「ERPを入れるなら、会計も最初からNetSuiteに一本化するのが筋だろう」
NetSuiteを検討する経営者の多くが、はじめはそう考えます。
経営の全体を1つのシステムで見たい。その思いはもっともです。
ただ、日本の会社がそのまま進めると、途中で止まる場面を何度も見てきました。
財務会計とは、決算書などで、会社の成績や財産の状態を外部に報告するための会計です。
仕訳から月次・年次の決算、税務申告の土台までを含みます。
NetSuiteは、この財務会計を扱う機能を持っています。
問題は機能の有無ではありません。
一本化の前に、確認が3つ要ります。
記帳方法、顧問税理士の対応、現場の作業時間です。
多くの会社では、財務会計の本格活用を「フェーズ2以降」に置くほうが無理なく進みます。
では、フェーズ2に進んでよいのは、どんな状態になったときか。
NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが、経営者の目線で順に答えます。
この記事で分かること
- NetSuiteの標準の記帳は売上原価対立法であること(三分法は標準外)と、3つの選択肢
- 顧問税理士と事前にすり合わせることと、役割分担の決め方
- 現場の作業時間が増える理由と、経営と現場での乗り越え方
- 「一本化」と「並行運用」の比べ方と、フェーズ2に進む5つの条件
なぜ「会計も一本化したい」と思うのか
NetSuiteは、世界220地域・44,000社以上で使われているクラウドERPです(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月時点)。
ERPは、会計・販売・在庫・購買などのデータを1つにまとめるシステムです。
NetSuiteは、仕訳から月次・年次の決算、財務のレポートまでを扱えます。
販売や在庫でERPを検討すると、「せっかくなら会計まで」という発想が自然に出てきます。
理由はたいてい、次の3つです。
- 会計と販売・在庫のデータが分かれ、経営判断が遅れる
- 月次決算で複数のシステムから数字を抜き出し、Excelで突き合わせている
- 会計と業務システムの数字が、たびたび合わない
発想としては健全です。
それでも、日本でNetSuiteの財務会計を使うなら、「すぐに全部を載せる」が最適とは限りません。
日本特有の事情と、設計の考え方の違いがあるからです。
これから挙げる3つは、技術の話に見えて、実は経営判断の論点です。
NetSuiteの全体像は、NetSuiteとは?中堅・中小企業の経営者が知っておきたいクラウドERP入門で扱っています。
確認1:NetSuiteの標準は売上原価対立法(三分法は標準外)
起きること:「三分法じゃないと困る」と税理士に言われる
「いまの会計処理を、そのままNetSuiteに移したい。でも顧問税理士から『三分法じゃないと困る』と言われた」
検討の早い段階で、よく聞く声です。
NetSuiteの標準では、品目を出荷した時点で在庫を減らし、売上原価を計上します(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)。
つまり記帳は売上原価対立法で、三分法の形は標準にありません。
三分法の形に寄せるなら、振替の仕訳などの追加の仕組みが要ります。
Oracleには、在庫と売上原価の動きを別の勘定へ振り替える仕訳を作る仕組みの資料もあります。
ただし2017年の英語のみの資料です(出典:Oracle NetSuite公式資料、2026年9月確認)。
いま使えるか、費用はいくらか。提供元に確認してください。
2つの記帳方法の違い
- 三分法:仕入・売上・繰越商品を別々の勘定で管理し、決算のときにまとめて原価を整理する
- 売上原価対立法:商品を出荷して売上が立つ時点で、原価も計上する。在庫の残高をその都度つかめる。NetSuiteの標準はこちら
記帳の例を並べると、次のようになります(金額は架空の例です)。
| 場面 | 三分法 | 売上原価対立法 |
|---|---|---|
| 仕入時 | (借)仕入 10,000/(貸)現金 10,000 | (借)商品 10,000/(貸)現金 10,000 |
