SuiteCommerceとは?NetSuite純正ECでできること・提供形態・外部EC連携との使い分け【2026年版】

導入費用の約7割が、開発だった。

ベンチャーネットが支援したNetSuite導入のうち、100名程度・2億円程度の事例です。

外部のシステムとつなぐ連携の開発を含む導入でした。

ECを外のサービスでつなぐか、NetSuiteの中に持つか。

この選び方は、売り方だけでなく、導入の費用にも響きます。

SuiteCommerceとは、NetSuiteに組み込まれた純正のECの仕組みです。

ECの注文・在庫・顧客・会計のデータが、同じNetSuiteの上で動きます。

自社サイトのB2BやD2Cを、業務と一体で運営したい会社に合います。

売上の中心が国内のモールなら、外部のECとの連携が現実的です。

では、自社はどちらを軸にすればよいのか。

目次

この記事で分かること

  • SuiteCommerceでできること(B2B・B2C)と、提供形態の違い
  • 純正ECと外部EC連携の使い分け
  • ECの構成が、導入の費用と期間をどう動かすか
  • 向いている会社・向いていない会社の条件
  • よくある3つの失敗と、その避け方

SuiteCommerceとは|NetSuiteに組み込まれた純正EC

Oracleの公式サイトでは、SuiteCommerceを、B2CとB2Bの両方のECを1つの基盤で扱う仕組みと説明しています。

EC・POS(店頭のレジ)・注文管理・マーケティング・在庫・財務・サポートを1つにまとめます(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)。

一般的なECでは、ECサイトと基幹システムを、連携のソフト(ミドルウェア)でつなぎます。

SuiteCommerceは同じNetSuiteの上にあるため、注文がNetSuiteに自動で流れます(出典:同上)。

NetSuiteは、世界220地域・44,000社以上で使われているクラウドERPです(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月時点)。

SuiteCommerceには、日本語の製品ページ(「NetSuiteコマース」)もあります。

NetSuiteの全体像は、NetSuiteとは?クラウドERP入門で解説しています。

SuiteCommerceでできること

公式の製品ページに載っている機能は、次のとおりです(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)。

領域できること
B2B(取引先向け)オンラインでの見積の依頼、残高の確認、請求書のオンラインでの支払
B2C(消費者向け)画像のギャラリー、商品の比較、条件で絞り込む検索、評価とレビュー
サイトの運営ドラッグ&ドロップのツールで、販促・ランディングページ・コンテンツを担当者が公開
表示スマホに合わせて表示が変わるデザイン
注文・在庫注文がNetSuiteに自動で流れ、在庫と価格を共有する
チャネルPOS・Web・コールセンター・モバイル・キオスクの注文を1か所で管理

B2Bでは、取引先ごとの価格や、請求書払いといった業務にも対応できます。

消費者向けと法人向けを、同じ基盤で運営できるのが強みです。

複数の国や通貨で売る場合は、NetSuiteの「OneWorld」と組み合わせます。190通貨・27言語に対応しています(出典:Oracle NetSuite公式)。

構成が複雑な製品を売るなら、NetSuite CPQがSuiteCommerceとネイティブに統合されています。

CPQは、NetSuite CPQとはで解説しています。

提供形態

形態によって、作り込みの自由度と費用が変わります。

形態特徴向くケース
SuiteCommerce(標準)テーマと拡張機能でサイトを作る。ソースコードまでは触れない標準の機能で速く立ち上げたい
SuiteCommerce Advanced(SCA)ソースコードまで触れ、自由に作り変えられる独自の購入の体験を作り込みたい
SuiteCommerce MyAccount顧客向けのセルフサービスの画面(請求の確認・履歴など)既存の取引先に自分で確認してもらいたい
SuiteCommerce InStore(SCIS)店頭の販売(タブレット向けのPOS)店舗とECの在庫・顧客をまとめたい

(出典:Oracle NetSuite公式ヘルプ、2026年9月確認)

