OCAとは?Odooコミュニティモジュールの活用と注意点

Odooのモジュールを調べていると、「OCA」という略称をよく見かけます。

Odoo Community Association。Odooのコミュニティによる非営利の団体です。

この団体が公開しているモジュール群は、第三者モジュールの中でも独特の位置づけにあります。

この記事では、その位置づけと、活用するときの注意点を中立に整理します。

なお、外部サイトのURLは本文に記載していません。 名称でご検索ください。

目次

OCAの位置づけ

Odoo公式、OCA、個別の開発元という3つの提供元の位置づけを示した図 Odoo社が提供する標準機能、コミュニティ団体が共同で保守するモジュール群、個別の企業や個人が提供するモジュールという3つの層があり、それぞれ保守の体制とサポートの有無が異なることを示した図です。 モジュールの提供元は3層に分かれる ① Odoo社の標準機能 開発元が保守。Enterprise版は公式サポートあり 最も安心して使える層 ② コミュニティ(OCA) 複数の開発者が共同で保守。公式サポートではない 個人依存になりにくいのが特徴 ③ 個別の企業・個人 提供元が単独で保守。方針次第で更新が止まる 継続性の確認がとくに重要

②が持つ意味

OCAの最大の特徴は、保守が個人に依存しにくいことです。

個別の企業や個人が公開するモジュールでは、その提供元が更新をやめれば、そこで止まります。

一方、コミュニティが共同で保守するモジュールでは、複数の開発者が関わります。誰か一人が離れても、他の人が引き継ぐ可能性が残ります。

これは、長く使ううえで重要な性質です。

第三者モジュール全般の選び方は Odooのアプリストアの使い方と注意点 にまとめています。

【重要】公式サポートではありません

はっきりお伝えします。

OCAのモジュールは、Odoo社の公式サポートの対象ではありません。

  • Odoo社に問い合わせても、対応の対象外です
  • 不具合があっても、修正の保証はありません
  • 自己責任での利用が前提です

「コミュニティが保守している」ことと、「サポートが受けられる」ことは別です。

では、どう向き合うか

現実的な選択肢は3つです。

方針内容
使わない標準機能の範囲に収める。最も安全
自社で扱う技術者が中身を確認し、必要なら自社で修正する
支援先と使う導入を支援する事業者と相談しながら使う

社内に技術者がおらず、支援先とも相談できない状態で使うのは、おすすめできません。

どんなモジュールがあるのか

OCAでは、分野ごとにモジュール群が整理されています。

分野の例内容
会計まわり帳票、レポート、財務関連の補助機能
在庫・物流標準にない在庫の扱い方
販売・購買業務の細かい要件への対応
地域対応各国の制度や商習慣に合わせる
開発の補助技術者向けの共通部品

日本向けのモジュールについて

日本の要件に対応するモジュール群も存在します。

各国の地域対応は、国ごとに整理されています。日本向けのものも、その中に含まれています。

ただし、次の点を確認してください。

  • 自社が使うバージョンに対応しているか
  • 必要な要件を満たしているか
  • 更新が継続しているか

「日本向けモジュールがあるから大丈夫」とは考えないでください。 中身と継続性の確認が必要です。

日本対応の全体像は Odooの日本対応状況 にまとめています。

導入する場合の確認事項

コミュニティモジュールを導入する際の確認手順を示した図 標準機能で代替できないかの確認、対応バージョンと更新状況の確認、検証環境での動作確認、そして止まったときの代替案の検討という4つの手順を示した図です。 この順序で確認してください ① 標準機能で代替できないか 設定で実現できるケースは意外と多い ② 対応バージョンと更新状況 自社のバージョンに対応しているか ③ 検証環境で動かす 他のモジュールとの競合も確認する ④ 止まったときの代替案を、先に考えておく

