ランサムウェアの脅威が、いよいよ日本の中小企業に迫っています。
警察庁の発表によると、令和6年の国内ランサムウェア被害222件のうち、約63%にあたる140件が中小企業への攻撃でした。前年比で37%もの増加です。
もはや「うちは大丈夫」とは言えない時代です。そして重要なのは、攻撃を完全に防ぐことよりも「攻撃されても事業を止めない仕組み」をつくることです。
本記事を書くのは、NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットです。中小企業のランサムウェア対策を「侵入前提」の視点から解説します。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- 中小企業を取り巻くランサムウェアの最新動向
- なぜ中小企業は「わかっていても守れない」のか
- 「侵入前提」で考える現実的な対策
- クラウドERPがランサムウェア対策にどう効くのか
- ベンチャーネットが現場で見てきた失敗パターン
中小企業のランサムウェア対策とは ── 攻撃の現状と「侵入前提」の発想
中小企業のランサムウェア対策とは、限られたリソースの中で「攻撃されても事業を継続できる仕組み」を整えることです。
完全な防御を目指すのではなく、「侵入される前提」で備える発想が、いま求められています。
ランサムウェアとは何か
ランサムウェアとは、社内のファイルを勝手に暗号化し、元に戻すために身代金を要求するコンピュータウイルスの総称です。
近年は、データを盗み出した上で「払わなければ公開する」と脅す二重恐喝型が主流になっています。
中小企業を取り巻く脅威の現状
IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、「ランサム攻撃による被害」が組織向け脅威の第1位に選ばれました。11年連続でTOP10に入り続けている、最も警戒すべき脅威です。
警察庁のデータでも、令和6年の被害は222件。そのうち63%が中小企業でした。
かつてランサムウェアの標的は大手企業や公的機関が中心でした。しかし今は違います。
攻撃者にとっての選定基準は「社会的な影響度」や「資産価値」ではありません。「攻撃しやすいかどうか」です。
「完全防御」から「侵入前提」へ
どれだけ対策をしても、攻撃を100%防ぐことはできません。
だからこそ発想を変える必要があります。「侵入を許しても」「データを人質に取られても」、事業を継続できる仕組みを整えること。これが「侵入前提」の考え方です。
この発想転換については、後ほど「データレジリエンス」の章で詳しく解説します。
国内被害の実態 ── 中小企業を襲うランサムウェアの3パターン
ランサムウェアの被害は、決して他人事ではありません。実際の数字とパターンから、その実態を見ていきましょう。
警察庁データで見る被害の規模
警察庁「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、令和6年の被害報告件数は222件でした。
そのうち中小企業は140件。全体の約63%を占めています。前年と比べ、中小企業の被害は37%増加しました。
さらに、令和7年上半期(2025年1〜6月)だけでも116件の被害が報告されています。被害は依然として高水準で推移しているのです。
復旧費用と業務停止期間の現実
ランサムウェアの被害は、復旧費用も業務停止期間も深刻です。
警察庁の調査では、復旧に1,000万円以上を要した組織が約50%にのぼります。復旧に1か月以上かかった組織も約49%です。
ここに、原因箇所の特定、社員教育、取引先との通信ルールの見直しなどが加わります。広い意味での復旧コストは、さらに大きくなるでしょう。
典型的な被害パターン3選
中小企業が遭遇しやすい被害を、3つのパターンに整理しました。
| パターン | 主な侵入経路 | 被害規模 | 業務停止期間の目安 |
|---|---|---|---|
| バックアップ同時暗号化型 | 社内サーバー経由でNAS等のバックアップ環境も暗号化 | 復旧手段の喪失。身代金支払いを検討せざるを得ない状況に | 数か月以上に及ぶことも |
| VPN侵入型 | VPN機器の脆弱性・パスワードの使い回し | 管理者権限の奪取、社内PC一斉ロック、全社停止 | 1か月〜数か月 |