MyAccountは、SuiteCommerceと同じ仕組みで作られ、ストアと購入手続きの機能は持ちません。

SCISは、タブレット向けのWebの販売時点管理(POS)のアプリです。

SCAの「ソースコードに触れる」とは、サイトの動きを根本から作り変えられるという意味です。

自由度が高い分、開発の専門知識と、将来の更新への対応が要ります。

作り込むほど、NetSuiteの定期的な更新のたびに動作の確認が増えます。

迷ったら標準の形態で始め、足りない部分がはっきりしてからSCAを考えます。

こうしたいなら、この形態|SuiteCommerceの4つの形態 標準の機能で速く立ち上げたいならSuiteCommerce、独自の購入の体験を作り込みたいならSCA、既存の取引先に自分で確認してもらいたいならMyAccount、店舗とECの在庫・顧客をまとめたいならSCIS。迷ったら標準の形態で始める。 こうしたいなら、この形態 したいこと 形態 標準の機能で 速く立ち上げたい SuiteCommerce (標準) 独自の購入の体験を 作り込みたい SCA ソースコードまで触れる 既存の取引先に 自分で確認してほしい MyAccount 請求の確認・履歴など 店舗とECの在庫・ 顧客をまとめたい SCIS タブレット向けのPOS 迷ったら標準で始め、足りない部分が はっきりしてからSCAを考える
こうしたいなら、この形態|SuiteCommerceの4つの形態

純正ECと外部EC連携の使い分け

NetSuiteでECを実現する方法は、SuiteCommerceだけではありません。

判断の軸純正:SuiteCommerce外部EC連携(Shopify・モールなど)いまは作らない
データの一元性高い(ERPと同じ基盤)連携の設計しだい―
作り込みの自由度SCAなら高いが専門性が要る各サービスの仕組みに沿う―
国内モール(楽天・Amazonなど)単体では手薄連携が前提で現実的既存の出店を続ける
国内の決済範囲を確かめる各サービスの決済を使える―
費用感プレミアムの価格帯になりやすいサービスで幅がある。連携の開発費がかかるなし
AIとの親和性高い。注文・在庫・顧客・会計が1つのデータにそろう中。連携で集めればそろう低い。データが散らばる
向く事業自社ブランドのD2C・B2Bモール出店・多チャネルの販売EC売上がまだ小さい

独自の購入体験や業務が中心なら、他のERPやAIスクラッチ開発で作る道もあります。

その場合は、作ったものを直し続ける体制が要ります。

純正ECか外部EC連携かを分ける問い 売上がどのチャネルで立つかで分かれる。自社サイトとB2Bが中心なら純正のSuiteCommerce、国内モールが中心なら外部EC連携。どちらの場合も在庫・受注・会計の中心はNetSuiteに置く。 純正か連携かを分ける問い 売上はどのチャネルで 立っているか 自社サイト・B2Bの 受発注が中心 純正の SuiteCommerce 楽天・Amazonなど 国内モールが中心 外部EC連携 連携の設計が要る 在庫・受注・会計の中心は NetSuiteに置く
純正ECか外部EC連携かを分ける問い

どちらが優れているかではありません。

自社の売り方に合うかどうかで選びます。

多くの会社は、どちらか一方ではなく組み合わせています。

外部EC連携の方法は、NetSuite EC連携の全体像にまとめています。

サービス別では、Shopify、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング、ネクストエンジンの解説もあります。

日本でSuiteCommerceを使うとき|3段で考える

(a) いま日本で使えること

SuiteCommerceには日本語の製品ページがあり、日本でも使えます。

サイトの日本語の表示も、設定で対応できます。

(b) 開発や連携で補うこと

楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングなどの国内モールへの出店は、純正の機能の中だけでは完結しません。

モールは、モール側の仕組みと連携のサービスで運営するのが一般的です。

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、こうした連携を開発で補う方法を検討します。

(c) 確認が要ること

コンビニ決済や代金引換のような国内の決済は、純正だけで賄うのは難しい場面が多くあります。

使いたい決済と配送の方法に対応できるかは、着手の前に確かめてください。

日本でよく見られる構成は、次の形です。

  • 自社サイトはSuiteCommerce、または外部のカート
  • 国内モールは、モール側と連携のサービスで運営
  • NetSuiteで在庫・受注・会計をまとめて管理

複数チャネルの受注と在庫をまとめる考え方は、マルチチャネル受注管理入門で解説しています。

連携の土台になるiPaaSは、Celigoとはを参照してください。

カード決済やサブスクの課金は、NetSuiteでカード決済・サブスク課金を自動化するにはで扱っています。

判断の物差し|向いている会社・向いていない会社

向いている会社

  • すでにNetSuiteを使っている、または導入が決まっている
  • 自社ブランドのECを、業務と一体で運営したい
  • 取引先からの受発注を、Webで効率化したい(B2B)
  • 店舗・EC・コールセンターの注文と在庫を1つにしたい

