NetSuiteの機能一覧|11分類のモジュールと、業種別に最初に入れる機能【2026年版】

世界220地域・44,000社以上で使われるNetSuiteでも、日本の給与計算はできません。

機能は11の分類に及ぶのに、です。

(出典:Oracle NetSuite公式サイト・ヘルプ、2026年9月確認)

NetSuiteとは、Oracleが提供するクラウドERPです。

会計・販売・在庫・CRM・プロジェクト管理などを、一つのクラウドの基盤で提供します。

中心は、財務会計・販売/在庫/購買・CRM・プロジェクト管理の4つです。

そこに製造・倉庫・EC・人事・グローバルなどを、必要に応じて足していきます。

一覧を眺めると、全部入れたくなるかもしれません。

でも、すべての機能を最初から使う必要はありません。

部門が少ない会社なら、最初に入れる機能は2つ程度に絞ったほうが、定着は早まります。

では、11の分類のうち、自社はどれを最初に選べばよいのか。

機能の一覧に、日本で使うときの注意点と、業種別の「最初に入れる機能」を添えて答えます。

目次

この記事で分かること

  • NetSuiteの機能一覧(11分類)と、各モジュールでできること
  • 日本で使うときの注意点(給与計算は米国のみ、日本向けの追加アプリなど)
  • 業種別の「最初に入れる機能」「後回しでよい機能」と、費用の開き
  • 機能を「守り→攻め→次へ」の3段で並べたときの、入れる順番
  • 機能選びでよくある3つの失敗

機能を見る前に押さえておきたい基本

ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を一元管理する仕組みのことです。

NetSuiteはこれをクラウドで提供するため、サーバーの構築や保守の手間がかかりません。

NetSuiteの基本データ

項目内容
導入社数・地域世界220地域・44,000社以上(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月時点)
通貨・言語190通貨・27言語に対応(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)
沿革1998年にNetLedgerとして開始。2003年にNetSuiteに改称。2016年にOracleが買収(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)
位置づけOracleは公式サイトで「#1 AI Cloud ERP」と表記
更新年2回のリリース(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)

ほかのERPとの違い

NetSuiteは、最初からクラウドを前提に設計されています。

オンプレミス(自社サーバー)で作られた製品を、クラウドに載せ替えたものではありません。

そのため、定期的な更新や拡張、海外拠点への対応に強みがあります。

もう一つの特徴は、会計・販売・在庫・CRM・プロジェクト管理が一つの基盤で完結することです。

複数のシステムをつなぐ手間が減り、データが分断されにくくなります。

全体像は、「NetSuiteとは?」で詳しく解説しています。

機能の一覧【11分類】

NetSuiteの機能は、大きく11のカテゴリに分けられます。

カテゴリ(標準/オプション)主なモジュールできること日本での扱い
財務・会計(標準/一部オプション)Financial Management・Advanced Financials・Fixed Assets・Revenue Management総勘定元帳・売掛/買掛・決算・予算・固定資産・収益認識提供。消費税などは日本向けSuiteAppで補う
受注・販売(標準)Order Management見積→受注→出荷→請求提供
在庫・購買(標準/オプション)Inventory Management・Advanced Inventory・Procurement在庫・需要予測・購買提供
製造・生産(オプション)Manufacturing・WIP & Routings・MRP・Demand Planning工程・部品表・所要量計画提供(範囲はアカウント担当に確認)
倉庫(オプション)WMSピッキング・入出荷・棚卸提供(範囲はアカウント担当に確認)
プロジェクト(オプション)Project Management・SuiteProjects Pro案件の原価・人の配分・工数提供(範囲はアカウント担当に確認)
CRM(標準)CRM・Customer Service顧客・商談・問い合わせ提供
eコマース(オプション)SuiteCommerce・SuiteCommerce AdvancedB2C・B2BのECサイト提供(範囲はアカウント担当に確認)
人事(オプション)SuitePeople HCM従業員の情報・組織提供(範囲はアカウント担当に確認)
給与計算SuitePeople U.S. Payroll給与計算・源泉徴収米国のみ。日本は国内の給与サービスと連携
グローバル(オプション)OneWorld複数の子会社・通貨・言語提供
基盤(標準)SuiteCloud(SuiteScript・SuiteFlow・SuiteBuilder)開発・カスタマイズ提供

