データドリブン経営の事例|公開事例と業種別5つの型、成果を分ける共通点

展示会のたびに、営業チームで約50時間かけていた作業が、ゼロになりました。

ベンチャーネットが支援した、キュリエ様の公開事例です。

データドリブン経営とは、勘や経験だけに頼らず、データにもとづいて経営の判断や業務の改善をするやり方です。

キュリエ様の50時間は、ツールを入れた日に消えたわけではありません。

販売・在庫・経理のデータを1つにそろえ、そのデータで営業の動きを変えた結果です。

事例を並べると、成果を出す会社の共通点は3つに絞れます。

  • データを「見るもの」ではなく「行動の起点」として使っている
  • 始めるときに決めるのは、ツールではなく「経営者が毎日見る数字」
  • 仕組みは、業務の広がりと社内の人手で選んでいる

では、キュリエ様はどんな順番で、そこまで進んだのか。

目次

この記事で分かること

  • データドリブン経営の定義と「可視化→分析→最適化→実行」の回し方
  • 公開事例(キュリエ様)の進み方:守り→攻め→次へ
  • 製造・卸売・専門商社・物流・IT/SaaSの5つの型と、最初に見る数字
  • 成功する会社に共通する3つの要因と、よくある3つの失敗
  • 1業務・1KPIに絞って最短90日で回す、1周目の進め方

データドリブン経営とは

データドリブン経営では、売上・在庫・顧客の動き・業務の流れなど、社内で生まれるデータを集めて分析します。

そのうえで、客観的な根拠にもとづいて判断します。

似た言葉にDX(デジタルトランスフォーメーション)があります。

DXは、デジタル技術で事業や組織を変えること全般を指します。

データドリブン経営は、そのDXを進める手段の一つです。

4つの段階を回す

段階やること止まりやすい理由
可視化売上・在庫・利益などを見える状態にする画面を作って満足する
分析なぜその数字になったか、原因や傾向を読み解く分析する時間がない
最適化データから打ち手を決める決める人が決まっていない
実行組織で動かし、結果を次の可視化に戻す誰がいつ動くかが決まっていない

多くの会社は、1段目の可視化で止まっています。

ダッシュボードは作ったが、見るだけで終わる。

成果を出す会社は、この回転を途切れさせません。

変わること変わらないこと
判断の根拠が、感覚から数字になる最後に決めるのは経営者であること
部門の議論が、同じ数字の上で進む現場の知恵や顧客との関係の大切さ
問題に気づく時点が早くなる数字の意味を読み解く人の力が要ること

データは、経営者の判断を置き換えるものではありません。

判断を速く、納得のいくものにするための材料です。

実践方法の全体は、中小企業のデータドリブン経営実践方法とは?で扱っています。

公開事例|キュリエ様:守り→攻め→次へ

キュリエ様は、オフィスサプライの卸売とECを手がける会社です(キュリエ様の導入事例)。

導入前は、複数のシステムやExcelに情報が分かれ、販売・在庫・経理のデータが一体になっていませんでした。

何が変わったか

  • 展示会の後の作業:約50時間かかっていた作業が、ゼロになった
  • データの集計:生成AIとの連携で、集計の手作業がほぼなくなった

どちらも、データが1か所にそろってから起きた変化です。

データが散らばったままなら、生成AIも一部しか読めませんでした。

どんな順番で進んだか

キュリエ様の歩みは、3つの段に分けて見ると分かりやすくなります。

  • 守り|業務が回る:在庫・販売・会計を1つにし、日々の業務を安定させる
  • 攻め|データで打つ:売れ筋の分析や、営業の作業の自動化に使う
  • 次へ|経営が変わる:KPI、管理会計、上場に向けた内部統制に進む