④を強調します

「このモジュールが将来使えなくなったら、どうするか」

これを導入前に考えておいてください。

  • 業務のやり方を変えれば済むか
  • 代わりのモジュールがあるか
  • 自社で改修できるか

答えが「何もできない」なら、そのモジュールに業務を依存させるのは危険です。

とくに、日々の業務が止まる領域(受注、出荷、請求)では慎重に判断してください。

Odoo Onlineでは使えません

前提として重要な点を再掲します。

Odoo Online(SaaS版)では、コミュニティモジュールを含む第三者モジュールを導入できません。

使いたいモジュールがあるなら、Odoo.shかオンプレミスを選ぶ必要があります。

詳しくは Odoo Onlineとは?Odooの導入形態3つを比較 をご覧ください。

ベンチャーネットの考え方

正直にお伝えします。

コミュニティモジュールを、積極的に推奨も否定もしません。

保守が個人に依存しにくいという性質は、明確な利点です。一方で、公式サポートの対象外であることも事実です。

判断は、次の条件で分かれます。

状況考え方
社内に技術者がいる中身を確認したうえで、選択肢に入れられる
支援先と相談できる継続性を含めて一緒に判断できる
どちらもない標準機能の範囲に収めるほうが安全

最終行を強調します。 技術的に確認できる人がいない状態でモジュールを増やすと、問題が起きたときに動けなくなります。

そして、そもそもの話として。モジュールが必要な要件が多い場合、パッケージが合っていない可能性もあります。

その場合は、必要な機能だけを自社資産として作るAIスクラッチ開発という選択肢もあります。ただしライセンス費用がかからない代わりに、開発費と保守費が別途かかります。判断材料は パッケージERPかスクラッチ開発か に整理しました。

よくある質問

Q1. OCAのモジュールは無料ですか?

オープンソースとして公開されています。ただし、無料なのはモジュール自体です。

導入、検証、保守、問題が起きたときの対応。これらの手間は発生します。

Q2. Odoo社のサポートは受けられますか?

対象外です。 公式サポートは、Odoo社が提供する機能が対象です。

Q3. 信頼できるのですか?

「コミュニティが保守している」ことは、品質を保証するものではありません。

モジュールごとに、更新の状況や対応バージョンを確認してください。一律に判断できる話ではありません。

Q4. 日本の適格請求書に対応できますか?

「対応するモジュールがあるから満たせる」とは考えないでください。

要件を満たすかは、実際のデータで検証が必要です。そして税務に関わる部分は、顧問税理士の確認も必要です。

考え方は Odooのインボイス制度(適格請求書)対応 をご覧ください。

Q5. バージョンアップのときはどうなりますか?

モジュールが新しいバージョンに対応しているかを確認する必要があります。

対応していなければ、そのモジュールが使えなくなるか、バージョンアップを見送ることになります。

考え方は Odooのバージョンアップとサポート期間 にまとめています。

まとめ

OCA(Odoo Community Association)は、Odooのコミュニティによる非営利の団体です。

最大の特徴は、保守が個人に依存しにくいことです。個別の企業や個人が公開するモジュールでは、提供元が更新をやめればそこで止まります。コミュニティが共同で保守するものでは、引き継がれる可能性が残ります。

ただし、公式サポートの対象ではありません。 ここは明確にお伝えします。「コミュニティが保守している」ことと「サポートが受けられる」ことは別です。

日本向けのモジュール群も存在します。しかし、「あるから大丈夫」とは考えないでください。 対応バージョン、要件を満たすか、更新が続いているか。この3つの確認が必要です。

導入する場合の順序は4つ。標準機能で代替できないかの確認、対応バージョンと更新状況の確認、検証環境での動作確認、そして止まったときの代替案の検討。

とくに4つ目です。 「このモジュールが使えなくなったらどうするか」に答えられないなら、業務を依存させるのは危険です。

そして、判断の分かれ目を最後に。社内に技術者がおらず、支援先とも相談できないなら、標準機能の範囲に収めるほうが安全です。

もう少し詳しく知りたい方へ

ベンチャーネットは、ERP導入支援を手がける会社です。SAP・NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発という4つの選択肢を扱っているため、特定の製品に偏らない立場でご提案できます。

コミュニティモジュールを、積極的に推奨も否定もしません。 自社の体制で扱えるかを含めて、一緒に判断するところから承っています。

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この記事を書いた人

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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