| 売上時 | (借)現金 15,000/(貸)売上 15,000 | (借)現金 15,000/(貸)売上 15,000 (借)売上原価 10,000/(貸)商品 10,000 |
| 決算整理(前期繰越) | (借)仕入 1,500/(貸)繰越商品 1,500 | 不要 |
| 決算整理(翌期繰越) | (借)繰越商品 2,000/(貸)仕入 2,000 | 不要 |
違いは、経理の日常、月次決算の手順、顧問税理士との連携のすべてに響きます。
経営者が押さえるのは、仕訳の細部ではありません。
「どう移行するか、誰と決めるか」です。
3つの選択肢
| 選択肢 | 中身 | 向く会社 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 1. 売上原価対立法に変える | NetSuiteの標準の記帳に合わせる | 海外展開を視野に入れている | 経理・税理士の理解と研修が要る。移行の負担は大きい |
| 2. レポートを三分法の形に変換する | いまの会計処理の見せ方を保つ | 経理の運用を大きく変えたくない | 変換の手間が続く |
| 3. いまの会計ツールと並行運用する | 当面、財務会計はいまのツールに残す | 段階的に進めたい中堅・中小企業 | 連携するデータの設計が要る |
ベンチャーネットは、多くの場合で3の並行運用から始めることをお勧めしています。
移行のリスクを小さくでき、フェーズ2以降にNetSuiteへの統合を考えられるからです。
勘定科目の整理や仕訳のルールの標準化は、ERP導入で会計が“つまずく”3層構造の正体で扱っています。
確認2:顧問税理士の対応
起きること:「税理士がNetSuiteを触れない」
「NetSuiteで会計をやりたかったが、顧問税理士がついていけなかった」
導入の後に、こうしたご相談を受けることがあります。
弥生会計・freee・マネーフォワード クラウドなどで長く業務を回してきた税理士もいます。
その方にとって、NetSuiteは触ったことのない外資系のERPです。
レポートの形式も、慣れたものとは違います。
導入後に分かると、月次・年次の決算に支障が出ます。
税理士の変更まで考えざるを得なくなることもあります。
なぜ課題になるか
月次・年次の決算と税務申告は、税理士の支援なしには回りません。
NetSuiteを入れても、税理士の役割は残ります。
つまずくのは、次の3点です。
- レポートの形式:NetSuiteの出力の形は、国内の会計ツールと違う
- 業務の流れ:NetSuiteを前提とした月次決算は、税理士にとって初めての流れになる
- 法令への対応:電子帳簿保存法・インボイス制度への対応も、税理士との協力が要る
どう対応するか
導入を本決まりにする前に、NetSuiteのレポートのサンプルを税理士に見てもらいます。
月次・年次の決算の流れをすり合わせ、税理士の側で対応できるかを聞きます。
そのうえで、役割分担を決めます。
- NetSuiteの出力を、どう加工して税理士に渡すか
- 税理士の対応の範囲はどこまでか
- 電子帳簿保存法・インボイス制度の責任をどう分けるか
税理士には、たとえば次の5つを聞いておきます。
- 三分法から売上原価対立法に変えると、決算と申告の手順はどう変わるか
- 月次で受け取りたいのは、仕訳の明細か、試算表か
- 受け取りたいファイルの形式は、CSVか、帳票か
- 電子帳簿保存法・インボイス制度の確認は、どちらが何を担うか
- NetSuiteのレポートのサンプルを見て、困る点はどこか
答えを文書に残せば、導入のパートナーとの打ち合わせでもそのまま使えます。
必要なら、ベンチャーネットが顧問税理士と御社の間に入ります。
レポートの加工の設計、月次決算の流れの組み直し、法令への対応の連携を支援します。
ご希望に応じて、税理士の方にNetSuiteの研修を行うこともできます。
電子帳簿保存法とインボイス制度への対応は、NetSuiteと電子帳簿保存法・インボイス制度の対応をご覧ください。
確認3:現場の作業時間の増加
起きること:「前のツールのほうが早かった」
「freeeやマネーフォワードでサクサク入力できていたのに、NetSuiteでは時間がかかる」
導入した会社で、よく聞く声です。
