バーチャル経営で高付加価値経営へ~アメーバ経営をバーチャル化するNetsuite

アメーバ経営は「部門別採算」「人材育成」「全員参加型経営」の3要素を旨とする経営管理手法です。京セラの成長を支えたことで知られており、今でも多くの経営者に支持されています。アメーバ経営は、「人と労働力の本質化」を旨とするバーチャル経営との共通点が多いように感じます。そこで、バーチャル経営とアメーバ経営の共通点を挙げつつ、アメーバ経営の効果を最大化するICTについて紹介していきます。

目次

アメーバ経営における3つの目的

まず、アメーバ経営についておさらいしておきましょう。アメーバ経営は、京セラの創業者である稲森和夫氏が提唱した経営管理手法です。その要諦は「部門別採算制度」「人材育成」「全員参加経営」の3点に集約されます。

部門別採算制度

部門別採算制度は、企業を部門・事業部・プロジェクトなどのより小さい単位(アメーバ)に分類し、それぞれが独立採算での運営を目指す制度です。また、アメーバ同士で売買を発生させ、従業員一人一人に採算意識を浸透させることで経営に当事者意識を持ってもらうという狙いもあるようです。

人材育成

人材育成は、部門別採算制度の成立になくてはならない要素です。各「アメーバ(部門、事業部などの小さな組織)」にリーダーが必要であり、そのリーダーを育成していく必要があるためです。アメーバ経営では、アメーバのトップに経営計画・実績管理・労務管理・仕入れ・営業など、経営にまつわる実務全般を任せることで、アメーバのトップたちを「共同経営者」にするという目的があります。また、育成されたリーダー(共同経営者)が「挑戦を肯定する組織風土」「目標達成にまい進する仕組み」をつくりだし、「タイムリーで正確な経営判断」を行うことで、強い経営基盤の構築を目指すことも見逃せません。

全員参加経営

「全員参加型経営」は、アメーバ経営の最終的な目的地です。全員参加型経営とは、「従業員全員が経営者としての視点・意識を持ち、企業のあるべき姿を具現化する」という状況をあらわしています。アメーバは、それぞれが短期的な計画を作成し、さらにアメーバ間で目標を共有します。次に、共有・集約された目標をもとに企業単位でマスタープラン(年度計画)を立てるわけです。マスタープランを基準として月次予定を作成し、予実管理のベースとしていきます。こうすることで、従業員全体の意識・目標が数字として具現化され、日々の業務の「動機」になっていくわけです。全員が経営者と同一の情報を目にすることで、日々の業務が経営上のどの位置があるか、何を意味するのか、どこを目指しているのかが具体化されていきます。

アメーバ経営とバーチャル経営の共通点

冒頭でも触れましたが、アメーバ経営はバーチャル経営との共通点が多いと感じています。もちろん、バーチャル経営では部門別採算を特に推しているわけでも、全員参加型経営を標榜しているわけでもありません。しかし、次の3つの点で共通した考え方があると感じています。

組織の仮想化・本質化

バーチャル経営では、人と仕事の仮想化・本質化がテーマのひとつです。バーチャル社員やバーチャルトランスフォーメーションを用いて、それまでは現実世界にあった「人」や「組織」、「事業の仕組み」などを仮想化していきます。この仮想化・本質化は、アメーバ経営の「アメーバ」の中にも確認することができます。

アメーバ経営は、ひとつの企業内に仮想的な小企業をいくつも作り、その中で仮想的な経営者と経営者の視点を浸透させていきます。こうすることで、「会社とは何か」という本質的な視点が生まれ、従業員に浸透していくのだと考えられます。

数値、データを駆使

バーチャル経営では、会計的数値の活用で「自社の稼ぐ力」を常に可視化すべきだと述べてきました。アメーバ経営でも、時間当たり採算という独自の数値を重視しています。稼ぐ力を可視化するために管理会計的な数値を用いるという視点は、アメーバ経営もバーチャル経営も同じです。

売上よりも「付加価値」を重視

バーチャル経営は、「売上額よりも付加価値を重視する」経営手法です。いかに付加価値を効率よく、大きく生み出すかという視点から、バーチャル社員やICT活用を提案しています。アメーバ経営でも、「時間あたりの付加価値」を重視しており、これが時間当たり採算に表れているようです。時間当たり採算は、いわばアメーバ経営流の「付加価値の可視化」なのだと思います。

アメーバ経営のエッセンスを具現化する「NetSuite」

アメーバ経営は、数ある経営管理手法の中でも、「理想形」とされることがあります。しかし、実際には情報の可視化や集約・分析などバックグラウンドでやるべきことが多く、管理者層の負担が非常に大きくなりがちという課題もあるようです。そこで、バーチャル経営で推奨する「クラウドERP」を活用し、こうした負担を軽減しながらアメーバ経営のエッセンスを取り込んでいってはいかがでしょうか。

ERPで製造原価を管理する

アメーバ経営の部門別採算制度ではコスト把握のために「製造原価の可視化」が必須です。ただし、製造原価計算の方法は業界や業態によって異なります。製品ひとつについて原価を計算する「個別原価計算」や、期間と製造数量から原価を算出する「総合原価計算」など、事業の性質に応じて計算方法が変わるわけです。

さらに製造原価は、部品・材料・人件費といった複数の「変数」を含むため、計算が複雑になりがちです。そのため、正確に、かつリアルタイムに製造原価を知るためには、原価計算処理をデジタル化していく必要があるでしょう。クラウドERPであるNetSuiteには、複数の原価計算ロジックが組み込まれており、業態や業界に応じてリアルタイムな原価を算出することができます。

ERPの予算・業績管理

アメーバのリーダーたちに経営感覚を身に着けさせるには、予算管理・業績管理業務を任せる必要があるでしょう。しかし、リーダーにもそれぞれミッションがあるわけですから、予算編成や業績管理のみにリソースを割くわけにはいかないはずです。そこで、NetSuiteが持つ予算・業績管理機能が役立ちます。NetSuiteには、リアルタイムなBI機能が備わっています。BI機能とは、企業が保有するさまざまな業務データを経営戦略立案に役立てる分析機能のことです。このBI機能を使い、その時々のビジネス環境に応じた予算編成と予算管理ができるようになります。

ERPの経営指標で全員参加型経営を後押し

全員参加型経営に至るには、従業員が経営上の数値を確認し、理解できる環境が必要だと考えます。これは簡単なようで難しいのです。例えば、四半期ごとの業績であればどの企業でもある程度は確認できるでしょう。しかし、各数字がどのように影響しあい、なおかつ、「今どうなっているのか」を可視化するには、ICTを駆使する必要があります。この点はクラウドERPが得意とするところです。NetSuiteでは70以上のKPIを標準で内包しており、各数値をリアルタイムに確認することができます。また、独自に作成したKPIを設定して収益性や採算性の改善に役立てることも可能です。また、クラウドシステムであるため、ネットワークに接続できる場所であれば、どこからでも経営上の数値を確認することができます。

まとめ

ここでは、アメーバ経営とバーチャル経営の共通点と、アメーバ経営の実践に向けたクラウドERPの使い方を紹介してきました。アメーバ経営は決して新しい考え方ではないものの、生産性や付加価値の向上という点では、まだまだ気づかされる点が多いです。また、クラウドERP「NetSuite」との相性も良いと感じています。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

株式会社ベンチャーネット 代表取締役
2005年に株式会社ベンチャーネットを設立後、SEOをはじめとするデジタルマーケティング領域のコンサルティングサービスを展開
広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で支援を行っています
著書に『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業 「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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