atWillとは?機能・特徴・向いている企業と、PROACTIVE統合後の見方を中立に解説【2026年版】

見積もりの打ち合わせで、製造部長がatWillの資料を机に出す。

提供元の担当者が答えます。「いまは、PROACTIVEの生産管理としてのご案内になります」

atWill(アットウィル)とは、SCSK株式会社が提供してきた、製造業向けの生産管理システムです。

2024年11月、SCSKはatWillを自社のERP「PROACTIVE」に統合すると発表しました(出典:SCSK公式、2026年9月確認)。

いまatWillを調べるなら、単体の製品ではなく、PROACTIVEの生産管理として何が提供されるかを見ることになります。

加工組立や素材の製造で、製造業の型を土台に早く導入したい会社には、検討に値する候補です。

一方、会計や海外拠点まで一つにまとめたい会社は、統合型のクラウドERPも並べます。

では、自社はどちらなのか。

分かれ目は、製品の機能表より手前にあります。

目次

この記事で分かること

  • atWillの基本と、PROACTIVEへの統合の経緯
  • 主な機能と特徴(テンプレート・ローコード基盤・ERPとMESの連携)
  • 費用の考え方と、見積もりの前に決めること
  • 型に合わない業務を「標準に合わせる/開発する/残す」で仕分ける方法
  • これから選ぶ会社と、いま使っている会社、それぞれの判断のしかた

言葉の整理:ERPは、会計・販売・在庫・生産など、会社の中核の業務のデータをまとめて扱う仕組みです。

MES(製造実行システム)は、工場の作業や設備の状況を管理する仕組みです。

ローコードは、プログラムをほとんど書かずに機能を作る方法です。

atWillとは|SCSKの製造業向け生産管理システム

atWillは、SCSKが提供する製造業向けの生産管理システムです。

製造業に必要な業務の機能を、あらかじめ「型(テンプレート)」として用意している点が特徴です。

提供元のSCSKは、東証プライム市場に上場する大手のシステム会社です。

クライアント数を約10,000社と案内しています(出典:SCSK公式、2026年9月確認)。

2024年11月、PROACTIVEに統合

SCSKは2024年11月19日、次の3つの自社製品を統合すると発表しました(出典:SCSK公式、2026年9月確認)。

製品もとの役割
ProActive C4会計・人事給与などのERP
atWill製造業向けの生産管理システム
PImacs建設業向けのシステム

統合後の名前が「PROACTIVE」です。

AIを中心に据えたサービスとして発表されました。

PROACTIVEの公式サイトでは、7,500社を超える導入実績があると案内されています(出典:PROACTIVE公式、2026年9月確認)。

atWillの流れをくむものは、主に2つです。

  • ATWILL Platform:PROACTIVEの開発の基盤
  • 生産管理の機能:PROACTIVEの業務特化型オファリング「Production(生産管理)」

統合の関係を図にすると、次のとおりです。

atWillとPROACTIVEの関係 ProActive C4、atWill、PImacsの3製品が統合され、PROACTIVEになると2024年11月に発表された。atWillの流れは、開発の基盤ATWILL Platformと、生産管理の機能Productionに引き継がれている。 3つの製品が、PROACTIVEに統合 ProActive C4 会計・人事給与 atWill 生産管理 PImacs 建設業向け PROACTIVE 2024年11月に統合を発表 atWillの流れをくむもの ATWILL Platform PROACTIVEの 開発の基盤 Production 業務特化型の 生産管理の機能
atWillとPROACTIVEの関係

冒頭の打ち合わせで担当者が言い直したのは、この統合のためです。

PROACTIVE全体の解説は、PROACTIVEとはで扱っています。

主な機能と特徴

atWillは、大きく2つの要素で説明されてきました。

構成要素役割
テンプレート(atWill Template)製造業の業務の機能を型として用意
基盤(ATWILL Platform)ローコードで機能を追加・変更

テンプレートは、業態に合わせて必要な分だけ組み合わせる考え方で提供されてきました。

SCSKは、たとえば次のテンプレートを発表しています(出典:SCSK公式の各発表、2026年9月確認)。

  • アフターサービス:2021年12月発表
  • 金型管理:2022年9月発表
  • CPQ(見積もりの作成):2022年12月発表

標準の型で、早く導入する

atWillは「業務をシステムに合わせる」考え方(Fit to Standard)を軸にしてきました。

製造業でよくある業務を型にしているため、要件をゼロから固める作業を減らせます。

統合後のPROACTIVEにも、製造業の業界特化型オファリングがあります。

「素材・素材加工(Material Process)」と「電機・機械(Electrical Machinery)」です。

(出典:PROACTIVE公式、2026年9月確認)

