「Odooは無料で使えるERPらしい」
ERP(基幹システム)を調べ始めた経営者やCFOの方から、よく聞く言葉です。
半分は正しく、半分は違います。
Odooとは、ベルギーのOdoo S.A.が提供するオープンソースのERPです。
会計・販売・在庫・製造などの業務アプリを組み合わせ、会社の業務を1つにまとめて管理します。
無料のCommunity版と、1つのアプリだけを使えるOne App Freeは、ライセンス費用がかかりません。
ただ、サーバー・実装・保守の費用は別にかかり、総額はライセンス料の数倍になることもあります。
では、どんな会社ならOdooの安さを活かせるのか。
分かれ目は製品の優劣ではなく、社内の体制と、業務をどこまで製品に合わせられるかです。
NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、NetSuiteとOdooの両方を扱っています。
NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。
その立場から、Odooの長所も注意点も、そのままお伝えします。
この記事で分かること
- Odooの基本(オープンソースERPとは何か)と主な機能
- Community版とEnterprise版の違い、導入形態、費用の目安
- Odooが向いている会社、慎重に考えたい会社
- 日本で使うときの注意点(会計・税制・費用)
Odooとは|ベルギー発のオールインワン型オープンソースERP
Odooは、ベルギーのOdoo S.A.が提供する「オープンソースERP」です。
会計や在庫、営業など、会社の業務を一つにまとめて管理できます。
生まれは2005年です。
当初の名前は「Tiny ERP」で、2008年に「OpenERP」、2014年に現在の「Odoo」へと名前を変えてきました。
いまは世界中で使われています。
オープンソースERPとは
オープンソースとは、ソフトウェアの設計図(ソースコード)が公開されている状態を指します。
誰でも中身を確認でき、条件の範囲で自由に改変・利用できます。
つまりオープンソースERPは、自社の都合に合わせて作り替えやすいERPです。
代わりに、改変や運用には技術力と体制が要ります。
Odooの主な機能|アプリを組み合わせて使う
Odooは、業務ごとに分かれた「アプリ(モジュール)」を組み合わせて使います。
必要なアプリだけを入れ、後から足していくこともできます。
| 業務領域 | 代表的なアプリ |
|---|---|
| 会計・財務 | 会計、請求 |
| 販売・顧客管理 | CRM、販売(見積・受注) |
| 在庫・購買 | 在庫管理、購買 |
| 製造 | 製造(MRP) |
| 人事 | 人事、勤怠 |
| プロジェクト | プロジェクト管理 |
| 店舗・EC | POS(店舗販売)、ECサイト、Webサイト作成 |
| マーケティング | メール配信、マーケティング |
各アプリは連携して動き、入れるほど一つのERPとしてまとまります。
各アプリがNetSuiteのどの機能に当たるかは、OdooのアプリはNetSuiteで何に当たるか|45アプリ対応表で一覧にしています。
2つのエディションと3つの導入形態
Odooには、無料の「Community版」と、有料の「Enterprise版」があります。
使える機能とサポートが違います。
Community版とEnterprise版の違い
| 項目 | Community版 | Enterprise版 |
|---|---|---|
| ライセンス費用 | 無料(オープンソース) | 有料(サブスクリプション) |
| 主な使い方 | 自社サーバーで運用 | クラウド利用も可能 |
| 機能の範囲 | 基本機能が中心 | 高度な機能を追加 |
| 公式サポート | なし(自社・パートナー対応) | あり |
| 向いている会社 | 技術の人手がある | サポートや管理を任せたい |
導入形態は3つ
- Odoo Online:Odooが提供するクラウドで使う(サーバー管理が要らない)
- Odoo.sh:Odoo公式のクラウド基盤で、カスタマイズもしやすい形
- オンプレミス:自社サーバーに入れて運用する
Odooの費用|料金と、見落としやすい費用
Odooの費用は、エディションとプランで変わります。
2026年6月時点の料金体系は、次のとおりです。
プラン別の料金(目安)
- One App Free:1つのアプリだけを無料で使えるプラン(利用人数の制限なし)
- Standard:全アプリが使える有料プラン(おおよそ1ユーザーあたり月$24.90〜)
- Custom:上位の有料プラン(おおよそ1ユーザーあたり月$37.40〜。カスタマイズ機能やマルチカンパニー、外部API連携などに対応)
- Community版:ライセンスは無料(自社サーバーでの運用)
料金は地域や契約期間で変わり、初年度の割引もあります。
日本は米ドル建てで、地域に応じた金額です。
最新の料金は、Odoo公式の料金ページで必ず確かめてください。
ライセンス以外にかかる費用
ERPの費用は、ライセンス料だけでは終わりません。
- 実装・初期設定(自社の作業、またはパートナーの費用)
- カスタマイズや他システムとの連携
- サーバー・ホスティング(自社運用の場合)
- 教育・運用・保守
これらを含めると、総額はライセンス料の数倍になることもあります。
有料プランは、利用人数に応じて費用が増える点にも気をつけてください。
ここまでの費用を1枚にまとめると、次の図になります。
Odooが向いている会社・慎重に考えたい会社
Odooは便利なERPですが、どの会社にも合うわけではありません。
向いている会社
- 費用を抑えてERPを始めたい中小企業・スタートアップ
- 社内またはパートナーに、技術の人手がある