| サプライチェーン型 | セキュリティが手薄なグループ会社・取引先経由 | 本社とグループ全体の停止、取引停止通告 | 数か月、信用失墜による事業継続危機 |
(出典:警察庁「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」、ベンチャーネットによる類型化)
VPN(社外から社内ネットワークに安全に接続する仕組み)の脆弱性は、特に注意が必要です。リモートワークの普及で、攻撃者の入口になりやすくなっています。
「サイバーセキュリティの弱者」として狙われる構造
攻撃者は「中小企業は大手に比べて対策が手薄」と認識しています。だからこそ「効率の良い標的」として狙われるのです。
近年主流なのは、特定の企業を計画的に狙う「標的型(侵入型)攻撃」です。事前に脆弱性を調査し、侵入しやすい企業を選別します。
一方で、不特定多数を狙う「無差別型攻撃」もあります。この場合は「守りの穴がある企業」が被害に遭います。
いずれにせよ、規模や業種に関わらず、対策が不十分な企業が狙われるのです。
なぜ中小企業は「わかっていても守れない」のか
多くの中小企業の経営者は、ランサムウェア対策の重要性を理解しています。それでも、十分な対策を講じられないケースが少なくありません。
その背景には、5つの構造的な事情があります。
情シス不在もしくは兼任体制の限界
中小企業の多くは、情報システム部門が存在しないか、1〜2名の担当者(いわゆる「ひとり情シス」)で回しています。
PCやネットワーク機器の設定・トラブル対応に追われ、VPN機器やサーバーの脆弱性管理まで手が回りません。
さらに、IT人材は慢性的に不足しています。採用できても、本来は複数名で担う業務を一人で背負う構造になりがちで、離職リスクも高まります。
「何から始めればいいかわからない」問題
現代企業が取るべきセキュリティ対策は多岐にわたります。
自社のリスクや脆弱性を把握できていない状態では、適切な判断ができません。
「社内外ネットワーク」「VPN」「グループ会社との通信」など、守るべきポイントは数多くあります。優先順位がつけられず、結果的に「手つかず」が続いてしまうのです。
予算と経営判断のジレンマ
サイバーセキュリティ対策は、経営の世界では「守りの投資」に分類されます。
守りの投資は効果が見えにくく、経営判断が難しいという特性があります。売上や利益に直結しないため、予算確保の優先順位が下がりがちです。
被害に遭って初めて重要性を痛感するケースも多く、投資判断が先送りされる傾向があります。
既存システムの複雑さ
改修を重ねたレガシーシステムが、抜本的な対策を妨げることもあります。
オンプレミス型かつ部署ごとに分断されたシステムでは、データの所在が把握できていません。守るべき対象すら特定できないのです。
しかし、システム刷新には大規模な投資と時間が必要です。現実的な選択肢として検討しづらい構造があります。
正常性バイアス
「中小企業は標的にならない」という誤解も、根強く残っています。
「社会的に重要な情報を扱っていないから」という油断や、「ランサムウェアは海外の話」という思い込みが、対策を遅らせます。
しかし前述の通り、いまや主な標的は中小企業です。「攻撃しやすいかどうか」が選定基準になっている以上、油断は禁物です。
私たちが現場で出会う経営者の多くは、対策の重要性を頭では理解しています。それでも、目の前の事業を優先するうちに、対策が後回しになっていきます。
これは怠慢ではありません。限られた経営リソースの中での、合理的な判断の積み重ねです。
だからこそ、外部のパートナーが「守りの仕組み」を構造として持ち込む価値があります。情シスがいない企業ほど、その効果は大きいといえます。
情シスがいない中小・中堅企業の方は、情シスがいない中小中堅企業向けの基幹システム導入伴走サービスもあわせてご覧ください。
限られたリソースで取りうる現実的な対策の考え方
では、中小企業はどう対策を進めればよいのでしょうか。
すべてのリスクに対応しきることはできません。だからこそ、優先順位の考え方が重要になります。
「7割の防御、3割の攻め」という発想
ベンチャーネットがおすすめするのは、「7割の防御、3割の攻め」という意識づけです。
「7割の防御」とは、社内システムの要である基幹システムを徹底的に守ること。社内に分散したデータをクラウドERPに集約し、守るべき対象を明確にします。そこに防御リソースを集中させるのです。