ローコードで、自社の業務に合わせる

型に合わない部分は、ATWILL Platformで補います。

公式サイトでは、次の点が案内されています(出典:PROACTIVE公式、2026年9月確認)。

  • ローコード/ノーコードで機能を開発できる
  • Excelのフォーマットを取り込み、帳票を作成・編集できる
  • 多言語に対応し、画面の項目名を自社の用語に変えられる
  • 稼働後の変更も、開発費を抑えて対応しやすい

SCSKの発表では、文字・音声・画像などで操作できるマルチモーダルにも対応するとされています。

ERPと製造現場(MES)をつなぐ

PROACTIVEの生産管理は、ERPとMESの情報をまとめて管理できると案内されています。

販売・生産計画・製造・在庫に加え、製造実績・品質・原価の管理も含みます。

原価管理では、直接費の直課や、細かな配賦のパターンの設定ができるとされています。

公式サイトでは、自動車部品・電子部品・機械など、加工組立系の製造業で多く使われていると案内されています(出典:PROACTIVE公式、2026年9月確認)。

AIの位置づけ

PROACTIVEの中核には「PROACTIVE AI」が置かれています。

業務や業界に特化したAIで分析と予測を支援し、複数のAIエージェントが各工程に関わると発表されています(出典:SCSK公式、2026年9月確認)。

生産管理のどの場面で、いつから使えるかは、提供元に問い合わせてください。

費用の考え方

atWillの価格は、構成や規模で変わるため、個別見積もりが基本です。

一律の公表価格はありません。

SCSKが過去の発表で示した、一部のテンプレートの価格は次のとおりです(出典:SCSK公式の各発表、2026年9月確認)。

対象(発表時期)参考価格
CPQテンプレート(2022年12月)初期費用300万円〜/月額30万円〜
アフターサービス(2021年12月)月額40万円〜(税別)

これは特定のテンプレートの参考値で、全体の費用ではありません。

統合後の価格体系は、SCSKに見積もりを依頼して聞いてください。

製品の価格とは別に、導入の費用と期間は中身で大きく変わります。

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが導入を支援してきた中で、差を生む要因は4つあります。

機能範囲、開発(特に外部システムとの連携)、社内の体制、ユーザー数です。

ローコードで画面や帳票を足すほど、このうちの「開発」が重くなります。

見積もりを比べるときは、4つを同じ前提にそろえてください。

判断の物差し|atWill系が合う会社・合わない会社

選択肢合う条件注意点
atWill系(PROACTIVEの生産管理)加工組立・素材の製造で、国産の型を土台にしたい統合後の提供範囲を聞いておく
統合型クラウドERP(NetSuiteなど)会計・販売・在庫・海外子会社まで一つにしたい深い生産管理は別の仕組みと組み合わせることがある
Odoo費用を抑え、自社で柔軟に組み替えたい自社側に設計と運用の力が要る
AIスクラッチ開発自社独自の工程が強みで、型に合わない保守を誰が担うかを先に決める
いまは入れない工場が1つで、Excelと会計ソフトで回っている人に依存する業務を書き出しておく

atWill系が素直に合うのは、次のような会社です。

  • 加工組立系、または素材・素材加工の製造業
  • ゼロから作り込むより、製造業の型で早く始めたい
  • 経営(ERP)と製造現場(MES)の情報をつなげたい

一方、会計や海外拠点まで含めて全社をクラウドでまとめたい会社は、統合型のクラウドERPも比べます。

NetSuiteは世界220地域・44,000社以上で使われています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月時点)。

クラウドERPの基礎は、NetSuiteとは?で扱っています。

読者の二つの立場

これから選ぶ会社

製品名から入らず、次の順で絞ると迷いにくくなります。

  1. 困りごとが「工場の中」か「会社全体の数字」かを決める
  2. 製造の型(加工組立・素材・個別受注など)を書き出す
  3. 同じ型に強い製品を2〜3つ並べ、デモで同じ業務を見せてもらう

