Odooの教科書の編集方針と執筆体制|Odoo情報の確認ルール・更新ルール

販売会社の資料には「Odooは無料で使えます」とある。別のサイトには、有償のプランの話が書いてある。どちらを信じて、来週の役員会に出せばいいのか。

ERPの検討は、会社の業務全体に関わる判断です。情報源が信頼できるかどうかも、内容と同じくらい重要です。迷ったときは、書き手がどんなルールで書いているかを見れば、判断の材料にできるかが分かります。

このページは、Odooの教科書の編集方針と執筆体制です。Odooの教科書は、ERP導入支援を手がけるベンチャーネットが運営しています。記事はすべて、決めたルールに沿った作りです。信頼性を言葉で主張する代わりに、運用しているルールをそのまま並べました。

Odooの機能・仕様・価格は、Odooの公式情報で確認してから書きます。確認できなかったことは、推測で埋めずに省きます(情報の確認ルール)。

このページを読むと、たとえば次のことが分かります。

  • 記事が扱う範囲と、税務・法務の判断など扱わない範囲
  • 「無料」を、どの版のどの範囲かで書き分ける表記のルール
  • バージョン更新や統計の改訂など、記事を見直すきっかけ
  • ほかのサイトや提案書を読むときに使える、5つの確かめ方

ご相談でOdooが合わなければ、合わないと伝えます。規模や要件が大きければNetSuite、グローバル展開や複雑な要件ならSAPも視野に入ります(執筆体制と確かめる順番)。

では、なぜOdooに不利に見えることまで書くのか。理由は「できないこと」も書く方針にあります。

Odooには、無料のCommunity版と有償のEnterprise版があります。このサイトでは、機能や費用に触れるとき、どちらの版の話なのかを必ず明示します。

目次

Odooの教科書が扱う範囲と、扱わない範囲

扱うのは、中小〜中堅企業がOdooを検討・導入・運用するための情報です。製品の仕組み、アプリごとの役割、導入の進め方、つまずきやすい論点などが入ります。

一方で、扱わないと決めている領域もあります。

Odooの教科書が扱う範囲と扱わない範囲 上に扱う範囲として製品の仕組みと版の違い・導入の進め方・運用の論点、下に扱わない範囲として個別事例の詳細・税務や法務や労務の判断・他社製品の優劣の断定を示した図。 扱う範囲と、扱わない範囲 扱う範囲 ・Odooの仕組みと版の違い ・導入の進め方と注意点 ・運用と体制づくりの論点 扱わない範囲 ・個別企業の事例の詳細 ・税務、法務、労務の判断 ・他社製品の優劣の断定 書けないことを書かないと決めることも、 編集方針のひとつです
Odooの教科書が扱う範囲と扱わない範囲

扱わない範囲は、次の3つです。

  • 個別企業の導入事例の詳細。守秘義務があるため、顧客名や案件の中身は書きません
  • 税務・法務・労務の専門的な判断。税理士・弁護士・社会保険労務士の領域にあたります
  • 他社製品の優劣の断定。比較は事実の整理にとどめます

書けないことを書かないと決めるのも、編集方針のひとつです。

Odoo情報の確認ルール(公式情報・バージョン・出典)

事実を書くときは、次の5つのルールで確かめています。

Odooの機能・仕様・価格は、Odooの公式情報で確認してから書く

記憶や他サイトからの転記はしません。公式ドキュメントや公式の価格ページで確認できた内容だけを載せます。

バージョンによって変わる情報は、どのバージョン時点かを明記する

Odooのメジャーバージョンアップは、原則として年1回です。そのため「Odoo 19時点」のように、時点を添えています。

確認できなかったことは書かない

裏が取れなかった項目は、推測で埋めずに省きます。推測の記述は、判断材料になりません。

公的な統計を使う場合は、出典名と確認時点を明記する

どの機関の数字で、いつ確認したのかを添えます。

日本の制度への対応可否は断定しない

インボイス制度や電子帳簿保存法などへの対応は、言い切りません。自社の要件に合うかは、専門家への確認をお願いしています。

このルールは、ほかのサイトや提案書を読むときの物差しにも使えます。社内会議に資料を出す前に、次の5点を確かめてみてください。

  • □ 「無料」と書いてあるとき、どの版のどの範囲かが示されているか
  • □ 機能の説明に、どのバージョン時点の話かが添えられているか
  • □ 数字に、出典名と確認した時期の記載があるか
  • □ インボイスや電子帳簿保存法への対応を、専門家の確認なしに言い切っていないか
  • □ 製品の弱点や、向いていない会社についても書かれているか

当てはまらない項目が多い資料は、判断の根拠にする前に裏を取るのが安全です。

表記と表現のルール(版・「無料」・金額の書き方)

読みやすさと正確さのため、表記にもルールを設けました。

ルール具体的な運用
版の区別Community版(無料・オープンソース)とEnterprise版(有償)を書き分ける
「無料」の扱い「Odooは無料」とは書かず、どの版のどの範囲が無料かを示す
金額Odooの公式価格ページに載っている範囲でのみ扱う
他製品との比較金額比較や「安い/高い」の断定はしない
経営指標の数値目安となる数値は書かない。比べ方を渡す
表現誇張した表現を使わない
一文の長さ40〜60字を目安にする

経営指標の数値を書かないのは、適正水準が業種や事業モデルで大きく変わるためです。代わりに「自社の過去の推移」「同業種の公表統計」という比べ方を渡します。

一文が短いのは、移動中のスマートフォンで読まれるからです。

Odooの「できないこと」も書く方針

このサイトには、Odooでできないことをはっきり書いた記事があります。代表的なものが次の3本です。

Odooでできないことを書いている3つの記事 給与計算の日本ローカライズ、向いていない会社の条件、製品としての弱点という3つのテーマを、はっきり書いていることを示した図。 「できないこと」を書いている記事 給与計算 日本向けの提供がない 専用ソフトと役割分担 向いていない会社 規模や要件が合わない ケースを明示する 製品の弱点 長所だけを並べない 検討前に判断できる 合わない読者に無理に勧めることは、 結果として誰の利益にもなりません
Odooでできないことを書いている3つの記事