キュリエ様は、在庫管理の自動化で守りを固めました。

次に、展示会の作業を自動化して攻めに出ています。

いまは、上場に向けた内部統制に取り組んでいます。

定着の先の3段階:守り→攻め→次へ 守りは業務が回ること、攻めはデータで打つこと、次へは経営が変わること。 定着の先の3段階守り|業務が回る在庫・販売・会計を1つにし、日々の業務を安定させる攻め|データで打つ売れ筋・在庫の分析、営業作業の自動化、生成AIでの集計次へ|経営が変わるKPI、管理会計、上場に向けた内部統制
定着の先の3段階:守り→攻め→次へ

守りを固めた4つの手順

攻めに出られたのは、守りの段で次の4つを徹底したからです。

  1. データ整理を最初に:移す前に、マスターと数字をそろえる
  2. 段階的に導入:Excelから一度に切り替えない
  3. 研修・サポートを徹底:現場が使える状態まで付き合う
  4. 操作はシンプルに:使わない機能を盛らない

データドリブン経営というと、攻めの画面や分析に目が向きがちです。

けれど、キュリエ様の順番を見ると、最初に手をかけたのは守りでした。

事例を、自社に引き寄せて読む

同じ業種・規模でも、課題や業務の流れは会社ごとに違います。

「他社が成功したから自社も」とは限りません。

事例を読むときは、次の3つを自社と並べてみてください。

  • その会社の課題は、自社の課題と同じか
  • その会社は、何を標準に合わせ、何を作り込んだか
  • 稼働した後、社内で誰がデータを見て動いているか

ほかの公開事例は、NetSuiteの導入事例で紹介しています。

業種別・5つの型|最初に見る数字

キュリエ様の順番は、業種が違っても使えます。

変わるのは、最初に見る数字です。

ここからの5つは、中堅・中小企業によく見られる流れを業種ごとにまとめた「型」です。

特定の会社の実例ではありません。

業種よくある困りごと最初に見る3つの数字の例行動のきっかけの例
製造業製品が多く、どれが儲かっているか分からない製品別の限界利益/受注残/在庫回転率限界利益が下がった製品は価格を見直す
卸売業拠点が複数あり、欠品と滞留が同時に起きる在庫回転率/欠品率/品目別の粗利回転率が落ちた品目は発注を止める
専門商社採算の悪い取引をやめられない顧客別の採算/売掛金の回収状況/粗利率回収が遅れた顧客は与信を見直す
物流業問題が当日にならないと分からない翌日の出荷予定/在庫の精度/遅延率在庫不足は前日に営業へ知らせる