「範囲はアカウント担当に確認」は、日本での提供の範囲やエディションを、公式情報で確かめきれなかったものです。

契約の前に、Oracleのアカウント担当か導入パートナーに聞いてください。

機能ごとに、導入の前に決めておくこと

機能は、「使えるか」だけでなく「使うために何を決めるか」も見ておきます。

決めることが多い機能ほど、導入の期間と社内の負担が大きくなります。

機能導入の前に決めること決まっていないと起きること
財務会計勘定科目・部門・補助科目の体系、締めの手順移行後に集計の軸が足りず、Excelに戻る
販売管理顧客別の価格・値引きのルール、承認の段数例外の値引きが手作業で残る
在庫管理倉庫・棚の単位、ロット・シリアルの要否、品目コード在庫の数は合っても、場所が分からない
購買管理発注の権限と金額の上限、検収の手順承認が止まり、発注が遅れる
CRM商談の段階の定義、入力する人と項目入力が続かず、売上の見込みに使えない
プロジェクト案件の単位、工数の入力のルール案件別の採算が実態と合わない
OneWorld子会社の単位、基準の通貨、会社間の取引のルール連結の数字をExcelで直すことになる

どれも、システムの設定より先に、社内で合意しておくことです。

業務の流れの描き方は、「ERP導入前にやるべき業務フロー可視化」で解説しています。

日本で使うときの3つの注意点

  • 給与計算:SuitePeople U.S. Payrollは、米国の給与税だけに対応しています。日本の給与計算は、国内の給与サービスとの連携が前提です(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)
  • 消費税・インボイス制度・締め請求書:日本向けの追加アプリ「Japan Localization SuiteApp」に機能があります(出典:同)
  • 電子帳簿保存法:SuiteAppや国内のシステムとの組み合わせで対応するケースが多くあります

SuiteAppは、NetSuiteに機能を足す追加アプリのことです。

日本向けの追加アプリは、「Japan Localization SuiteApp」で詳しく扱っています。

給与の扱いは、「SuitePeople U.S. Payroll」をご覧ください。

コア機能① 財務会計

財務会計は、NetSuiteの中核です。

できること中身
総勘定元帳(GL)すべての取引の仕訳を一元管理
売掛金(AR)・買掛金(AP)取引先ごとの入出金の状況を見える形に
決算月次・四半期・年度の決算の処理
予算管理部門別・プロジェクト別の予算と実績を比較
固定資産減価償却の計算
収益認識サブスクリプションや複数の要素を含む契約の収益の計上
複数の通貨海外取引の為替の換算

各モジュールは連動しています。

販売で受注を計上すると売掛金が発生し、入金を処理すれば総勘定元帳に反映されます。

データが分断されないことが、NetSuiteの大きな強みです。

日本固有の論点|原価の計上の仕組み

NetSuiteでは、在庫品を出荷した時点で、在庫が減り売上原価が計上されます。

(出典:Oracle NetSuiteヘルプ「COGS GL Impact」、2026年9月確認)

取引のたびに原価を計上する「売上原価対立法」に近い動きです。

期末にまとめて売上原価を計算する「三分法」とは、仕組みが違います。

観点三分法売上原価対立法
売上原価が分かる時期期末(月末)の棚卸の後出荷のたび
使う勘定仕入・売上・繰越商品商品・売上・売上原価
月の途中の粗利見えにくい取引ごとに見える

どちらが良い悪いではありません。

いまの月次の資料が三分法を前提に作られているなら、資料の作り方も合わせて見直します。

顧問の会計士・税理士と、移行の時期を決めておくと安心です。

財務会計を最初に移すか

中小企業では、財務会計はすでに会計ソフトで一定の運用ができていることが多くあります。

その場合、最初にNetSuiteへ移しても、業務の変化が見えにくくなりがちです。

一方で、次のような会社は、会計を早めに移す価値があります。

  • 子会社が複数あり、連結の作業に毎月時間がかかっている
  • 会計ソフトと販売のシステムの間で、手作業の転記が多い
  • 上場の準備などで、内部統制の仕組みを整える必要がある

