近年、通信インフラの発達やITツールの発達により、新しい働き方が実現可能となりました。日本の生産性が海外とくらべて著しく低いことが、政府が「働き方改革」を提起するきっかけとなりましたが、実現のためには新しい働き方への変革が不可欠。RPAや裁量労働制など、さまざまな試みが見られますが、中でもとくに注目を集めているのが「リモートワーク」です。この記事では、リモートワークのメリットだけではなく、導入のためのポイントと注意点、成功例などについて解説をします。

新型コロナウイルスで注目されるリモートワークとは

2020年初頭より、中華人民共和国湖北省武漢市から徐々に世界へと拡大を続けている新型コロナウイルスは、日本でも広がっています。今のところ、毎年のように発生するインフルエンザほどの感染力は確認されていないものの、新型で詳細が不明であることから全国の企業が警戒していることでしょう。とくに都市部においては、社内の一人が感染することで、集団感染する恐れがあることから対策を迫られました。

そこで注目を集めたのが、自宅での勤務を実現する「リモートワーク」です。

リモートワークとは、その名称通り遠隔での仕事を実現するもので、インターネット環境とPCさえあれば仕事ができます。2020年3月の時点では、新型コロナウイルス対策として注目を集めていますが、ライフスタイルが多様化した今、新しい働き方を実現するための方法としても重要です。

リモートワークを導入するメリット

リモートワークを導入することには、数多くのメリットがあります。すべての具体例を挙げると、ここでは紹介しきれないため、中でも重要な3つのメリットについての解説です。現在でもすでにたくさんの企業や個人がリモートワークを実現していますが、今後さらに増えるのは確実でしょう。

メリット1:場所や時間の制約から解放される

リモートワークを実現できれば、働く場所や時間の制約から解放されます。

管理の問題があるにせよ「会社にいなくてもできる業務」「往復1時間以上の通勤時間」などは、考え方によっては削減可能なロスです。自宅のデスク前に座れば、会社にいるのと同じように業務ができるのであれば、出勤する必要はないのかもしれません。

もちろん「どれだけ業務が進捗したのかがわからない」「仕事をした量が見えにくい」といったデメリットはあるでしょう。しかしこうしたデメリットは、仕組みさえ構築できれば管理でき、それ以上のメリットがある点は認識しておく必要があります。

メリット2:個人のライフスタイルに合わせた働き方が可能

さまざまな選択肢のある現在では、個人のライフスタイルも尊重されなければなりません。こうした多様化するライフスタイルの実現のためにも、リモートワークは良い選択肢となり得るでしょう。これまで通り出勤してしっかりと働きたい方もいれば、育児などの関係で働きたいけど出勤がかなわない方、自由な勤務を求める方まで需要は千差万別。リモートワークは、こうした多様化するニーズにも応えやすくなるはずです。

メリット3:全国各地から有能な人材を雇用可能

場所の制約がなくなれば、人材は全国各地から集められます。

他府県に在住する有能な人材を、リモートワークで集められることは、人材不足に悩む企業にとっては大きなメリット。「どうやって集めるか」という問題はさておき、新しい雇用の方法として検討するのも十分な価値があるのではないでしょうか。

リモートワーク導入時のポイント

リモートワークは、無計画に導入しても失敗の恐れが高いです。なぜなら見えない場所で働いてもらうことになるため、「管理ができない」という問題や「コミュニケーションが取りづらい」といった問題があるため。
こうした問題を解決するためには、適切なツールの活用や管理方法を実践しなければなりません。ここでは3つのポイントをかんたんに説明します。

ポイント1:コミュニケーションツールの採用

何よりも大切となるのが、従業員やワーカーとの密なコミュニケーションです。

顔を合わせることができないため、その分、別の手段を使ってコミュニケーションを取らなければなりません。こうした問題を解決するためには、チャットワークやSlack、Teamsなどの業務用のメッセンジャーなどが必須です。

LINEなどでの代替を考える担当者も多いと思いますが、やめておいた方が無難。なぜなら仕事とプライベートを分けることや、ファイルのやり取りやログの追跡などを考えると業務用でなければ難しいからです。ほかにはSkypeなどのオンライン会議ツールや、サイボウズなどのグループウェアの活用も有効でしょう。

ポイント2:明確なタスク管理

会社に従業員・ワーカーがいない分、明確なタスク管理がなければ生産性を大きく落とす恐れがあります。

誰にも見られない環境で仕事をすることになるため、よほど自己管理のできる従業員でなければ、仕事をしなくなるリスクを避けられません。あまりにも厳しく管理するのも考えものですが、各従業員・ワーカーに対し、明確でわかりやすいタスクを割り振ることは非常に大切です。

ポイント3:わかりやすい評価制度

管理の問題とも直結しますが、従業員の仕事に関する評価をわかりやすくすることも大切です。

会社での仕事の評価の場合は、プロセスも含めての評価になるものですが、リモートワークの場合は比重を「成果物」にすることが大切でしょう。プロセスについて評価することは、現実的に考えて困難ですから、こなしたタスクやファイルなどの成果物が評価の中心となるのは必然です。これまでプロセスを評価されていた方からの反発は避けられませんが、全員のニーズを満たすのは難しいため、どこかで線引する必要があります。

リモートワーク導入時の成功例

リモートワーク導入の成功事例として、現在知られているのがサイボウズ社です。

東京オリンピック・パラリンピックや、地震や台風時のBCP対策の一環として、いち早く導入済み。東日本大震災時には、すでに導入済みであったとされ、リモートワークの重要性に早くから気づいていた企業です。リモートワーク採用時のルールなどを素早く整理し、はじめは「月に4回まで・事前申告あり」というルールで開始。現在では平常時でも「申告があれば何回でもリモートワーク可能」という環境が整っています。結果的に業務フローの見直しや従業員満足度の向上が見られ、かえってチームへの貢献意識が高まるなど、プラスの効果があるそうです。

なお自宅にネット環境がない社員の場合は、通信量無制限の通信端末でのテザリングで実現しているとのこと。さすがにこれは無理でも、自社で参考になるアイデアはマネしたいものですよね。

リモートワーク導入時の失敗例

リモートワークの失敗例としては「コミュニケーション」や「自由になることの弊害」などがよく見られます。

電話とメッセージだけでは、なかなかニュアンスが伝わらないといったディスコミュニケーションの問題が最もよく見られました。ほかにも「自由に働けるがゆえに、生活リズムが乱れてしまったり、集中力が続かない」といった問題や「一人で働くことの寂しさ」などもあります。また企業的には「適切な管理ができない」「評価が難しい」といった失敗例がありますが、ここはしっかりと計画を立てた上で、テストと改善を繰り返すことで十分リカバリできるはずです。