IT・SaaS業では、事業や案件が多く、損益が月次でしか分からないことがよくあります。

見る数字は、事業別損益・案件別の工数・解約率です。

工数が見込みを超えた案件は、範囲を見直すきっかけになります。

限界利益は、売上から変動費を引いた利益です。

KPI(重要業績評価指標)は、目標に向けた進み具合を測る数字を指します。

製造業の型|製品別の採算を見える化する

製品が多い製造業では、月次決算は出ても、製品別・顧客別の採算が見えないことがよくあります。

工場長が「この製品は赤字かもしれない」と感じていても、根拠の数字を出せません。

型としての取り組みは、拠点ごとの販売と会計のデータを1つにすることです。

そのうえで、製品ごとに原材料費・工数・販管費を割り当て、限界利益を見ます。

最初から原価を細かく分けきらなくても、上位と下位の製品が分かれば判断は始められます。

画面は月次決算の道具ではなく、毎朝の判断の道具として使います。

たとえば、製品別の利益率の上位10と下位10を、経営者が毎朝見る形です。

  • 「赤字かもしれない」製品を、数字で示せるか
  • 製品ごとの原価に、工数や販管費まで割り当てられているか

卸売業の型|拠点の在庫を同じ時点で見る

ある拠点で欠品し、別の拠点で同じ商品が滞留する。

全社で「どこに・何が・いくらあるか」が分からない状態です。

拠点の在庫データをつなぎ、品目別の在庫水準・回転率・欠品の危険を1つの画面に集めます。

在庫の数だけを見ると、「減らす」判断に偏りがちです。

品目別の粗利と並べると、持つべき在庫と手放す在庫を分けて考えられます。

見える化で止めず、仕入と拠点への配分の見直しまで進めるのが、この型の到達点です。

専門商社の型|顧客別の「本当の利益」を出す

顧客別の売上は分かっても、配送費・営業の工数・支払いの期間を含めた利益は、誰も計算していない。

不採算の顧客の扱いで、営業と経理の意見が割れる。

専門商社でよく見る場面です。

顧客マスタを1つにし、顧客別の売上・粗利・配送費・支払いの期間を一画面に並べます。

同じ数字を見れば、不採算の顧客の議論は感情論になりません。

分析の結果は、経営会議という「決める場」に持ち込みます。

物流業・IT/SaaS業の型|判断のリズムを前倒しにする

物流業では、受注・在庫・配送の予定が別々のシステムにあると、在庫不足が配送の当日に分かります。

受発注と在庫を一元化し、配送の予定とつなげば、前日の夕方に翌日の計画を見られます。

現場が落ち着くと、経営者はクレーム対応から離れ、原因の分析に時間を使えます。

IT・SaaS業では、受託案件の赤字が案件の終了後に分かることがあります。

案件別の工数と会計のデータをつなぎ、事業別の損益を月次より細かい間隔で見ます。

月次の振り返りから日々の判断へ、リズムを変えるのがこの型です。

数字は例です。

自社の事業で、判断に直結する数字を選んでください。

業種別の使い方は、製造業の経営者がNetSuiteで解決できる課題と卸売・商社のNetSuite活用ガイドでも扱っています。

成功する会社に共通する3つの要因

経営者がリアルタイムでデータを見る

成果を出す会社の経営者は、データを「月次会議で初めて見るもの」として扱いません。

朝のメールと同じ感覚で、ダッシュボードを開きます。

製品別の利益率、在庫の動き、案件の進み具合を、1日の始まりに見ておきます。

2024年7月17日に日本オラクルが開いた「SuiteConnect Tokyo」で、パネルの討論がありました。

日本オラクル社長の三澤智光氏は、経営者自身がリアルタイムのデータを見て判断する姿勢の大切さを語っています。

それを可能にするツールを選び、活用することも求められると述べています。

出典はNetSuite「成功するデータドリブン企業の条件」開催レポートです(2026年9月確認)。

経営者が見ない数字は、現場も見ません。

経営者が毎日見る数字は、現場も意識し始めます。

データで議論する文化

同じパネルで、日産自動車のジョン・クラーク氏は、DXがうまくいかない理由の多くはカンパニーカルチャー(組織の文化)にあると指摘しました。

データは特定の部署だけが使うものではなく、全社での取り組みが欠かせないという趣旨です(出典:同上)。

成果を出す会社では、データが組織の共通言語になっています。

感覚ではなくデータをもとに議論し、失敗を責めるのではなく、データから学びます。

文化は、号令だけでは変わりません。

根づくまでには、半年から1年ほどを見ておくのが現実的です。

小さな決めごとから始めます。

  • 会議の資料の最初のページに、毎回同じ3つの数字を載せる
  • 「なぜそう思うか」と聞かれたら、数字で答える
  • 数字が悪かった担当を責めず、「次に何を変えるか」を問う

見える化で終わらせず、行動につなげる

成果を出す会社は、データを見た後に、誰が・いつ・何をするかを決めています。

  • 在庫回転率が一定の値を下回ったら、購買担当が翌日に発注を見直す
  • 製品別の利益率が悪化したら、営業会議で価格を再検討する

数字と行動の組み合わせを図にすると、次のとおりです。

数字が動いたら、誰が何をするか 在庫回転率が一定の値を下回ったら購買担当が翌日に発注を見直す。製品別の利益率が悪化したら営業会議で価格を再検討する。画面を作る前に、数字と行動の組み合わせを決める。 数字が動いたら、誰が何をするか 数字が動いたら 誰が・いつ 何をする 在庫回転率が 一定の値を 下回ったら 購買担当が 翌日に 発注を 見直す 製品別の 利益率が 悪化したら 営業会議で 価格を 再検討する 画面を作る前に、この組み合わせを決める
数字が動いたら、誰が何をするか