- 必要な機能を絞って、少しずつ広げていきたい
- 多言語・多通貨を使うグローバル展開の会社
慎重に考えたい会社
- 日本独自の会計・税制への標準対応を重視する
- 社内に技術者がおらず、運用を外部に任せきりにしたい
- 規模が大きく、複雑な統合や独自の要件が多い
- 手厚い国内の公式サポートを前提にしたい
向き不向きを決めるのは、ツールの優劣ではなく、自社の業務と体制です。
NetSuiteと並べて考えたい方はOdooとNetSuiteを徹底比較を、ほかのERPも含めるならERP徹底比較をご覧ください。
Odooを日本で使うときの3つの注意点
3つの注意点と避け方を先に図で示し、そのあと1つずつ説明します。
注意点1:日本の会計・税制への対応は、パートナーに確認が要る
起きること:標準のままでは、日本の制度に合わない場合がある。
原因:Odooは世界共通の設計が中心です。
日本固有の制度は、標準に含まれないことがあります。
避け方:論点は、インボイス制度、電子帳簿保存法、全銀フォーマットの銀行振込、源泉徴収などです。
ローカライズ用のモジュールと、導入パートナーの対応範囲を先に確認しておきます。
注意点2:「オープンソース=完全無料」ではない
起きること:無料のつもりが、想定外の費用が出てくる。
原因:ライセンスが無料でも、サーバー・実装・更新・保守の体制と費用はかかります。
避け方:無料の範囲と、別にかかる費用を最初に切り分けて見積もります。
注意点3:費用が後から膨らむ
起きること:利用が広がるにつれて、総額が増えていく。
原因:有料プランは利用人数で課金され、カスタマイズも積み重なっていきます。
避け方:小さく試して総額を見積もり、広げたときの費用も先に想定しておきます。
3つとも、ERP全般の導入で起きやすいことです。
最初に費用と対応範囲を見える化しておけば、避けられます。
ベンチャーネットならこう見る|「無料」の前に、業務を仕分ける
Odoo、国内のERP、NetSuite。
ベンチャーネットは、優劣ではなく、それぞれに長所があると見ています。
比べる前に、自社の業務の扱いを決めておきます。
型1:見える化→整理整頓→Fit&Gap
- 業務の見える化:いまの業務の流れを、現場に聞いて描く
- 整理整頓:やめる・まとめる・そろえる業務を決める
- Fit&Gap:残った業務を、Odooの標準機能と照らし合わせる
Fit&Gapは、業務と機能の合う・合わないを一つずつ見る作業です。
型2:標準に合わせる/開発する/残す
合わなかった業務は、3つのどれかに決めます。
- 標準に合わせる:業務のほうを、Odooの標準機能に寄せる
- 開発する:ソースコードの改修や、外部の仕組みとの連携で補う
- 残す:Odooには載せず、いまの仕組みや運用で続ける
Odooは、ソースコードまで直せる自由度が高い製品です。
そのぶん、2つ目の「開発する」を選びやすくなります。
注意点3の費用の膨らみは、多くがここから生まれます。
最初の打ち合わせで伺うのは、主に次の3つです。
- 社内かパートナーに、Odooを直し続けられる人がいるか
- インボイス・電子帳簿保存法・全銀振込・源泉徴収を、どこまで標準で求めるか
- 3年後に、Odooを使う人は何人になりそうか
1つ目と3つ目が分かれば、ライセンス以外の費用の大きさも見えます。
よくある質問
Q1. Odooは本当に無料で使えますか
Community版とOne App Freeはライセンス費用が無料です。
ただし運用には、サーバーや実装などの費用がかかります。
全アプリの利用や公式サポートが必要なら、有料のEnterprise版が前提になります(第4章)。
Q2. Odooは日本語や日本の会計に対応していますか
画面の日本語表示には対応しています。
日本の税制や会計制度への対応は、使うモジュールや導入パートナーによって違います。
導入の前に、対応の範囲を確認しておきましょう(第6章)。
Q3. OdooとNetSuiteなどのクラウドERPは何が違いますか
設計の考え方が違います。
Odooはオープンソースで自由度が高く、NetSuiteはSaaS型で標準機能の統合に強みがあります。
どちらが合うかは、規模と体制で決まります。
詳しくはOdooとNetSuiteを徹底比較で扱っています。
Q4. Odooの導入はどこに相談すればよいですか
Odoo公式サイトやOdooの導入を手がけるパートナー企業が相談先です。
ベンチャーネットも、Odooの導入・運用支援を提供しています。
NetSuiteとOdooの両方を扱うため、「どちらが自社に合うか」の段階から相談を受けられます。
得意分野は相談先ごとに違うので、比べて選んでください。
まとめ
- Odooは、ベルギーのOdoo S.A.が提供するオープンソースERP
- Community版とOne App Freeは無料。全アプリや公式サポートはEnterprise版
- 実装・サーバー・保守を含めると、総額はライセンス料の数倍になることもある
- 日本の会計・税制への対応は、モジュールとパートナーで確認が要る
- 「見える化→整理整頓→Fit&Gap」の順に業務を洗い、「標準に合わせる/開発する/残す」に分けてから比べる
「Odooは無料らしい」と聞いたら、次に聞くべきは「誰が直し続けるのか」です。
その答えが社内にあれば、Odooの安さは本物になります。
もう少し詳しく知りたい方へ
ERPの選定や、OdooとNetSuiteのどちらが自社に合うかで迷っている方は、ベンチャーネットにご相談ください。
特定の製品をすすめるのではなく、自社に合う選び方から一緒に考えます。
- NetSuiteを実際の画面で見てみたい方へ:NetSuiteの無料デモ・個別相談
- OdooとNetSuiteのどちらが合うか相談したい方へ:お問い合わせ

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