会計の前提は、「NetSuiteで財務会計を行う前に確認すべきこと」で解説しています。

原価と予算は、「個別原価計算と総合原価計算」「予算管理の効率化」「損益管理とは」もあわせてご覧ください。

コア機能② 販売・在庫・購買(SCM)

販売・在庫・購買は、サプライチェーン(調達から販売までの一連の流れ)の中核です。

見積→受注→出荷→請求→入金までの流れが、一つのシステムで完結します。

この流れと、会計への反映を図にすると、次のとおりです。

見積から入金まで、1つの流れ 見積・受注・出荷・請求・入金が一つのシステムでつながる。出荷で在庫が減って売上原価が計上され、入金の処理は総勘定元帳に反映される。販売・在庫・会計のデータが分断されない。 見積から入金まで、1つの流れ 見積 商談のデータから そのまま見積へ 受注 店舗・EC・代理店の 受注を一元管理 出荷 在庫が減り、 売上原価を計上 請求 請求書を発行 入金 入金の処理が 総勘定元帳に反映 販売・在庫・会計のデータが分断されない
見積から入金まで、1つの流れ
領域できること
販売管理見積・受注・請求書の発行、複数チャネル(店舗・EC・代理店)の受注の一元管理、顧客別・チャネル別の価格、受注の承認の流れ
在庫管理複数の倉庫の在庫のリアルタイムの把握、ロット・シリアル番号、棚卸、在庫の評価額の計算
購買管理発注書の発行、仕入先の一元管理、検収・支払の承認の流れ、仕入価格の履歴

販売・在庫・購買がつながると、経営者は次のことを早く知れます。

  • いま、いくらの売上があり、在庫はどれくらいか
  • 売れているのに在庫が薄い商品はどれか
  • この取引先からの仕入は、過去3年でどう推移したか

在庫の機能は「どこまで細かく持つか」で選ぶ

在庫の機能は、細かく持つほど入力と運用の手間が増えます。

次の3つを先に決めると、標準で足りるか、Advanced Inventoryなどの追加が要るかが見えます。

  • 在庫を、倉庫の単位で持つか、棚の単位まで持つか
  • ロット番号やシリアル番号で、出荷の先まで追う必要があるか
  • 需要の見込みにもとづいて、発注の量を決めたいか

取引先への説明や品質の要件で追う必要がないなら、細かく持たない判断もあります。

詳しくは、「販売管理・在庫管理・購買管理のポイント」で解説しています。

コア機能③ CRM(顧客関係管理)

NetSuiteのCRMは、ERPと一体になった顧客管理の機能です。

一般的なCRM製品は独立したツールのため、会計とつなぐには連携の仕組みが要ります。

NetSuiteでは、顧客との接点の情報と、販売の実績・売掛金の情報が、同じ顧客の記録につながります。

できること中身
見込み客の管理リードから商談化までの進み具合
顧客の一元管理取引・問い合わせ・契約の履歴
SFA(営業支援)商談・売上の見込み・営業のタスク
マーケティングメール配信・キャンペーン・効果の測定
カスタマーサービス問い合わせのチケットと対応の履歴
見積・受注との連携商談のデータから、そのまま見積・受注へ
コミッション営業担当者の成果報酬の計算

たとえば営業担当は、商談中のお客様について、次のことを1つの画面で見られます。

  • 過去にどんな問い合わせがあったか
  • どんな商品を買ってくれていたか
  • 入金は遅れていないか

ただし、CRMは入れただけでは定着しません。

現場との温度差で入力が続かない例は多く、営業の進め方の見直しとセットで考えます。

すでに別のSFAを使っている場合

別のSFA・CRMの製品が定着している会社は、NetSuiteのCRMに寄せるか、いまの製品を残して連携するかを決めます。

  • 営業の入力が定着していて、営業部門だけで完結する → 残して連携する選択肢がある
  • 受注・請求・入金の情報を、営業も日々見たい → NetSuiteに寄せる価値が大きい