差がつくのはツールではありません。

「データを見たら何をするか」を、画面を作る前に決めているかどうかです。

KPIが動いたときの担当と打ち手を、業務の流れと一緒に書いておきます。

そうすれば、画面は眺めるものから、動くきっかけに変わります。

判断の物差し|どの仕組みでデータを集めるか

選択肢向く会社注意点AIとの親和性
いまは入れない(Excelで3つの数字を毎日出す)まず見る習慣をつけたい集計が人に依存する低い。データが散らばる
会計ソフト+BIツール会計の数字を中心に見たい販売・在庫のデータは別に集める中。つなぐデータしだい
Odoo費用を抑え、業務を広く一つにしたい設定と運用を担う人が要る中〜高
NetSuite販売・在庫・会計を一つにし、拠点が複数ある構成で費用が変わる高い。全業務のデータが一か所にある
AIスクラッチ開発独自の指標や画面が競争力の源作った後の保守を誰が担うか高い。ただし保守が前提

BIツールは、集めたデータを分析し、グラフなどで見せる道具です。

表の「AIとの親和性」は、AIが読めるデータが一か所にそろうかどうかで見ています。

販売・在庫・会計のデータが一つにあれば、AIに次のような点検を任せやすくなります。

  • いつもと違う数字の動きを見つけて知らせる
  • 数字の変化を文章で要約し、会議の資料の下書きを作る
  • 悪化の兆しがある顧客や品目を洗い出す

データがExcelに散らばったままでは、AIもその一部しか読めません。

キュリエ様の集計の手作業が消えたのも、データが一か所にそろっていたからです。

NetSuiteは、Oracleが提供するクラウドERPです。

世界220地域・44,000社以上で使われています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月時点)。

公式サイトでは、ロール別のダッシュボードやKPI、リアルタイムの検索とレポート、SuiteAnalyticsワークブックという分析の機能が紹介されています。

出典はNetSuite公式サイト「Analytics & Reporting」です(2026年9月確認)。

ほかの選択肢が合う会社もあります。

  • 見る数字がまだ決まっていないなら、Excelで3つの数字を出す習慣から始める
  • 会計の数字だけで判断できる規模なら、会計ソフトとBIツールで足りることがある
  • すでにERPがあるなら、BIツールを足すほうが早いこともある(NetSuite × BIツール徹底比較)

これから始める会社と、仕組みが使われていない会社

これから始める会社は、毎日見る数字を3つに絞るところから入ります。

多すぎると、見続ける習慣が根づかないからです。

製造業なら製品別の利益率、卸売業なら在庫回転率、専門商社なら顧客別の採算。

第3章の型のうち、自社に近いものから選べば迷いません。

最初はExcelで構いません。

毎朝、同じ時刻に同じ形で出すことを続けます。

3つの数字を出すのに毎日1時間以上かかるなら、データが散らばっているサインです(ExcelからNetSuiteへ移行すべきタイミング)。

仕組みはあるのに誰も見ていない会社は、ERPもダッシュボードもそろっていることが多いものです。

その場合も、乗り換えの前に次の3点を見直します。

  • 画面の数字は、経営者が毎日見たい3つと合っているか
  • 数字が悪化したとき、誰が何をするかが決まっているか
  • 数字の定義が部門で違い、信用されていないことはないか

多くは、仕組みの問題ではなく、設計と運用の問題です。

2つの会社の最初の一手を並べると、次のとおりです。

出発点で変わる、データドリブン経営の最初の一手 これから始める会社は毎日見る数字を3つに絞り、仕組みはあるのに誰も見ていない会社は乗り換えの前に数字・行動・定義の3点を見直す。 出発点で変わる、最初の一手 これから始める会社 毎日見る数字を3つに絞る 第3章の型から、自社に近いものを選ぶ 最初はExcelで、毎朝同じ形で出す →出すのに毎日1時間以上かかるなら、  データが散らばっているサイン 仕組みはあるのに誰も見ていない会社 乗り換えの前に3点を見直す ・経営者が毎日見たい3つと合っているか ・悪化したとき、誰が何をするか ・数字の定義が部門で違っていないか →多くは、設計と運用の問題
出発点で変わる、データドリブン経営の最初の一手