国内のクラウド会計ツールと比べると、NetSuiteで日々の会計業務を行う時間は増えがちです。
現場の負担が大きいと、システムへの抵抗感が生まれます。
プロジェクトが止まることもあります。
なぜ増えるか:設計の考え方の違い
| 観点 | 国内のクラウド会計ツール | NetSuite |
|---|---|---|
| 目的 | 日々の経理の工数を減らす | 経営の全体を統合する |
| 工夫 | 仕訳の自動の推測、入力画面の工夫、銀行口座の連携での自動仕訳 | 会計・販売・在庫・プロジェクト管理などのデータの統合 |
| 主な利用者 | 個人事業主・中小企業の経理担当者 | 中堅・中小企業の経営者・経営管理層 |
国内のツールは、経理担当者がどれだけ早く仕訳を切れるかを重んじます。
NetSuiteが重んじるのは、経営判断に要るデータが正しく統合されるかです。
現場が感じる使いにくさは、優劣ではなく目的の違いから生まれています。
どう乗り越えるか
導入を現場に任せきりにすると、目的を見失いがちです。
経営者が「なぜ入れるのか」を言葉にし、現場と共有します。
「業務の効率化のため」では足りません。
「在庫の回転率を上げる」「月次決算を5営業日短くする」。
このくらい測れる目標があって初めて、作業時間の増加という短期の負担を現場が受け止められます。
- 経営層と現場が同じメンバーで参加する:意思決定と実作業を分けず、目的を全員で共有する
- 定型業務を段階的に自動化する:業務を自動化するSuiteFlowの機能で、承認・繰り返しの作業・定型のレポートを1つずつ自動化する
- 段階的に習熟する:最初は販売・在庫など価値の出る業務に絞り、慣れてから広げる
「導入直後に全部を最適化する」より、「3か月かけて1つずつ自動化する」ほうが現実的です。
操作に慣れるまでの進め方は、NetSuiteの操作は難しい?学習コストの実像と、社内に定着させる進め方も参考にしてください。
判断の物差し|会計の持ち方を比べる
3つの確認を踏まえると、会計の持ち方は4つに分かれます。
| 会計の持ち方 | 向く会社 | 注意点 |
|---|---|---|
| A. NetSuiteに一本化(フェーズ1から) | 海外展開を急ぐ、外資系、社内にIT担当が複数いる | 期間が長く、現場と税理士の負担が大きい |
| B. NetSuite+いまの会計ツール(並行運用) | 段階的に進めたい中堅・中小企業 | 連携するデータと、数字の突き合わせの設計が要る |
| C. いまの会計ツールのまま(いまは入れない) | 販売・在庫の課題が小さく、会計ツールで足りている | 業務のデータとの突き合わせは手作業のまま |
| D. Odoo・国産ERPを比べる | 費用を抑えたい、日本の商習慣に合わせたい | 自社の業務の深さに足りるかを見る |
会社の状況から持ち方を引くと、次のとおりです。
AやBのNetSuiteが合うのは、販売・在庫・プロジェクトのデータと会計を、最終的に1つにしたい会社です。
海外の拠点や複数の会社をまとめたい会社、経営者が測れる目標を掲げて導入を率いられる会社も当てはまります。
逆に、CやDが合う会社もあります。
取引が単純で、国内の会計ツールで困っていない。
経理が少人数で、作業時間の増加を吸収する余力がない。
こうした会社は、急いで会計を動かす理由がありません。
独自の業務が経営の核なら、いまのシステムを活かして必要な部分だけを作るAIスクラッチ開発も選択肢です。
国内の会計ツールとの比べ方は、freeeとNetSuiteの比較とマネーフォワードクラウドERPとNetSuiteの違いで扱っています。
財務会計の本格活用は「フェーズ2以降」に
フェーズ2に進んでよい5つの条件
「フェーズ2」は、決まった期間ではありません。
NetSuiteでの基幹業務が安定運用に乗った段階を指します。
一般的には、導入から1〜2年後が目安です。
冒頭の問いへの答えは、次の5つです。
| 見ること | 進んでよい状態 | まだ早い状態 |
|---|---|---|
| フェーズ1の業務の定着 | 現場がExcelに頼らず、NetSuiteで日常の業務を回している | NetSuiteと別の表への二重の入力が残る |
