整理する
  • あるべき業務の姿を描き、要件を定義する
  • NetSuiteの設定やカスタマイズの方針を、開発側と橋渡しする
  • 導入後の運用の定着まで伴走する

中心にあるのは、製品の操作ではありません。

業務を理解し、課題を並べ、現場と経営の言葉をつなぐ。

コンサルタントの価値は、そこから生まれます。

なぜ今、国産ERP経験者に機会があるのか

1. ERPの移行の需要が高まっている

老朽化した基幹システムを見直し、クラウドへ移る動きが広がっています。

大手ERPの保守期限、いわゆる2027年問題も、見直しのきっかけの一つです。

SAPは、SAP Business Suite 7の標準保守を2027年末までとしています。

オプションの延長保守は2030年末までです(出典:SAP公式ニュース、2020年2月、2026年9月確認)。

詳しくはSAP 2027年問題の解決策で扱っています。

2. 入れて終わりから使いながら育てる時代へ

クラウドのERPは、稼働後も機能が更新されていきます。

導入と定着を支える人は、稼働の後も必要です。

3. 近い領域の経験が生きる

NetSuiteの導入支援で生きるのは、NetSuiteそのものの経験だけではありません。

ERPの導入、会計・在庫のシステム、要件定義などの上流工程の経験も生きる。

ベンチャーネットは、そう考えています。

上流工程は、要件定義や設計など、何を作るかを決める工程です。

あなたの経験は、どう生きるのか

国産ERP経験者の強みは、業務が分かることです。

これは、短い期間では身につきません。

  • 業務理解:会計・販売・在庫の実務が、どう回っているかを知っている
  • 要件整理:現場の要望を、システムの要件に翻訳できる
  • 日本の実務の勘所:月次の締め、承認フロー、日本企業に特有の運用を理解している

3つの強みが生きる場面を図にすると、次のとおりです。

国産ERPの経験はここで生きる:強みと仕事の対応 業務理解は、いまの業務の聞き取りと課題の整理に。要件整理は、要件の定義に。日本の実務の勘所は、世界標準の型と日本企業の現実の橋渡しに生きる。製品の知識は入社後に重ねていける。 国産ERPの経験は、ここで生きる いまある強み NetSuiteで生きる所 業務理解 会計・販売・在庫 いまの業務を聞き取り、 課題を整理する 要件整理 現場の要望を翻訳 あるべき姿を描き、 要件を定義する 日本の実務の勘所 締め・承認フロー 世界標準の型と、 日本企業の現実の橋渡し 製品の知識は、入社後に重ねていける
国産ERPの経験はここで生きる:強みと仕事の対応

NetSuiteは、世界標準の考え方で作られています。

だからこそ、日本企業へ導入する場面では、日本の実務が分かる人の価値が上がります。

「世界標準の型」と「日本企業の現実」を橋渡しできる人が、現場で求められています。

設計の考え方の違いは、NetSuiteとOBIC7の比較記事にまとめました。

3つの道が合う条件を比べる

国産ERPとNetSuite、SAP系は、どれが優れているかで比べるものではありません。

それぞれに長所があります。

比べるのは、どんな人・志向に合うかです。

比較の軸A. 国産ERPで継続B. NetSuiteへ転身C. SAP系へ転身
経験の生かし方製品の知識までそのまま生きる業務の知識が土台。製品は後から学ぶ業務の知識は生きるが、学ぶ範囲が広い
主な案件国内の企業が中心成長企業・クラウドへの移行大企業・大型案件が中心
英語・海外との関わり少ない案件により少〜中中〜多
学び直しの負荷小さい中(近い領域なら緩やか)大きい(範囲が広い)

年収の水準は、道の違いより、担う役割で幅が出ます(第7章)。

向いている人・向いていない人

道向いている人
A. 国産ERPで継続日本の商慣習に根ざした専門性を、さらに深めたい人
B. NetSuiteへ転身業務の知識を生かしつつ、成長企業やクラウドで幅を広げたい人。柔軟な働き方を望む人
C. SAP系へ転身大企業・大型案件を狙い、英語や幅広い学習もいとわない人

NetSuiteへの転身が向いていないのは、次のような人です。

  • 製品の操作や保守の専門性を、いまの製品で深めたい人
  • お客様の経営層と話すより、社内の決まった相手と仕事をしたい人
  • 大企業の大型案件に、専門の役割として関わりたい人(C の方が合う)

いまの環境で専門性を深める道も、立派な選択です。

いまの立場から考える

これから転身を考えている人

まずは、これまで携わった業務を書き出します。

そのうえで、NetSuiteの経験を必須としない求人、近い領域の経験を評価する求人を探します。

研修やOJTの仕組みがあるかも、面談で聞いておきたい点です。

いま国産ERPの導入・保守を担い、乗り換えの相談が増えている人

冒頭の「クラウドに移るべきか」という相談は、学びのきっかけになります。

  • お客様が乗り換えを考える理由(保守期限・クラウド化・海外展開)を聞き取る
  • 国産ERPで続ける場合と、乗り換える場合の違いを、業務の言葉で説明できるようにする

