「Odooの料金は分かりやすいと聞いた。でも、結局うちはいくらかかるのか」。料金ページを開いても、社内で説明できる数字にならない。そんな声をよく聞きます。
料金の仕組みそのものは、思いのほか単純です。有償のEnterprise版には3つの料金プランがあり、料金はアプリの数ではなくユーザーの数で決まります。販売から始めて在庫や会計を足しても、ライセンスの考え方は変わりません。無料のCommunity版には、料金プランという区分がありません。
有償プランには、無制限サポート・クラウドホスティング・メンテナンスも含まれます(サポートとホスティング)。
料金の仕組みが分かると、たとえば次のことを社内で説明できます。
- 1つの業務だけなら、無料のプランで試せること
- 年払い・月払いと、初年度の割引の条件
- スタンダードプランでは使えない機能と、その確かめ方
- ライセンスのほかに、総額に加わる費用
ただ、ライセンスの単価だけを掛け算して稟議に出すと、あとで別の費用が見つかります。業務範囲やカスタマイズの度合いによっては、導入費用がライセンス費用を上回ることもあるからです。
では、稟議に出せる総額にするには、ほかに何を数えればよいのか。ERP導入支援を手がけるベンチャーネットの手順は、見積もりの前に数える5つのことにまとめました。良い点と注意点を先に見たい方は、料金体系のメリットと注意点をご覧ください。
Odooの料金・価格プランは3つ
Odooの料金プランは、大きく3つに分かれます。
Odoo公式の日本語ページでの表記は「シングルアプリ無料プラン」「スタンダードプラン」「カスタムプラン」です。英語ページの「One App Free」「Standard」「Custom」に対応します。
3つとも、Enterprise版(有償)のプランです。無料のCommunity版には、料金プランという区分がありません(Community版の費用構造)。
シングルアプリ無料プラン(One App Free)
1つのアプリだけを、無料で使えるプランです。
Odoo公式によれば、Odooオンライン上のデータベースで、1アプリをユーザー数無制限・無期限で利用できます(出典:Odoo公式ブログ、2026年9月確認)。
まず1つの業務だけを試したいときの入口です。ただし、複数のアプリを連携させる使い方はできません。
スタンダードプラン(Standard)
すべてのアプリを利用できる有償プランです。
提供されるのは、Odooオンラインというクラウド基盤の上です。カスタムモジュール(自社向けに追加開発した機能)なしで、データベースをホスティングする形になります(出典:Odoo公式料金ページ、2026年9月確認)。
多くの中小企業にとって、最初の候補はこのプランです。
カスタムプラン(Custom)
スタンダードの内容に加えて、より高度な使い方に対応するプランです。
Odoo公式によれば、カスタムプランではホスティング方法を3つから選べます(出典:Odoo公式料金ページ、2026年9月確認)。
- Odooオンライン(追加料金なし)
- Odoo企業版をダウンロードして自社でホスティング
- Odoo.sh(開発・テスト・本番環境をホスティングするプラットフォーム)
Odoo Studio(ノーコード開発)、マルチカンパニー(複数会社の管理)、外部API。この3つを使うなら、カスタムプランになります。いずれもスタンダードプランには含まれません。
※具体的な金額は、Odoo公式の料金ページでご確認ください。 プランの価格は改定されることがあり、地域によっても異なります。
スタンダードでは使えない3つの機能
プラン選びで、もっとも事故が起きやすいのがこの3つです。
Odoo公式のドキュメントでは、次の3つはカスタムプラン限定の機能とされています。スタンダードプランには含まれません。
| 機能 | スタンダードプラン | カスタムプラン |
|---|---|---|
| Odoo Studio(ノーコード開発) | 使えない。インストールするとカスタムプランへのアップセルが発生する | 使える |
| マルチカンパニー(複数会社の管理) | 使えない。有効にするとカスタムプランへのアップセルが発生する | 使える |
| 外部API(他システムとの連携) | 使えない。シングルアプリ無料プランでも使えない | 使える |
アップセルとは、上位プランへの切り替えを求められることです。Studioを入れても、マルチカンパニーを有効にしても、同じことが起きます。
「スタンダードで足りる」と見積もったあとで、実はカスタムが必要だったと分かる。費用の見通しが崩れる典型が、これです。
プランを決める前に、次の3点を社内で確かめてください。
- □ 標準の画面や項目のままで業務が回るか。項目の追加が必要ではないか
- □ 複数の法人や事業所を、1つのデータベースで扱う予定があるか
