マネーフォワードクラウドERPとNetSuiteの違い|中堅企業の選び方

月末の3営業日目。

経理の担当者が、販売管理の売上とマネーフォワードの会計の売上を、1行ずつ突き合わせています。

返品の計上月がずれ、在庫の金額も合いません。

マネーフォワードクラウドERPとは、会計から人事労務までのサービスを、必要な分だけ組み合わせて使うクラウドERPです。

NetSuiteは、会計・販売・在庫・顧客管理までを一つのデータで持つ統合型のクラウドERPです。

どちらを選ぶかを分けるのは、年商より会計と一つにしたい業務の範囲です。

バックオフィスに収まるなら、マネーフォワードクラウドERPが近い。

販売・在庫・海外拠点まで会計と一つにしたいなら、NetSuiteが近い。

移るときも、全部を置き換えるだけが答えではありません。

では、冒頭の照合の時間がどこまで増えたら、移る時期なのか。

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが、両者を中立に比べます。

マネーフォワードのほうが合う会社のことも、そのまま書きます。

製品そのものの説明は、マネーフォワードクラウドERPとはとNetSuiteとはをご覧ください。

目次

この記事で分かること

  • 「組み合わせ型」と「統合型」の違いが、経営にどう効くか
  • 販売・在庫・連結・費用・AIとの親和性で見た違い
  • 移るサインと、「伸ばす/併用して移る」の分かれ道
  • 移るときに変わることと、置き場所の決め方
  • よくある失敗3つと、今日できること

言葉の整理:ERPは、会計・販売・在庫などの基幹業務を一つのシステムで管理する仕組みです。

バックオフィスは、経理・人事・総務など、会社の内側を支える業務のことです。

考え方の違い|組み合わせ型と統合型

マネーフォワードクラウドERP|必要なサービスを組み合わせる

提供元は株式会社マネーフォワードです。

公式サイトでは、会計から人事労務までをつなぎ、手作業を自動化する「コンポーネント型」のクラウドERPと説明されています。

出典はマネーフォワード公式です(2026年9月確認)。

コンポーネント型は、必要なサービスを1つから入れ、後から足していける作りのことです。

たとえば、最初はクラウド会計だけを入れ、後から経費や給与を足せます。

公式サイトのサービス一覧には、次のようなものが並んでいます。

分野主なサービス
経理クラウド会計Plus、請求書、債権管理、経費、債務支払、固定資産
原価・連結クラウド個別原価、クラウド連結会計
人事労務クラウド勤怠、給与、人事管理

対象は「IPO準備・中堅〜上場企業向け」と案内されています。

導入は最短1ヶ月とされています(いずれも出典:マネーフォワード公式、2026年9月確認)。

公式サイトでは、ITRの調査(ITR Market View:ERP市場2025)を出典に、年商10億円未満の企業向けでシェア1位と案内しています。

NetSuite|一つのデータにすべてを載せる

NetSuiteは、Oracleが提供するクラウドERPです。

世界220地域・44,000社以上で使われています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月時点)。

公式サイトでは「#1 AI Cloud ERP」と位置づけています。

会計・販売・在庫・購買・製造・顧客管理・ECまでを、一つのデータベースで持ちます。

受注すると、在庫の引当・出荷・売上・原価が、同じデータの中でつながって動きます。

190通貨・27言語に対応し、OneWorldの機能で海外の子会社もまとめて管理できます。

違いが経営に効くところ

組み合わせ型は、小さく始めて必要な分だけ足せるのが強みです。

統合型は、部門をまたぐ数字が最初からつながっているのが強みです。

優劣の話ではありません。

自社の業務がどこまで広がるかで、合う型が変わります。

製品長所見ておきたい点
マネーフォワードクラウドERP小さく始められる。経理・人事の現場が自分で使いやすい。国内の制度への対応が早い販売・在庫・製造は他社システムとの連携になる。連携の数が増えるほど保守の手間が増える
NetSuite部門をまたぐ数字が最初からつながる。海外の子会社も同じ仕組みで持てる設定や開発にパートナーの力が要る。業務を標準に合わせる見直しが前提になる