いまのNetSuiteを活かし直す考え方は、NetSuiteが使いにくい・活用できていないと感じたらで扱っています。

よくある失敗3つ

失敗1:見える化で止まる

起きること:ダッシュボードを作ったが、月末に経理が集計する画面で終わる。経営者は月次会議でしか見ない。

原因:誰が・いつ・何を見て・どう動くかを決めないまま、画面を作った。

避け方:画面を設計する前に、「このKPIが悪化したら誰が何をするか」を決めます。

経営者が毎日見るKPIは3つに絞ります。

「その画面を最後に開いたのはいつか」と経営者自身に問うと、この失敗に気づけます。

失敗2:分析が行動につながらない

起きること:原因の仮説は立つのに、「誰がいつまでに何を変えるか」が決まらない。翌月も同じ分析を繰り返す。

原因:分析の結果と、意思決定の手順が切り離されている。会議が「持ち帰って検討」で終わる。

避け方:分析の結果には、行動の責任者と期限を必ずつけます。

経営会議では、数字を見る時間より、次に何をするかを決める時間を長く取ります。

議事録に「誰が・いつまでに」がない会議は、この失敗の入り口です。

失敗3:IT部門だけのプロジェクトになる

起きること:IT部門がツール選びから画面づくりまで担う。技術的には立派だが、現場も経営者も使わない。

原因:経営者・現場・IT部門の協働として設計していない。

避け方:経営のプロジェクトとして始めます。

経営者が「どの数字を毎日見るか」を決め、IT部門は土台づくりを担います。

現場の各部門にも、データで判断する場面を一つずつ作っていきます。

ベンチャーネットならこう見る|1業務・1KPIで回す90日

ベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。

データドリブン経営の相談で、最初に伺うのは次の3つです。

  1. 経営者が毎日見る数字は、3つに絞れているか
  2. その数字の定義は、部門で同じか
  3. 数字が動いたら、誰が何をするか決まっているか

3つがそろったら、次にデータの置き場所を書き出します。

Excel・会計ソフト・販売管理に、3か所以上散らばっていると分かることがよくあります。

その場合は、つなぎ方を考えるか、一つの仕組みにまとめるかを比べます。

NetSuiteが合わないと判断したときは、そうお伝えします。

最初の3つは、システムがなくても今日から決められます。

決まっていれば、どの仕組みを選んでも、データは行動の起点になります。

型1:最短90日で、1業務・1KPIの1周目

最初から全社の画面を作ろうとすると、指標の議論だけで数か月が過ぎます。

ベンチャーネットは、1つの業務と1つのKPIに絞った1周目を、最短90日で回す形をとります。

  • 絞る:判断したいことのうち、いちばん困っているものを1つ選ぶ
  • つなぐ:そのKPIの数字が、手作業を挟まずに画面に出るようにする
  • 回す:会議で見て、動いたら誰が何をするかを決め、結果を振り返る

1周目で型ができれば、2つ目のKPIも同じ手順で広げられます。

キュリエ様が守りから攻めへ進んだのも、同じ一巡の積み重ねです。

最短90日の1周目:1業務・1KPI いちばん困っている判断を1つに絞り、そのKPIが手作業なしで画面に出るようにつなぎ、会議で見て誰が何をするかを決めて回す。1周目の型ができたら2つ目のKPIへ広げる。 最短90日の1周目:1業務・1KPI 1. 絞る いちばん困っている判断を1つ選ぶ 2. つなぐ KPIが手作業なしで画面に出る 3. 回す 会議で見て、誰が何をするか決める 型ができたら、2つ目のKPIへ
最短90日の1周目:1業務・1KPI