転身するかどうかにかかわらず、この経験は移行の案件で大きな財産になります。

年収とキャリアパス

年収には幅があります。参考として、公開されている相場を一つ挙げます。

  • ハイクラス転職エージェントの実績:ERPコンサルタントの年収は800万〜1,300万円がボリュームゾーン
  • 対象:2023年1月〜2025年8月の想定年収(出典:JAC Recruitment公式、2026年9月確認)

同じページでは、管理職の平均がメンバークラスより高く示されています。

プロジェクトマネジメントの経験があると、高い水準に届きやすくなります。

キャリアは、コンサルタントからシニアコンサルタント、プロジェクトマネージャー、IT戦略の領域へと広がります。

※市場の相場の目安です。実際の条件は、経験・役割・企業で変わります。

詳しくはERPコンサルタントの年収相場をご覧ください。

転身でよくある3つの失敗

失敗1:「NetSuite未経験だから」と応募しない

起きること:求人票の「NetSuite経験」の文字を見て、最初から諦めてしまう。

原因:製品を知っていることが条件だと思い込んでいます。導入支援の中心は、業務の理解と要件の整理です。

避け方:「ERPの導入や上流工程の経験」を評価するかを、求人票や面談で聞きます。

入社後に学ぶ研修の仕組みがあるかも、あわせて聞いてください。

失敗2:国産ERPの知識を捨てて、ゼロから学び直す

起きること:製品が違うからと、これまでの経験を語らず、製品の操作の勉強ばかりに時間を使う。

原因:コンサルタントの価値を、製品の操作だと思い込んでいます。

避け方:会計・販売・在庫の業務の流れや、締め・承認の勘所を、自分の強みとして言葉にします。

製品が変わっても生きるのは、この部分です。

失敗3:年齢・英語・激務の思い込みで、選択肢を狭める

起きること:「もう遅い」「英語が要る」「出張と残業漬け」と考え、調べる前に選択肢から外す。

原因:外資系ERPやコンサル全般のイメージを、そのまま当てはめています。

避け方:年齢の制限、英語が要る案件の割合、働き方を、会社ごとに聞きます。

国内の中小・中堅企業が中心の会社なら、英語が必須でない案件が多いこともあります。

3つの失敗を、思い込みと実際で並べると次のとおりです。

転身の3つの失敗:思い込みと実際に見ること NetSuite未経験だから応募しないのは誤りで、中心は業務の理解と要件の整理。製品が違っても締め・承認の勘所は生きる。年齢・英語・働き方は会社ごとに聞いて確かめる。 思い込みと、実際に見ること 思い込み 実際に見ること NetSuite未経験 だから応募しない 中心は業務の理解と 要件の整理 製品が違うから ゼロから学び直す 締め・承認の勘所は 製品が違っても生きる 年齢・英語・激務で 選択肢を狭める 年齢・英語・働き方を 会社ごとに聞く 失敗の多くは、応募の前の思い込みから起きる
転身の3つの失敗:思い込みと実際に見ること

転身の5ステップ

  1. 自分の経験を棚卸しする:会計・販売・在庫のどこに強いか、要件定義や管理の経験はあるか
  2. NetSuiteの全体像をつかむ:細部ではなく、クラウドERPとして何ができるかの大きな絵を
  3. 業務の知識とNetSuiteを結びつける:「この業務はNetSuiteだとこうなるのか」と対応づける
  4. 応募先を選ぶ:近い領域の経験を評価し、研修やOJTの仕組みがある会社を選ぶ
  5. 入社後に学び続ける:業務の知識を土台に、足りない製品の知識を後から重ねる

ステップ2は、NetSuiteとは何かを解説した記事が入口になります。

ステップ5の学び方は、未経験からNetSuiteを学ぶにはとNetSuite資格ガイドで扱っています。

業務の知識を土台に、製品の知識を後から重ねる。

この順番が、現実的な近道です。

ベンチャーネットならこう見る|国産ERPの経験は「見える化」と「整理整頓」で生きる

ベンチャーネットの仕事は、ゼロからの導入より、他社のあとの引き継ぎ・立て直しと、他システムとの連携が多くを占めます。

国産ERPから移る案件では、いまの仕組みで業務がどう回っているかを読み解くところから始まります。

進め方は、次の順番です。

ベンチャーネットの進め方:見える化→整理整頓→Fit&Gap→3つの選択 業務の見える化、整理整頓、NetSuite標準機能とのFit&Gap、そして標準に合わせる・開発する・残すの3択で決める。 ベンチャーネットの進め方業務の見える化いまの業務フローを現場に聞いて描く整理整頓やめる・まとめる・そろえる業務を決めるFit&GapNetSuiteの標準機能と照らし合わせる3つの選択標準に合わせる/開発する/残す製品が決まっていても、見える化から始める
ベンチャーネットの進め方:見える化→整理整頓→Fit&Gap→3つの選択
  1. 業務の見える化:いまの業務の流れを、現場に聞いて描く
  2. 整理整頓:やめる・まとめる・そろえる業務を決める
  3. Fit&Gap:残った業務を、NetSuiteの標準機能と照らし合わせる
  4. 3つの選択:合わない所は、標準に合わせる・開発する・残すのどれかに決める