別の選択肢が合う会社

  • 売上の中心が楽天・Amazonなどの国内モール → 外部EC連携が先
  • 小規模で、まず低い費用でECを始めたい → 外部のカートで始める
  • NetSuiteを使っていない → ECだけを純正で始めるのは現実的でない。まず基幹を決める
  • EC売上がまだ小さく、受注も手で回る → いまはECの仕組みを作り込まない

SuiteCommerceは、NetSuiteという基盤があってこそ価値が出る機能です。

卸売のB2Bの受発注は、卸売・商社のNetSuite活用ガイドも参考になります。

費用と期間|ECの構成が見積もりを動かす

NetSuite全体の費用は、ミニマム構成で月額20万円〜が出発点です。

SuiteCommerceを加えると、構成や規模で大きく変わり、数百万円規模になることもあります。

ライセンスより大きく動くのは、導入費のほうです。

ベンチャーネットが支援したNetSuite導入の費用では、3名程度で購買・販売だけの事例が150万円程度・1.5か月でした。

100名程度で購買・販売・在庫・会計に外部システム連携を含めた事例は、2億円程度(うち開発約7割)・1.5年です。

差を生む要因は、機能範囲・開発(特に外部システム連携)・社内の体制・ユーザー数の4つです。

外部EC連携を選ぶなら、つなぐ先の数だけ、2つ目の「開発」が重くなります。

純正を選んでも、SCAで作り込めば同じことが起きます。

4事例の詳細は、「NetSuiteの料金」で扱っています。

導入費用を決める4つの要因 業務の範囲、開発の量、社内の体制、ユーザー数の4つで導入費用が決まる。 導入費用を決める4つの要因1業務の範囲購買・販売だけか、在庫・会計・PJ管理まで入れるか2開発の量とくに外部システムとの連携開発3社内の体制情報システム担当が少ないと、支援を厚くし期間も延びやすい4ユーザー数受入テスト・教育の工数と、社内調整の時間
導入費用を決める4つの要因

いま外部のカートやモールとつないでいる会社は、次の3点を見直してください。

  • 在庫の同期のずれで、二重販売や欠品が起きていないか
  • いまのカートや連携のサービスの保守期限、更新の費用
  • 純正に寄せた場合に失うもの(国内の決済・モールとの連携など)

すべてを乗り換えず、B2Bの受発注だけをSuiteCommerceにする道もあります。

よくある3つの失敗

失敗1:純正にこだわり、モールの売上の機会を逃す

起きること:自社サイトだけで売ると決め、モールへの出店を後回しにし続ける。

原因:国内では楽天やAmazonの集客の力が大きいことを、判断に入れなかった。

避け方:自社サイトとモールは対立しません。

まず、どのチャネルで売上が立つかを数字で見ます。

失敗2:外部連携の同期の設計を軽く見る

起きること:在庫の同期がずれて二重販売や欠品が起き、注文の取り込み漏れで出荷が遅れる。

原因:連携は「つなげば動く」と考え、更新のタイミングを詰めなかった。

避け方:どのデータを、いつ、どちらに合わせて同期するかを最初に決めます。

在庫はどちらの数を正とするか、注文は何分おきに取り込むかを表にして、関係者で合わせます。

連携の失敗に気づく通知の仕組みも、最初から用意しておきます。

失敗3:全チャネルを一気に立ち上げる

起きること:自社EC・楽天・Amazonを同時に始め、運用が回らず品質が下がる。

原因:立ち上げ直後に起きる想定外の対応を、見込んでいなかった。

避け方:まず1つのチャネルで運用を安定させ、段階的に広げます。

ベンチャーネットならこう見る|売り場は外にも、中心はNetSuiteに

ベンチャーネットの仕事は、ゼロからの導入より、他社のあとの引き継ぎや、他システムとの連携が多くを占めます。

ECの相談も、多くは「いまのカートやモールと、NetSuiteをどうつなぐか」から始まります。

型:標準に合わせる/開発する/残す

ECの構成も、この3つに分けて決めます。

  • 標準に合わせる:自社サイトやB2Bの受発注は、SuiteCommerceの標準の形態で始める
  • 開発する:モールや外部のカートとは、連携の開発でつなぐ。SCAでの作り込みもここに入る
  • 残す:売上が立っているモールの出店や、国内の決済が要るカートは、いまの仕組みで続ける