NetSuiteの「見ておきたい点」は、欠点というより、使いこなすための前提です。

業務を標準に合わせる考え方は、NetSuite導入のFit&Gap分析で扱っています。

比較表|判断に効く8つの軸

軸マネーフォワードクラウドERPNetSuite
考え方コンポーネント型(組み合わせ)統合型(一つのデータ)
中心の範囲会計・債権債務・経費・固定資産・人事労務会計・販売・在庫・購買・製造・顧客管理・EC
販売・在庫他社の販売管理・在庫管理のシステムと連携標準の範囲に含む
連結クラウド連結会計で各社の決算を集めて連結OneWorldで各社の取引を同じ仕組みで持つ
多通貨・多言語公式サイトの一覧では確かめられず、提供元に確認190通貨・27言語
導入の速さ最短1ヶ月(公式)範囲とカスタマイズで変わる。見積もりで確認
費用の決まり方初期費用・月額費用・オプション。目的にあわせて提案ミニマム構成で月額20万円〜が出発点
AIとの親和性手作業の自動化が中心。データはサービスごとに分かれる外部のAIをつなぐ仕組みがある。全社のデータが1か所にある

販売・在庫の連携と料金の構成は、マネーフォワード公式サイトの記載です(2026年9月確認)。

販売・在庫|差がいちばんはっきり出るところ

マネーフォワードクラウドERPは、販売管理・在庫管理を他社のシステムとの連携で補います。

公式サイトでも、SFA・CRM・販売管理・在庫・購買管理などの他社システムと連携できると案内されています。

NetSuiteは、受注から出荷・請求・入金・原価までを、会計と同じデータで処理します。

複数の倉庫や拠点をまたぐ在庫も、同じ仕組みで扱います。

取引の量が少ないうちは、連携で十分に回ります。

取引や品目、倉庫が増えると、話が変わります。

ずれは、たとえば次のようなところで起きます。

  • 返品や値引きが、販売管理と会計で別の月に計上される
  • 販売管理の締めの日と、会計の締めの日が違う
  • 倉庫の間の移動が、会計の在庫の金額に反映されない

一つひとつは小さなずれです。

それが、毎月の照合の時間として積み上がります。

ずれの起きるところを図にすると、次のとおりです。

小さなずれが、照合の時間になる 販売管理と会計を連携でつなぐと、返品や値引きの計上月、締めの日、倉庫の間の移動でずれが起きる。一つひとつは小さなずれでも、毎月の照合の時間として積み上がる。 小さなずれが、照合の時間になる販売管理会計他社システムとの連携でつなぐずれが起きるところ1返品や値引き計上される月が別になる2締めの日販売管理と会計で違う3倉庫の間の移動在庫の金額に反映されない毎月の照合の時間として積み上がる
小さなずれが、照合の時間になる

連結|「集める連結」と「最初から一つの連結」

誤解されやすいところです。

マネーフォワードにも、クラウド連結会計があります。

公式ページでは、グループ各社の情報の収集から連結処理・出力までをクラウドで行うと説明されています。

海外子会社も、各社のシステムから出したExcelファイルを取り込めば、個別の財務諸表を集められるとされています。

出典はマネーフォワード公式です(2026年9月確認)。

NetSuiteのOneWorldは、各社の取引そのものを同じ仕組みで持ちます。

連結の前の段階から、子会社の数字を本社が見られる形です(グローバル機能の解説)。

観点各社の決算を集めて連結する各社の取引を同じ仕組みで持つ
向く会社子会社ごとに会計の仕組みが違う。連結の作業を楽にしたい子会社の取引まで本社で見たい。仕組みをそろえられる
子会社の負担いまの会計の仕組みのままでよい子会社も同じ仕組みに移る
本社が見える時期各社の決算が締まった後取引が入った時点から

子会社の仕組みを変えずに連結を楽にしたいなら、前者が合います。

月の途中から子会社の数字を見たいなら、後者です。

会計|日本の実務との相性

マネーフォワードの会計は、電子帳簿保存法・インボイス制度への対応が公式に案内されています。

国内の取引が中心なら、使い慣れた実務のまま運用しやすい製品です。

NetSuiteは、多通貨・連結・IFRSなど、海外を含む会計の要件に向いた作りです。

売上原価は、出荷のたびに在庫の資産から振り替えて記録します(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)。

期末にまとめて売上原価を出す三分法とは記帳の考え方が異なり、運用の設計が要ります。

詳しくはNetSuiteで財務会計を行う前に確認すべきことをご覧ください。

AIとの親和性|データが1か所にあるか

NetSuiteには、ClaudeやChatGPTなどの外部のAIをつなぐ仕組み(AI Connector Service)があります。

AIが見られるのは、ロールで設定した範囲だけと案内されています(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)。