連携の考え方は「NetSuiteとSalesforceの連携」、機能の詳細は「NetSuiteのCRM」で扱っています。

コア機能④ プロジェクト管理

プロジェクト管理は、案件ごとに売上と原価を管理する会社に欠かせない機能です。

サービス業・コンサルティング業・受託開発業などが当てはまります。

NetSuiteには、標準のProject Managementに加え、より高度な要件に向くSuiteProjects Proがあります。

SuiteProjects Proは、以前は「OpenAir」と呼ばれていた製品です(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)。

PSA(専門サービスの業務を自動化するソフトウェア)に分類されます。

できること中身
案件の原価案件別の売上・原価・粗利を把握
人の配分メンバーの稼働と空きを見える形に
工数作業時間を案件ごとに集計
進み具合マイルストーン・タスク・依存関係
請求時間単価・固定・成果など、条件に応じた請求
収益認識案件の性格に応じた収益の計上

プロジェクト管理は、個別原価計算(案件や製品ごとに原価を集計する方法)を行う会社と相性が良い領域です。

案件と会計が直接つながり、案件別の収益性が日々の業務の中で見えるようになります。

注意点は、工数の入力の定着です。

案件別の採算は、メンバーが工数を毎日きちんと入れて初めて正しく出ます。

標準で足りるか、SuiteProjects Proが要るかは、案件の数と人の配分の複雑さで決めます。

詳細は、「SuiteProjects Proとは」をご覧ください。

拡張機能|製造・倉庫・EC・人事・グローバル

拡張機能中身向いている会社足す前に見ること
製造・生産管理部品表(BOM)・工程・作業指示・需要予測・所要量計画(MRP)複数の工程で組み立てる、ロット単位の品質管理が要る部品表と工程の情報が、いまどこにどの形であるか
倉庫管理(WMS)ピッキング・梱包・出荷・棚卸。ハンディ端末の作業が在庫に反映EC・卸売など、出荷量が多いハンディ端末を使う現場の人数と、棚の番号の付け方
eコマース(SuiteCommerce)B2C・B2BのECサイト。注文がそのまま受注にECとERPの連携に苦労しているいまのECサイトを置き換えるのか、連携でつなぐのか
人事(SuitePeople HCM)従業員の情報・組織・休暇など人事の情報をERPと一体で持ちたい給与計算を国内サービスに残したまま、人事の情報をどこで持つか
グローバル(OneWorld)複数の子会社・通貨・言語・税の管轄海外の子会社がある、子会社が増える子会社ごとの会計の締めの日と、会社間の取引の量

OneWorldについて補足します。

Oracleのヘルプでは、1つのアカウントで、複数の子会社の記録と取引を管理できると説明しています。

子会社のデータは、親会社の通貨で連結の報告にまとめられます(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)。

複数の会計基準の帳簿を持つマルチブック会計は、OneWorldでのみ使えます(同)。

拡張機能は、事業の中核に直接効くものから選びます。

製造業なら製造管理、EC事業ならSuiteCommerce、海外展開ならOneWorldです。

詳しくは「製造業向け導入ガイド」「NetSuite WMS」「SuiteCommerce」「OneWorld」で扱っています。

AIとの連携

NetSuiteは、AIとの連携も進めています。

その一つがNetSuite AI Connector Serviceです。

Oracleの説明では、MCP(AIと業務システムをつなぐ共通の規格)に対応しています。

ClaudeやChatGPTなどのAIツールを、NetSuiteに直接つなげます。

AIは、利用者のロール(役割)に設定された権限の範囲でしかデータを見られません(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)。

AIに問いかけて答えを得るには、元になるデータがそろっていることが前提です。

AIへの問いかけの例前提になる機能とデータ
入金が遅れている取引先を一覧にして売掛金の管理と入金の記録
3か月動いていない在庫の品目は?在庫管理と出荷の記録
粗利が下がっている案件はどれかプロジェクト管理と工数の入力
商談が止まっている顧客は?CRMの商談の段階の入力

