Odooのアプリストアの使い方と注意点|第三者モジュールの選び方

Odooには、第三者が開発したモジュールを公開する場があります。

数多くのモジュールが登録されており、標準機能では足りない部分を補える可能性があります。

日本固有の要件に対応するモジュールも、ここで見つかることがあります。

一方で、注意すべき点も多い領域です。この記事では、選び方と確認事項を整理します。

アプリストアの入口は Odoo Apps です。

目次

【前提】導入形態によって、使えるかどうかが変わります

先にお伝えすべき重要な点があります。

導入形態によって第三者モジュールを導入できるかが変わることを示した図 Odoo Onlineではカスタムモジュールやサードパーティモジュールを導入できず、Odoo.shとオンプレミスでは導入できるという、導入形態による制約の違いを示した図です。 まず、自社の導入形態を確認してください Odoo Online(SaaS) 第三者モジュールを導入できません この記事の内容は、そのままでは適用されません Odoo.sh(PaaS) 導入できます オンプレミス 導入できます モジュールが必要なら、導入形態の選択に影響します

この点を先に確認してください

Odoo Onlineでは、第三者が開発したモジュールを導入できません。

つまり、「このモジュールを使いたい」という要件がある場合、導入形態の選択そのものに影響します。

検討の順序としては、次のようになります。

  1. 必要な機能が標準にあるか確認する
  2. なければ、モジュールで解決できるか調べる
  3. モジュールが必要なら、Odoo.shかオンプレミスを選ぶ

詳しくは Odoo Onlineとは?Odooの導入形態3つを比較 をご覧ください。

何が公開されているのか

Odooのアプリストアには、次のようなモジュールが登録されています。

種類内容
機能を追加するもの標準にない業務機能を足す
地域対応のもの各国の制度や商習慣に合わせる
外部サービスとの連携決済、配送、他システムとの接続
画面や帳票の調整見た目や出力の変更
業種特化のもの特定業界向けの機能

無償のものと有償のものがあります。

日本対応のモジュールについて

日本固有の要件に対応するモジュールも公開されています。

適格請求書の様式、日本の会計要件、国内サービスとの連携など。標準機能では埋まらない部分を補える可能性があります。

日本対応の全体像は Odooの日本対応状況 にまとめています。

ただし、次章の注意点を必ずお読みください。

【最重要】選ぶ基準は「機能」ではありません

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい点です。

第三者モジュールを選ぶときに確認すべき5つの項目を示した図 機能が足りるかという観点だけでなく、更新が続いているか、対応バージョン、開発元、ライセンス、サポートの有無という5つを確認すべきであることを示した図です。 「動くか」より「動き続けるか」 ① 更新が続いているか 最終更新はいつか。新しいバージョンに対応しているか ここが最重要。止まっていたら要注意 ② 対応バージョン 自社が使うバージョンに対応しているか ③ 開発元 企業か個人か。他にどんなモジュールを出しているか ④ ライセンス Odoo本体とは別。条件を確認する ⑤ 問題が起きたときに誰に聞けるか

①が決定的に重要です

モジュールの作者が更新をやめると、Odooのバージョンアップができなくなることがあります。

これは深刻な問題です。

  • Odoo本体は年1回バージョンが上がる
  • モジュールが新バージョンに対応しなければ、動かない
  • そのモジュールに業務が依存していると、上げられない
  • 古いバージョンを使い続けると、サポート対象外になる

つまり、モジュールひとつが会社全体のバージョンアップを止めることがあります。

考え方は Odooのバージョンアップとサポート期間 にまとめています。

確認の方法

最終更新の日付と、対応しているバージョンの一覧を見てください。

  • 最新のバージョンに対応しているか
  • 過去のバージョンにも継続して対応してきたか

「過去数世代にわたって更新が続いている」という履歴があれば、比較的安心できます。

逆に、数年前で更新が止まっているものは、慎重に判断してください。

ライセンスは本体とは別です

見落とされやすい点です。

アプリストアで公開されているモジュールは、それぞれ独自のライセンスを持っています。 Odoo本体のライセンスとは別の話です。

確認すべきは次の点です。

  • 商用利用に制約はないか
  • 改変や再配布の条件はどうか
  • 有償の場合、ライセンスの範囲はどこまでか(ユーザー数、データベース数など)