ロールは、利用者ごとに見られる範囲を決める権限の設定です。

AIに「在庫が増えているのに売上が落ちている品目は」と聞くには、販売・在庫・会計が1か所にそろっている必要があります。

一方、AIの使い道が経理の手作業を減らすことなら、マネーフォワードの自動化で足りる場面も多くあります。

AIに聞きたいこと要るデータ合いやすい形
経費の入力の誤りはないか経費・会計どちらでも
今月の粗利の見込みは受注・出荷・原価・会計統合型
在庫が増えて売上が落ちている品目は在庫・販売・会計統合型
子会社で異常な取引はないか子会社の取引の明細統合型

AIとERPの考え方は、AIクラウドERPとはで扱っています。

費用と導入期間の考え方

マネーフォワードクラウドERP

料金は、初期費用・月額費用・その他のオプションで構成されます。

利用目的にあわせて料金プランを提案する形で、金額は見積もりで示されます(出典:マネーフォワード公式、2026年9月確認)。

使うサービスを足すほど、月額は上がっていきます。

NetSuite

NetSuiteは、ミニマム構成で月額20万円〜が出発点です。

モジュール・ユーザー数・オプションで変わり、月額・年額ともに数百万円規模になることもあります。

最終の金額は、パートナー経由でOracleの営業が提示します(NetSuiteの料金・費用)。

導入の期間は、範囲とカスタマイズで変わります。

SuiteSuccess(業種別の標準の導入の進め方)を使うと、標準に沿って進めやすくなります(SuiteSuccessとは)。

期間の見通しは、範囲を決めたうえで見積もりに出してもらいます(NetSuiteの導入期間)。

移るときの費用と期間を左右する4つの要因

マネーフォワードからNetSuiteへ移るとき、ライセンスより大きく動くのは導入の費用と期間です。

ベンチャーネットが導入を支援してきた中で、差を生む要因は4つあります。

導入費用を決める4つの要因 業務の範囲、開発の量、社内の体制、ユーザー数の4つで導入費用が決まる。 導入費用を決める4つの要因1業務の範囲購買・販売だけか、在庫・会計・PJ管理まで入れるか2開発の量とくに外部システムとの連携開発3社内の体制情報システム担当が少ないと、支援を厚くし期間も延びやすい4ユーザー数受入テスト・教育の工数と、社内調整の時間
導入費用を決める4つの要因
  • 業務の範囲:会計だけ移すか、販売・在庫・購買まで一つにするか
  • 開発の量:とくに外部システムとの連携。マネーフォワードに残す経費・給与とつなぐ部分もここに入る
  • 社内の体制:情報システムの担当が少ないと、支援を厚くする分、期間も延びやすい
  • ユーザー数:受入テストと教育の工数、社内の調整の時間が増える

マネーフォワードを使ってきた会社は、経理の担当者が自分で運用してきたことが多いはずです。

NetSuiteは、設定・開発・運用の定着まで、認定パートナーと進めるのが前提です。

社内の体制は、見積もりの前に正直に伝えてください。

比べるときは「連携の手間」も足す

組み合わせ型は、月額の出発点が低い一方で、他社システムとの連携の費用と手間が別にかかります。

統合型は、出発点が高い一方で、連携の多くが要らなくなります。

比べるときは、次の3つを同じ範囲で足します。

  • 利用料(マネーフォワードは使うサービスの合計、NetSuiteは構成の合計)
  • 販売・在庫など他社システムの費用と、連携の保守の費用
  • 月末に数字を合わせる作業の時間

判断の物差し|どちらが合うか

年商で分ける目安(10億円未満はマネーフォワード、30億円以上はNetSuite)は、よく使われます。

ただ、実際に分けるのは会計と一つにしたい業務の範囲です。

自社の状況合いやすい選択肢
業務の中心はバックオフィス。販売・在庫は小さいか別の仕組みで回っているマネーフォワードクラウドERP
IPOの準備中。業務の範囲はバックオフィスに収まるマネーフォワードクラウドERP(NetSuiteとも比べる)
販売・在庫・製造の数字を、会計と一つにしたいNetSuite
海外の子会社の取引まで、本社で見たいNetSuite