どの問いかけも、データの入力が定着していなければ、正しい答えは返りません。

AIに任せられる範囲は、データがNetSuiteの中にどれだけそろっているかで決まります。

使い方の例は「NetSuite AI Connector(MCP)」で扱っています。

日本での利用の条件は、アカウント担当に聞いてください。

日本で機能が足りないときの3段の考え方

日本の業務に必要な機能が、標準で足りないこともあります。

その場合は、次の3段で考えます。

段考え方例
(a) いま日本で使えるもので対応標準機能・日本向けのSuiteApp・国内のサービスとの連携で埋める消費税・締め請求書はJapan Localization SuiteApp、給与は国内の給与サービスと連携
(b) 開発で補うSuiteScriptなどで、足りない処理だけを作る独自の帳票、日本の商習慣に合わせた承認の流れ
(c) 順次提供を待つ公式の提供を待ち、その間は(a)(b)でつなぐ海外で先に出た機能の日本での提供
日本で機能が足りないときの3段 まず標準機能・日本向けSuiteApp・国内サービスとの連携で埋める。足りなければSuiteScriptで足りない処理だけを開発する。海外で先に出た機能は順次提供を待ち、その間は前の2段でつなぐ。 日本で機能が足りないときの3段 (a) いま日本で使えるもので対応 標準機能・日本向けSuiteApp・ 国内サービスとの連携で埋める (b) 開発で補う SuiteScriptで足りない処理だけを 作る(NetSuiteリブート) (c) 順次提供を待つ 海外で先に出た機能は公式の提供を 待ち、その間は(a)(b)でつなぐ 開発を増やすほど、年2回の更新の確認が増える
日本で機能が足りないときの3段

SuiteScriptは、NetSuiteの機能を拡張するための開発言語です。

(b)の開発は、NetSuiteの標準を活かしたまま、足りない部分だけを補う形が基本です。

ベンチャーネットでは、こうした進め方を「NetSuiteリブート」と呼んでいます。

開発を増やしすぎると、年2回の更新のたびに確認の手間が増えます。

だから、(a)で足りないかを先に見ます。

(c)の順次提供は、年2回のリリースごとに内容を追います。

海外で先に提供された機能が日本でいつ使えるかは、公式の発表とアカウント担当の案内で分かります。

「いつか提供される」前提で計画を組まず、提供までは(a)(b)でつなぐ計画にしておきます。

日本で標準ではできないことは、「NetSuiteでできないこと」にまとめています。

業種別の推奨機能セット

「結局、自社にはどの機能が必要なのか」

検討を始めた経営者から、最も多くいただく質問です。

導入支援の現場から見た、一般的な目安は次のとおりです。

企業のタイプ最初に入れる機能推奨の追加後回し
製造業(中堅)財務会計・在庫・受発注製造管理・MRP・WMSEC
商社・卸売(中堅)財務会計・在庫・受発注OneWorld・需要予測製造・MRP
サービス業・コンサル財務会計・プロジェクト管理SuiteProjects Pro・経費在庫・製造
EC事業財務会計・受注・在庫SuiteCommerce・WMS製造・MRP
海外展開の会社財務会計・OneWorld業種に応じて追加-

給与は、どの業種でも国内の給与サービスと連携します。

米国に子会社があれば、その会社ではU.S. Payrollも検討できます。

業種ごとの注意点は、次のとおりです。

  • 製造業:工程の複雑さで、MRPの優先度を決める
  • 商社・卸売:海外取引があるなら、OneWorldを優先する
  • サービス業・コンサル:案件の原価が経営の核になる
  • EC事業:チャネルの数で、在庫の機能の優先度を決める

表の「最初に入れる機能」は、NetSuiteの価値を体感するための最初の段階の候補です。

「推奨の追加」は、最初の機能が安定した後、半年〜1年単位で足す候補を指します。

同じ業種でも、事業の形・段階・規模で必要な機能は変わります。

部門が少ない会社は、最初に入れる機能を2つ程度に絞ると、定着が早まります。

部門や拠点が多い会社は、範囲を広げる代わりに、拠点ごとに順番に稼働させる進め方もあります。

判断の物差し|NetSuiteが合う会社・合わない会社

NetSuiteが合いやすい会社

  • 販売・在庫・会計・顧客のデータを、一つの基盤でそろえたい
  • 子会社や海外の拠点がある、または増える予定がある
  • 専任の情シスが少なく、サーバーの保守を持ちたくない
  • 事業の変化に合わせて、機能を段階的に足していきたい