- □ 会計ソフトや自社サイトなど、他のシステムとAPIでつなぐ予定はないか
1つでも当てはまるなら、カスタムプランを前提に見積もるほうが安全です。
※出典:Odoo公式の記載(2026年10月確認)
自社はどのプランに当たりそうか
経営会議で方向をそろえるための目安です。最終判断は、業務範囲を整理してから行ってください。
| 自社の状況 | 当たりそうな選択肢 |
|---|---|
| まず1つの業務だけを試したい | シングルアプリ無料プラン |
| 複数の業務をつなぎたい。標準機能に業務を合わせられる | スタンダードプラン |
| 項目の追加、複数法人の管理、他システムとの連携が要る | カスタムプラン |
| 社内に技術者がいて、保守まで自分たちで担える | Community版(無料)も候補 |
Odooの課金の仕組み|「全アプリ一律」の意味とメリット
Odooの料金には、多くの業務システムと違う点があります。アプリを足しても、料金が増えないことです。
アプリの数ではなく、ユーザーの数で決まる
有償プランでは、いくつアプリを使っても料金は変わりません。
Odoo公式は、1つのアプリの料金ですべてのOdooアプリにアクセスできると説明しています(出典:Odoo公式ブログ、2026年9月確認)。料金を決めるのは、システムを使う人の数です。
一般的な業務システムでは、機能を追加するたびに費用が増えることがよくあります。Odooは、そこで構造が違います。
この仕組みが意味すること
経営の目で見た意味は、3つです。
業務範囲を広げても、ライセンス費用は増えない
販売だけで始め、後から在庫や会計を足しても、ライセンスの考え方は変わりません。段階的に広げやすい構造です。
少人数から始められる
最初から全社に展開する必要はありません。数名分から契約して、本番と同じ環境で試せます。
使う人が増えると費用が増える
現場の担当者まで広く使うほど、費用は上がります。誰がシステムに入るのかを先に決めておけば、費用の見通しが立ちます。
サポートとホスティングは含まれる
Odoo公式によれば、有償プランには3つが含まれます(出典:Odoo公式ブログ、2026年9月確認)。無制限サポート、Odooオンラインによるクラウドホスティング、メンテナンスです。
サーバー費用やサポート費用を、別に積み上げなくてよい。費用を見通すうえで、分かりやすい部分です。
Odooの料金体系のメリットと注意点
課金の構造で見ると、Odooの料金体系には次の良い点と注意点があります。金額の高い安いではなく、費用の増え方の話です。
メリット
- アプリを足しても料金が増えない:有償プランの料金は、アプリの数ではなくユーザーの数で決まる
- 1つの業務なら無料で始められる:Enterprise版のシングルアプリ無料プランは、1アプリをユーザー数無制限・無期限で使える(アプリの連携はできない)
- 少人数から本番と同じ環境で試せる:最初から全社分を契約しなくてよい
- サポートとホスティングが含まれる:有償プランには、無制限サポート・クラウドホスティング・メンテナンスが含まれる
- ライセンスの単価が公開されている:使う人数とプランが決まれば、ライセンス費用の見通しが立つ
注意点
- 使う人が増えると費用が増える:現場の担当者まで広く使うほど、ライセンス費用は上がる
- 3つの機能はカスタムプラン限定:Studio・マルチカンパニー・外部APIは、スタンダードプランでは使えない
- 別の課金と割引の条件がある:SMS送信などはアプリ内課金。初年度の割引は、契約時のユーザー数までが対象
- ライセンスだけでは総額は決まらない:導入・移行・教育・保守が加わり、導入費用がライセンス費用を上回ることもある
両方を並べると、次の図のとおりです。
注意点の多くは、プランを決める前の確かめ方で避けられます。機能の確かめ方はスタンダードでは使えない3つの機能で、総額の出し方は見積もりの前に数えることで説明しています。
Odooの料金を左右する4つの要素
ライセンス費用の見積もりは、次の4つで動きます。
| 要素 | 費用への影響 |
|---|---|
| ユーザー数 | ライセンス費用に直結する。バックエンドを使う人の数 |
| プラン(スタンダード/カスタム) | Studio・マルチカンパニー・外部API・Odoo.shが必要かで決まる |
| 契約期間・支払い方法 | 年払いと月払い、契約年数で条件が変わる |
| エディション(Community/Enterprise) | 無料版を選ぶ場合、費用の構造がまったく変わる(Community版の費用構造) |
バックエンドとは、社員が業務で操作する管理側の画面のことです。
月払いを選べるのは、クラウドでのホスティングだけです。Odoo公式は、月次プランはクラウドホストオプションのみで利用できると案内しています(出典:Odoo公式料金ページ、2026年9月確認)。