両者以外が合う会社もあります。

会計ソフトの乗り換えだけならfreee、費用を抑えて社内で設定できるならOdoo、業務が特殊ならAIスクラッチ開発も比べてください。

製造の現場の管理が中心なら国産の製造業向けERP、月末に数字が出ていて困りごとがはっきりしないなら「いまは入れない」も答えです。

国産ERPとの比べ方は、SMILEとNetSuiteの比較も参考になります。

会社の段階で見るときの目安

年商の区切りは、業務の範囲が広がりやすい時期の目安として使います。

段階の目安起きやすいこと考え方
年商10億円未満課題の中心はバックオフィスの手作業マネーフォワードが第一の候補になりやすい
年商10〜30億円物販や拠点が増え、販売・在庫と会計のずれが出始める業務の範囲しだいで、両方を比べる
年商30億円以上拠点・倉庫・子会社が増え、連携の保守が重くなるNetSuiteの統合の価値が出やすい

年商が小さくても、海外の子会社や物販の比重が大きい会社は、早くからNetSuiteが合うことがあります。

逆に、年商が大きくても、業務がサービス中心でバックオフィスに収まる会社もあります。

3つの会社の例で考える(架空の例)

A社:社員60人のITサービス業

物販も在庫もなく、課題は経費と請求の手作業です。

業務はバックオフィスに収まるため、マネーフォワードの組み合わせで十分に回ります。

案件の利益を見たくなったら、個別原価のサービスを足す順番が自然です。

B社:社員150人の卸売業

倉庫が3か所あり、販売管理のシステムと会計を毎月照合しています。

照合に毎月数日かかり、在庫の金額が月末まで確定しません。

販売・在庫と会計を一つにする価値が大きく、NetSuiteを比べる意味があります。

C社:海外に子会社が2社ある製造業

子会社はそれぞれ現地の会計の仕組みを使っています。

連結の作業を楽にしたいだけなら、各社の決算を集める連結で足ります。

子会社の在庫や取引まで本社で見たいなら、同じ仕組みで持つNetSuiteのOneWorldが候補です。

同じ「中堅企業」でも、答えは業務の広がりで変わります。

マネーフォワードを使っていて、見直しを考える会社へ

これから選ぶ会社は、第4章の表で「会計と一つにしたい範囲」を決めれば出発点に立てます。

いまマネーフォワードを使っている会社は、移る時期をサインで見分けます。

移るサイン5つ

「不満はないが、何かが詰まっている」と感じる会社は少なくありません。

次のサインのうち2つ以上に当てはまれば、見直しの時期です。

サイン起きていること数えるもの
販売・在庫と会計がずれる販売管理と会計の売上が合わず、毎月照合している先月の差の件数と、直した時間
海外の子会社の数字が遅い取引の中身が、決算が締まるまで見えない月次の数字が本社に届くまでの日数
部門ごとにデータが散らばる経営会議の資料づくりに毎月時間がかかる資料のデータの出どころのシステムの数
損益が月末まで分からない月の途中で、利益の見込みを出せない月の途中で見込みを出せるか
上場準備で統制の範囲が広がる販売・在庫の承認や権限まで全社でそろえる必要がある承認・権限をそろえる範囲

冒頭の照合の時間は、1つ目のサインです。

その時間が毎月増え続けているなら、移る時期に入っています。

連結の作業を楽にしたいだけなら、クラウド連結会計で足りることもあります。

上場準備の内部統制は、IPOで求められる内部統制で扱っています。

マネーフォワード側でも内部統制への対応は進められており、それだけで移る理由にはなりません。

分かれ道|伸ばすか、併用して移るか

マネーフォワードから見直すときの分かれ道 移るサインが1つなら、マネーフォワードのサービスを足して伸ばす。2つ以上なら、経費・給与などを残して併用しながらNetSuiteへ移る。 見直しの分かれ道 移るサインはいくつ? 照合の時間・子会社の数字など 1つ MFのまま伸ばす 個別原価・連結会計を 足し、照合のルールを 決める 2つ以上 併用して移る 会計・販売・在庫は NetSuiteへ。経費・ 給与はMFに残す 足しても照合の時間が減らなければ 右の道を考える時期
マネーフォワード(MF)から見直すときの分かれ道

サインが1つだけなら、移る前に、いまの組み合わせを整える道があります。

  • 案件や製番の原価を見たい → クラウド個別原価を足す
  • 連結の作業が重い → クラウド連結会計を足す
  • 販売管理との照合が重い → 連携の項目と締めの日をそろえ、照合のルールを決める