NetSuite以外が合いやすい会社

機能の一覧を見て、NetSuiteが合わないと分かる会社もあります。

  • 国内中心で、日本の帳票・商習慣・給与までを標準のまま一つで扱いたい → 国産ERP
  • 費用を抑え、必要なアプリから小さく始めたい → Odoo(アプリを組み合わせるオープンソースのERP)
  • 取引が単純で、会計ソフトと表計算で回っている → いまは入れない

合う・合わないを「こうしたいなら、これ」の形にすると、次の図のとおりです。

こうしたいなら、この選択肢:NetSuite・国産ERP・Odoo・いまは入れない 一つの基盤でそろえたい・拠点が増えるならNetSuite。国内中心で帳票・給与まで標準のまま扱いたいなら国産ERP。費用を抑えて小さく始めたいならOdoo。取引が単純で会計ソフトと表計算で回っているなら、いまは入れない。 こうしたいなら、この選択肢 会社の状態・したいこと 選択肢 一つの基盤でデータを そろえたい・拠点が増える NetSuite 国内中心で、帳票・給与まで 標準のまま一つで扱いたい 国産ERP 費用を抑え、必要な アプリから小さく始めたい Odoo 取引が単純で、会計ソフトと 表計算で回っている いまは入れない 機能の一覧を見て、合わないと分かる会社もある
こうしたいなら、この選択肢:NetSuite・国産ERP・Odoo・いまは入れない

段階ごとの目安

会社の状態考え方
会計ソフトと表計算で回り、部門の数字の食い違いもないいまは入れない。表計算の形をそろえておく
部門ごとのExcelが増え、月末の集計に時間がかかる販売・在庫からERPを検討する段階
子会社や海外の拠点が増え、連結の作業が重いOneWorldを含めてNetSuiteを検討する段階
いまのシステムの保守の期限が近い同じ機能の置き換えではなく、課題から機能を選び直す好機

どの段階かを先に決めると、見るべき機能の数がぐっと減ります。

費用の出発点と、機能範囲による開き

NetSuiteのライセンスは、ミニマム構成で月額20万円〜が出発点です。

モジュール・ユーザー数・オプションで変わり、数百万円規模になることもあります。

機能を足すほど、導入の費用も動きます。

ベンチャーネットが支援したNetSuite導入の費用では、3名程度で購買・販売だけの事例が150万円程度・1.5か月でした。

100名程度で購買・販売・在庫・会計に外部システム連携を含めた事例は、2億円程度(うち開発約7割)・1.5年です。

その間に、30名程度・購買・販売・プロジェクト管理で2,000万円程度・1年の事例があります。

20名程度・購買・販売・在庫・会計で情シスなしの事例は、3,000万円程度・2年でした。

差を生む要因は、機能範囲・開発(特に外部システム連携)・社内の体制・ユーザー数の4つです。

4事例の詳細は、「NetSuiteの料金」で扱っています。

これから選ぶ会社と、導入済みで見直す会社

これから選ぶ会社|課題から機能を探す

機能の一覧から入ると、判断を誤りやすくなります。

先に「解決したい経営課題」を3つまで書き、それに直結する機能だけを第2章の表で探します。

デモでは、次の3点を見せてもらうと、判断の材料が増えます。

  • 自社の課題に直結する機能が、標準の設定のままどこまで動くか
  • 日本向けの帳票や消費税の処理を、実際の画面で見せてもらえるか
  • 足りない部分を補う場合に、開発と連携のどちらになるか

デモの見方は、「NetSuiteデモの見方」をご覧ください。

導入済みの会社|使っていない機能を洗い出す

導入済みの会社では、次のような状態がよく起きます。

  • 契約しているのに、使っていないモジュールがある
  • 標準でできることを、独自の開発で作っている
  • 更新のたびに、独自の処理の確認に追われる

契約の更新の時期は、見直しの好機です。

  1. 契約しているモジュールの一覧と、それぞれを実際に使っている部署を書く
  2. 使っていないモジュールは、止めるか、使い始める計画を立てるかを決める
  3. 独自の開発の一覧を作り、標準や日本向けのSuiteAppで置き換えられるかを見る
  4. 置き換えられない開発は、誰が保守するかを決める