製造業ERPの一覧は、製造業向けERP15選で比べられます。

ERP全般の選び方は、ERPを徹底比較で扱っています。

いまatWillを使っている会社

統合の発表を受けて、見直しを考える会社もあるでしょう。

まず、SCSKに次の3点を聞いてください。

  • いまの版の保守は、いつまで続くか
  • PROACTIVEへの移行の道筋と、その費用
  • 自社で作ったローコードの画面や帳票は、移行後も使えるか
いまatWillを使っている会社が、SCSKに聞く3点 いまの版の保守はいつまで続くか、PROACTIVEへの移行の道筋と費用、自社で作ったローコードの画面や帳票は移行後も使えるか。3つ目の答えが移行の重さを決める。 SCSKに聞く3点 いまの版の保守は、いつまで続くか PROACTIVEへの移行の道筋と、その費用 自社で作ったローコードの画面や帳票は、 移行後も使えるか 3つ目の答えが、移行の重さを決める
いまatWillを使っている会社が、SCSKに聞く3点

3つ目の答えが、移行の重さを決めます。

工場の中の業務に不満がなければ、PROACTIVEへの移行が自然な道です。

会計や海外拠点とのつなぎ目に困っているなら、統合型のERPと比べる価値があります。

更新か乗り換えかの考え方は、基幹システムは「更新」か「乗り換え」かをご覧ください。

よくある失敗3つ

失敗1:古い製品名のまま情報を集める

起きること:atWillの情報を集めたが、見積もりの段階で構成や名前が違っていた。

原因:2024年の統合を知らず、以前の資料で比べていた。

避け方:最初の打ち合わせで、「いま提供されている構成」を書面でもらいます。

失敗2:型に合わない部分を、すべて作り込む

起きること:ローコードで画面を増やし続け、稼働後の保守が重くなった。

原因:業務を型に合わせるか、型を業務に合わせるかを決めていなかった。

ローコードは作りやすい分、作るかどうかの判断が甘くなりがちです。

避け方:合わない業務を一つずつ、標準に合わせる・開発する・残すに分けます。

作り込むのは、強みの業務に限ります(第7章)。

失敗3:生産管理だけを見て、会計とのつなぎを後回しにする

起きること:工場の数字は見えるようになったが、月次の決算が早くならない。

原因:生産管理と会計の間のデータの受け渡しを、導入の範囲に入れていなかった。

避け方:原価と会計の数字が、どこでどうつながるかを最初に図にします。

ベンチャーネットならこう見る|困りごとの場所と、3つの仕分け

国産の製造業向けの製品と、統合型のクラウドERP。

どれが優れているかではなく、それぞれに長所があります。

ベンチャーネットは、製品を決める前に、困りごとの場所を見ます。

困りごとの場所で、軸にする製品が変わる 経営者が毎月見たい数字と困りごとが工場の中に集まるなら製造業に特化した製品を軸にし、会社全体に広がるなら統合型のERPを軸に考える。 困りごとは、どこにあるか 経営者が毎月見たい数字と 困りごとの場所 工場の中に 集まる 製造業に特化した 製品が軸 会社全体に 広がる 統合型のERPが 軸 製品の優劣ではなく、困りごとの場所で決まる
困りごとの場所で、軸にする製品が変わる

最初に伺うのは、次の3つです。

  1. 5年後、工場と拠点はいくつあるか
  2. 経営者が毎月見たい数字は何か。それは工場の中と外、どちらにあるか
  3. 保守とローコードの改修を、社内の誰が担うか