いずれも、公式サイトのサービス一覧にあるサービスです(2026年9月確認)。

足した後も照合の時間が減らないなら、統合を考える時期です。

サインが2つ以上なら、移る道です。

ただし、すべてを置き換える必要はありません。

マネーフォワードの経費精算・給与・勤怠は、現場で使いやすいよう磨かれてきたサービスです。

業務置き場所の例
会計・販売・在庫・購買・製造NetSuiteで一つにする
経費精算・給与・勤怠マネーフォワードを続け、仕訳をNetSuiteに渡す
移行の途中期の区切りまで両方を動かし、数字を照合する

移るときの段取り

  1. 範囲を決める:NetSuiteに移す業務と、マネーフォワードに残す業務を分ける
  2. 期の区切りを決める:期首から切り替えると、残高の移し方が単純になる
  3. 移すデータを決める:マスタ・期首の残高・進行中の取引。過去の明細をどこまで移すか
  4. 並行して動かす:1〜2か月、両方で数字を出して照合する
  5. 切り替える:照合の差が説明できる状態になってから切り替える

過去の明細をすべて移す必要はありません。

過去のデータは、マネーフォワードの側で参照できる形で残す考え方もあります。

データの移し方は、基幹システムのデータ移行ガイドをご覧ください。

NetSuiteのデモでは、機能の一覧ではなく、自社の困りごとの場面を再現してもらいます。

受注から入金までの仕訳の動き、在庫の金額と会計の一致、マネーフォワードに残す経費・給与の仕訳の受け取り方。

自社の取引の例を1件用意して見ると、違いがはっきりします。

よくある失敗3つ

失敗1:「会計ソフトの乗り換え」として進める

起きること:NetSuiteを入れたのに、会計ソフトとしてしか使われない。

原因:経理部だけで進め、販売・在庫の部門が要件に入っていなかった。

避け方:経営者・経理・販売・在庫の各部門が最初から加わる体制を組みます。

失敗2:すべてを決め切る要件定義を目指して動けなくなる

起きること:要件定義に半年以上かかっても、着手できない。

原因:いまの業務をすべて再現する前提で、全業務を棚卸ししようとした。

避け方:標準の機能で始める範囲を先に決め、動かしながら合わせていきます。

失敗3:良いところまで全部置き換える

起きること:経費や給与の入力が使いにくくなり、現場の不満が出る。

原因:マネーフォワードの強みを見ずに、すべてをNetSuiteに移した。

避け方:5-2の表のように、置き場所を業務ごとに決めます。

パートナーの選び方は、NetSuiteパートナー一覧と選び方で扱っています。

ベンチャーネットならこう見る

「マネーフォワードの何が不満ですか」

ベンチャーネットは、この問いから始めません。

先に聞くのは「月末の照合に、先月は何時間かかりましたか」です。

時間が横ばいなら、急いで移る理由はありません。

ベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。

マネーフォワードを使い続けるほうがよい、という結論になることもあります。

業務ごとに「標準に合わせる/開発する/残す」

移ると決めたら、業務を一つずつ3つに分けます。

  • 標準に合わせる:販売・在庫・会計の流れを、NetSuiteの標準に寄せる
  • 開発する:標準で足りない帳票や、外部システムとの連携を作る
  • 残す:経費精算・給与・勤怠のように、マネーフォワードのまま続ける

「残す」を先に決めると、移す範囲が小さくなります。

「開発する」は、第3章の4つの要因のうち、費用を押し上げやすいところです。

3つに分けるのは、いまの業務の流れを見える化した後にします。

変わることは、見積もりの前に伝える

マネーフォワードに慣れた経理の現場では、次の点が変わります。

ベンチャーネットは、これを見積もりと同じ場でお伝えします。

  • ライセンス費用:組み合わせのときより、上がることがある
  • 帳票:いまの帳票をどこまで作り直すかで、導入費用が変わる
  • 締め処理:売上原価の記帳など、締めの考え方が変わる(2-3)
  • 画面の操作感:経理の担当者が使い慣れた画面とは変わる
  • 給与・人事:NetSuiteの導入の対象外。マネーフォワードに残す前提で組む

変わる5つを図にすると、次のとおりです。

NetSuiteに移ると変わる5つ ライセンス費用、帳票、締め処理、画面の操作感、給与・人事の5つが変わる。締め処理は売上原価の記帳など、考え方そのものが変わる。 NetSuiteに移ると変わる5つ1ライセンス費用組み合わせのときより上がることがある2帳票作り直す範囲で導入費用が変わる3締め処理売上原価の記帳など、考え方が変わる4画面の操作感使い慣れた画面とは変わる5給与・人事対象外。マネーフォワードに残す前提見積もりと同じ場でお伝えする
NetSuiteに移ると変わる5つ

