freee統合型ERPとは?機能・特徴・向いている企業・費用を徹底解説

「会計はクラウドにしたけれど、販売管理や人事労務はバラバラ」。そんな状態に悩む中小企業は少なくありません。freee統合型ERPは、その分断した業務をひとつのクラウドにまとめるために生まれたサービスです。

この記事では、freee統合型ERPの機能・特徴・向いている企業・費用の考え方を、ERPにくわしくない方にもわかるように整理します。導入してから後悔しないための注意点までお伝えします。

この記事で分かること

  • freee統合型ERPがどんなサービスか(何ができるか)
  • 主な機能と、ほかのツールにはない特徴
  • 向いている企業・向いていない企業の見分け方
  • 費用の考え方と、導入前に気をつけたいこと

読了目安:約8分

目次

freee統合型ERPとは

freee統合型ERPとは、freee株式会社が提供する、会計・販売・人事労務をひとつのクラウド上で統合管理できるERPです。

まず前提として、ERPとは、ヒト・モノ・カネといった会社の経営資源を一元管理する仕組みです。英語のEnterprise Resource Planningの略で、業務の効率化と数字の見える化を実現するために使われます。これまで部門ごとにバラバラだった情報を、ひとつのシステムにつなげるのがERPの役割です。

freee統合型ERPは、その役割を3つのサービスの組み合わせで実現します。具体的には、ヒトを担う「freee人事労務」、モノを担う「freee販売」、カネを担う「freee会計」を連携させ、ひとつの体験として使えるようにしたものです。

freeeはもともとクラウド会計ソフトで知られた会社です。そこに販売管理や人事労務、工数管理などの領域を広げ、2023年8月に統合型クラウドERPとして提供を開始しました(出典:freee公式プレスリリース)。

一気通貫でつながる、というのがポイント

ばらばらのツールを使っていると、同じ情報を何度も入力したり、転記ミスが起きたりします。freee統合型ERPでは、一度入力した情報が各サービス間で自動的に連携します。

たとえば案件ごとの売上・原価・収支を、入力した情報をもとに自動で集計できます。見積書から請求書、入出金の管理までをfreee上で完結させることをめざした設計です。

freee統合型ERPの主な機能

freee統合型ERPの主な機能を、業務の流れに沿って整理します。

領域できること
会計(freee会計)仕訳・記帳の自動化、決算書類の作成、リアルタイムの数字確認
販売(freee販売)見積・受発注・請求の管理、案件ごとの売上・原価の見える化
人事労務(freee人事労務)勤怠・給与・労務手続きの管理
横断(統合の効果)各サービスのデータ自動連携、案件別の収支管理、入出金管理

機能面で特にわかりやすいのが、次の3点です。

1. 案件ごとの原価・収支がひと目でわかる
販売管理と原価管理が連動しているため、案件ごとにかかったコストと利益をリアルタイムで把握できます。受託型・請負型のビジネスのように、案件単位で採算を見たい会社に向いた機能です。

2. 銀行口座・クレジットカードとの自動連携
取引データを自動で取り込み、仕訳を効率化します。手入力の手間と入力ミスを減らせます。

3. 法改正への対応と書類発行
入力した情報をもとに、見積書・発注書・請求書をかんたんに作成できます。インボイス制度や電子帳簿保存法など、制度変更にも対応してアップデートされます(電子帳簿保存法の対応範囲はfreee販売から発行された帳票が中心です。具体的な運用は税務署や税理士にご確認ください)。

freee統合型ERPの特徴

機能だけでなく、「どんな会社が使いやすいか」を左右する特徴を見ていきます。

freee統合型ERPの特徴は、クラウドネイティブな設計とシンプルな操作画面にあります。インターネット経由で使うため、自社にサーバーを置く必要がありません。専任のIT部門がない会社でも、比較的短期間で使い始めやすい点が支持されています。

初期費用を抑えやすいのも特徴のひとつです。大規模なシステムを一括で構築するのではなく、必要なサービスから段階的に使い始められます。

一方で、シンプルさは「割り切り」の裏返しでもあります。細かいカスタマイズを前提にした業務には向かない場合があります。この点はあとの「向いている企業・向いていない企業」で具体的に整理します。

freee統合型ERPに向いている企業・向いていない企業

ERPは「機能が多いほどよい」というものではありません。自社の規模や業務に合うかどうかが、いちばん大切です。

向いている企業

  • バックオフィスの業務がツールごとにバラバラで、二重入力に困っている会社
  • 案件単位で売上・原価・収支を管理したい、受託型・請負型のビジネス
  • 専任のIT部門を持たず、シンプルに始められるツールを探している会社
  • まずはクラウドでスモールスタートしたい、小規模〜中小企業

向いていない企業

  • 海外拠点を含む多拠点経営で、グループ全体の連結管理が必要な会社
  • 製造業の複雑な原価計算など、高度なカスタマイズを前提とする業務が中心の会社
  • 業種特有の細かい要件が多く、標準機能だけでは収まりにくい会社