「3割の攻め」とは、守られた基盤の上でデータを活用すること。安全なデータ基盤の上で、AIによる予測や経営分析を進めます。
セキュリティに時間を取られず、本業の価値創造に集中できる。これが理想の状態です。
「経営の言葉で話す」という視点
ベンチャーネットが大切にしているのは「経営の言葉で話す」ことです。
ランサムウェア対策を「ITコスト」として議論すると、判断の優先度が下がりがちです。売上に直結しないからです。
そうではなく、「事業停止が何日まで許容できるか」「復旧コストをどこまで抑えられるか」という経営判断として捉え直す。すると、対策の意味が変わってきます。
「APIで連携できます」ではなく「来月の意思決定が止まらない仕組みです」。経営者に届くのは、後者の言葉です。
なぜ「基幹システムへの集約」が現実解か
守るべき対象が社内に分散していると、リソースを集中できません。
部署ごとにシステムが分かれ、データの所在が把握できていない。これでは「何を守ればいいか」すら分からない状態です。
基幹システムにデータを集約すれば、守備範囲が明確になります。限られたリソースを、最も重要な場所に集中投下できるのです。
侵入前提の「データレジリエンス」という発想転換
ランサムウェアの攻撃を完全に防ぐことは困難です。だからこそ「攻撃されても事業を継続できる体制」が重要になります。
ここで鍵になるのが「データレジリエンス」という考え方です。
データレジリエンスとは何か
データレジリエンスとは、災害やサイバー攻撃といった有事において、重要なデータを失わず速やかに復元するための「備え」のことです。
完全防御ではなく、「侵入を許しても」「データを人質に取られても」、データの整合性を保ち事業を継続できる仕組みを整える。それがデータレジリエンスです。
データレジリエンスを支える3つの要素
データレジリエンスは、次の3つの要素で構成されます。
第一に、データの分離です。
重要なデータを、ネットワークから論理的・物理的に分離して守ります。攻撃者がバックアップに到達できない構成を築くことが目的です。後述の「3-2-1ルール」(失敗パターン②で解説)も、この考え方に基づきます。
第二に、バックアップとチェックの強化です。
バックアップデータを暗号化と完全性チェックで安全に保管し、迅速に復元できる状態にします。複数世代のバックアップと、自動復旧の手順を整えます。
第三に、復旧のマニュアル化です。
復旧手順を標準化し、事前に整備・訓練しておきます。インシデント発生時の初動対応マニュアルを用意し、社内に周知することが大切です。
BCP策定が、早期復旧につながる
ここで注目したいのが、BCP(事業継続計画)の有無による差です。
警察庁の分析によると、サイバー攻撃を想定したBCPを策定していた組織は、被害からの早期復旧につながる傾向が見られます。
つまり「侵入前提」で事前に備えていた企業ほど、被害を最小限に抑えられるのです。
「まず試す」── 私たち自身の実践
ベンチャーネットには「まず試す」という価値観があります。
新しいテクノロジーや運用は、まず自分たちで実験台になって試す。手応えがあったものだけを、お客様に届ける。
侵入前提のデータ管理も、私たち自身が実践しながら、その有効性を確かめています。
クラウドERPで構造的にリスクを下げる ── ただし「フィットしないなら売らない」
中小企業が抱える「構造的な脆弱性」を解消する手段の一つが、クラウドERPの活用です。
ただし、クラウドERPですべてが解決するわけではありません。この点も正直にお伝えします。
クラウドERPが標準で持つ防御機能
クラウドERPには、ランサムウェア対策に有効な機能が標準で備わっています。
- 自動バックアップ(日次・週次・月次の多世代管理)
- 地理的に分散された冗長化構成
- セキュリティパッチの自動適用
- 多要素認証(MFA)による不正アクセスの低減
- 通信の完全暗号化(TLS 1.2以上)
これらがワンパッケージで提供されるため、自社で管理しきれない領域を大幅に減らせます。
「守るべき対象を絞り込む」効果
バラバラに管理されたデータをクラウドERPに集約すると、セキュリティ対策を一元化できます。
「どこに何のデータがあるか」が明確になり、「守るべき対象」を容易に絞り込めるのです。
AI Cloud ERP「NetSuite」のセキュリティ基盤