| 経理の慣れ | 経理がNetSuiteのレポートを自分で作れる | レポートの作成をパートナーに頼っている |
| 顧問税理士の慣れ | 税理士がNetSuiteの出力で決算の作業ができる | 毎月、出力を手で加工して渡している |
| 月次決算 | 締めの手順が決まり、毎月同じ日数で終わる | 締めの日数が月ごとに大きくぶれる |
| 記帳方法の合意 | 売上原価対立法に合わせることに、経理と税理士が合意している | 三分法を続けたい意見が強い |
「まだ早い状態」が多いうちは、並行運用を続けるほうが安全です。
「モノ」か「ヒト」から始める
フェーズ1で載せるのは、次のどちらかです。
- 「モノ」の管理:販売・在庫・購買。卸売業・小売業・製造業など、商品の在庫を扱う会社に合う
- 「ヒト」の管理:プロジェクト・工数。コンサル業・ITサービス業・建設業などに合う
「カネ」の管理、つまり財務会計は、フェーズ2以降にじっくり進めます。
「一本化」と「並行運用」の比較
| 比較の軸 | 一本化(フェーズ1から) | 並行運用→フェーズ2以降に一本化 |
|---|---|---|
| 導入の期間 | 長い(半年〜1年以上) | 短い(3〜6か月) |
| 導入の費用 | 高い | 抑えられる |
| 現場の負担 | 大きい | 段階的 |
| 顧問税理士との連携 | 早い段階でのすり合わせが要る | いまの運用を当面保てる |
| データの統合 | 最初から全業務を統合 | フェーズ2以降に統合 |
費用の差は、どのくらいの幅で開くのか。
ベンチャーネットが支援したNetSuite導入の費用では、3名程度で購買・販売だけの事例が150万円程度・1.5か月でした。
20名程度で購買・販売・在庫・会計まで入れ、情シスがいない事例は、3,000万円程度・2年です。
100名程度で外部システム連携を含めた事例は、2億円程度(うち開発約7割)・1.5年でした。
差を生むのは、機能範囲・開発(特に外部連携)・社内の体制・ユーザー数の4つです。
会計を最初から載せれば、機能範囲が広がり、税理士とのすり合わせで社内の負担も増えます。
4つの事例の詳しい条件は、NetSuiteの料金・費用・価格で扱っています。
並行運用で受け渡すデータを決める
並行運用では、NetSuiteから会計ツールへ、何を・どの単位で渡すかを先に決めます。
決めずに始めると、毎月の突き合わせに時間を取られます。
| 渡すデータ | 渡し方の例 | 決めておくこと |
|---|---|---|
| 売上 | 月次で、得意先別・部門別の合計の仕訳 | 明細で渡すか、合計で渡すか |
| 売上原価・仕入 | 月次で、仕入先別・品目の区分別の合計 | 記帳方法の違いをどちらで吸収するか |
| 在庫の月末残高 | 月末の在庫金額を1本の仕訳で | 棚卸の数字との照合の手順 |
| 売掛金・買掛金の残高 | 月末の残高の一覧 | 入金・支払をどちらで記録するか |
表は考え方の例です。
何を渡すかは、顧問税理士と会計ツールの仕様に合わせて決めます。
最大の分かれ目は、記帳方法の違いをどちらのシステムで吸収するかです。
国内の会計ツールとの組み合わせ方は、NetSuiteとfreee・マネーフォワード・勘定奉行を組み合わせるで扱っています。
これから選ぶ会社と、いま使っている会社
これからNetSuiteを検討する会社
見積もりの前に、次の3つを決めておきます。
- フェーズ1で扱うのは「モノ」か「ヒト」か
- 財務会計は、当面どのツールに置くか
- 顧問税理士に、いつ・何を見てもらうか
この3つが決まれば、導入の範囲と期間がぶれにくくなります。
費用の見積もりも、比べやすくなります。
いまNetSuiteを使っていて、会計の持ち方を見直す会社
すでにNetSuiteを入れたのに、会計の運用がうまく回らない会社もあります。
次のような兆しがないかを見てください。
- 並行運用のまま、数字の突き合わせに毎月時間がかかっている
- 一本化を急いだ結果、現場がExcelに戻っている
- 顧問税理士に渡すデータを、毎月手で加工している
当てはまるなら、一本化を少し戻して並行運用に切り替える判断もあります。
後戻りに見えても、現場と税理士の負担を下げるほうが、結果として早く安定します。