会社が成長して拠点や取引が増えると、求められるERPの守備範囲も変わります。スモールビジネス向けの設計では物足りなくなる場面も出てきます。そうした段階に近づいたら、より上位のクラウドERPもあわせて比較検討するのがおすすめです。具体的な比較の観点は、freeeとNetSuiteの違いを整理した記事で解説しています。

freee統合型ERPの費用

費用は、導入を検討するうえで最も気になるところだと思います。

freee統合型ERPの料金は、統合型ERPのパッケージとしては公開されておらず、要問い合わせとなっています。利用するサービスの組み合わせや会社の規模によって変わるためです。

正確な費用や見積もりは、freee公式のお問い合わせ窓口で確認するのが確実です。一般的なクラウドサービスと同じく、使うサービスや利用人数に応じて費用が決まる考え方になります。

費用の目安を比較したい場合は、まず「自社で使いたいサービスはどれか」「何人で使うか」を整理してから問い合わせると、見積もりがスムーズです。

freee統合型ERPの導入で気をつけたいこと

最後に、導入してから「思っていたのと違った」とならないために、つまずきやすいパターンを4つ紹介します。ERP全般に共通する、現場でよく見られる落とし穴です。

1. 「これ1つで全部できる」と思い込む
freee統合型ERPは小規模〜中小企業向けに設計されています。複雑な業務をそのまま載せようとすると、機能が合わずに苦労することがあります。導入前に、自社の業務範囲とサービスの守備範囲が合っているかを確認しておきましょう。

2. 成長フェーズで機能が頭打ちになる
導入時は十分でも、多拠点化・海外展開・連結管理が必要になると、求める機能が増えていきます。中長期の事業計画と、ERPがカバーできる範囲を照らし合わせておくと、後の乗り換えコストを抑えられます。

3. 既存システムとの連携設計を後回しにする
周辺のツールとのデータ連携を詰めないまま導入すると、結局二重管理が残ってしまいます。連携したい対象を導入前に棚卸ししておくことが大切です。

4. 運用ルールを決めずに導入する
ツールを入れただけで、入力や承認のルールが曖昧だと、データが整わず見える化も進みません。誰が・いつ・どう入力するかを先に決めておくと、定着がスムーズです。

ツールの導入はゴールではなく、スタートです。どんなERPでも、自社の運用に乗せて初めて効果が出ます。だからこそ、機能の多さよりも「自社の業務と経営の段階に合っているか」という視点が欠かせません。

ERP選びで迷ったときは、製品単体の機能比較だけでなく、3年後・5年後の経営をどう描くかから逆算すると、判断軸がぶれにくくなります。NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットでも、こうしたERP選びや基幹システムの段階的な見直しについてのご相談を承っています。

よくある質問(FAQ)

Q1. freee統合型ERPと、freee会計などの単体サービスは何が違いますか?
freee会計・freee販売・freee人事労務は、それぞれ会計・販売・人事労務に特化した単体サービスです。freee統合型ERPは、これらを連携させ、データを一気通貫で管理できるようにした組み合わせを指します。複数の業務をまたいで数字を見たい場合に、統合型としての価値が出ます。

Q2. ERP初心者の会社でも導入できますか?
シンプルな操作画面とクラウド設計のため、専任のIT部門がない会社でも始めやすいサービスです。ただし、自社の業務範囲に合うかの見極めと、導入後の運用ルールづくりは必要です。まずは小さく始めて、徐々に広げる進め方が現実的です。

Q3. 中堅企業や海外展開する企業にも合いますか?
freee統合型ERPはスモールビジネス向けの設計が中心です。多拠点・海外拠点を含む連結管理や、高度なカスタマイズが必要な場合は、より上位のクラウドERPもあわせて比較検討することをおすすめします。判断の観点はfreeeとNetSuiteの違いを整理した記事を参考にしてください。

Q4. 費用はどのくらいかかりますか?
統合型ERPとしての料金は公開されておらず、要問い合わせです。利用するサービスや会社の規模で変わるため、正確な費用はfreee公式の窓口で確認してください。

まとめ

freee統合型ERPは、会計・販売・人事労務をひとつのクラウドにまとめ、案件ごとの収支まで見える化できる中小企業向けのERPです。シンプルに始めやすく、IT部門がない会社でも導入しやすいのが強みです。

一方で、多拠点・海外展開・複雑な原価計算が中心になると、守備範囲を超える場面も出てきます。大切なのは、機能の多さではなく「自社の業務と経営の段階に合っているか」です。

ERPは導入して終わりではなく、運用に乗せて初めて成果が出ます。自社に合う選択肢を見極めるために、まずは現状の業務を整理し、必要なら複数の選択肢を段階的に比較してみてください。

もう少し詳しく知りたい方へ

会社の成長に合わせて、より上位のクラウドERPもあわせて検討したい方は、NetSuiteの無料デモ・相談をご利用いただけます。実際の画面を見ながら、自社の業務に合うかを確認できます。

※freee統合型ERPそのものの導入・費用については、freee公式の窓口へお問い合わせください。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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