バーチャル経営における生存戦略~小さな戦場の覇権を狙う「ブルーポンド戦略」

前回の記事では、ニッチを獲得するためのrK戦略について解説しました。実は、rK戦略のほかにもニッチ獲得のための方法論があります。中でも海外の有名企業が採用している戦略「ブルーポンド戦略」は、rK戦略(特にr戦略)との親和性が高いと言えます。今回は、中小企業の生存戦略立案に役立つ知識として、ブルーポンド戦略を紹介します。

目次

生存戦略=「ニッチ獲得の可能性を上げること」

まず、中小企業の生存戦略の基本的な方針を確認しておきましょう。中小企業が生存力を高めるには、ニッチを獲得することが早道です。ニッチという言葉には「オンリー1」や「隙間」というイメージがありますが、その本質は「限定された領域の王者」です。

前々回の記事でも紹介したように、ニッチの獲得は生命全体の中で当たり前のように存在しています。生命の世界では弱者が強者と真正面から勝負することは基本的にありえず、生息する場所や時間を少しずつずらしながら生きながらえてきました。その中で、「自分だけが勝つことができる(=生き残ることができる)領域」を限定し、現在まで種を存続させているわけです。

これはつまり「オンリー1とナンバー1は同時に成立させている」ことに外ならず、経営戦略にも応用できる考え方です。

経営の世界では弱者の立ち回りとして「ランチェスター第二法則」が有名ですが、ゴールが不明確で市場が頻繁に発生と消失を繰り返している現代では、r戦略のほうが適していると考えられます。つまり、強い者と戦うという選択肢を初めから除外し、いかに生き残るかという点のみに焦点を当て、戦略を練っていくべきなのです。

小さな池の覇者となる「ブルーポンド戦略」

前回紹介したrK戦略における「r戦略」は、質よりも数に注力するものでした。手数を増やしてニッチ獲得の可能性を上げ、最終的には小さな市場の覇者を目指すというのがr戦略の要諦です。しかし、単に手数を増やすだけでは生存戦略として不十分です。そこで、r戦略をより具体的に検討する際に役立つ考え方として、「ブルーポンド戦略」に目を向けてみましょう。
ブルーポンド戦略とは、その名のとおり「発見されていない小さな”池”を狙う」戦略です。経営やマーケティングの世界では「ブルーオーシャンを狙え」と言われますが、ブルーオーシャンとブルーポンドは似て非なる考え方です。

どちらもブルー(飽和状態にない)という点は同じですが、その規模と性質が大きく異なります。ブルーオーシャン戦略は「浸食されていない(中規模以上の)市場」を探し出して参入するという内容が一般的です。ただし、高度情報化社会においてブルーオーシャンはすぐにレッドオーシャン(飽和状態)になるという弱点があります。

そこで、海(オーシャン)よりももっと小さな池(ポンド)を探し、まずはそこで覇者を目指すという戦略がブルーポンド戦略です。ブルーポンドはその小ささゆえに大企業が参入しなかったり、そもそも認知されていなかったりと、レッドオーシャン化しにくいことが特徴です。また、複数のブルーポンドに参入し、それぞれで影響力を持つ存在になることより、ニッチ獲得の可能性を上げることができます。

ポンドをどう作り上げるか

ブルーポンド戦略は「小さな池」をいくつも発見し、そこに事業の種を投下していくことが第一歩です。では、ブルーポンドを発見する(あるいは探し出す)方法にはどうすれば良いのでしょうか。バーチャル経営では、以下のような施策が有効であると考えています。

ブルーポンドを探し、作り出すための余剰を確保

新しい池を発見するためには、リサーチにビジネスモデルの考案などにかかるリソースを確保する必要があります。新しいリソースを生み出す最も簡単な方法は、「仕事の廃棄」です。廃棄とは言っても、業務そのものを切り捨ててしまうわけではありません。自動化によって人間の手から仕事を切り離すことで、新しいリソースを生み出すのです。バーチャル経営では一般的な自動化対策であるRPAのほかにも、ABMやSEOなど比較的高度な業務の自動化も視野にいれています。

ビジネスモデルを安定的に生み出す

ブルーポンドを発見するきっかけとして「ビジネスモデルの考案」があります。いくつものビジネスモデルを生み出していく中で潜在的な需要や成長前の市場に気づくことがあるからです。バーチャル経営では、ビジネスモデルを安定的に生み出す方法として「BMC(ビジネスモデルキャンバス)」の活用を推奨しています。

ABMによる限定された濃い市場の探索

ABM(アカウントベースドマーケティング)を実践していく中でブルーポンドが見つかることもあるでしょう。ABMのターゲットとなる潜在顧客が抱えている課題や痛み(ペイン)が明確になることで、must have(無くてはならない)ものが見えてくるからです。また、これを積み重ねることで、一部の層から非常に濃い需要がある市場を発見することもあります。バーチャル経営では、この市場を「限定された濃い市場」と呼んでおり、この市場がブルーポンドになりえると考えています。

BtoB ECによってブルーポンドの中で顧客を囲い込み成長する

ブルーポンドや、ブルーポンドにつながりそうな顧客を発見したならば、積極的に囲い込むことが大切です。このとき役立つのがBtoB ECによる「顧客ごとに異なる価格、品目の提示」です。もともとBtoBの取引は顧客の要望によって価格や仕様を変更することが良くあります。これをECとして提供することで、有望な顧客の要求を効率よく満たし、囲い込みにつなげていくのです。ちなみにベンチャーネットで、「ABM Automation for EC」というツールを独自に開発し、ECサイトの構築運用を支援しています。

まとめ

ここでは、中小企業の生存戦略として、ブルーポンド戦略を紹介しました。ブルーポンド戦略はrK戦略におけるr戦略と同様に、中小企業の生存可能性を上げる施策であると考えられます。ただし、単に手数やターゲットを増やせば良いというものではなく、論理的に進めることが大切です。バーチャル経営では、さまざまな観点から中小企業の生存力強化に役立つ施策を紹介していく予定です。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

株式会社ベンチャーネット 代表取締役
2005年に株式会社ベンチャーネットを設立後、SEOをはじめとするデジタルマーケティング領域のコンサルティングサービスを展開
広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で支援を行っています
著書に『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業 「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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