SMS送信やAIによる請求書・経費のスキャンなど、一部の機能はアプリ内課金として別に扱われます(出典:Odoo公式料金ページ、2026年9月確認)。
年払いと月払い、初年度の割引
Odoo公式の料金ページには、年払いと月払いの両方の表示があります。切替式で、どちらを選ぶかで条件が変わる仕組みです。
初年度の割引も記載されています。Odoo公式によれば、割引は最初に契約したユーザー数に対して、12か月間有効です。
割引が効くのは、契約時のユーザー数まで。導入後に人数を増やす前提なら、2年目以降の費用も含めて見積もってください。
※出典:Odoo公式の記載(2026年9月確認)
Odooの総費用はライセンスだけでは決まらない
稟議のあとで「別の費用」が見つかるのは、ここを数えていないからです。
ライセンス以外に必要になるもの
基幹システムの導入では、ライセンス以外に次の費用が発生します。
- 導入支援・設定:業務に合わせた初期設定
- 業務設計:どの業務をどう回すかの整理
- データ移行:既存システムやExcelからのデータ移し替え
- カスタマイズ:標準機能で足りない部分の開発
- 教育・定着支援:現場が使えるようになるまでの支援
- 保守・運用:稼働後の問い合わせ対応やバージョンアップ対応
業務範囲やカスタマイズの度合いによっては、導入費用がライセンス費用を上回ることもあります。
なぜそうなるのか
ERPの費用の大半は、ソフトウェアそのものではなく「自社の業務に合わせる作業」に発生するからです。
これはOdooに限りません。ただ、Odooはライセンスの単価が公開されています。そのぶん「ライセンスが安い=導入も安い」という誤解が起きやすい面があります。製品を問わない費用の相場と段取りは、ERP導入の費用と段取りの記事が参考です。
総費用を抑える現実的な方法
いちばん効くのは、標準機能に業務を合わせることです。この考え方をFit to Standardと呼びます。
カスタマイズを減らせば、開発費用も保守費用も下がります。バージョンアップもしやすくなる。「本当に作り込むべき部分」を最初に絞る作業が、結果として総費用をいちばん左右します。線の引き方は、標準に合わせる部分と自社流で残す部分の記事が参考です。
無料のCommunity版を選んだときの費用構造
無料のCommunity版を選ぶと、費用の構造が変わります。
なくなるもの
- ライセンス費用
残るもの・増えるもの
- サーバーの費用(自社設置またはクラウド)
- 構築・保守の工数
- バージョンアップ対応の工数
- 不具合対応の時間
- 支援を外部に頼む場合はその費用
費用が「ライセンス」から「人と時間」に置き換わる構造です。社内に技術者がいれば内製できます。いなければ、外部に依頼することになります。
また、Community版には、会計をはじめとするEnterprise版限定の機能が含まれません。詳しくはCommunity版とEnterprise版の違いの記事をご覧ください。
ベンチャーネットが見積もりの前に数えること
ベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。だから最初から製品やプランを決めず、次の順で数えます。
1. 3〜5年後の業務範囲を決める
いま困っている業務だけでなく、数年後にOdooで扱いたい業務まで書き出します。費用のすべての起点は、ここです。途中で法人が増える見込みがあれば、この段階でプラン選びが変わります。
2. バックエンドに入る人を名前で数える
「営業部全員」ではなく、誰が入力し、誰が見るだけかを分けます。ライセンス費用を決めるのは、ここです。見るだけの人をどう扱うかも、この段階で整理します。
3. 標準機能で回るかを先に確かめる
Fit to Standardの考え方で、画面や項目の追加が本当に要るかを見ます。要るならカスタムプランが前提です。作り込む費用と保守の費用も加わります。考え方はOdooとFit to Standard|標準機能に業務を合わせる考え方で解説しています。
4. 少人数で、本番と同じ環境で試す
いきなり全社分を契約する必要はありません。数名分から始めて、自社の業務が回るかを試します。
5. ライセンス以外を足して総額を出す
導入・移行・教育・保守を加え、初年度と2年目以降を分けて並べます。
数えた結果、Odooが合わないと分かることもあります。人数や拠点が増えて要件が重いならNetSuite(課金の仕組みはNetSuiteの料金・ライセンス体系を参照)。パッケージに乗らない固有業務が中心なら、AIスクラッチ開発が候補です。AIスクラッチ開発はライセンスがない代わりに、開発費と保守費が別にかかります。合わないときは、その結論を正直にお伝えします。
よくある質問
アプリを増やすと料金は上がりますか?