1と2の答えが「工場の中」に集まるなら、製造業に特化した製品が有力です。

「会社全体」に広がるなら、統合型のERPを軸に考えます。

見える化→整理整頓→Fit&Gap

軸が決まっても、すぐに製品の機能と照らし合わせることはしません。

atWillの型を使う場合も、別の製品に替える場合も、次の順番で進めます。

ベンチャーネットの進め方:見える化→整理整頓→Fit&Gap→3つの選択 業務の見える化、整理整頓、NetSuite標準機能とのFit&Gap、そして標準に合わせる・開発する・残すの3択で決める。 ベンチャーネットの進め方業務の見える化いまの業務フローを現場に聞いて描く整理整頓やめる・まとめる・そろえる業務を決めるFit&GapNetSuiteの標準機能と照らし合わせる3つの選択標準に合わせる/開発する/残す製品が決まっていても、見える化から始める
ベンチャーネットの進め方:見える化→整理整頓→Fit&Gap→3つの選択
  1. 業務の見える化:いまの業務の流れを、現場に聞いて描く
  2. 整理整頓:やめる・まとめる・そろえる業務を決める
  3. Fit&Gap:残った業務を、製品の型(標準機能)と照らし合わせる

図の3段目はNetSuiteの例ですが、照らし合わせる相手がatWillの型でも順番は同じです。

Fit&Gapは、業務と機能の合う・合わないを一つずつ見る作業のことです。

標準に合わせる/開発する/残す

型に合わなかった業務は、3つのどれかに決めます。

  • 標準に合わせる:業務のほうを、型に寄せる
  • 開発する:ローコードや追加の開発で補う
  • 残す:システムには載せず、いまの運用で続ける

失敗2の「作り込みすぎ」は、2つ目を選びすぎた結果です。

ローコードで作れるかどうかではなく、その業務が強みかどうかで決めます。

製品が変われば、帳票の形、締め処理の考え方、画面の操作感も変わります。

ライセンス費用が、いまより上がることもあります。

ベンチャーネットは、こうした点を見積もりの前にお伝えします。

今日できること|1時間で「困りごとの地図」を作る

次の表を、製造と経理の担当者と一緒に埋めてみてください。

業務いま使っている仕組み困っていること工場の中か外か
(例)原価の集計Excel月末に3日かかる外(会計とのつなぎ)

5〜10行ほど書くと、困りごとがどちらに偏っているかが見えます。

この表は、見える化の最初の一歩として、提供元との打ち合わせでもそのまま使えます。

よくある質問

Q1. atWillはどこが提供している製品ですか

SCSK株式会社です。

製造業向けの生産管理システムとして提供されてきました。

2024年11月に、SCSKのERP「PROACTIVE」への統合が発表されています。

Q2. atWillはいまも単体で買えますか

提供の形はSCSKに問い合わせてください。

統合後、生産管理の機能はPROACTIVEの業務特化型オファリングとして案内されています。

atWillの名前は、開発の基盤「ATWILL Platform」に残っています。

Q3. atWillの料金はいくらですか

個別見積もりが基本です。

過去に公表された一部のテンプレートの参考値はありますが、全体の費用ではありません。

導入の費用は、機能範囲・開発・社内の体制・ユーザー数で変わります(第3章)。

Q4. どんな製造業に向いていますか

加工組立系や素材・素材加工の製造業が中心です。

公式サイトでは、自動車部品・電子部品・機械などで多く使われていると案内されています。

Q5. AIの機能はありますか

PROACTIVEの中核に「PROACTIVE AI」があります。

業務や業界に特化したAIで、分析と予測を支援すると発表されています。

生産管理で使える範囲は、提供元に問い合わせてください。

Q6. 製造業以外でも使えますか

atWillは製造業向けです。

製造業以外の会社や、全社をクラウドで一つにしたい会社は、別の型のERPも比べると判断しやすくなります。

まとめ

  • atWillは、SCSKの製造業向け生産管理システム
  • 2024年11月に、SCSKのERP「PROACTIVE」への統合が発表された
  • 特徴は、製造業の型(テンプレート)とローコードの基盤
  • 費用は個別見積もり。導入の費用は機能範囲・開発・社内の体制・ユーザー数で変わる
  • 型に合わない業務は、標準に合わせる・開発する・残すに分ける

打ち合わせに持っていくのは、古い資料より「困りごとの地図」です。

困りごとが工場の中にあるか外にあるかが、atWill系を選ぶかどうかの答えになります。

もう少し詳しく知りたい方へ

atWill系の製品の詳細・見積もりは、提供元のSCSKにご確認ください。

会計や拠点まで含めて、クラウドERPと比べたい方は、ベンチャーネットにご相談ください。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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