Oracle社のAI Cloud ERP「NetSuite」は、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)上で稼働しています。エンタープライズグレードのセキュリティ基盤を、標準で利用できます。
NetSuiteは、世界220地域・43,000社以上で利用され、190通貨・27言語に対応する#1 AI Cloud ERPです。
OCIでは、データセンターの物理的セキュリティ、ネットワークの保護、サーバーの脆弱性対策を担います。さらに、自動バックアップやパッチの自動適用も、すべてOracle側が担当します。
つまり、IT基盤のセキュリティ・運用をベンダー側に任せられるのです。
企業側は、ユーザーアカウント管理、社員へのセキュリティ教育、適切なパスワード管理に集中できます。
さらにNetSuiteでは、財務・販売・在庫・生産などの基幹データを一元管理できます。アクセス制御(RBAC)を全社に統一適用できるため、権限管理の複雑さも軽減されます。
オンプレ基幹システムとの耐性比較
オンプレミス型の基幹システムと、クラウドERP(NetSuite)のランサムウェア耐性を比較してみましょう。
| 観点 | オンプレ基幹システム | クラウドERP(NetSuite) |
|---|---|---|
| バックアップ | 手動運用が主流、属人化リスク | 多世代の自動取得、地理分散 |
| セキュリティパッチ | 担当者判断で実施、遅延リスク | OCI上で自動適用 |
| 多要素認証(MFA) | 個別導入が必要 | 標準装備 |
| 通信の暗号化 | システムごとにバラバラ | TLS 1.2以上で標準暗号化 |
| アクセス制御 | 部署・拠点ごとにバラバラ | RBACを全社統一適用 |
| データの所在 | 単一拠点に集中、災害リスク大 | 地理的に分散、災害時も保護 |
| 運用負荷 | 自社で全領域を担う | 基盤運用はOracle側、自社は管理・教育に集中 |
(出典:Oracle NetSuite公式情報・ベンチャーネット支援知見)
クラウドERPの詳細は、クラウドERPに乗り換えるべき?オンプレミス型との違いやメリットを解説で解説しています。情報セキュリティ全般については、基幹システムのセキュリティ性とは?必要な機能や対策について解説をご覧ください。
「フィットしないなら売らない」── 正直にお伝えすること
ここで正直にお伝えしたいことがあります。
クラウドERPは「7割の防御」を担いますが、すべてを解決するわけではありません。
社員教育や運用ポリシーの整備は、企業側で取り組むべき領域です。これは「人」の問題であり、システムだけでは解決できません。
費用面では、「デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)」(2026年度〜)の活用も検討できます。
そして何より、ベンチャーネットは「フィットしないと判断したら売らない」という姿勢を貫いています。自社に合わない案件を、無理に提案することはありません。
NetSuiteの詳細を知りたい方は、NetSuiteの無料デモでその実力をご確認いただけます。
ベンチャーネットが現場で見てきた、ランサムウェア対策の失敗パターン
ランサムウェア対策は、正しい知識があっても、進め方を誤ると効果を発揮できません。
ここでは、ベンチャーネットが中堅・中小企業の経営支援の現場で見てきた、5つの失敗パターンをお伝えします。
これは売り込みのためではなく、「同じ失敗をしてほしくない」という思いから共有するものです。
失敗①:「うちは大丈夫」と思い込んでいる
症状
「うちは小さい会社だから狙われない」「特別な情報は持っていないから」と、対策を後回しにしているケースです。
なぜ失敗するのか
ランサムウェアの攻撃対象は、「価値ある情報を持つ企業」ではありません。「攻撃しやすい企業」です。
攻撃者は、無差別型でも標的型でも、セキュリティの隙がある企業を選びます。会社の規模や業種は関係ありません。
実際、警察庁の発表では、令和6年の中小企業の被害は前年比で37%も増加しています。すでに「狙われる時代」に入っているのです。
どう回避するか
まず「うちも狙われる」という前提で見直すことが第一歩です。
VPN機器・パスワード管理・バックアップ運用。この3点を棚卸しするだけでも、リスクは大きく下がります。
警察庁やIPA(情報処理推進機構)の最新情報を、定期的にチェックする習慣もおすすめします。
失敗②:バックアップを「取得しているつもり」になっている