上がりません。有償プランでは、アプリの数で料金は変わりません。
Odooは「1つのアプリの料金で、すべてのアプリにアクセスできる」という考え方を採っています。料金を決めるのはユーザー数です。1業務から始めて後から範囲を広げる進め方と、相性のよい構造です。
お客様や取引先の分も課金されますか?
通常は課金されません。課金の対象は、バックエンドを使うユーザーです。
ECサイトの訪問者や、ポータル経由で情報を見るだけの取引先は、通常この対象に含まれません。詳しい条件は、公式の料金ページで確認できます。
見積もりを依頼する前に、社内で何をそろえればよいですか?
業務範囲、ユーザー数、現在のシステムとデータの状況の3つです。
業務範囲とは、どの業務をOdooで扱うかです。3つがそろっていると、見積もりの精度が上がります。曖昧なままだと、どの会社に依頼しても正確な見積もりは出せません。
費用面でOdooと他のERPを比べるには?
同じ業務範囲を満たす総額で並べて比べます。金額だけの比較は、あまり意味を持ちません。
製品によって、想定する規模も費用の発生の仕方も違うためです。「自社の業務範囲を満たすのに、総額でいくらかかるか」を同じ条件でそろえる。この整理自体が、選定の実務のかなりの部分を占めます。
Odooは無料で使えますか?
条件つきで無料になる使い方が2つあります
1つは、Enterprise版のシングルアプリ無料プランです。Odooオンライン上で、1つのアプリをユーザー数無制限・無期限で使えます。ただし、複数のアプリを連携させる使い方はできません。
もう1つは、無料のCommunity版です。ライセンス費用はかかりませんが、サーバーの費用や構築・保守の工数は残ります。会計をはじめとするEnterprise版限定の機能も含まれません(Community版の費用構造)。
まとめ:費用は「業務範囲」から決まる
- Odooのプランは3つ。有償プランはアプリ数ではなくユーザー数で料金が決まる
- Studio・マルチカンパニー・外部APIはカスタムプラン限定。スタンダードでは使えない
- 有償プランには、サポート・ホスティング・メンテナンスが含まれる
- 料金体系の良さは、アプリを足しても増えず、少人数から試せること。注意点は人数・プラン・ライセンス以外の費用
- 総額はライセンス費用だけで決まらず、導入・移行・教育・保守が加わる
- 費用を抑える最大の要素は、カスタマイズを減らすこと
- 具体的な金額は、Odoo公式の料金ページで最新をご確認ください
費用の話は、突き詰めると「どの業務をシステムに乗せ、どこまで自社に合わせるか」という設計の話です。つまり、経営の判断です。
1年後、新しい部署が「うちもOdooを使いたい」と言ってきても、増えるのは入る人の分だと、その場で答えられる。年度の途中で上位プランへの切り替えに慌てることもなく、来期の予算は、人数と業務範囲の表から組み立てられています。
もう少し詳しく知りたい方へ
「自社の業務範囲と人数だと、どのプランになり、総額はどう組み立てるのか」。業務の棚卸しの段階から、ご相談ください。
関連記事