個別の判断は、必要に応じて弁護士にご確認ください。

Odoo本体のライセンス構造は Odooのライセンスを解説 にまとめています。

導入前に必ずやること

(1) 検証環境で試す

いきなり本番に入れないでください。

モジュールは本体の動作に影響を与えることがあります。他のモジュールと競合することもあります。

Odoo.shには検証用の環境が用意されています。詳しくは Odoo.shとは? をご覧ください。

(2) 依存関係を確認する

あるモジュールが、別のモジュールを必要とすることがあります。

芋づる式に導入するモジュールが増えると、そのすべてが保守の対象になります。

(3) 入れる数を絞る

モジュールは、少ないほど安全です。

「便利そうだから」で増やすと、バージョンアップのたびに確認する対象が増えます。

本当に必要なものだけに絞ってください。

(4) 標準機能で代替できないか再確認する

意外とあるのが、標準の設定で実現できたというケースです。

モジュールを探す前に、標準機能の範囲を確認してください。考え方は OdooとFit to Standard にまとめています。

コミュニティが提供するモジュール

アプリストアとは別に、コミュニティが開発・保守しているモジュール群もあります。

企業や個人が単独で作るものとは、保守の体制が異なります。

詳しくは OCAとは?Odooコミュニティモジュールの活用 をご覧ください。

よくある質問

Q1. 無料のモジュールは使っても大丈夫ですか?

無料か有償かより、更新が続いているかを見てください。

有償でも更新が止まることはありますし、無料でも長年保守されているものもあります。

Q2. どのくらいの数を入れてよいですか?

少ないほど安全です。数の上限はありませんが、増やすほどバージョンアップの負担が増えます。

「これがないと業務が回らない」というものに絞ることをおすすめします。

Q3. 日本対応のモジュールはありますか?

公開されているものがあります。ただし、更新の継続性と、自社の要件を満たすかを必ず検証してください。

税務に関わる部分は、顧問税理士の確認も必要です。

Q4. モジュールが動かなくなったらどうなりますか?

その機能が使えなくなります。 代替を探すか、自社で改修するか、業務のやり方を変えるかの判断になります。

だからこそ、事前に「止まったら何が困るか」を考えておいてください。

Q5. 自社でモジュールを作れますか?

技術者がいれば可能です。ただし、作ったものは自社で保守し続けることになります。

バージョンアップのたびに確認と修正が必要です。考え方は Odooのカスタマイズはどこまでやるべきか をご覧ください。

まとめ

Odooのアプリストアには、標準機能では足りない部分を補うモジュールが多数公開されています。日本固有の要件に対応するものもあります。

ただし、その前に確認すべきことがあります。

Odoo Onlineでは、第三者モジュールを導入できません。 モジュールが必要な要件があるなら、導入形態の選択そのものに影響します。

そして、選ぶ基準について。「機能が足りるか」ではなく「動き続けるか」で選んでください。

いちばん重要なのは、更新が続いているかです。

Odoo本体は年1回バージョンが上がります。モジュールが新バージョンに対応しなければ、そこで止まります。モジュールひとつが、会社全体のバージョンアップを止めることがあります。

確認すべきは5つ。更新の継続性、対応バージョン、開発元、ライセンス、そして問題が起きたときの相談先。

導入前には、検証環境で試し、依存関係を確認し、入れる数を絞ってください。

そして最後に。モジュールを探す前に、標準機能で代替できないかを再確認してください。 設定で実現できるケースは、意外と多くあります。

もう少し詳しく知りたい方へ

ベンチャーネットは、ERP導入支援を手がける会社です。SAP・NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発という4つの選択肢を扱っているため、特定の製品に偏らない立場でご提案できます。

モジュールを増やす提案は、慎重に行っています。 増やすほど将来の負担になるためです。まず標準機能でどこまで実現できるかの検証からご相談を承っています。

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この記事を書いた人

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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