国産ERPの経験がいちばん生きるのは、1段目と2段目です。

月次の締めや承認の回し方を知っている人は、現場の話を早く正確に描けます。

NetSuiteの知識が要る3段目と4段目は、チームで補いながら覚えていけます。

要件を確認するのは営業ではなく導入コンサルタントなので、この力を最初から発揮できます。

面談では、次の3つを一緒に考えます。

  1. どの業務に強いか:会計・販売・在庫のうち、語れる経験はどれか
  2. 何を変えたいか:製品、働き方、お客様との距離のどれを変えたいのか
  3. 3つの道のどれが合うか:NetSuiteでなくてもよい、という前提で見る

参考までに、ベンチャーネットの働く環境は次のとおりです。

  • プライム中心:元請けで受け、お客様の経営層と直接対話する
  • フルリモートが中心:ライフスタイルに合わせた働き方ができる
  • チームで動く:各世代のプロがチームを組み、一人で抱え込まない
  • 柔軟な契約の形:正社員・契約社員・業務委託から選べる。50代以上の経験者も歓迎
  • 学ぶ仕組み:EラーニングやチームでのOJTで、製品の知識を補いながら実務に入る
  • お客様:国内の中小・中堅企業(製造・商社・卸・流通)が中心で、英語が必須でない案件が多い

求めているのは、スキルだけではありません。

誠実であること、批判で終わらず代案を出せること、他責にせず自ら動けること。

そして、お客様の成功を自分の成功として捉えられることです。

今日できること(約1時間)

  1. 担当したお客様・プロジェクトを3つ選び、業務(会計・販売・在庫)と工程(要件定義・設定・保守)を表に書き出す
  2. それぞれで「お客様の何が変わったか」を1行で書く
  3. 第4章の表を見て、A・B・Cのどれに近いかに印をつける

この1枚は、面談や応募書類でそのまま使える材料になります。

よくある質問

Q1. NetSuiteコンサルタントとは、どんな仕事ですか

業務改善と経営課題の解決を支援する仕事です。

ERPの導入を通じて、お客様を支えます。

聞き取りから要件定義、設定の橋渡し、運用の定着まで関わります。

中心は、製品の操作より業務の理解と要件の整理です。

Q2. NetSuite未経験でも転職できますか

可能です。

導入支援では、ERP・会計・在庫など近い領域の経験が生きます。

ベンチャーネットにも、入社後に学ぶ研修(Eラーニング・OJT)があります。

Q3. OBIC7・奉行の経験は、どのくらい評価されますか

業務の理解と要件の整理の土台として評価されます。

会計・販売・在庫の業務の流れや、日本企業の実務の知識は、製品が変わっても生きます。

特に、いまの業務を描き直す見える化の段で力を発揮します(第10章)。

Q4. 年収は下がりませんか

担う役割で決まる部分が大きくなります。

ハイクラス転職エージェントの実績では、800万〜1,300万円がボリュームゾーンです。

ERPコンサルタントの想定年収です(出典:JAC Recruitment公式、2026年9月確認)。

あくまで目安としてご覧ください。

Q5. 40代・50代からでも遅くないですか

遅くありません。

業務の経験が豊富なミドル・シニアは、むしろ歓迎されます。

ベンチャーネットは50代以上の経験者も歓迎し、契約の形も柔軟です。

Q6. 正社員以外の関わり方もありますか

あります。

ベンチャーネットでは、正社員・契約社員・業務委託から契約の形を選べます。

業務委託の働き方は、NetSuite業務委託・フリーランスとはで紹介しています。

Q7. SAP系とNetSuite、どちらを選ぶべきですか

志向で選びます。

大企業・大型案件を狙い、英語や幅広い学習もいとわないならSAP系が合うことがあります。

業務の知識を生かし、成長企業やクラウドで幅を広げたいならNetSuiteが合います(第4・5章)。

まとめ|あなたの経験を、次のステージへ

  • NetSuite未経験でも、近い領域の経験が生きる
  • 国産ERPの業務の知識は、製品が変わっても生きる。特に見える化と整理整頓の段で
  • 3つの道は優劣ではなく、それぞれの長所と自分の志向で選ぶ
  • 失敗の多くは、応募の前の思い込みから起きる

次にお客様から「クラウドに移るべきか」と聞かれたら、自分のキャリアにも同じ問いを向けてみてください。

その答えを出す材料は、経験の棚卸しの1枚から集まり始めます。

もう少し詳しく知りたい方へ

国産ERPの経験がどう生きるか、話を聞いてみたい方はご連絡ください。

募集要項の詳細は、NetSuite求人(PM兼コンサル)にまとめています。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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