保守の更新やパートナーの見直しの時期は、会計の持ち方を見直す好機です。
よくある3つの失敗
失敗1:記帳方法の違いを、導入の後に知る
起きること:移行の途中で、三分法の帳票が標準では出ないと気づく。経理と税理士の合意が取れず、プロジェクトが止まる。
原因:記帳方法の違いを、技術の話として担当者に任せていた。
避け方:導入を決める前に、第2章の3つの選択肢のどれを取るかを経営者が決めます。
顧問税理士にも、その場で意見をもらいます。
失敗2:顧問税理士とのすり合わせを後回しにする
起きること:税理士に渡すデータの形が合わず、毎月手作業で加工する。法令への対応の責任もあいまいになる。
原因:NetSuiteの導入を、社内だけの話と考えていた。
避け方:レポートのサンプルを見てもらい、役割分担を文書にします。
電子帳簿保存法・インボイス制度の責任の分け方も、あわせて決めます。
失敗3:一本化を急ぎ、現場が疲れる
起きること:会計・販売・在庫を一度に切り替え、入力の時間が増えた現場から反発が出る。稼働後もExcelが残る。
原因:経営の目標を言葉にしないまま、全業務の統合を目指した。
避け方:「モノ」か「ヒト」から始め、財務会計はフェーズ2以降に置きます。
測れる経営の目標を掲げ、現場と共有します。
導入の失敗の全体像は、NetSuite導入の失敗事例と後悔しないためのポイントもご覧ください。
ベンチャーネットならこう見る
会計の相談で、ベンチャーネットが最初に聞くのは3つです。
- いちばん困っているのはモノかヒトかカネか:始める場所が、これで変わる
- 顧問税理士は記帳方法と帳票をどう考えているか:導入を決める前に聞く
- 経理の現場に作業時間の増加を吸収する余力はあるか:なければ並行運用か「いまは入れない」
そのうえで、2つの型で進めます。
見える化してから「標準に合わせる/開発する/残す」を決める
製品が決まっていても、まずいまの経理の流れを見える化します。
誰が、どの帳票を、いつ、誰に渡しているか。
次に、やめる・まとめる・そろえる作業を整理し、NetSuiteの標準機能と照らし合わせます。
標準で収まらない部分には、3つの選び方があります。
第2章の記帳方法に当てはめると、次のとおりです。
- 標準に合わせる:売上原価対立法に変える(選択肢1)
- 開発する:レポートを三分法の形に変換する(選択肢2)
- 残す:財務会計はいまの会計ツールに残し、並行運用する(選択肢3)
どれを選ぶかは、見える化の後に、経理と税理士を交えて決めます。
開発を選ぶほど、導入の費用だけでなく、稼働後の保守の手間も増えます。
進め方の詳細は、NetSuite導入のFit&Gap分析で扱っています。
「変わること・注意が必要なこと」を先に渡す
会計をNetSuiteに載せると、変わることがあります。
ベンチャーネットは、見積りと同じ場で次の点を伝えます。
- 締め処理:締めの考え方が、いまの会計ツールと違うことがある
- 帳票:三分法の帳票は標準では出ない。どこまで作るかで費用が変わる
- 画面の操作感:入力の手順が変わり、慣れるまで時間が増えがち
- ライセンス費用:会計を使う人を増やせば、上がることがある
後から知れば「話が違う」になる点ばかりです。
話を進めた結果、並行運用や「いまは入れない」をお勧めすることもあります。
伴走型の支援の考え方は、伴走型のNetSuite導入支援とは?で扱っています。
今日できること|会計の流れを1時間で書き出す
次の表を、経理の責任者と一緒に埋めてみてください。
| 書き出すこと | 自社の答え |
|---|---|
| いまの記帳方法(三分法か、売上原価対立法か) | |
| 使っている会計ツールと、顧問税理士が使うツール | |
| 月次決算は何営業日で終わっているか | |
| 月次決算で、Excelで突き合わせている数字 | |
| いちばん困っているのは、モノ・ヒト・カネのどれか |
最後の行の答えが、フェーズ1で扱う領域の候補です。
この表を持って顧問税理士に相談すると、話が早く進みます。
月次決算の流れの見直しは、月次決算とは?も参考にしてください。
よくある質問
Q1. NetSuiteで日本の会計基準に対応できますか?