症状
「毎日バックアップしている」と思っているものの、復元テストを一度もしていないケースです。社内のNAS(共有ストレージ)だけにバックアップしている場合も含みます。
なぜ失敗するのか
攻撃者は、社内に侵入してから数日〜数週間かけて、バックアップ環境を探し出します。そして本番環境と同時に暗号化するのです。
復元テストをしていないと、いざというときにバックアップが壊れていても気付けません。
さらに、本番環境と同じネットワーク上にあるバックアップは、まさに「人質」になりやすい構造です。
どう回避するか
世界的に推奨されているのが「3-2-1ルール」です。3つのコピーを持ち、2種類の媒体に保存し、うち1つはオフサイト(遠隔地)に置く考え方です。
半年に1回でもよいので、復元テストを実施してください。
クラウドERPであれば、地理的に分散された冗長化バックアップが標準で備わっています。
失敗③:「導入したら終わり」と考えている
症状
セキュリティ製品を導入した瞬間に「対策完了」と思い込んでしまうケースです。インシデント対応の訓練を一度もしていないことも多くあります。
なぜ失敗するのか
ランサムウェアの攻撃手法は日々進化します。「導入して終わり」の発想では、対策はすぐ時代遅れになります。
また、訓練をしていないと、いざ被害が発生したときの初動で時間を浪費します。復旧の遅れは、そのまま被害額の増大につながります。
どう回避するか
セキュリティは「運用フェーズ」が本番です。日々のパッチ適用、月次のレビュー、半年に1回の訓練を仕組みに組み込みましょう。
ベンチャーネットには「舟は、目的地に着くまで」という価値観があります。導入はゴールではなく、成果が出るまで伴走するのが私たちの役割です。
外部パートナーと組むなら、導入後の伴走支援があるかどうかを必ず確認してください。
失敗④:「ITコスト」として議論してしまう
症状
経営会議で「セキュリティ投資にいくら使うか」が議題になり、コスト削減の対象として扱われるケースです。売上に直結しないため、毎年予算が削られていきます。
なぜ失敗するのか
ランサムウェアによる事業停止は、経営リスクそのものです。それを「ITコスト」の議論に矮小化すると、判断の優先度が下がってしまいます。
「ITに詳しい人が、ITの言葉で判断する」構造では、経営判断としての位置付けが弱くなりがちです。
どう回避するか
ベンチャーネットが大切にしているのは「経営の言葉で話す」ことです。
「APIで連携できます」ではなく「来月の意思決定が止まらない仕組みです」。経営者に届くのは、後者の言葉です。
経営会議の議題を、「セキュリティ投資の額」から「事業停止が何日まで許容できるか」「復旧コストをどこまで抑えられるか」に切り替えてみてください。
私たちは、この「翻訳」を行うパートナーでありたいと考えています。
失敗⑤:「全部自前で守る」と抱え込む
症状
情シス担当者が一人で、セキュリティ機器の選定から運用、社員教育まで、すべてを抱え込んでいるケースです。「外部に頼むとお金がかかる」と内製にこだわる場合もあります。
なぜ失敗するのか
一人にすべてを背負わせる構造は、離職リスク・ノウハウの属人化・知見の更新遅れを生みます。
ランサムウェア対策は専門性が高く、片手間では追いつけない領域です。
どう回避するか
「自社で守るべきこと」と「外部の力を借りること」を切り分けることが大切です。
クラウドERPに基盤の運用を委ね、自社は「ユーザーアカウント管理」「社員教育」に集中する。この役割分担が現実的です。
費用面では、「デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)」(2026年度〜)の活用も検討できます。
私たちの伴走スタンス
ベンチャーネットは、お客様と「同じ舟の乗組員」として現場に入ります。
乗組員が嘘をついたら、舟は沈みます。だから、都合の悪いことも先にお伝えします。これが私たちの「誠実を貫く」という価値観です。
失敗パターンを共有するのは、売り込みのためではありません。「失敗してほしくない」という思いからです。
ここに挙げた5つの失敗を回避するだけでも、貴社のランサムウェア対策は大きく前進します。
よくある質問(FAQ)
ランサムウェア対策とクラウドERPについて、よく寄せられる質問にお答えします。
Q1. NetSuiteを導入すれば、ランサムウェア対策は完了しますか?