役割は、日本オラクルがライセンス・トレーニング・製品サポート、ベンチャーネットが要件定義・設定・開発・保守・PMです。

PMには、発注する会社側のPM業務やOracleとの調整も含みます。

契約は請負契約に対応しています(準委任も相談可)。

最初に聞く3つの問い

  • 会計と一つにしたい業務は、どこまでか
  • 子会社の数字を、決算の後に見ればよいか、取引の時点から見たいか
  • マネーフォワードに残す業務はどれか

今日できること|1時間で「連携のずれ」を数える

先月の月末の作業を思い出し、次の表を埋めてみてください。

作業かかった時間担当
販売管理の売上と会計の売上の照合
在庫の金額と会計の在庫の照合
子会社の数字の取りまとめ
経営会議の資料づくり

合計が毎月増えているなら、仕組みの統合を考える時期です。

合計が小さく、横ばいなら、いまの組み合わせで十分に回っています。

あわせて、次のチェックも付けてみてください。

マネーフォワードが合いやすい

  • □ 業務の中心は経理・人事労務の効率化
  • □ 販売・在庫は小さいか、別の仕組みで困っていない
  • □ 海外の子会社はない、または決算を集めるだけでよい

NetSuiteが合いやすい

  • □ 販売・在庫・製造の数字を会計と一つにしたい
  • □ 海外の子会社の取引まで本社で見たい
  • □ 月の途中で利益の見込みを出したい

多く付いたほうが、比べるときの出発点です。

よくある質問

Q1. マネーフォワードクラウドERPとNetSuiteは何が違いますか

組み合わせ型か統合型かが大きな違いです。

マネーフォワードは会計・人事労務などのサービスを組み合わせ、販売・在庫は他社システムと連携します。

NetSuiteは販売・在庫・会計を一つのデータで持ちます。

Q2. 年商何億円からNetSuiteを検討すべきですか

年商より業務の範囲で決まります。

年商30億円といった区切りは、あくまで目安です。

販売・在庫・海外を会計と一つにしたいかで判断します。

Q3. マネーフォワードでも連結会計はできますか

クラウド連結会計というサービスがあります。

グループ各社の情報を集めて連結する仕組みで、海外子会社のExcelの取込にも対応すると案内されています(マネーフォワード公式、2026年9月確認)。

子会社の取引まで本社で見たい場合は、NetSuiteのOneWorldと比べます。

Q4. マネーフォワードとNetSuiteは併用できますか

併用できます。

基幹のデータはNetSuiteにまとめ、経費精算や給与はマネーフォワードを続ける形があります。

移行の途中で、両方を動かす期間を取るのも現実的です。

Q5. 移行にはどのくらいの期間と費用がかかりますか

業務の範囲・開発の量・社内の体制・ユーザー数で大きく変わります。

とくに、外部システムとの連携の開発と、社内の情報システムの担当の数が効きます。

範囲を決めたうえで、パートナーの見積もりで期間と費用を出してもらってください。

Q6. NetSuiteの費用はどのくらいですか

ミニマム構成で月額20万円〜が出発点です。

モジュール・ユーザー数・オプションで変わり、数百万円規模になることもあります。

連携の費用と手間が減る分も含めて比べます。

Q7. NetSuiteのパートナーはどう選べばよいですか

価格や知名度より導入後も一緒に考えてくれるかで選びます。

業務を理解しようとする姿勢と、運用の課題に向き合う体制を見てください。

選び方は、NetSuiteパートナー一覧と選び方で扱っています。

まとめ

  • マネーフォワードは組み合わせ型、NetSuiteは統合型
  • 分けるのは年商より、会計と一つにしたい業務の範囲
  • マネーフォワードにも連結会計がある。違いは「集める連結」か「最初から一つの連結」か
  • 費用は、連携の費用と月末の照合の時間も足して比べる
  • サインが1つなら伸ばす、2つ以上なら経費・給与などを残して併用しながら移る

マネーフォワードクラウドERPは、多くの会社にとって良い選択肢です。

冒頭の照合の時間を、まず先月の分だけ数えてみてください。

その数字が、移るかどうかの最初の答えになります。

もう少し詳しく知りたい方へ

どちらが合うか、いつ移るべきか。

業務の範囲の整理から、一緒に考えます。

ERP全体の比べ方は、ERPを徹底比較とERP選定ガイドもご覧ください。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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