基本的な日本の会計基準には対応しています。
損益計算書・貸借対照表など、基本的な財務諸表を出せます。
日本の消費税の設定や帳票、仕入税額控除の機能もあります(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)。
ただし、標準の記帳が売上原価対立法であるなど、設計の考え方は違います。
Q2. 顧問税理士がNetSuiteに詳しくない場合、導入は難しいですか?
事前のすり合わせができれば難しくありません。
要になるのは、NetSuiteの出力を、税理士が作業できる形にどう変えるかの運用設計です。
NetSuiteの導入を機に、税理士との関係を見直す必要はありません。
役割分担をはっきりさせれば、連携はむしろ良くなります。
Q3. いまの会計システムとの並行運用はできますか?
できます。フェーズ1では並行運用をお勧めすることが多くあります。
- 販売管理・在庫管理・プロジェクト管理をNetSuiteで運用する
- 財務会計は、freee・マネーフォワード クラウド・弥生会計などで続ける
- NetSuiteから必要なデータだけを、CSVの出力やAPIの連携で渡す
本社が海外にある外資系企業や、製品の仕入れのない業態などを除き、並行運用を第一の選択肢にしてください。
Q4. フェーズ2以降とは、具体的にいつ頃ですか?
NetSuiteの導入から1〜2年後が目安です。
決まった期間ではなく、基幹業務(モノかヒト)が安定運用に乗った段階を指します。
判断には、第6章の5つの条件を使います。
Q5. 中小企業でもNetSuiteの会計機能を活用できますか?
活用できます。
NetSuiteは、中堅・中小企業での利用を前提に発展してきたクラウドERPです。
販売・在庫の管理から段階的に始められます。
ただし、国内の会計ツールで足りている会社は、急いで一本化する必要はありません。
Q6. 電子帳簿保存法やインボイス制度にはどう対応しますか?
NetSuite側の対応と顧問税理士との役割分担の両方で考えます。
法令への対応は、システムだけでは完結しません。
対応の状況は、NetSuiteと電子帳簿保存法・インボイス制度の対応をご覧ください。
Q7. 財務会計を最初から一本化したほうがよい会社はありますか?
海外展開を急ぐ会社や本社が海外にある会社は検討する価値があります。
社内にIT担当が複数いて、経理と税理士が売上原価対立法に合わせられる場合も候補になります。
その場合も、顧問税理士とのすり合わせは導入の前に済ませてください。
まとめ:経営判断としての「会計の一本化」
- NetSuiteの標準の記帳は売上原価対立法。三分法の形には追加の仕組みが要る
- 顧問税理士とは、導入を決める前にすり合わせる
- 現場の作業時間は増えがち。測れる目標を掲げ、経営と現場で乗り越える
- 多くの会社では、「モノ」か「ヒト」から始め、財務会計はフェーズ2以降が無理がない
- フェーズ2に進む目安は、定着・経理・税理士・月次決算・記帳方法の5つがそろったとき
「会計も最初から一本化するのが筋」という考えは、間違いではありません。
ただ、順番が違うと、現場と税理士が先に疲れます。
まずは第10章の表で、自社がいちばん困っているのがモノ・ヒト・カネのどれかを書き出してください。
もう少し詳しく知りたい方へ
会計の持ち方の選び方や、顧問税理士との連携の設計をご相談いただけます。
- NetSuite×会計ブリッジ伴走(CFO向け):既存の会計システムとの橋渡し、月次・年次決算の運用設計、顧問税理士との連携
- NetSuite無料デモ:実際の画面で、自社の業務に当てはめた使い方をご確認いただけます
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