「開発する」に入るものが増えるほど、第7章の費用と期間が延びます。

だから、つなぐ先は売上の大きいチャネルから順に絞ります。

ECの構成を3つに仕分ける:標準に合わせる/開発する/残す 自社サイトやB2Bの受発注は標準の形態で始める。モールや外部のカートとの連携、SCAの作り込みは開発する。売上が立つモールの出店や国内の決済が要るカートは残す。開発するものが増えるほど費用と期間が延びる。 ECの構成を3つに仕分ける ECの構成 標準に合わせる 自社サイト B2Bの受発注 標準の形態で 始める 開発する モール・ 外部のカート との連携 SCAの作り込み 残す 売上が立つ モールの出店 国内の決済が 要るカート 「開発する」が増えるほど費用と期間が延びる つなぐ先は売上の大きいチャネルから絞る
ECの構成を3つに仕分ける:標準に合わせる/開発する/残す

最初の打ち合わせで伺うのは、主に次の3つです。

  1. 売上はどのチャネルで立っているか:自社サイト・モール・取引先・店舗の比率
  2. 使いたい決済と配送は何か:国内の決済が必須なら、外部のカートを含めて比べる
  3. 在庫と受注の数はどちらを正とするか:NetSuiteを中心に置くかを決める

要件を伺うのは、営業ではなく導入コンサルタントです。

既存のシステムとの連携も、同じチームが担います。

今日できること|チャネル別の売上と受注の件数を並べる

次の表を、ECの担当者と一緒に埋めてみてください。1時間ほどでできます。

チャネル月の売上月の受注の件数受注の入れ方と困りごと
(例)自社サイト300万円400件CSVで毎日取り込み。在庫の反映が半日遅れる

自社サイト・モールごと・取引先(B2B)・店舗の順に書き出します。表の数字は架空の例です。

売上と件数の多いチャネルで、手作業が残っている所から見直します。

よくある質問

Q1. 純正のSuiteCommerceと外部EC連携はどちらを選べばよいですか

自社サイトを業務と一体で運営するなら純正でモールでも売るなら外部連携です。

多くの会社は、どちらか一方ではなく組み合わせています。

判断は、売上のチャネルの構成しだいで変わります。

Q2. SuiteCommerceの費用はどれくらいですか

NetSuite本体の費用に加わりプレミアムの価格帯になりやすいです。

NetSuite全体はミニマム構成で月額20万円〜が出発点で、構成や規模で大きく変わります。

導入費は、外部システムとの連携の開発が多いほど膨らみます(第7章)。

Q3. 楽天やAmazonで売りたい場合はSuiteCommerceで足りますか

国内モールへの出店は純正の機能だけでは完結しません。

モール側の仕組みと連携のサービスを組み合わせる形が現実的です。

詳しくはNetSuite EC連携の全体像をご覧ください。

Q4. 小規模でも使えますか

使えますがECだけを低い費用で始める用途には向きません。

SuiteCommerceは、NetSuiteという基盤があって価値が出る機能です。

まずERPとして導入し、その上でECを広げる順序が自然です。

Q5. B2Bの受発注にも使えますか

使えます。

公式サイトでは、オンラインの見積の依頼、残高の確認、請求書のオンラインでの支払が挙がっています。

取引先ごとの価格にも対応できます。

Q6. 日本語のサイトを作れますか

日本語の表示は設定で対応できます。

日本語の製品ページもあります。

国内の決済や配送の方法への対応は、着手の前に確かめてください。

Q7. 店舗の販売とも一緒に管理できますか

店頭向けのSuiteCommerce InStoreがあります。

公式サイトでは、POS・Web・コールセンター・モバイル・キオスクの注文を1か所で管理できると説明しています。

店舗とECの在庫をまとめたい会社は、候補になります。

まとめ|純正か連携かは「事業の構造」で決まる

  • SuiteCommerceは、NetSuiteに組み込まれた純正のEC。B2BとB2Cを1つの基盤で扱う
  • 注文がNetSuiteに自動で流れ、在庫・受注・会計が同じデータになる
  • 国内モールと国内の決済は、外部との連携で補うのが現実的
  • 外部とつなぐ開発が増えるほど、導入の費用と期間が延びる
  • 標準に合わせる/開発する/残すに分け、つなぐ先を売上の大きい順に絞る

純正か連携かの答えは、チャネルごとの売上と受注の件数の中にあります。

まず、今日の表を1枚埋めてください。

もう少し詳しく知りたい方へ

純正ECと外部EC連携のどちらが自社に合うか。事業の棚卸しから、構成を一緒に考えます。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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