完了しません。NetSuiteは「7割の防御」を担いますが、社員教育や運用ポリシーは別途必要です。
クラウドERPは、自動バックアップ・パッチ自動適用・多要素認証などの基盤レイヤーのセキュリティを標準で提供します。これにより、自社で管理しきれない領域を大幅に減らせます。
ただし、ユーザーアカウントの権限管理や社員教育、フィッシング対策などは企業側の領域です。「クラウドERPに任せれば全部解決」という認識は危険です。
Q2. 当社は情シスがいません。クラウドERPを使いこなせますか?
情シス不在の企業向けに伴走サービスがあります。一人で抱え込まずに導入・運用が可能です。
クラウドERPは、サーバー管理やパッチ適用が不要になるため、情シス不在の企業ほど恩恵が大きい選択肢です。
ベンチャーネットでは、導入時のサポートだけでなく、運用フェーズでの定期レビューや改善提案まで伴走します。お客様の自走化までを支援するのが私たちの役割です。
Q3. ランサムウェア対策に活用できる補助金はありますか?
「デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)」が活用可能です。2026年度からの新名称です。
中小企業庁が2026年3月10日に名称変更を発表した制度で、ITツール導入やクラウドサービス活用に使えます。NetSuite導入も対象になる可能性があります。
ただし、採択要件や上限額、申請スケジュールは年度ごとに変わります。最新情報は事務局公式サイトでご確認ください。
Q4. 現在オンプレで運用しているシステムを、すぐ移行すべきですか?
急ぐ必要はありませんが、レガシー化が進む前の準備が重要です。段階的なアプローチをおすすめします。
「ランサムウェア対策のために今すぐ移行」という判断は、かえって移行リスクを生む可能性があります。
まずバックアップの3-2-1ルール徹底、VPN機器の脆弱性管理、社員教育から始める。移行は事業計画に合わせて段階的に進めるのが現実的です。
Q5. 被害に遭ってしまったら、まず何をすべきですか?
ネットワークの遮断、警察への通報、専門業者への相談を優先してください。
被害発生時の初動は、被害規模を大きく左右します。まず感染端末をネットワークから切り離し、被害拡大を防ぎます。
次に、ログを上書きしないよう証拠を保全し、警察のサイバー犯罪相談窓口へ通報します。その上で、フォレンジック調査や復旧支援を専門業者に依頼します。
なお、身代金の支払いは、払っても復号できない・再被害のリスクがあるため、原則として推奨されません。被害発生前の備えが何より重要です。
まとめ ── 「攻撃されても止まらない」事業継続の仕組みをつくる
ランサムウェア対策は「被害に遭ってから」では遅すぎます。
復旧費用、業務停止期間、取引先への影響、信用失墜。被害の規模は、想像以上に大きくなります。
しかし、すべてを自社で抱え込む必要はありません。クラウドERPの標準セキュリティ機能を活用し、基盤の運用を外部に任せることで、限られたリソースでも現実的な対策が可能です。
そして大切なのは、ランサムウェア対策を「ITの問題」ではなく「経営判断」として捉えることです。
ベンチャーネットは、お客様と「同じ舟の乗組員」として現場に入ります。導入して終わりではなく、成果が出るまで伴走します。
私たちのミッションは、挑戦する経営者のために、時代の荒波を越える「舟」をつくり続けることです。
ランサムウェアという荒波に対しても、貴社が事業を止めない仕組みを、ともにつくっていきたいと考えています。