なぜ、わざわざ不利に見えることを書くのか。

読者が自社に合わない選択をしないためです。合わないものを導入すれば、損をするのは導入した会社です。合わない読者に無理に勧めても、誰の利益にもなりません。

記事の更新ルール

一度書いて置きっぱなしにしない、というのも方針のひとつです。

  1. バージョンによって変わる情報は、Odooのメジャーバージョン更新時に見直す
  2. 公的統計にもとづく記述は、その統計が改訂された時点で見直す
  3. 記事には更新日を表示する。いつ時点の情報かが分かるようにするため
  4. 情報の誤りへの指摘を受け付ける。問い合わせ窓口から連絡できる

Odooは毎年のようにバージョンが上がります。去年正しかった記述が、今年も正しいとは限りません。

執筆体制と、記事の先で「自社の場合」を確かめる順番

運営しているのは、ERP導入支援を手がけるベンチャーネットです。

ベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。特定の製品に誘導する必要がない立場です。だから比較記事でも、規模や要件で正直に振り分けられます。

記事は一般論です。「自社の場合はどうか」のご相談では、記事と同じルールで次の順に確かめます。

  1. 話の前提をそろえる。検討しているのがどの版・どのバージョンかを、最初に確認します
  2. 3〜5年後の姿を聞く。社員数や拠点、事業の広がりから逆算し、Odooの規模帯に収まるかを見ます
  3. 標準機能に業務を合わせられるかを見る。Fit to Standard(標準機能に業務を合わせる考え方)で、標準で回る業務と回らない業務を分けます
  4. 専門家の判断が要る論点を切り分ける。給与計算や税務の扱いは、税理士・社会保険労務士への確認事項として整理します
  5. 合わなければ、合わないと伝える。規模や要件が大きければNetSuite、グローバル展開や複雑な要件ならSAPも視野に入ります

規模で迷うときの比べ方は、NetSuiteの教科書のOdooとNetSuiteの比較にまとめています。SAPの製品の種類や向く企業は、SAPとはが参考です。

パッケージに乗らない固有の業務が中心なら、AIスクラッチ開発も選択肢です。ライセンス費はかかりませんが、開発費と保守費が別途かかります。その前提も含めて、課金の仕組みの違いとしてお伝えするのがベンチャーネットのやり方です。

もうひとつ、正直に書いておくことがあります。Odooのパートナー契約は、現在準備中の段階です。

そのためこのサイトでは、公式のパートナーであるという呼称を使っていません。契約が締結されるまでは名乗りません。名乗れる状態でないのに名乗れば、このページのルールと矛盾します。

なお、支援実績の件数や顧客名は、機密保持のため記載していません。

編集方針についてよくある質問

このサイトの情報はどのくらいの頻度で更新されますか?

決まった周期はなく、きっかけがあったときに見直します。主なきっかけは、Odooのメジャーバージョン更新と、公的統計の改訂です。記事ごとの更新日をご確認ください。

Odooの公式情報とこのサイトの情報が違っていた場合はどうすればよいですか?

Odooの公式情報を優先してください。このサイトの記述は、確認した時点の公式情報にもとづいています。そのあとで仕様が変わっている可能性があります。

記事の内容に誤りを見つけた場合はどうすればよいですか?

問い合わせ窓口からご指摘ください。内容を確認のうえ、必要であれば修正します。

特定の製品を勧めるために書かれていませんか?

勧めるために書いてはいません。Odooだけを扱うサイトなので、そう見えるのは自然だと思います。

ただ、ベンチャーネットはOdoo以外の選択肢も扱います。Odooに決まらなければ困る、という立場ではありません。

その根拠が、「できないこと」も書く方針で挙げた記事群です。給与計算の日本対応がないこと、向いていない会社、製品の弱点。勧めるためだけに書くなら、これらは書かない内容です。

Odooの教科書の情報は、何をもとに書いていますか?

Odooの公式情報で確認できた内容をもとに書いています。機能・仕様・価格は、公式ドキュメントや公式の価格ページで確かめてから載せます。裏が取れなかった項目は、推測で埋めずに省きます。バージョンで変わる情報には時点を、統計の数字には出典名と確認時点を添えます(Odoo情報の確認ルール)。

まとめ

  • 扱う範囲と扱わない範囲を決め、書けないことは書かない
  • Odooの機能・価格は公式情報で確認し、確認できなかったことは書かない
  • Community版とEnterprise版の区別、バージョン時点、出典と確認時期を明記する
  • Odooでできないこと、向いていない会社もはっきり書く
  • パートナー契約は準備中のため、公式のパートナーという呼称は使わない

役員会に出す資料を選ぶとき、冒頭の「無料」と「有償」のどちらを信じるかは、この5点で見分けられます。編集方針は、書いた時点だけ守られていても意味がありません。運用を変えたときは、このページも書き換えます。

1年後、次のメジャーバージョンが出たあとにこのサイトを開いてみてください。各記事の「どの版・いつ時点」の注記が新しくなり、このページのルールと食い違っていないはずです。

もう少し詳しく知りたい方へ

ベンチャーネットは、ERP導入支援を手がける会社です。NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しているため、特定の製品に偏らない立場でご提案できます。

記事の内容についてのご指摘や、自社の場合はどうかというご相談を承っています。

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この記事を書いた人

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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