いまの導入会社の対応に不安がある場合は、保守の体制の見直しも選択肢です。

「NetSuiteのサポート・保守の選び方」も参考にしてください。

機能選びでよくある3つの失敗

失敗1:全モジュールを最初から有効にする

起きること:設定・教育・データ移行・テストの工数が掛け算で増える。「導入したけど誰も使っていない機能」が積み上がる。

原因:機能の一覧を見て「将来必要になりそう」と、課題に関係ない機能まで入れた。

避け方:会計か販売・在庫から始め、半年〜1年単位で機能を足します。

最初から100点を目指さず、80点で動かして運用しながら直します。

失敗2:自社の独自の業務に機能を寄せすぎる

起きること:開発が重なり、更新のたびに不具合の確認と改修が要る。気づけば「動かせないオンプレ」に近い状態になる。

原因:「うちの業務は特殊だから」と、業務にシステムを合わせる発想のまま進めた。

避け方:標準の業務の流れに、自社を合わせる発想に切り替えます。

標準とのずれの判断は、「NetSuite導入のFit&Gap分析」で解説しています。

失敗3:機能の多さで選び、順番を決めない

起きること:「機能が多いから安心」と選んだが、何から手をつけるか決まらず、成果が見えない。財務会計から始めて「何が変わったか分からない」となる。

原因:機能ありきで考え、経営課題との対応と、入れる順番を決めなかった。

避け方:「機能の網羅性」より「経営課題との接続性」で選びます。

財務会計は、既存の会計ソフトで回っていることが多い領域です。

先に販売・在庫を整え、会計はフェーズ2以降に回す選択肢もあります。

3つに共通するのは、機能から考え始めることです。

順番を決める物差しがあれば、防げます。

ベンチャーネットならこう見る|11分類を「守り→攻め→次へ」に並べ直す

「何の機能を、どの順番で入れるか」。

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、この問いに、機能の一覧ではなく3段の物差しで答えます。

NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応する立場からの見方です。

定着の先の3段階:守り→攻め→次へ 守りは業務が回ること、攻めはデータで打つこと、次へは経営が変わること。 定着の先の3段階守り|業務が回る在庫・販売・会計を1つにし、日々の業務を安定させる攻め|データで打つ売れ筋・在庫の分析、営業作業の自動化、生成AIでの集計次へ|経営が変わるKPI、管理会計、上場に向けた内部統制
定着の先の3段階:守り→攻め→次へ

11の分類を、この3段に当てはめると次のようになります。

段何が起きるか主な機能
守り業務が回る受注・販売、在庫・購買、財務・会計、製造・倉庫、給与の連携
攻めデータで打つCRM、プロジェクト(案件の採算)、需要予測、eコマース、AI Connector
次へ経営が変わる予算管理(管理会計)、OneWorld(連結)、承認の流れ(内部統制)

守りは、在庫・販売・会計を1つにし、日々の業務を安定させる段階です。

第10章の「最初に入れる機能」は、ほぼここに入ります。

攻めは、そろったデータで売れ筋や在庫を分析し、手を打つ段階です。

第8章のAIへの問いかけも、守りのデータがそろって初めて返ってきます。

次へは、KPI、管理会計、上場に向けた内部統制など、経営そのものが変わる段階です。

子会社が増えればOneWorldが、予算と実績の比べ方が変われば予算管理が効いてきます。

順番を飛ばすと、失敗1や失敗3が起きます。

攻めの機能を先に入れても、守りのデータがなければ動かないからです。

守りを固めるには、使わない機能を盛らないことも欠かせません。

公開事例のキュリエ様では、定着に向けて次の4つの手順を踏みました。

  1. データ整理を最初に行う
  2. 段階的に導入する
  3. 研修・サポートを徹底する
  4. 操作はシンプルにする(使わない機能を盛らない)