型2:現場の勘とAIの提案を、同じ条件で比べる

データやAIの提案は、現場の勘を否定するためのものではありません。

同じ期間・同じ条件で、勘による判断とAIの提案を並べて結果を比べます。

どちらが当たったかを数字で見れば、現場も納得して使い分けられます。

今日できること|「数字と行動」の表をつくる(1時間)

経営者が毎日見たい数字を3つ選び、次の表を埋めてみてください。

毎日見たい数字今どこにあるか悪化の基準誰が何をするか
(例)在庫回転率倉庫のExcel前月より下がった購買担当が翌日に発注を見直す

「今どこにあるか」が複数に分かれる数字は、データを一つにする候補です。

「誰が何をするか」が埋まらない数字は、まず会議で決めてください。

3つのうち、いちばん困っている1つが、90日の1周目のKPIです。

経営者が毎朝見る画面の決め方は、NetSuiteダッシュボード|経営者が毎朝見る5つの画面の決め方で扱っています。

よくある質問

Q1. 中小企業でもデータドリブン経営はできますか

できます。意思決定が速い分、効果が早く出やすい面もあります。

大企業のような専門部署は要りません。

クラウドERPなら、データを集めて見える化する土台を、月額の利用料で持てます。

経営者が毎日見る数字を3つに絞り、その数字が手作業なしで出る土台を整えれば始められます。

Q2. どこから始めればよいですか

経営者が毎日見たい数字を3つに絞ることからです。

そのうち、いちばん困っている1つを選び、1業務・1KPIの1周目を回します(第8章・第9章)。

Q3. 効果が出るまでどれくらいかかりますか

1業務・1KPIに絞れば最短90日で1周目を回せます。

仕組みの構築だけなら、3〜6か月でデータが見える状態になることが多いです。

ただ、判断の質が全社で変わるには、半年から1年を見ておきます。

データを判断の材料にする文化を育てるには、習慣づくりの時間がかかるからです。

Q4. どんなツールが必要ですか

集めるERPと見せるダッシュボードと分析するBIツールの3つです。

中小企業では、ERPとダッシュボードが一体のクラウドERPを選ぶと、つなぐ手間が省けます。

すでにERPがあるなら、BIツールを足す選び方もあります。

Q5. 紹介されている事例は実在の会社ですか

第2章のキュリエ様は実在の公開事例です。

第3章の5つは、中堅・中小企業によく見られる流れを業種ごとにまとめた型で、特定の会社の実例ではありません。

自社に近い型を探す参考としてお使いください。

Q6. ダッシュボードを作ったのに使われません。どうすればよいですか

数字と行動の組み合わせを決め直すことからです。

画面の数字が、経営者の見たい3つと合っているかを見直します。

悪化したときに誰が何をするかを決めると、見る理由が生まれます(第6章)。

Q7. データドリブン経営とDXは何が違いますか

データドリブン経営はDXを進める手段の一つです。

DXは、デジタル技術で事業や組織を変えること全般を指します。

データドリブン経営は、その中で「判断の根拠をデータにする」部分を担います。

まとめ

  • データドリブン経営は、データを行動の起点にする経営
  • キュリエ様は、守り→攻め→次への順で進み、展示会の後の約50時間の作業をゼロにした
  • 業種が違っても順番は同じ。変わるのは最初に見る数字
  • 失敗の多くは、見える化で止まる・行動に落ちない・IT任せ
  • 始めるときは、1業務・1KPIに絞って最短90日で1周目を回す

50時間がゼロになった話は、ツールを入れた日から始まってはいません。

データをそろえ、見る数字を決め、動く人を決めたところから始まっています。

まずは、毎日見る数字を3つ書き出してください。

次の段階の最適化は、データドリブン経営の次の一手で扱っています。

もう少し詳しく知りたい方へ

毎日見る数字の決め方や、ダッシュボードの設計から、ご相談をお受けしています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

目次