最初の打ち合わせでは、主に次の3つを伺います。

  • 経営課題の上位3つと、それぞれに直結しそうな機能
  • 課題が、守り・攻め・次へのどの段にあるか
  • その範囲で、NetSuiteが合うか(国産ERP・Odoo・いまは入れない判断も並べる)

今日できること|「課題と機能の対応表」を作る

1時間で、次の表を作ってみてください。

経営課題いま困っていること直結しそうな機能段(守り・攻め・次へ)
(例)在庫が見えない倉庫ごとのExcelを月末に集計している在庫管理(複数の倉庫)守り
(例)案件の採算が分からない案件ごとの工数を集計していないプロジェクト管理攻め

「困っていること」が書けない課題は、いまは優先度が低い課題です。

「守り」の行から、最初に入れる機能の候補にします。

時間が余れば、その機能について、第2章2-1の「導入の前に決めること」を見てください。

社内でまだ決まっていない項目に印をつけます。

印の数が多い機能ほど、導入の前の準備に時間がかかります。

よくある質問

Q1. NetSuiteで何ができますか?

会計・販売・在庫・CRM・プロジェクト管理などを一つのクラウドで扱えます。

コアは「財務会計・販売/在庫/購買・CRM・プロジェクト管理」の4つです。

製造・倉庫・EC・人事・グローバルなどを、必要に応じて足していく構成です(第2章)。

Q2. NetSuiteのモジュールには何がありますか?

11の分類に分かれ標準の機能とオプションのモジュールがあります。

受注・販売やCRMは標準、製造・倉庫・eコマース・OneWorldなどはオプションです。

一覧は第2章の表にまとめています。

Q3. NetSuiteの機能は日本でもすべて使えますか?

多くの機能は使えますが給与計算は米国のみです。

日本の給与計算は、国内の給与サービスと連携します。

消費税・インボイス制度・締め請求書は、日本向けのSuiteAppに機能があります。

一部の機能は、日本での提供の範囲をアカウント担当に確認してください(第2章)。

Q4. 中小企業でも全機能を使う必要がありますか?

いいえ。自社の課題に直結する機能から、段階的に入れるのがおすすめです。

全機能を一度に有効にすると、工数が膨らみ、現場の習熟が追いつきません(第13章)。

Q5. 最初にどの機能から始めるべきですか?

中小企業なら販売・在庫から始める選択肢を検討してください。

在庫がリアルタイムで分かり、受注から請求までが一気通貫になるなど、変化を体感しやすい領域です。

「守り→攻め→次へ」の順に、守りの機能から入れます(第14章)。

Q6. カスタマイズはどこまでできますか?

SuiteCloudで画面・ワークフロー・帳票・スクリプトまで幅広く調整できます。

ただし、開発を増やしすぎると、年2回の更新のたびに確認が要ります。

まず標準や日本向けのSuiteAppで足りるかを見ます(第9章)。

Q7. AIとはどうつながりますか?

NetSuite AI Connector ServiceでClaudeやChatGPTなどをつなげます。

AIは、利用者のロールの権限の範囲でデータを扱います。

日本での利用の条件は、アカウント担当に確認してください(第8章)。

Q8. 途中から機能を足すことはできますか?

できます。多くの機能はモジュールとして後から足せます。

ただし、足すたびに設定・教育・データの準備が要り、導入の費用も動きます。

第10章の「推奨の追加」を目安に、半年〜1年単位で計画します。

まとめ

  • NetSuiteは、会計・販売・在庫・CRM・プロジェクト管理を一つのクラウドで扱うERP
  • 機能は11分類。給与計算は米国のみで、日本は国内サービスと連携
  • 日本で足りない機能は、いま使えるもの→開発で補う→順次提供の3段で考える
  • 導入の費用は、機能範囲・開発・社内の体制・ユーザー数で大きく開く
  • 入れる順番は守り→攻め→次へ。最初は課題に直結する守りの機能から

11の分類のうち、最初に選ぶのは、課題表の「守り」の行にある機能です。

一覧を閉じて、まず課題を3つ書くところから始めてください。

もう少し詳しく知りたい方へ

自社の課題にどの機能が直結するか、どの順番で入れるか。

その整理から、ご相談をお受けしています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

目次